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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W44
管理番号 1387587 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-28 
確定日 2022-07-04 
事件の表示 商願2020−95369拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和2年8月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 1月22日付け:拒絶理由通知
令和3年 3月 4日 :意見書の提出
令和3年 5月24日付け:拒絶査定
令和3年 7月28日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、「髪質改善トリートメント」の文字を標準文字で表してなり、第44類「美容,理容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,整体,はり治療,医療情報の提供,健康診断,栄養の指導,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」を指定役務として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「髪質改善トリートメント」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「髪」の文字は「頭部にはえる毛。頭髪」、「質」の文字は「内容。性質。」、「改善」の文字は「悪いところを改めてよくすること。」、「トリートメント」の文字は、「(待遇・治療・手当の意)髪や肌の手入れ。」の意味を有するものである。
そして、美容に係る分野においては、髪質を改善する髪の手入れを「髪質改善トリートメント」と称している実情が認められ、該実情を踏まえると、本願商標は、全体として「髪質を改善する髪の手入れ」ほどの意味合いを容易に理解、認識させるものである。
そうすると、本願商標をその指定役務のうち、例えば「髪質を改善する髪の手入れに関する美容」や「髪質を改善する髪の手入れのための美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」等の、「髪質を改善する髪の手入れに関する役務」に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、「髪質を改善する髪の手入れに関する役務」であること、すなわち、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、前記2のとおり、「髪質改善トリートメント」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「髪」の文字は「頭部にはえる毛。頭髪」の意味を、「質」の文字は「内容。性質。」の意味を、「改善」の文字は「悪いところを改めてよくすること。」の意味を、「トリートメント」の文字は「(待遇・治療・手当の意)髪や肌の手入れ。」の意味をそれぞれ有する語(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)として、我が国において親しまれているものである。
そして、美容の役務を提供する業界においては、原審において示した事実(別掲1)に加え、別掲2の事実からすると、2018年にテレビ番組において取り上げられて以降、注目を集めている美容院の施術メニューであって、髪に熱をあてながら薬剤の成分を浸透させ、毛髪内で化学反応を起こすことにより、髪質自体を改善するトリートメント施術について「髪質改善トリートメント」の表記が広く一般に使用されている事実が見受けられる。
そうすると、本願商標は、全体として「髪質を改善するトリートメント施術」の意味合いを容易に認識させるものであり、本願商標をその指定役務中、「髪質を改善するトリートメント施術に関する美容,髪質を改善するトリートメント施術に関する美容院用の機械器具の貸与」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該役務が「髪質を改善するトリートメント施術」に関するものであること、すなわち、役務の質を表示したものとして理解するにすぎず、自他役務の識別標識としては認識しないというべきであるから、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというのが相当である。
また、本願商標を、その指定役務中、上記役務以外の「美容,美容院用の機械器具の貸与」について使用するときは、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「トリートメント」の文字が、美容に関連する分野において、「手入れ」という意味だけでなく、「髪質(あるいは肌)を改善するために髪(あるいは肌)につけるもの(髪につける整髪料、肌につける乳液やローション)、髪につける薬剤」等として用いられていることから、本願商標に接した取引者や需要者は、「髪質を改善する髪の手入れに関する役務」であることだけを認識するにとどまらず、「髪の手入れのための材料等」という役務も想起する旨主張する。
