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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W43
管理番号 1387661 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-31 
確定日 2022-04-04 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1492684号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1492684号商標の商標登録を維持する。
理由 理由
1 本件商標
国際登録第1492684号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの態様で表してなり、2019年9月13日Australiaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、2019年9月15日に国際商標登録出願、第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、令和2年11月12日に登録査定され、同3年1月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5745193号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定役務 第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日 平成26年10月15日
設定登録日 平成27年2月27日
(2)登録第5947634号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定役務 第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日 平成28年9月5日
設定登録日 平成29年5月19日
(3)登録第6040072号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲4のとおり
指定役務 第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日 平成29年8月14日
設定登録日 平成30年4月27日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)本件商標権者について
本件商標権者は、タピオカ店を台湾国内及び国外で営んでおり、自己の公式ウェブサイト、店舗内及びテイクアウト用のカップ等に「KUNGFUTEA」、「KONGFOCHA」及び「功夫(カンフー)」の文字並びにカンフーをモチーフにしたキャラクター(以下、本件商標権者が商品等に付している同様のキャラクターをまとめて「本件カンフーキャラクター」という。)を表示している(甲5の1〜3、甲6の1〜8、甲8の1〜7)。
また、本件商標権者の代表者と思われる者が保有する登録商標においても本件カンフーキャラクター並びに「KUNGFUTEA」の文字及び「手作功夫茶Taiwan」の文字が付されている(甲7の1、2)。
このように、本件商標権者はカンフーとの結び付きを強調したタピオカ店を運営しているものであるが、それゆえに(6)で述べるとおり申立人保有商標との類似性が世界各地で争われている。
(2)本件商標について
ア 外観
本件商標は、ややデザイン化されたフォントの「KONGFOCHA」の文字、及びその右側に付された本件カンフーキャラクターの頭部の図形からなる。「CHA」は本件商標の指定役務、及びタピオカティー専門店という本件商標権者の業務内容から「茶」をアルファベットで記載したものといえるが、「KONGFO」の部分はカンフー(功夫)を元にした造語と考えられる。
イ 称呼
「KONGFO」の部分は、造語と考えられるため一般的な称呼は存在しないが、この文字に近接して付された本件カンフーキャラクターの存在と相まって、「カンフー」ないし「コンフー」と称呼することができる。したがって、本件商標の文字部分全体からは、「カンフーチャ」ないし「コンフーチャ」との称呼が生じると考えられる。また、本件商標の指定役務との関係においては「茶」の識別力は弱いから、本件商標からは単に「カンフー」ないし「コンフー」の称呼が生じると考えることもできる。
ウ 観念
「カンフーをテーマにした茶」、「カンフーに関連する茶」などの観念が生じる。
(3)本件商標と引用商標との比較
以下、最高裁判決(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)の基準に従って本件商標と引用商標の類否について検討する。
ア 引用商標1について
(ア)外観
引用商標1は、「KungFuTea」の文字、「功夫茶」の文字、及び龍の図形からなる。
(イ)称呼
「KungFuTea」からは「カンフーティー」の称呼が、「功夫茶」からは「カンフーチャ」、「コウフチャ」、「コンフーチャ」などの称呼が生じる。なお、指定役務との関係においては、「Tea」ないし「茶」の識別力は弱いから、単に「カンフー」、「カンフー」、「コウフ」及び「コンフー」との称呼が生じると考えることもできる。
(ウ)観念
「カンフーをテーマにした茶」、「カンフーに関連する茶」といった観念が生じる。
イ 引用商標2について
(ア)外観
引用商標2は、「KUNGFUTEA」の文字、「功夫茶」の文字、及び龍の図形からなる。
(イ)称呼
「KUNGFUTEA」からは「カンフーティー」の称呼が、「功夫茶」からは「カンフーチャ」、「コウフチャ」、「コンフーチャ」などの称呼が生じる。なお、指定役務との関係においては、「TEA」ないし「茶」の識別力は弱いから、単に「カンフー」、「カンフー」、「コウフ」及び「コンフー」との称呼が生じると考えることもできる。
(ウ)観念
「カンフーをテーマにした茶」、「カンフーに関連する茶」といった観念が生じる。
ウ 引用商標3について
(ア)外観
引用商標3は、「KFTEA」の文字及び「功夫茶」の文字が、いずれも黒地の円状の図形の中に配置されている。
(イ)称呼
「KFTEA」からは「ケーエフティー」の称呼が生じるほか、右上に記載された「功夫茶」と相まって「カンフーティー」の称呼が生じ得る。また、「功夫茶」からは「カンフーチャ」、「コウフチャ」、「コンフーチャ」などの称呼が生じる。なお、指定役務との関係においては、「TEA」ないし「茶」の識別力は弱いから、単に「カンフー」、「カンフー」、「コウフ」及び「コンフー」との称呼が生じると考えることもできる。
