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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W41
管理番号 1387606 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-27 
確定日 2022-06-30 
事件の表示 商願2021−35791拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務とし、令和2年2月28日に登録出願された商願2020−21708に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和3年3月25日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年4月16日付けで拒絶理由の通知がされ、同年5月28日受付で意見書が提出されたが、同年7月19日付けで拒絶査定がされた。
これに対して令和3年10月27日に拒絶査定不服審判の請求がされ、指定役務については同年11月9日受付に係る手続補正書により、別掲2のとおりの役務に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願商標の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4884158号商標(以下「引用商標1」という。)は、「IOP」の文字を茶色で表してなり、平成15年11月27日に登録出願、第9類及び第41類に属する別掲3のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同17年7月29日に設定登録され、その後、同27年2月24日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第4884159号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成15年11月27日に登録出願、第9類及び第41類に属する別掲3のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同17年7月29日に設定登録され、その後、同27年2月24日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
以下、これらをまとめていうときは、単に「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、黄緑色の多角形の左上に2枚の葉とみられるものを配した図形(以下「図形部分」という。)の内部に、白抜きで「IoP」の欧文字を普通に用いられる方法で表してなるもの(以下「文字部分」という。)である。
そして、図形部分のうち、多角形は輪郭的な図形と看取されるものであり、2枚の葉とみられるものは装飾的な図形と看取されるものであるから、当該図形部分より特定の称呼や観念を生じるとはいえない。
また、文字部分は、その構成文字に応じて「アイオーピー」の称呼を生じ、当該文字は本願指定役務との関係において特定の観念を生じるものではない。
そうすると、図形部分と文字部分とは、外観において明確に分離して看取し得るものであり、称呼及び観念においても、常に一体のものとして捉えられなければならない構成ということはできないものであるから、それぞれの部分が自他役務の識別標識としての機能を有するものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、「IoP」の文字部分に相応して「アイオーピー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標1について
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「IOP」の文字を茶色で表してなるものであるから、当該文字に相応して「アイオーピー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 引用商標2について
引用商標2は、別掲4のとおり、やや大きく「O」の文字を表した「IOP」の文字を紺色で表してなり、文字の上に、その形に添うように一本の線を同色で引き、文字の下に、多少太さの異なる二本の線を同色で引いた構成からなるものである。そして、中央に顕著に表された「IOP」の文字に相応して「アイオーピー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
エ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標の類否について検討するに、両商標は、全体の外観においては、図形の有無、色彩、文字の大小という差異を有するものの、本願商標の文字部分「IoP」及び、引用商標1の文字並びに引用商標2の文字部分「IOP」は、同じ綴りの欧文字を、共に普通に用いられる方法で表したものであるから、両者は、その文字部分において、外観上、近似した印象を与えるものである。
次に、称呼においては、本願商標と引用商標は、その文字部分において、「IoP」又は「IOP」の文字に相応して、「アイオーピー」の称呼を生じるものであるから、その称呼を同一にするものである。
また、観念においては、本願商標及び引用商標のいずれも、特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上、比較することができない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、上記のとおり、その文字部分においては、観念において比較できないとしても、外観上、近似した印象を与えるものであって、かつ、その称呼を同一にするものであるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
