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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W35
管理番号 1387584 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-02 
確定日 2022-07-06 
事件の表示 商願2020−89192拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年7月17日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年1月5日付け:拒絶理由通知書
令和3年2月16日受付:意見書
令和3年4月1日付け:拒絶査定
令和3年7月2日受付:審判請求書
令和4年3月10日付け:審尋

第2 本願商標
本願商標は、「脱。感覚人事。」の文字を標準文字で表してなり、第35類に属する別掲1のとおりの役務を指定役務として、登録出願されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「脱。感覚人事。」の文字を標準文字で表してなるところ、人事を取り扱う分野において、「感覚に頼った人事」を「感覚的な人事」又は「感覚人事」と指称して問題視する実情があること等から、本願商標は全体として「感覚に頼った人事から抜け出す」ほどの意味を認識させるものといえる。そうすると、本願商標は、これをその指定役務中、人事に関係する役務に使用しても、需要者は「感覚に頼った人事から抜け出す」という役務の特質や優位性を表した宣伝広告を、普通に用いられる方法で表したものと理解するにとどまり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第4 当審においてした審尋
当審において、本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、審尋で、別掲2のとおり、その結果を通知するともに、当審の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。

第5 審尋に対する請求人の意見の要点
請求人は、上記第4の審尋に対して、所定の期間内に何ら応答するところがない。

第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、上記第2のとおり、「脱。感覚人事。」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「脱」の文字は「名詞の上に付いて、それからのがれ出る、そこから抜け出すなどの意を表す。」の、「感覚」の文字は「(美醜・善悪など物事について)感じとること。」の、「人事」の文字は「(会社や組織内での)個人の地位・職務・能力などに関する事柄。」(大辞林 第四版)の意味をそれぞれ有する語であって、各語は、我が国において広く一般的に親しまれている平易な語である。
そして、「脱」の語は、例えば、「安全性や経済性、廃棄物処理など多くの問題を抱える原子力発電にエネルギーの多くを依存する傾向を見直す考え方」の意味を有する「脱原発」の語、「サラリーマンをやめ、独立して店や会社を始めること」の意味を有する「脱サラ」(「脱サラリーマン」の略)の語、「近代社会を特徴づける産業社会に対し、1960年代以降の欧米や日本社会の新しいありようについていう語。物質的視点を基礎とする工業に代わって、知識・情報・サービスを扱う第三次産業が重要な役割を果たすとみなされる。」の意味を有する「脱工業化社会」の語などがあるように(前掲書)、脱却したい対象(語)の文字に冠して、「脱○○」のように当該○○から抜け出す等の意味合いにて、一般に広く使用されている語である。
また、本願商標の構成中、「感覚人事」の文字は、各構成文字の語義から「感覚的な人事」ほどの意味合いを容易に認識、理解されるものであるところ、原審の拒絶理由通知書で示した事例(別掲3)の他、別掲2のインターネット情報において、例えば「“脱”感覚人事」を実現するための適性診断テストを用いれば主観等よりも人物を高い精度で評価できる、感覚的なファクターではなくエビデンス重視の評価制度を組み込むことによって感覚人事・直観採用からの脱却をする、主観ではなく客観的データを人事判断に加えることで感覚人事を脱却する、社員のスキル等を適性検査によって可視化したデータによって最適配置を実施することで感覚人事から脱却する等のように、従業員の採用や人事異動などの人員配置等の場面において、感覚的な事項ではなく、客観的な事項に基づき、それら人員配置等を行うことが求められている実情が認められる。
また、本願商標の構成中、「。」部分は句点を表す記号にすぎず、この記号の有無によって語の意味が変わるものではない。
以上を踏まえると、「脱感覚人事」と同義と認められる「脱。感覚人事。」の文字からなる本願商標は、これに接する需要者に、全体として「感覚に頼った人事から抜け出す」ほどの意味合いを認識、理解されるものというのが相当である。
してみれば、本願商標をその指定役務中、人事管理や事業の管理及び組織等に関連する役務、例えば、「企業の人事管理のための適性検査,事業に関する指導及び助言,事業の管理に関する指導及び助言,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,事業の組織に関する指導及び助言,人事管理に関する指導及び助言」に使用する場合、その需要者において、「感覚に頼った人事から抜け出す」ことと関連する又はそれを目的とする役務であるなど、その役務の宣伝広告等を普通に用いられる方法で表示したものとしてのみ認識されるにすぎないものというべきであって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるというのが相当である。
2 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1 本願の指定役務
第35類「求人情報の提供,競売の運営,経営の診断又は経営に関する助言,広告業,広告用具の貸与,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,職業のあっせん,新聞記事情報の提供,文書又は磁気テープのファイリング,ウェブサイトの検索結果の最適化,スポンサー探し,マーケティング,マイレージプログラムの管理,一時的な事業の管理,価格比較の調査,会社のための管理業務の代行,企業の広告及び広報活動の企画・代行,企業の人事管理のための適性検査,経済予測,経理事務の代行,原価分析,顧客ロイヤリティプログラムの管理,広告場所の貸与,財務書類の作成,資金を必要とする起業家と潜在的な個人投資家とのマッチングに関する事業の仲介,事業に関する指導及び助言,事業に関する情報の提供,事業の管理に関する指導及び助言,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,事業の契約に関する交渉の代行(他人のためのこと),事業の組織に関する指導及び助言,事業の調査,事業の能率化に関する診断・指導及び助言,事業の評価,取引相手先の商業及び事業に関する情報の提供,商業に関する情報の提供,商業又は工業の管理に関する助言,商業又は広告のための展示会の企画・運営,商業又は広告用ウェブのインデックスの作成,商取引の受注管理,商取引の媒介・取次ぎ又は代理,商品・役務の買い手及び売り手のためのオンライン市場の提供,人材募集,人事管理に関する指導及び助言,税務書類の作成,他人の事業のために行う物品の調達及びサービスの手配,他人の商品及びサービスのライセンスに関する事業の管理,第三者のための商取引の交渉及び締結の代理及び代行,事業の管理,統計の編集,販売促進のための企画及び実行の代理,販売促進のための検索エンジンの検索結果の最適化,コンピュータデータベースへの情報編集,トレーディングスタンプの発行」

