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審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 取り消して登録 W29
管理番号 1387582 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-29 
確定日 2022-07-26 
事件の表示 商願2018−147395拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年11月29日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年5月13日付け:拒絶理由通知書
令和元年9月20日 :意見書の提出
令和3年3月29日付け:拒絶査定
令和3年6月29日 :審判請求書の提出
令和3年8月10日 :手続補正書(方式)、手続補足書(甲1〜甲137)の提出
令和4年6月1日付け :審尋
令和4年6月10日 :手続補正書の提出

第2 本願商標
本願商標は、「R−1」の文字を標準文字で表してなり、第29類「乳製品」を指定商品として、登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記第1の手続補正書により、最終的に第29類「ヨーグルト,ヨーグルト飲料」と補正されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、欧文字の「R」と数字の「1」とをハイフンで結合させた「R−1」の文字を標準文字で表してなるところ、欧文字の1字と数字の1字をハイフンで結合した標章は、商品の種別、品番等を表示する記号、符号として類型的に取引上普通に採択使用されている。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の種別、品番等を示すための記号又は符号の一類型を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきであるから、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。また、提出された証拠によっては、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものとはいえない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、「R」の欧文字と「1」の数字を「−」(ハイフン)で結合し、「R−1」と標準文字で表してなるものである。
そして、欧文字と数字とをハイフンで結合した標章は、商品の種別、品番等を表示する記号又は符号として一般に使用されているところ、本願の指定商品を取り扱う業界においても、別掲1に示すとおり、欧文字と数字をハイフンで結合したものが、商品の品番等を表す記号、符号として取引上普通に採択使用されている実情がうかがえる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の種別、品番等を示すための記号、符号の一類型を表したものと認識するにとどまり、自他商品の出所識別標識としては認識し得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ないから、商標法第3条第1項第5号に該当する。
2 商標法第3条第2項該当性について
請求人は、仮に本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するとしても、本願商標は、請求人による長年の使用の結果、取引者、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができる状態に至っており、商標法第3条第2項の規定により登録が認められるべきものである旨主張し、甲第1号証ないし甲第137号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)請求人の主張及び請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 請求人(職権調査によれば、請求人は2011年に「明治乳業株式会社」から「株式会社明治」へ商号変更している(https://www.meiji.co.jp/corporate/history/2000/、 https://www.sbbit.jp/article/cont1/22365#:~:text=%E9%A3%9F%E5%93%81%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AE%E5%95%86%E5%8F%B7,%E4%BA%88%E5%AE%9A%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82)。以下、商号変更前の「明治乳業株式会社」を含めて「請求人」ということがある。)は、2009年に「明治プロビオヨーグルトR−1」と称する商品「ヨーグルト,ヨーグルト飲料」(以下「使用商品」という。)の販売を開始した(甲2、甲88、甲92、甲96)。
イ 請求人は、販売当初から継続して、使用商品に太い書体で横書きした「R−1」の文字(別掲2。以下「使用商標1」という。)及び「R−1」の文字(縦書きのものを含む。以下「使用商標2」といい、使用商標1及び使用商標2をまとめて「使用商標」という。)を表示している(甲1、甲2、甲7〜甲21、甲23、甲25〜甲34、甲46、甲47、甲51〜甲58、甲60〜甲72、甲74〜甲87ほか)。
ウ 使用商品については、全国約3000店の特約店を通じ、約250万家庭に宅配されている(甲64〜甲85)ほか、インターネットによる販売も行われている(甲86、甲87)。
エ 使用商品は、発売後売上げを伸ばし(甲93〜甲100)、株式会社富士経済が発行する「食品マーケティング便覧」によれば、使用商品は、ハードタイプヨーグルトの分野において、2015年の販売額174億円、シェア17.0%(2位)、2016年の販売額192億円、シェア17.9%(2位)、2017年の販売額190億円、シェア17.3%(2位)、2018年(見込)の販売額182億円、シェア16.7%(2位)であり、ドリンクタイプヨーグルトの分野においても、2015年の販売額305億円、シェア20.8%(1位)、2016年の販売額373億円、シェア22.9%(1位)、2017年の販売額403億円、シェア23.9%(1位)、2018年(見込)の販売額400億円、シェア23.3%(1位)を占めている(甲3〜甲5)。
オ 請求人は、使用商品について、2013年から2019年にかけて、全国紙及び地方紙において継続して広告を掲載し(甲7〜甲62)、2014年度ないし2018年度には、テレビCMを全国で放映している(甲6)。これらの広告には、その多くに使用商標が使用されている。
カ 使用商品は、「日経MJ」の2014年ないし2016年「バイヤー調査ヒット分析」において連続してブランド評価1位(甲89〜甲91)を獲得し、また、2011年に「ベバレッジイノベーションマガジン」主催の「ベストヘルスドリンク部門最優秀賞」(甲134)を受賞し、さらに、「日本食糧新聞社」の「食品ヒット大賞」において、「平成23年度 新技術・食品開発賞」(甲135)及び「平成24年度 優秀ヒット賞」(甲136)を受賞している。
キ 上記アないしカによれば、請求人は2009年から、使用商標を使用商品に継続的に使用しており、その販売実績についても、近年において高い販売額及び上位のシェアを維持していることがうかがえる。
また、使用商品の販売地域は全国に及んでいることが認められ、使用商品の宣伝広告も継続的に行われていることがうかがえる。
そして、使用商標は、いずれも文字構成が同一で、その態様に特段の特徴があるものではないことから、本願商標と同一視できるものとみるのが相当である。
(2)上記(1)を踏まえれば、請求人は、補正後の商品「ヨーグルト,ヨーグルト飲料」について、2009年から現在に至るまで、本願商標を継続して使用していることが認められ、その結果、本願商標は、上記商品については、請求人の業務に係る商品であることを表すものとして需要者の間に広く認識されるに至っているというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとして、商標登録を受けることができるものである。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものの、同法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1 本願の指定商品を取り扱う業界において、欧文字1文字と数字を「−」(ハイフン)で介したものが、商品の品番等を表す記号、符号として使用されている事実。なお、下線は当合議体で付したものである。)
(1)「神津牧場」のウェブサイトにおいて、「セット商品」の見出しの下、「K−5(のむヨーグルト大瓶セット)」、「B−2(のむヨーグルト小瓶24本セット)」及び「B−3(のむヨーグルト小瓶15本セット)」の記載がある。
http://www.kouzubokujyo.or.jp/shop/

(2)「JRE MALL」のウェブサイトにおいて、「栃木県那須町(ふるさと納税)」の見出しの下、「〔C−6〕那須の恵み乳製品セット」の記載がある。
https://www.jreastmall.com/shop/g/gF036-11600-30015054/

(3)「ふるさとチョイス」のウェブサイトにおいて、「那須高原の乳製品 至福の時間セット〔D−6〕≪御用邸の月 バウムクーヘン レーズンバターサンド 飲むヨーグルト チーズ ジャム≫」の記載がある。
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/09407/301416

別掲2 使用商標1



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審決日 2022-07-13 
出願番号 2018147395 
審決分類 T 1 8・ 15- WY (W29)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 小林 裕子
鈴木 雅也
商標の称呼 アアルイチ、アアルワン 
代理人 特許業務法人RIN IP Partners 
代理人 新井 悟 

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