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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1387666 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-05-10 
確定日 2022-07-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第6352008号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6352008号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6352008号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,令和2年1月28日に登録出願,第3類「顔用のスキンケアジェル,化粧品,かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,せっけん類,歯磨き,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として,同3年1月19日に登録査定,同年2月15日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において,引用する国際登録第1128501号商標(以下「引用商標」という。)は,「OLYMPIC」の欧文字を書してなり,2011年9月16日にSwitzerlandにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,同年(平成23年)11月8日に国際商標登録出願,第1類ないし第22類及び第24類ないし第45類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成27年6月19日に設定登録され,その後,指定商品及び指定役務については,2021年(令和3年)10月28日に国際登録簿に記録された本件の登録の減縮によって,第1類ないし第3類,第5類,第7類ないし第12類,第14類,第16類ないし第19類,第21類,第24類,第25類,第28類,第32類,第35類ないし第39類及び第41類ないし第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務となり,現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第6号,同項第7号,同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録が取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第121号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第6号について
(1)申立人について
申立人は,1894年6月23日に設立された,オリンピック競技大会を運営・統括する国際的な非政府の団体である(甲4)。
申立人は,オリンピック競技大会の運営・統括と共に,オリンピックの理念であるオリンピズムを具現化し,次の世代へと受け継いでいく様々な活動たるオリンピック・ムーブメントを統括する最高機関として,オリンピック憲章に従い,オリンピズムを普及させる役割を担っている(甲4)。
(2)「OLYMPIC」標章の著名性及び公益性について
申立人が運営・統括に携わる,近代オリンピック競技大会は,1896年の第1回オリンピックアテネ大会から2018年の第23回冬季オリンピック平昌大会までの130年以上の長期にわたり,原則として2年又は4年に一度,世界の各都市を舞台として盛大に開催されてきた。オリンピック競技大会を指称する「OLYMPIC」なる標章は,全世界でオリンピック競技大会やその関連活動等を広く示すものとして認識されており,その程度は極めて高く,世界でも最も著名な標章の一つであると共に,公益性も非常に高いものであることは明白である(甲5〜甲66)。
上述に加え,申立人は,オリンピック憲章に基づき(甲4),オリンピック・ムーブメントの一環として,様々な教育・文化活動を世界的規模で行い,我が国においても,日本オリンピック委員会(JOC)等が各種の教育・文化活動を国内で精力的に行っており(甲67〜甲119)「OLYMPIC」標章は,これらの各種教育・文化活動についても広く用いられ,親しまれている。
以上より,「OLYMPIC」が公益性の高い標章であることは明らかである。
(3)本件商標と「OLYMPIC」標章について
本件商標の上段に配された「Olimple」の欧文字と「OLYMPIC」標章とは,7文字中の4文字を共通にするばかりか,相違する語尾の2文字は,「le」と「IC」とは,視覚上極めて近似することに加え,両商標の3文字目の「I」と「Y」はいずれも2文字目の「L」に伴われて「リ」と発音されることから,簡易迅速を旨とする実際の商取引において,本件商標に接した需要者・取引者にあっては,本件商標を「OLYMPIC」標章と見誤るおそれが極めて高いものというべきである。
そして,「OLYMPIC」に関連して「OLYMPISM」や「OLYMPIAN」等の「OLYMP」を語頭に含む標章が多用されている現状からすると,需要者・取引者にあっては,一見して語頭の「Olimp」が印象付けられ,かつ,「le」の文字が「IC」の文字と酷似する本件商標中の「Olimple」の文字を必ずしも細部にわたって記憶して取引にあたるとは考え難く,むしろ,両者の間に何らかの関連性があると捉え,全体として相紛らわしい類似の商標と認識すると考えられるものである。
(4)小括
以上を総合すると,「OLYMPIC」標章は,申立人に係る公益に関する事業であって営利を目的としない事業であるオリンピック競技大会を表象するものとして,本件商標の登録出願時には,我が国はもとより世界的に著名になっていたものと認められるものであり,かつ,その状態は登録査定時においても継続していたと認められるものである。したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第6号に該当する。