オ 本願の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願の指定役務中の「農業に関する知識の教授,農業の分野における訓練の提供,農業に関するセミナー・研修会・講習会の企画・運営又は開催,農業に関する電子出版物の提供,農業に関する図書及び記録の供覧,農業に関する図書の貸与,農業・農産物の製造に関する資料の展示,農業・農産物及びこれらの加工食品・加工飲料・健康食品又は健康飲料の資料に関する展示及びこれらに関する助言又は情報の提供,農業に関する書籍の制作,農業に関するインターネットを利用して行う映像の提供,農業に関する放送番組の制作,農業に関する教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),農業に関する興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),農業体験行事の企画・運営又は開催,農業に関する教育研修施設の提供,農業に関するレコード又は録音済み磁気テープの貸与,農業に関する録画済み磁気テープの貸与」と、引用商標の指定役務の「技芸・スポーツ又は知識の教授,文芸・美術・音楽・宗教に関する講演・セミナー・シンポジウムの企画・開催及びその他の技芸・スポーツ又は知識に関する講演・セミナー・シンポジウムの企画・開催,図書及び記録の供覧,美術品の展示,映画の上映・制作又は配給,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作,映画の編集,アイススケートショーの企画・運営又は開催,文学賞の企画・開催,セミナーのための施設の提供,書籍の制作,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,図書の貸与,図書の供覧又は貸与に関する情報の提供,電子計算機端末による図書・著作物及び記録の供覧,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,音楽祭用・演奏会用・演劇用ステージの貸与,電子計算機端末による通信を用いて行う映画の提供,電子計算機端末による通信を用いて行う音楽・映像の提供,電子計算機端末による通信を用いて行うビデオ映画の提供,電子計算機端末による通信を用いて行う電子書籍の提供,インターネットのホームページ上で行う講演会・討論会・セミナー・シンポジウムの企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供」は、同一又は類似するものである。
カ 小括
したがって、本願商標と引用商標とは、類似の商標であり、その指定役務も同一又は類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、文字と図形とからなる結合商標であり、外観上、文字と図形が一体不可分となり、一つにまとまって表現されている旨、特に、茎を表現した文字「I」と二葉の図形とは1つの図形を構成しているから、茎を表現した文字「I」と二葉の図形とが一体となって、1つの植物、あるいは、1つの芽が出た植物といった1つのまとまった観念が生じるのであって、文字部分と図形部分は、外観及び観念において密接な関連性があるため、それぞれ分離して観察することは取引上不自然である旨主張する。
しかしながら、たとえ請求人が「I」の文字で茎を表現する意図であったとしても、「I」の文字と、その上部の2枚の葉の図形は色彩も異なり、まとまりのある構成であるとはいえないから、看者をして、常に、1つの植物、あるいは、1つの芽が出た植物といった1つのまとまった観念を生じさせるとはいい難く、文字部分と図形部分は、外観及び観念において密接な関連性があるともいえず、外観上も観念上も、文字部分と図形部分が一体不可分とはいえないことは、前記(1)アのとおりである。
イ 請求人は、ローマ字の3字からなる商標は「識別力のある商標」ではあるが、識別力は決して強くないのに対し、本願商標の図形部分は、特徴的で独創性が高く、他に類似するものもないため、この図形部分の識別力が極めて強いことは明白であるから、本願商標に接した需要者等は、本願商標の文字部分ではなく、図形部分に出所表示標識としての支配的な印象を強く受けると考えるのが自然であって、文字部分は印象に残りにくい旨主張する。
しかしながら、ローマ字3字からなる商標の識別力が強くないとの主張については、一概にいえないが、仮に、本願商標を構成する図形部分と文字部分に識別力の軽重があったとしても、それぞれの部分が自他役務の識別標識としての機能を有するものというのが相当であることは、前記(1)アのとおりであり、識別力のない部分を抽出して引用商標と比較しているのではなく、識別力のある部分を抽出して引用商標と比較しているのであるから、請求人の主張は失当である。
ウ 請求人は、取引実情として、本願商標の出願人である高知県は、IoP(Internet of Planet)(審決注:「Planet」は「Plants」の誤記と思われる。)プロジェクトなる事業を展開し、高知県が優位性を持つ施設園芸分野において、IoT及びAI技術を利用した営農支援を可能にする「Next次世代型」の施設園芸を農業関係者へ普及することを推進しており(甲3)、農業関係者にはある程度認知されているものであり、一方、引用商標の「IOP」は、「The Institute of Oriental Philosophy」の略語であり、その商標権者である公益財団法人東洋哲学研究所は、甲第5号証及び甲第6号証によれば、研究会等を通し東洋思想等に関する研究・調査を行う事業等を行う団体であるから、本願商標と引用商標の役務に係る需要者及び取引者は全く異なるものであって、本願商標と引用商標とは十分に識別可能であり、出所の混同が生じるおそれがないことは明らかである旨主張する。
