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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W354142 |
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管理番号 | 1388466 |
総通号数 | 9 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2022-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-09-01 |
確定日 | 2022-08-25 |
事件の表示 | 商願2020−16068拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和2年2月14日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年2月4日付け :拒絶理由通知書 令和3年4月21日 :意見書の提出 令和3年5月27日付け:拒絶査定 令和3年9月1日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、「チャットボット型LP」の文字を標準文字で表してなり、第35類、第41類及び第42類に属する別掲1のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、「チャットボット型LP」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「チャットボット」の文字は「人工知能を利用し、人間との対話やメッセージのやりとりを行うコンピュータープログラム。また、これを用いたサービス。」として一般に親しまれている語であり、「LP」の文字は、本願指定役務の分野においては「ウェブサイトで、利用者がサーチエンジンやインターネット広告などを通じて最初に閲覧するページ。」を意味する「ランディングページ」を表すものとして一般に理解される語であるから、本願商標は全体として「チャットボット型のランディングページ」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。そして、本願指定役務を取り扱う業界においては、チャットボット型のランディングページ(LP)を導入した広告が広く行われている実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務中例えば「チャットボット型のランディングページを用いた広告業」、「チャットボット型のランディングページのためのインターネットにおけるホームページの作成又は保守及びこれらに関する助言又は情報の提供」等に使用しても、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いに相応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 4 当審における証拠調べ通知 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2ないし別掲4に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和4年3月24日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、相当の期間を指定してこれに対する意見を述べる機会を与えた。 請求人は、上記証拠調べ通知に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。 5 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、「チャットボット型LP」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「チャットボット」の文字は、「人間との対話やメッセージのやりとりを行うコンピュータープログラム。また、これを用いたサービス。」(株式会社小学館 デジタル大辞泉)の意味を有する語として知られているものであり、「型」の文字は「ものを類に分けた時、それぞれの特質をよく表した典型。そのような形式・形態。タイプ。パターン。」(株式会社岩波書店 広辞苑第七版)の意味を有する語として一般に用いられているものであり、「LP」の文字は、「ランディングページ/外部からウェブサイトにアクセスする際に、最初に開くページ」(株式会社アルク 英辞郎on the WEB)の意味を有する語である。 そして、本願の指定役務を取り扱う業界においては、別掲2のとおり、チャットボットを利用する形式の広告やプログラム等を表す際に「チャットボット型」の文字が使用されている実情が見受けられ、また、別掲3のとおり、チャットボットを利用する形式のランディングページが存在し、さらに、別掲4のとおり、「LP」の文字が「ランディングページ」の略称を表すものとして一般に使用されている実情があることがうかがえる。 そうすると、本願商標は全体として「チャットボットを利用する形式のランディングページ」の意味合いを容易に理解させるものというべきである。 