• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W0910
管理番号 1387586 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-16 
確定日 2022-07-04 
事件の表示 商願2020−2155拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は,令和2年1月8日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 1月18日付け:拒絶理由通知
令和3年 3月17日 :意見書,手続補正書の提出
令和3年 4月14日付け:拒絶査定
令和3年 7月16日 :審判請求書,手続補正書の提出
令和3年12月20日付け:証拠調べ通知
令和4年 2月 2日 :意見書,手続補正書の提出

2 本願商標
本願商標は,「COLPOCAMERA」の文字を標準文字で表してなり,第9類及び第10類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され,その後,上記1の手続補正により最終的に第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電池,皮膚撮影用カメラ(医療用のものを除く),デジタルカメラ,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,アプリケーションソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,電子出版物」及び第10類「子宮頸部撮影用医療用機械器具」に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は,「COLPOCAMERA」の文字を標準文字で表してなるところ,構成中の「COLPO」の文字は「膣」を,「CAMERA」の文字は「写真を撮影する光学器械」の意味を有する「カメラ」の意味を有する語としてそれぞれ一般的に知られているものであるから,本願商標は全体として「膣撮影用のカメラ」ほどの意味合いを認識させるというのが相当である。そうすると,本願商標を,その指定商品中「子宮頚部撮影用カメラ」に使用した場合,これに接する取引者,需要者に,「膣撮影用のカメラ」であることを認識させるにとどまるから,商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものといわざるを得ない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,「膣撮影用のカメラ」以外の撮影用の機械器具に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審においてした証拠調べ
審判長は,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対し,上記1のとおり証拠調べの結果を通知し,相当の期間を指定して,意見を申し立てる機会を与えた。

5 証拠調べに対する意見
請求人は,前記4の証拠調べ通知に対して,要旨以下のように述べた。
(1)証拠調べで示される使用例は,第44類の「医療診断」や「医療検査」といった役務の分野での使用例であって,本願商標の指定商品の分野とは異なる。第10類の商品分野での使用例としては,「コルポスコープ」のみが該当するものと解されるが,本願商標が使用される商品は,今までにないデジタルカメラ型の医療用機器であって,従来から用いられてきた「コルポスコープ」の使用例が存在するからといって,本願商標の識別力の有無が判断されるべきではない。
(2)体の部位に用いられるカメラは,その部位に応じて設計されるものであるところ,本願商標を使用する商品は,産科・婦人科用デジタルカメラであって,体の外部から撮影することが可能な医療用機器であり,これらのカメラとは全く異なるものである。このように,本願商標が対象とする体の部位とは異なる部位での使用例があるからといって,それらを一様に判断して,本願商標の識別力の有無が判断されるべきではない。
(3)請求人は,登録第6248898号,商標「DERMO CAMERA」の商標権(甲1)を有しているところ,構成中の「DERMO」は「皮膚」程の意味合いを有する語であり,「皮膚撮影用のカメラ」ほどの意味合いが認識されるものであるから,本願商標も同様に識別力を有するものとして判断されるべきである。
(4)本願商標は,ローマ字の大文字で一連不可分に記載された「COLPOCAMERA」であって,構成中の「COLPO」と「CAMERA」の各語を分離して,その意味を判断するのではなく,全体として特定の観念が想起されることのない一つの造語として判断するのが自然である。