(ウ)観念
「カンフーをテーマにした茶」、「カンフーに関連する茶」といった観念が生じる。
エ 本件商標と引用商標の類否
引用商標1及び2には、文字部分と図形部分が不可分的に結合しているなどの事情が存在しないから、文字部分のみを本件商標と比較することが妥当といえる。
そして、本件商標と引用商標は外観において差異があるものの、称呼において類似性があり、特に引用商標中の「功夫茶」から生じる称呼は本件商標から生じる称呼と同ーないし類似であるといえる。また、観念についてはいずれも「カンフーをテーマにした茶」、「カンフーに関連する茶」であるから、同ーである。
さらに、取引の実情について検討する。テイクアウト形式の飲料、アルコール分を含まない飲料等比較的安価な飲料等については、詳細に出所を検討することは少ないのが通常である。そのため、カップや看板に付された文字や図形などのわずかな情報から受ける印象が需要者に与える影響は大きい。本件商標権者、申立人の主力商品であるタピオカ飲料は、例えば、透明のカップに入れられた上でプラスチックフィルムの蓋がされ、太めのストローが挿されて提供されることが多い。また、容器に付されるロゴも黒色ないし赤色が使用されることが多く、さらに中国語風の名前や漢字、落款様の印影が付されることも多い。そのため、需要者に似た印象を与えやすい(甲9の1)。なお、本件商標権者、申立人がタピオカに使用している容器もこのような態様の容器である(甲8の1〜8の7、甲9の2)。
さらに、タピオカ飲料の主たる需要者層である中学生ないし大学生は必ずしも判断能力が成人と比して高いとはいえない上、海外資本のタピオカブランドについてその出所や資本関係の同一性などに関心を持ち、検討することは非常に稀と考えられる。そのため、成人と比較した場合、より商標を構成する語の持つ直感的な印象に影響を受けやすいといえる。
上記の取引実情を踏まえると、「カンフーをテーマにした茶」、「カンフーに関連する茶」という観念が商標間の類否に与える影響は極めて大きいと解される。そのため、本件においては観念上の同一性が外観上の差異をもってしても、本件商標と引用商標の類似性は否定できない。
以上のとおり、本件商標と引用商標は、外観上の差異があるものの、称呼は同ーないし類似するものであり、また同一の観念を想起させるものである。
そして、本件における取引の実情に鑑みれば、観念上の類似性が特に重要な意義を有するといえるから、両商標が同一又は類似の役務に使用された場合に、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ず、両商標は類似するものである。
(4)本件商標と引用商標の指定役務の比較
引用商標1ないし3の指定役務と本件商標の指定役務は、いずれも飲食物の提供に関する役務であるから、その役務の目的、取引者、需要者の範囲等を共通にする同一又は類似する役務である。
(5)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と称呼上類似し、また観念においては同一の商標であって、引用商標の指定役務と同一又は類似の指定役務に用いられるものである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)申立人について
申立人は、タピオカ飲料の販売を行う企業であり、2010年の設立後、特に、米国では250店舗以上を展開する米国最大のタピオカ店であり、著名なタピオカ飲料ブランドである。申立人は「KUNGFUTEA」、「功夫茶」、「KFTEA」の文字や図形からなる商標を登録済ないし出願中であり(甲10)、申立人ブランドはカンフーのイメージと強く結びついたものとして認識されている。
一方、本件商標権者は、上記(1)のとおりであり、申立人商標との混同を生じさせていることから、申立人は世界各国で積極的に本件商標権者の商標に対する異議申立や無効審判請求を行っている(甲11の1、3〜8)。
(7)むすび
以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、「KONGFOCHA」(「KONG」、「FO」及び「CHA」の各文字部分には半角程度のスペースがある。)の文字及び人間の頭部をモチーフとしたような図形を、別掲1のとおりの態様で表してなるところ、文字部分と図形部分とは、視覚上重なり合っているものではなく、観念上のつながりもみられないなど不可分的に結合しているとの事情はみられないことから、取引者、需要者は、文字部分を捉えて取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当であり、両部分がそれぞれ独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものである。
そして、「KONGFOCHA」の文字部分は、その構成中に半角程度のスペースを有し、若干書体が異なるものの、同じ大きさで角を丸めた態様で表すなど共通する点があることからすれば、文字部分は、視覚上一体として看取、把握されるといえるものである。
また、「KONGFOCHA」の文字は、辞書等に採録がないところ、これに接する取引者、需要者は、普段慣れ親しんだローマ字や一般に知られた英単語に倣って称呼しようとするのが自然である。
そうすると、「KINGKONG(キングコング)」(アメリカ映画の題名 広辞苑第六版)や「SONG(ソング)」に倣い「KONG」の文字部分を「コング」と発音し、「FOCHA」の文字部分はその構成文字に相応して「フォチャ」と発音するとみるのが自然であるから、「KONGFOCHA」の文字部分は、「コングフォチャ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
さらに、本件商標中の図形部分は、人間の頭部をモチーフとしたような図形であることまではみてとれても、具体的に何を表現しているのか特定することは困難であるから、何らかの称呼及び観念が生じると認定することはできない。
したがって、本件商標は、「コングフォチャ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1