2 商標法第4条第1項第7号について
(1)前述のとおり,「OLYMPIC」標章と同一又は類似,あるいは,これとの関連性を想起させるような商標の登録・使用が認められれば,スポーツによる教育,平和への貢献といったオリンピック・ムーブメントにより築き上けられた価値観が棄損され,公益に反する結果を招く。
(2)本件商標は,著名な「OLYMPIC」標章に便乗し,その信用,名声にあやかろうとする意図が明らかであって,申立人が推進してきたオリンピック・ムーブメントが阻害されるに他ならない。
ここで,本件商標の上段に配された「Olimple」の文字と,「OLYMPIC」の文字を比較するに,上記1(3)のとおり「Olimple」の文字は,「OLYMPIC」標章と見誤るおそれが極めて高いというべきである。
また,上記1(3)のとおり,「オリン(ピ)/OLYMP」を語頭に含む表現が多用されている現状からすると,本件商標は「OLYMPIC」に着想を得た名称であると容易に理解され,これに接する需要者等をして「OLYMPIC」との関連性を想起させるものである。
(3)小括
したがって,本件商標は,著名な「OLYMPIC」標章に化体した信用にただ乗りし,あやかろうとした,あるいは,オリンピック競技大会やその日本代表選手である「オリンピアン(OLYMPIAN)」,オリンピックの理念である「オリンピズム(OLYMPISM)」との関連性を容易に想起させるべく採択されたものであり,社会公共の利益に反し,公の秩序を乱すことは明らかであって,商標法第4条第1項第7号に該当する。
3 商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標の類否については,上記1(3)のとおりであって,また,本件商標と引用商標の指定商品は,同一又は類似のものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号について
(1)出所の混同のおそれについて
申立人の使用に係る「OLYMPIC」が1894年から現在に至るまでおよそ130年以上にわたり,オリンピック競技大会を指称する商標として使用されており,オリンピック競技大会といったスポーツの興行の企画・運営にとどまらず,これに関連した極めて広範な商品や役務との関係で著名であることは,上述の諸点より明らかである。
また,上記1(3)のとおり本件商標は「OLYMPIC」関連の一群の商標と認識され得るものである。
そして,申立人は,各企業とのスポンサーシップ契約を締結し,それらのスポンサーがオリンピック資産を利用したさまざまなマーケティング活動を行っているという実態(甲120,甲121)からすれば,著名な「OLYMPIC」商標との関係性を容易に想起させる本件商標が付された本件指定商品が実際の商取引に資された場合,これに接した需要者・取引者は,申立人あるいは日本オリンピック委員会と正式なスポンサー契約を締結した,オフィシャルスポンサーの業務に係る商品であるかの如く,商品の出所について混同を生じるおそれがあることは明らかである。
(2)小括
したがって,「OLYMPIC」と密接な関連性を印象付ける本件商標は,これが使用された場合,オリンピック競技大会を容易に想起又は連想させ,申立人あるいは日本オリンピック委員会とスポンサー関係にある者の業務に係る商品であると商品の出所について混同を生じさせるおそれがあることから,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標及び「OLYMPIC」標章の周知性について
申立人提出の証拠及び同人の主張によれば,「OLYMPIC」の文字は,1894年に設立された,非営利公共団体である国際オリンピック委員会(申立人)によって,1896年に開始され,原則として4年に1度(冬期大会も含めば2年に1度。)開催される,近代オリンピック競技大会を指標する標章として使用されており,また,当該競技大会に係る文化活動等の関連イベント等においても長年にわたり使用されていることが確認できる。
そして,近代オリンピック競技大会やその関連イベントは,テレビやインターネット,雑誌等で全世界に向けて発信されており,当該競技大会やその関連活動等を指標するものとして広く認識されている。
したがって,「OLYMPIC」の文字(以下「OLYMPIC標章」という。)及びこれより構成される引用商標(以下、これらをまとめて「引用商標等」という。)は,公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として,本件商標の登録出願前より現在に至るまで著名なものであると認められる。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は,別掲のとおり「Olimple」の欧文字と「オリンプル」の片仮名を2段に表した構成よりなるところ,当該構成においては,下段の片仮名は上段の欧文字の読みを表したものと無理なく理解できるものである。
また,「Olimple」の欧文字及び「オリンプル」の片仮名は,一般の辞書等に載録のない語であり,本件商標の指定商品との関係において直ちに何らかの意味を理解させる文字でもないことから,特定の意味合いを生じることのない一種の造語を表したものとして認識されるというべきである。
そうすると,本件商標は,その構成文字に相応して「オリンプル」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は,「OLYMPIC」の欧文字を書してなるところ,当該文字は,申立人に係るオリンピック競技大会を指標する標章として広く認識されている。
したがって,引用商標は,その構成文字に相応した「オリンピック」の称呼及び「オリンピック競技大会」の観念が生じること明らかである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は,それぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ,外観においては,片仮名の有無において顕著な差異を有するものである。
さらに,本件商標の欧文字部分と引用商標を比較してみても2文字目以降の大文字と小文字の差異に加え,3文字目の「i」と「Y」6文字目の「l」と「I」,語尾の「e」と「C」という文字においても差異を有するものである。