してみれば、本願商標をその指定役務中、第35類「広告業,商品の販売促進又は役務の提供促進の企画及びその実行に関するコンサルティング並びにこれらに関する情報の提供,インターネットによる商品の販売促進及び役務の提供促進に関する情報の提供,インターネット上でおこなう商品の販売促進・役務の提供促進の企画及び実行の代理」に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、当該役務が、例えば「チャットボット型のランディングページを用いた広告業」のように、「チャットボットを利用する形式のランディングページを用いた役務」であることを認識するにとどまり、また、本願商標をその指定役務中、第42類「インターネットにおけるホームページの作成又は保守及びこれらに関する助言又は情報の提供,コンピュータ用プログラムの設計・作成又は保守に関する情報の提供,コンピュータ用プログラムの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,インターネットにおけるホームページの作成用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機の貸与」に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、例えば「チャットボット型のランディングページのためのインターネットにおけるホームページの作成又は保守及びこれらに関する助言又は情報の提供」のように、「チャットボットを利用する形式のランディングページに係る役務」であることを認識するにとどまるものであって、いずれの場合も、自他役務の識別標識として認識し得ないものであるから、本願商標は、その役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、「LP」は、様々なモノ・組織・システム・企業等の略称として用いられるものであり、該語が「ランディングページ」を示す語として一般的に使用されている事実があるとは言い切れず、また、Web関連のコンテンツやツールの制作に当たっては、多くの場合「取引者」を必要とせず、また本願商標に接する「需要者」のほとんどが、Web関連の専門的な知識を有さない一般的な事業者が個人と考えられることから、需要者が「LP」の文字を「ランディングページ」を省略したものと直ちに認識することは考え難い旨主張する。 しかしながら、たとえ、本願の指定役務の需要者にWeb関連の専門知識を有しない者が含まれるとしても、上記(1)で述べたとおり、本願の指定役務を取り扱う業界において、「LP」の文字が「ランディングページ」の略称を表すものとして広く使用されている実情があることからすれば、本願商標に接する需要者が、「LP」の文字部分を「ランディングページ」の略称と捉える場合も決して少なくないというべきである。 イ 請求人は、「チャットボット」は、人間との対話やメッセージのやりとりを行うというコンピュータープログラムの機能・用途を表す呼び名であり、特定の形式・態様を表す語ではなく、当該「チャットボット」の語に「(共通した特徴を表す)形式・形態・タイプ」を表す「型」の語を付しても、需要者は、何ら特定の態様を表したものとは認識できないから、当該「チャットボット型」の語と「LP」の語を結合して不可分一体の構成とした本願商標は、これに接する需要者が特定の意味合いを理解し把握できるものではない旨主張する。 しかしながら、上記(1)で述べたとおり、本願の指定役務を取り扱う業界において、チャットボットを利用する形式の広告等が行われており、それらに「チャットボット型」の文字が使用されていること、チャットボットを利用した形式のランディングページが存在すること、本願指定役務の分野において、「LP」の文字が「ランディングページ」の略称として一般に用いられていることを踏まえると、本願商標に接する需要者が、本願商標を特定の意味合いを有するものと認識できないとはいい難く、むしろ、「チャットボットを利用する形式のランディングページ」の意味合いを理解するとみるのが自然である。 ウ したがって、請求人の上記の主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本願の指定役務) 第35類「広告業,商品の販売促進又は役務の提供促進の企画及びその実行に関するコンサルティング並びにこれらに関する情報の提供,インターネットによる商品の販売促進及び役務の提供促進に関する情報の提供,インターネット上でおこなう商品の販売促進・役務の提供促進の企画及び実行の代理,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,求人情報の提供,新聞記事情報の提供,自動販売機の貸与」 第41類「販売に関する知識の教授,セミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会の企画・運営又は開催に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」 第42類「インターネットにおけるホームページの作成又は保守及びこれらに関する助言又は情報の提供,コンピュータ用プログラムの設計・作成又は保守に関する情報の提供,コンピュータ用プログラムの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,インターネットにおけるホームページの作成用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機の貸与,気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案(広告に関するものを除く。),電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」 別掲2(令和4年3月24日付け証拠調べ通知書で開示した事実) 本願の指定役務を取り扱う業界において、「チャットボット型」の文字が、チャットボットを利用する形式の広告やプログラム等を表す際に使用されていることを示す事実(文中の下線は当合議体が付したものである。以下同様。) (1)「ECのミカタ」のウェブサイトにおいて、「DMMグループ、新規獲得に特化したチャットボット型広告サービスをリリース。LINE活用しAIが営業」の見出しの下、「合同会社DMM.comの子会社である株式会社Algoage(略)は、新規顧客をコンバージョンに導くことに特化したチャットボット型広告サービス「DMMチャットブースト CV」の提供を開始したと発表した。本サービスは、LINE公式アカウントに搭載したAIチャットボットがユーザー1人ひとりに合わせて自動でおもてなしを行い、ユーザーの購買・契約行動を後押する。」の記載がある。 