別掲2 「“脱”感覚人事」や「感覚人事」等の文字を、役務の宣伝広告等として表示する事例(審尋で示した事例。下線は当審が付した。)
1 「KEC人材紹介センター KEC人材派遣センター」のウェブサイトにおいて、「適性診断テスト」との見出しの下、「KEC適性診断は、“脱”感覚人事を実現!」の項において、「主観や認知バイアスが入りやすく、面接官によって判断にぶれが生じがちな面接よりも、適性診断のほうが人物を高い精度で評価できるという研究結果も多くあります。」との記載がある。
https://www.jinzai.kec.ne.jp/for-corporates/diagnosis/
2 「SSK Communications」のウェブサイトにおいて、「Voice! for HRM Vol.69〜感覚人事・直観採用からの脱却−AI・産業4.0時代の採用と課題−〜」との見出しの下、「今後、ジョブ型雇用の中で優秀なタレントを獲得し、活躍させるためには、直感/感覚的なファクターではなく、エビデンス重視の評価制度を組み込み、ハイパフォーマー/活躍条件を分析していく必要がある。」との記載がある。
https://www.ssk-com.co.jp/voice-for-hrm/6673/artificial-intelligence/
3 「HYOUMAN BOX」のウェブサイトにおいて、「あなたの会社、まだ感覚人事、してませんか?」との見出しの下、「今日の日本社会では、人事担当者の勘や経験、テクニカルスキルに偏重した主観的人事判断によりミスマッチが発生しています。パーソナリティや企業カルチャーを定量化し、客観的データを人事判断に加えることで感覚人事を脱却します。」との記載がある。
https://aicross.co.jp/hyoumanbox/
4 「会社四季報ONLINE」のウェブサイトにおいて、「AI CROSSが急反発、戦略人事AI分析サービスの提供開始」との見出しの下、「社員の性格や行動特性、欲求などのパーソナリティやヒューマンスキルを適性検査により可視化し、そのデータを多様に定量化・分析することで自社に適した活用人材を見極め、最適配置を実施する。人事DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現し、感覚人事からの脱却により組織パフォーマンスを最大にするという。コロナ禍の環境変化に伴う社員のメンタル・考え方の変化を正確にキャッチし離職を防ぐほか、採用のミスマッチを防ぐことも期待される。」との記載がある。
https://shikiho.jp/news/0/437554

別掲3 「“脱”感覚人事」や「感覚人事」等の文字を、役務の宣伝広告等として表示する事例(原審の拒絶理由通知書で示した事例)
1 「あしたのチーム」のウェブサイトにおいて、「採用から育成・マネジメントの悩み徹底解消セミナー・さよなら感覚人事!さよなら感覚マネジメント!」との記載がある。
https://www.ashita-team.com/seminar/20011727/
2 「経営プロ」のウェブサイトにおいて、「HRテクノロジーにより、人事業務を見える化。経営効率化に貢献する戦略人事クラウド「HRMOS」」の見出しの下、「「HRMOS」は、人事組織データベースを中心として、人材の採用から登用、評価までを最適化するクラウドサービス。人事業務の非効率をなくし、最適な戦略を描けるように、AIがサポートする点が特徴だ。・・・これまでの「感覚的な人事」を「データに基づく人事」に変えるために必要な仕組みを、クラウドで簡易に導入できるサービスといえるだろう。」との記載がある。
https://keiei.proweb.jp/news/1/1314/1787/


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-05-12 
結審通知日 2022-05-13 
審決日 2022-05-25 
出願番号 2020089192 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W35)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 馬場 秀敏
山根 まり子
商標の称呼 ダツカンカクジンジ、ダツカンカク、ダツ、カンカクジンジ、カンカク 
代理人 宮崎 超史 
代理人 眞田 忠昌 
代理人 小林 健一郎 
代理人 土野 史隆 
代理人 特許業務法人Toreru 
代理人 辻本 依子 

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