しかしながら、本願の指定役務は、第44類「美容」等であることから、「トリートメント」の文字を役務「美容」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該文字から、商品である「毛髪用トリートメント剤」等を認識するというよりは、上記(1)の認定のとおり、「髪や肌の手入れ」の意味を認識し、役務である「トリートメント施術」と理解するというのが自然であり、このことは、例えば、美容の役務を提供する業界において、「髪質改善トリートメント」を説明する際に、「固定していく施術タイプ」、「美容院の施術メニュー」、「定着させていく施術」などと表記されていることによっても是認される(別掲1(2)、別掲2(1)及び(4)参照)。加えて、美容の役務を提供する業界において、髪質自体を改善するトリートメント施術について「髪質改善トリートメント」の表記が広く一般に使用されている事実は、取引者、需要者が、役務「美容,美容院用の機械器具の貸与」に使用される本願商標に接した場合、「髪質を改善するトリートメント施術」に関するものであると容易に認識することにつながるといえ、取引者、需要者をして、役務の質を表示したものとして理解するにとどまるというべきこと、上記(1)において述べたとおりである。
イ 請求人は、「髪質改善トリートメント」という文字からは、少なくとも(a)美容師や理容師による、傷んだ髪を修復するための施術、(b)傷んだ髪を修復するための整髪料、乳液、(c)整髪料、乳液を使用した縮毛矯正による髪の手入れ(くせ毛に悩んでいる人にとっては、縮毛矯正でくせ毛をストレートにすることが「髪質改善」といえ、また、従来の縮毛矯正の薬剤に整髪料、乳液を加え、「髪質改善」とうたっている美容室も多く見受けられることから。)、(d)髪へのダメージを減らすために調合された縮毛矯正の薬剤、の4つの意味が想起されるため、特定の観念は生じず、本願商標は識別性を有する旨主張する。
しかしながら、(b)及び(d)については、上記アと同様、本願商標から、「整髪料・乳液」、「薬剤」といった商品を想起するという主張であると解されるところ、それは、飽くまでも「毛髪用トリートメント剤」等の商品の存在を前提とした主張であって、第44類「美容」等を役務として指定する本願においては、その前提に誤りがあるといわざるを得ない。そして、「トリートメント」の文字を役務「美容」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該文字から、「髪や肌の手入れ」の意味を認識し、役務である「トリートメント施術」と理解するというのが自然であること、上記アのとおりである。
また、(c)について、本願の指定役務の取引者、需要者が、本願商標を請求人主張のような限定的な意味合いで認識すると認めるに足りる証拠はないものの、仮に、そのように認識したとしても、結局は、髪質を改善する施術であると認識しているといえるものである。なお、(a)については、上記(1)における認定に類するものである。
ウ 請求人は、商標中に「トリートメント」の文字を有する既登録例を挙げ、本願商標も登録されてしかるべき商標である旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標登録の要件を具備しているか否かについては、該商標の構成態様と、指定商品及び指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に、査定時又は審決時において、判断するべきものである。請求人が挙げる既登録例に係る商標は、本願商標とは異なる構成からなるものであり、本件とは事案を異にするものであるから、その既登録例があることにより、本願商標についてした上記認定、判断が左右されることはない。
エ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1 原審において示された事実
(1)「ZEST」のウェブサイトにおいて、「今話題の【髪質改善トリートメント】って実際何??髪のお悩み全て解消致します!!」の見出しの下、「東京【立川】の美容室Hair&Make ZEST立川店の店長の丸山純基です!!いままで2000人以上のお客様の髪質改善をしてきた髪質改善特化美容師です(^^)早速ですが、、最近巷で「髪質改善トリートメント」という言葉を聞きことが多くなってきてはいませんか!?実は、、、相当流行っているものなんです!!!ヘアケアに敏感な方はご存知。。お客様から質問される事も増えてきていて、かなり浸透してきているなと感じております!!そんな巷の皆様が気になっているであろ「髪質改善トリートメント」について、いち早くこれを取り入れ立川でNO,1の人気を誇るZESTの丸山が本日は全てお教えしようと思います!!!!」の記載がある。
https://www.web-zest.co.jp/tachikawa/treatment/entry31766.html