6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は「COLPOCAMERA」の文字を標準文字で表してなるところ,その指定商品中に,第10類「子宮頸部撮影用医療用機械器具」を含むものである。
そして,構成中の「COLPO」の文字は,「膣」の意味を有する接頭語であって,当該文字を片仮名で表した「コルポ」の文字は本願の指定商品中,第10類の指定商品を取り扱う業界や,当該商品の需要者である医療業界においては,別掲1のとおり,膣や子宮を示す接頭語として広く使用されている事実が認められる。また,「CAMERA」の文字は撮影用機械器具である「カメラ」の意味を有するよく知られた文字であって,本願の指定商品を取り扱う業界においては,別掲2のとおり,体の部位を撮影するカメラを「○○(体の部位)カメラ」と一般に称されている事例が多数認められる。
そうすると,本願商標の構成において,「COLPO」の文字と「CAMERA」の文字との間に空白なく一連に「COLPOCAMERA」と表されているとしても,その指定商品中,第10類の指定商品を取り扱う業界及びその需要者である医療業界においては,「COLPO」の文字と「CAMERA」の文字とを組み合わせてなるものと容易に看取,理解されるものであって,その構成全体をもって「コルポ(膣又は子宮)撮影用のカメラ」ほどの意味合いを認識させるものとみるのが相当である。
してみれば,本願商標は,これを第10類「子宮頸部撮影用医療用機械器具」に使用しても商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標が使用される商品は,今までにないデジタルカメラ型の医療用機器であって,従来から用いられてきた「コルポスコープ」の使用例や、異なる体の部位に用いられるカメラの使用例があるからといって,それらを一様に判断して,本願商標の識別力の有無が判断されるべきではなく,また,本願商標は,全体として特定の観念が想起されることのない一つの造語として判断するのが自然である旨主張している。
しかしながら,上記(1)のとおり,本願商標の指定商品中,第10類の指定商品の需要者間における「COLPO」及び「CAMERA」の各語の意味や,「コルポ」及び「カメラ」の語の医療分野での使用事実を考慮すれば,本願商標は「COLPO」の文字と「CAMERA」の文字とを一連に組み合わせてなるものと容易に理解できるものであって,全体の構成文字から「コルポ(膣又は子宮)撮影用のカメラ」の観念が無理なく想起されるというべきである。
イ 請求人は,登録第6248898号をもって,本願商標も同様に判断されるべき旨主張している。
しかしながら,当該商標は,本願商標とは異なる構成からなるものであり,本件とは事案を異にするものであるから,その登録例があることにより,本願商標についてした上記認定,判断が左右されることはない。
ウ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,その指定商品中,第10類「子宮頚部撮影用カメラ」との関係においては,商標法第3条第1項第3号に該当し,登録することができない。
なお,請求人は,本願の指定商品を補正する用意がある旨述べているが,仮に本願指定商品を証拠調べ通知書に対する意見書に記載のとおりの商品に補正を行ったとしても,前述の認定を覆すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
別掲
1 「コルポ」の文字を膣や子宮を示す接頭語として使用している例
(1)2012年9月23日付け「日刊スポーツ」において「子宮頸がん11のステージに分類/健康連載」の見出しの下「初期にほとんど症状のない子宮頸(けい)がん。それだからこそ「検診」が勧められている。・・・次の精密検査は『コルポ診』と『組織診(生検)』。コルポ診はコルポスコープという拡大鏡を使い子宮頸部表面を調べる。」の記載があります。
(2)2009年9月11日付け「日刊工業新聞(25ページ)」において「結果報告がわかる!健診キーワード/子宮頚がん検診(要精密検査)」の見出しの下「子宮頸がんの検査では細胞診という検査を行っています。異常細胞が見つかった場合,精密検査では『コルポ診』と『組織診』という検査をセットで行います。『コルポ診』はコルポスコープという器具を使用し,子宮頚部の粘膜表面を拡大して観察し,肉眼では見つけられない病変の程度や広がり方を調べます。」の記載があります。
(3)「新城女性のクリニック」のウェブサイトに,「コルポスコピー検査とは」の見出しの下「コルポスコピー検査とは,コルポスコピーという膣や子宮の頸部の表面を拡大する顕微鏡のことで,これを使い細かい部分を観察する検査のことです。」の記載があります。
https://www.shinjo-josei.com/column/colposcopy.html
(4)「東京都福祉保健局」のウェブサイトに「精密検査は,コルポスコープ下の組織診や細胞診・HPV検査などを組み合わせて行います。」の見出しの下「コルポスコープ診/コルポスコープ(腟拡大鏡)を使って子宮頸部を詳しく見ます。」の記載があります。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/joshi-kenkobu/shikyukeigan/05/
(5)「六本木ブレストレディースクリニック」のウェブサイトの2019年8月22日付け「婦人科精密検査(コルポ生検)について」の見出しの下「コルポ生検とは/子宮がん検診の頸部細胞診などで,子宮頸部異形成やがんが疑われた場合に,子宮頸部の組織を少量採取(生検)して病理組織学検査を行い,診断を確定するために行われる婦人科精密検査です。コルポスコピーという専用の拡大鏡を用いて,生検を行うので『コルポ生検』と呼ばれています。」の記載があります。
https://rblc.jp/blog/post-275/
(6)「東京都がん検診センター」のウェブサイトに「外来のご案内」の見出しの下「婦人科精密検査を受けられる方へ」に「検査の内容」として「・病変があることが疑われる部位をコルポ診で確認した上で,子宮頸部から米粒の半分ほどの組織を,2〜4か所程度採取します。(コルポ診とは,子宮頚部に酢酸を塗布し,それによる変化を拡大鏡で観察する検査です。)・コルポ診の結果によって,子宮頸管内掻爬(子宮頚部の少しだけ奥を金属の耳かき様の器具で掻き取る検査)を併せて行う場合があります。」の記載があります。
http://www.tokyo-cdc.jp/kenshin/caution/fujinka.html