https://ecnomikata.com/ecnews/33675/ (2)「東京都住宅供給公社」のウェブサイトにおいて、「チャットボット型ウェブ接客ツール導入のお知らせ」の見出しの下、「2020年6月12日より、当公社賃貸ホームページにおいて、新たにチャットボット型ウェブ接客ツールを導入しましたので、お知らせいたします。本ツールの導入により、簡易なお問い合わせ対応等が自動化されましたので、日中でお電話が難しい場合や営業時間外となる夜間や日曜・祝日においても、24時間365日お気軽にお問合せいただけます。」の記載がある。 https://www.to-kousya.or.jp/chintai/oshirase/200612.html (3)「impress BUSINESSMEDIA」のウェブサイトにおいて、「ALBERTがAI・機械学習活用チャットボット型接客ツール「Proactive AI」ベータ版公開」の見出しの下、「システムソリューションのALBERT(アルベルト)は、人工知能(AI)・機械学習技術を活用したチャットボット(自動コミュニケーションツール)型接客ツール「Proactive AI(プロアクティブ エーアイ)」のベータ版を12月15日に公開した、と同日発表した。実店舗のスタッフと対話するような接客を実現する。」の記載がある。 https://webtan.impress.co.jp/n/2016/12/20/24686 別掲3(令和4年3月24日付け証拠調べ通知書で開示した事実) 本願の指定役務を取り扱う業界において、チャットボットを利用する形式のランディングページが存在することを示す事実 (1)「Markefan」のウェブサイトにおいて、「Markefan バージョン5.3リリースノート2020.10.27 AIチャットボット(*個別のライセンスが必要です)」の見出しの下、「ウェブサイトとランディングページで利用可能なAIチャットボット チャットボットFAQマスターデータのインポート テンプレートからチャットボットを作成 「ショートコード」を使用してウェブサイトにチャットボットを埋め込み ランディングページでチャットボットを有効化」の記載がある。 https://markefan.com/LP?aid=1&lpId=6617 (2)「BRUCE CLAY」のウェブサイトにおいて、「チャットボットとは?効果と導入方法」の見出しの下、「チャットボットが活かせる場面 チャットボットの導入により・・・WEBページやランディングページの成果をより効果的に改善したり、業務コストを下げることが可能になります。」の記載がある。 https://bruceclay.jpn.com/column/chatobot/ (3)「クリエル」のウェブサイトにおいて、「チャットボット」の見出しの下、「今やポピュラーになりつつあるWebサイトの右下などに備え付けられた機能です。・・・チャットボット設置 WebサイトやLP内にチャットボットの設置をおこないます。」の記載がある。 https://www.creal.co.jp/service/chatbot-plan/ 別掲4(令和4年3月24日付け証拠調べ通知書で開示した事実) 本願の指定役務を取り扱う業界において、「LP」の文字が「ランディングページ」の略称を表すものとして一般に使用されていることを示す事実 (1)「英辞郎 on the WEB」のウェブサイトにおいて、「LP」の語の意味として、1番目に「=landing page 《イ》ランディングページ◆外部からウェブサイトにアクセスする際に、最初に開くページ◆」の記載がある。 https://eow.alc.co.jp/search?q=lp (2)2018年1月15日付け 日本経済新聞 朝刊 7頁において、「広告連動ページ、簡単作成ツール、フューチャースピリッツ。」の見出しの下、「企業向けサーバー運用のフューチャースピリッツ(略)は、ネット広告に連動したホームぺージを簡単に作成できるツールの提供を18日から始める。IT(情報技術)に関する専門知識がなくても、デザインや文字を選んで入力するなど手軽な操作で作成できる。・・・ネット広告をクリックしたあとに表示される簡易的なホームページ「ランディングページ(LP)」の作成ツールを提供する。」の記載がある。 (3)2016年11月18日付け ニッキン 13頁において、「サイバーブル、スマホ向け動画活用ツール」の見出しの下、「動画広告事業会社のサイバーブルは10月24日、スマートフォン向け動画ツール「SHARK(シャーク)」の提供を始めた。・・・同ツールは、広告をクリックして最初に表示されるページであるランディングページ(LP)を改善する。LPに再生ボタンを押すことなく自動再生する動画を配置し、従来、静止画のみで表現していたページに動的な表現を追加。」の記載がある。 (4)「Pickles Inc.」のウェブサイトにおいて、「ランディングページ(LP)で成果を出す!絶対に外せない4つのポイント」の見出しの下、「ランディングページ(Landing Page)とは、検索結果や広告などを経由して訪問者が最初にアクセスするページのことを指します。Webマーケティングにおいては、より狭義の「訪問者のアクションを誘導することに特化した縦長レイアウトのページ」を指すことがほとんどです。略語として「LP」と表現されることも多いため、LPのほうが馴染み深い方もいらっしゃるのではないでしょうか。」の記載がある。 https://pickles.tv/blog/archives/4750/ (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審理終結日 | 2022-06-20 |
結審通知日 | 2022-06-21 |
審決日 | 2022-07-13 |
出願番号 | 2020016068 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W354142)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
小松 里美 |
特許庁審判官 |
小林 裕子 鈴木 雅也 |
商標の称呼 | チャットボットガタエルピイ、チャットボットガタ、チャットボット |
代理人 | 南瀬 透 |
代理人 | 加藤 久 |
代理人 | 宇野 智也 |
代理人 | 遠坂 啓太 |