(2)「closet」のウェブサイトにおいて、「現役美容師が巷で噂の髪質改善トリートメントを体験してみた!」の見出しの下、「【マツコ会議】でも取り上げられたりしていて、美容室でのヘアトリートメントへの注目度が高まっている昨今。「髪質改善」という言葉をよく耳にしますよね。では、「髪質改善トリートメント」って何??ってお話ですが、【マツコ会議】で紹介されていたトリートメントを「髪質改善」と言うなら、それは髪の内部にタンパク質の手助けをしてくれる成分を入れて、アイロンの熱でそれを固定していく施術タイプのモノの事のようです♪この「髪の内部を手助けしてくれる成分」というのは、実は美容質業界の中ではすでに沢山あるんです。その中の一つ、グリオキシル酸という成分を使った「髪質改善トリートメント」を体験してみたブログです★」の記載がある。
https://www.closet-life.com/closet/haircare/entry24513.html
(3)「Cura」のウェブサイトにおいて、「東京の【髪質改善トリートメントって??】3種類とその効果を3分で解説!【縮毛矯正・酸熱トリートメント・サイエンスアクア】」の見出しの下、「髪質改善トリートメントとは?・髪質に対して適切な技法で改善を目指す技術 ・メニューの名前ではない ・大きく分けて3種類ある」の記載がある。
https://www.cura-hp.jp/kamishitsukaizen/entry28729.html

別掲2
(1)「CHOUCHOU MEDIA」のウェブサイトにおいて、「東京の髪質改善トリートメントが得意な美容院おすすめ10選!2022.1.20 2022.4.03」の見出しの下、「髪質改善トリートメントをご存じでしょうか。髪のダメージやごわつきなどをはじめ、様々な髪の悩みを解決する美容院の施術メニューです。髪質改善に特化したトリートメントで、最近は多くの美容院がメニューに取り入れています。・・・髪質改善トリートメントは、その名の通り髪質を改善する美容院のトリートメントメニューです。人それぞれ髪に対する悩みはあるでしょう。例えば、度重なるカラーで髪が傷んでいる、老化と共に髪がゴワゴワしてきた、髪が広がりやすくまとまらない、などで悩んでいる方も多いはずです。そのような方におすすめしたいのが髪質改善トリートメントです。専用のトリートメントを使い、様々な悩みの根本部分である髪質を改善していきます。髪そのものの質を改善させるため、多くの悩みに効果的です。」の記載がある。
https://chouchou-shop.jp/media/hair-quality-tokyo
(2)「HAIR」のウェブサイトにおいて、「2021.02.26 マツコ会議でバズり中「髪質改善トリートメント」について、スタイリストがわかりやすく解説」の見出しの下、「・・・大人気の髪質改善トリートメント。生まれ持ってのうねりやくせ毛、そしてダメージが蓄積した髪を徹底的にケアできることで、今幅広い世代の女性から大注目されているメニューなんです。・・・数年前からジワジワと注目を集めている髪質改善トリートメントですが、2018年に放送の日本テレビ「マツコ会議」で紹介されたことにより、日本中で話題沸騰!」の記載、また、スタイリストのコメントとして、「私が働くサロンでも実際に導入しているメニューであり、最近オーダーされる方がとても多い髪質改善トリートメント。大きく分けると「水素」と「酸熱」の2種類があり、それぞれで使う薬の成分も異なります。・・・くせが落ち着いてストレート仕上げになる、他のトリートメントと比べても圧倒的にツヤ感が出る、などの理由から、需要は伸び続けています。」の記載がある。
https://hair.cm/news/44267/
(3)「HOT PEPPER Beauty magazine」のウェブサイトにおいて、「髪質改善トリートメントで目指せサラツヤ髪 効果や費用相場を徹底解説!2022年4月2日更新」の見出しの下、「髪質改善トリートメントは薬剤によって毛髪内で化学反応を起こして、髪質自体を改善していくケア方法です。・・・髪質改善トリートメントは、スチームや遠赤外線の熱を髪にあてながら、薬剤の成分を髪に浸透させることで、架橋結合を修復していきます。・・・髪質改善トリートメントには、酸性の成分を含む酸熱トリートメントと水素成分を含む水素トリートメントなどの種類があります。それぞれ、強みや効果が出やすい人が異なるんです。」の記載がある。
https://beauty.hotpepper.jp/magazine/290987/
(4)「closet」のウェブサイトにおいて、「現役美容師が徹底検証!髪質改善トリートメントの効果と持続性!2022/01/20」の見出しの下、「この髪質改善トリートメントに使用されるのは、主にはグリオキシル酸やレブリン酸、といった酸性の成分を髪内部に浸透&ストレートアイロンなどを使い熱を加えて定着させていく施術です。」の記載がある。
https://www.closet-life.com/closet/haircare/entry25624.html


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-05-06 
結審通知日 2022-05-09 
審決日 2022-05-24 
出願番号 2020095369 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W44)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 小俣 克巳
石塚 利恵
商標の称呼 カミシツカイゼントリートメント、カミシツカイゼン 
代理人 原田 貴史 

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