引用商標1は、上記2(1)のとおり、円形の輪郭内に龍とおぼしき図形並びに「功夫茶」及び「KungFuTea」の各文字を別掲2のとおりの態様で表してなるところ、その構成中顕著に表された「功夫茶」及び「KungFuTea」の文字部分を捉えて、取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当である。
そして、「功夫」の文字は、「(中国語)中国拳法」(広辞苑第六版)を意味し、「カンフー」と発音することから、「功夫茶」の文字部分はその構成に相応して、「カンフーチャ」の称呼が生じ、また、「茶」は「茶の若葉を採取して製した飲料」等(同出典)の意味を有するものの、全体として特定の観念は生じない。
また、「KungFu」の文字は「(中国)カンフー」(ジーニアス英和辞典第5版)を意味し、「カンフー」と発音することから、「KungFuTea」の文字部分はその構成に相応して、「カンフーティ」の称呼が生じ、また、「tea」は「茶」(同)の意味を有するとしても、全体として特定の観念は生じない。
加えて、引用商標1の図形部分からは称呼及び観念が生じるとみるべき事情は見いだせない。
以上からすると、引用商標1は、「カンフーチャ、カンフーティ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
(イ)引用商標2
引用商標2は、上記2(2)のとおり、龍をモチーフとしたような流線形の図形並びに「KUNGFUTEA」及び「功夫茶」を、別掲3のとおりの態様で表してなるところ、その構成中顕著に表された「KUNGFUTEA」及び「功夫茶」の文字部分を捉えて、取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当である。
そして、上記(ア)と同様に、「KUNGFUTEA」の文字部分から、「カンフーティ」の称呼が生じるものの、特定の観念は生じ得ず、また、「功夫茶」の文字部分からは、「カンフーチャ」の称呼が生じるものの、特定の観念は生じない。
加えて、引用商標2の図形部分から称呼及び観念が生じるとみるべき事情は見いだせない。
以上からすると、引用商標2は、「カンフーティ、カンフーチャ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
(ウ)引用商標3
引用商標3は、上記2(3)のとおり、円形内に「KFTEA」及び該円形内にかかるように小さく縁取りのある円形内に「功夫茶」の文字を、別掲4のとおりの態様で表してなるところ、その構成中顕著に表された「KFTEA」及び「功夫茶」の文字部分を捉えて、取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当である。
そして、「KFTEA」の文字部分は、その構成文字に相応して「ケーエフティ」の称呼を生じるものの、該文字は辞書等に採録がなく、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、特定の観念は生じない。
また、「功夫茶」の文字は、上記(ア)及び(イ)と同様に、該文字から、「カンフーチャ」の称呼が生じるものの、特定の観念は生じない。
加えて、引用商標3から、他に称呼及び観念が生じるとみるべき事情は見だせない。
以上からすると、引用商標3は、「ケーエフティ、カンフーチャ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、両者は上記のとおりの外観であり、構成態様(図形の相違)、構成文字が明らかに異なるものであるから、相紛れるおそれのないものである。
次に、本件商標から生じる「コングフォチャ」と引用商標から生じる「カンフーチャ、カンフーティ、ケーエフティ」の称呼においては、両者をそれぞれ一連に称呼しても、明瞭に聴別でき相紛れるおそれのないものである。
なお、本件商標及び引用商標から、仮に、CHA、茶、Tea(TEA)の文字部分を捨象して称呼することがあるとしても、両者が相紛れるおそれがないこと明らかである。
さらに、観念においては、両者は特定の観念は生じないものであるから、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、外観、称呼及び観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両者の指定役務が同一又は類似であるとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)申立人の主張について
ア 申立人は、本件商標は、その構成中のカンフーキャラクターの図形と相まって「カンフーチャ」等の称呼及び「カンフーをテーマにした茶」等の観念を生じ、タピオカ飲料等の取引の実情を考慮すれば、引用商標と類似する旨主張している。
しかしながら、本件商標は上記(1)アのとおり「コングフォチャ」の称呼は生じるものの、特定の観念は生じないものであって、本件商標に接する取引者、需要者において「カンフーチャ」の称呼及び「カンフーをテーマにした茶」等の観念が生じるとみるべき事情は存在しないから、申立人が主張する図形の存在や取引の実情を踏まえてもなお、本件商標は、引用商標と類似しないというべきである。
イ 申立人は、海外における判断例を挙げて、本件商標もそれらと同様に扱われるべきである旨主張する。
しかしながら、本件商標と引用商標が非類似であることは上記(1)のとおりであるから、海外における判断例が存在するとしても、それによって上記判断は左右されないというべきである。
ウ したがって、申立人のいずれの主張も採用できない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)

別掲2(引用商標1)

別掲3(引用商標2)

別掲4(引用商標3)

異議決定日 2022-03-31 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W43)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 岩崎 安子
板谷 玲子
登録日 2019-09-15 
権利者 ROTEN MING INTERNATIONAL CO., LTD.
商標の称呼 コングフォーチャ、コンフォーチャ、コングフォー、コンフォー 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 右馬埜 大地 
代理人 石田 昌彦 
代理人 中河 香一郎 
代理人 田中 克郎 

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