しかしながら、請求人の提出に係る請求人のプロジェクトのウェブサイト(甲3)や本願文字部分のインターネットの検索結果(甲4)のみをもって、本願商標が請求人の事業に係るプロジェクトとして認知されているかを推し量ることはできないし、商標の類否判断において参酌されるべき取引の実情とは、その指定役務全般についての一般的、恒常的な取引実情であるから、当該商標が現在使用されている具体的な使用態様などの個別的、一時的な事情のみをもって、対比される両商標が役務の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かを判断すべきではないところ、本願の指定役務と、引用商標の指定役務は同一又は類似の役務であることは明らかであるから、本願商標と引用商標とをそれぞれその指定役務に使用したときに出所の混同を生ずるおそれがないということはできない。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1 本願商標(色彩については原本参照。)


別掲2 本願商標の指定役務
第41類「農業に関する知識の教授,農業の分野における訓練の提供,農業に関するセミナー・研修会・講習会の企画・運営又は開催,農業に関する電子出版物の提供,農業に関する図書及び記録の供覧,農業に関する図書の貸与,農業・農産物の製造に関する資料の展示,農業・農産物及びこれらの加工食品・加工飲料・健康食品又は健康飲料の資料に関する展示及びこれらに関する助言又は情報の提供,農業に関する書籍の制作,農業に関するインターネットを利用して行う映像の提供,農業に関する放送番組の制作,農業に関する教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),農業に関する放送番組の制作における演出,農業に関する興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),農業体験行事の企画・運営又は開催,農業に関する教育研修施設の提供,農業に関するレコード又は録音済み磁気テープの貸与,農業に関する録画済み磁気テープの貸与」

別掲3 引用商標の指定商品及び指定役務
第9類「計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ及びその他の記録媒体,出版物の内容を記録させたCD−ROM・フロッピーディスク及びその他の記録媒体,映像・文字情報を記録させたCD−ROM・フロッピーディスク及びその他の記録媒体,電子出版物」
第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,文芸・美術・音楽・宗教に関する講演・セミナー・シンポジウムの企画・開催及びその他の技芸・スポーツ又は知識に関する講演・セミナー・シンポジウムの企画・開催,図書及び記録の供覧,美術品の展示,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),音楽の演奏,放送番組の制作,映画の編集,録画済記録媒体の複製,録画済ビデオテープ・コンパクトディスクその他の記録媒体の編集,ゴルフその他のスポーツの興行の企画・運営又は開催,スポーツの開催に関する情報の提供,アイススケートショーの企画・運営又は開催,文学賞の企画・開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,セミナーのための施設の提供,娯楽施設の提供に関する情報の提供,娯楽施設の提供,書籍の制作,興行場の座席の手配,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,おもちゃの貸与,楽器の貸与,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,図書の貸与,図書の供覧又は貸与に関する情報の提供,電子計算機端末による図書・著作物及び記録の供覧,ラジオ受信機の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,音楽祭用・演奏会用・演劇用ステージの貸与,電子計算機端末による通信を用いて行う映画の提供,電子計算機端末による通信を用いて行う音楽・映像の提供,電子計算機端末による通信を用いて行うビデオ映画の提供,電子計算機端末による通信を用いて行う電子書籍の提供,電子計算機端末による通信を用いて行うゲーム・カラオケのための映像及び楽曲・歌詞の提供,インターネットのホームページ上で行う講演会・討論会・セミナー・シンポジウムの企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供」

別掲4 引用商標2(色彩については原本参照。)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-04-21 
結審通知日 2022-04-26 
審決日 2022-05-11 
出願番号 2021035791 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W41)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 綾 郁奈子
馬場 秀敏
商標の称呼 アイオオピイ 
代理人 田中 憲治 
代理人 上羽 秀敏 

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