そうすると,欧文字7文字という比較的短い文字構成においては,大文字と小文字及び文字の差異は容易に認識することができるものであるから,両者は,外観上,判然と区別し得るものである。
次に,称呼についてみるに,本件商標から生じる「オリンプル」の称呼と引用商標から生じる「オリンピック」の称呼とは,語尾の「プル」の音と「ピック」の音に明らかな差異を有するものであり,5音と6音という短い音数においては,該差異音が称呼全体に与える影響は大きいものであるから,両者をそれぞれ一連に称呼するときは,明瞭に聴別し得るものである。
また,観念においては,本件商標からは特定の観念は生じないのに対し,引用商標からは「オリンピック競技大会」の観念が生じるから,両者は観念においても明らかに相違する。
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,外観においては判然と区別し,称呼においても明瞭に聴別し得るものであり,観念においても明らかに相違するものであるから,両者は,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって,本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第6号について
上記1のとおりOLYMPIC標章は,公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として著名なものであると認められる。
しかしながら,上記2(3)と同じ理由により,本件商標とOLYMPIC標章は,相紛れるおそれのない非類似のものであるというべきである。
してみると,本件商標は,「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として著名なもの」に類似する商標とはいえないものであるから商標法第4条第1項第6号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号について
上記1のとおり,引用商標等は,オリンピック競技大会を指標するものとして広く示すものとして認識されている。
しかしながら,上記2(3)のとおり,本件商標は,引用商標等とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものであるから,本件商標と引用商標等との類似性の程度は低いものである。
さらに,両者を関連付けてみるべき事情も認められないから,本件商標と引用商標等とは別異の出所を表すものとして看取されるというべきである。
してみれば,本件商標は,その指定商品について使用しても,これに接する取引者,需要者をして引用商標等を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第7号について
上記1のとおり,引用商標等は,申立人に係るオリンピック競技大会を指標するものとして広く示すものとして認識されている。
しかしながら,上記2(3)のとおり,本件商標は,引用商標等とは,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると,引用商標等が周知であり,かつ,本件商標と引用商標等が類似であることを前提に引用商標等に化体した信用,名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって本件商標を登録出願し登録を受けたものであるとする申立人の主張には理由はない。
その他,本件商標の構成が,きょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではないことは明らかであり,また,その使用が,法的に禁じられているとか,公正な取引秩序を乱すおそれがあったり,国際信義に反するものであるという理由は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
6 申立人の主張について
申立人は,「OLYMPIC」に関連して「OLYMPISM」や「OLYMPIAN」等の「OLYMP」を語頭に含む標章が多用されている現状からすると,需要者・取引者にあっては,一見して本件商標の語頭の「Olimp」が印象付けられ,かつ,「Olimple」の文字を必ずしも細部にわたって記憶して取引にあたるとは考え難く,むしろ,両者の間に何らかの関連性があると捉え,全体として相紛らわしい類似の商標と認識すると考えられるものである旨主張する。
しかしながら,上記2(3)のとおり,本件商標と引用商標は非類似の商標であることに加え,「登録商標の範囲は,願書に記載した商標に基づいて定めなければならない。」(商標法第27条第1項)と規定されていることからすると,商標の類否については,願書に記載されたそれぞれの商標に基づいて判断すべきと解するのが相当であるから,「OLYMP」を語頭に含む標章が使用されていることが本件商標と引用商標の類否判断に影響を及ぼすことはない。
また,申立人が「OLYMP」を語頭に含む標章を多用しているとしても,本件商標とは当該「OLYMP」の文字と本件商標を関連付けてみるべき事情は認められない。
したがって,申立人の主張は採用できない。
7 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第6号,同項第7号,同項11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではないから,同法第4条に違反して登録されたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲
別掲 本件商標


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-07-13 
出願番号 2020009232 
審決分類 T 1 651・ 21- Y (W03)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大森 友子
馬場 秀敏
登録日 2021-02-15 
登録番号 6352008 
権利者 株式会社ユーピーエス
商標の称呼 オリンプル 
代理人 渡部 彩 
代理人 森 博 
代理人 田中 尚文 
代理人 岡田 淳 
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