2 医療機械器具において,撮影対象の体の部位を撮影するカメラを○○(体の部位)カメラと称している例
(1)1993年5月13日付け「大阪読売新聞(朝刊 26ページ)」に「心臓カメラを世界で初めて開発 心筋こうそく診断に威力 川崎医大が動物実験」の見出しの下「川崎医科大(岡山県倉敷市)の梶谷文彦教授(53)(医用工学)らのグループが,心臓内に挿入できるビデオマイクロスコープを世界で初めて開発した。」の記載がある。
(2)2009年6月7日付け「神戸新聞朝刊(20ページ)」に「市民公開講座 肺がん治療の最前線 知ろう学ぼう基礎知識から最新治療まで 正しく理解対応的確に」の見出しの下「肺がんの診断は,まずレントゲンやCTなどで肺がんが疑われると,気管支カメラや,CT,超音波装置を使ってがん細胞を確認し『確定診断』を行います。」の記載がある。
(3)2021年9月22日付け「日刊工業新聞(15ページ)」に「タムロンと奈良先端大,視野角180度の眼底カメラ開発」の見出しの下「タムロンと奈良先端科学技術大学院大学は,視野角約180度の眼底撮影が可能な眼底カメラを共同開発した。」の記載がある。
(4)2021年7月19日付け「日刊工業新聞(21ページ)」に「ニデック/1度の撮影で網膜の状態解析」の見出しの下「ニデックは目の網膜の状態を観察する装置の新型『レチナスキャンデュオツー』を発売した。10層からなる網膜の断層図を撮影する『光干渉断層計』と,眼底を撮影する『無散瞳眼底カメラ』を一体化した複合機。」の記載がある。
(5)2021年5月10日付け「大阪読売新聞(朝刊 25ページ)」に「市立長浜病院に新内視鏡センター きょうから診療=滋賀」の見出しの下「長浜市の市立長浜病院は,内視鏡センターを一新し,10日に診療を始める。受診者の負担軽減のため,苦痛の小さい最新の経鼻内視鏡や,大腸カメラ検査後に患者に休んでもらうリカバリールームを導入した。」の記載がある。
(6)2019年11月19日付け「化学工業日報(7ページ)」に「昭和大−JSR,血液で癌診断,高感度で低コストな基礎技術開発」の見出しの下「予備実験の結果をもとに,上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)または大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行い,検査前の血液検査で採血した血液の一部を使用して血清のラマン散乱光波形を調べた。」の記載がある。
(7)「株式会社オプトデザインラボ」のウェブサイトに「製品紹介」の見出しの下「製品名・サービス」の欄に「肌・血管カメラ」の記載がある。
https://www.optodesignlab.co.jp/products

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,特許庁長官を被告として,提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-04-26 
結審通知日 2022-05-06 
審決日 2022-05-24 
出願番号 2020002155 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W0910)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 大森 友子
鈴木 雅也
商標の称呼 コルポカメラ、コルポ 
代理人 仲村 圭代 
代理人 羽切 正治 
代理人 小野 博喜 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