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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1386410 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-11-22 
確定日 2022-06-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第6436050号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6436050号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6436050号商標(以下「本件商標」という。)は、「お名前ポエム」の文字を標準文字で表してなり、令和2年8月21日に登録出願、第41類「受託による作詩,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),書籍の制作,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),書画の貸与,写真の撮影,娯楽の提供,出版物のレイアウト(広告物を除く。)」を指定役務として、同3年7月13日に登録査定、同年8月31日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するとして引用する登録第6267439号商標(以下「引用商標」という。)は、「名前詩」の文字を標準文字で表してなり、令和元年5月29日登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),娯楽施設の提供,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,書画の貸与,写真の撮影,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、令和2年7月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として資料1ないし資料5を提出した。
なお、登録異議申立書において、申立人は、甲第1号証ないし甲第17号証を提出する旨記載しているものの、当該甲各号証の提出はない。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標の「詩」を外来語の「ポエム」に変えているだけであり、両商標は「ナマエ」+「ポエム(シ)」の称呼及び観念が、共通する類似のものである。また、両者の役務についても類似のものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号について
「お名前ポエム」という用語は、「(お客様の)名前を使って作る詩」という概念で、「お名前ポエム」という商品名として、商品を販売している作家が、10年以上前から既に全国各地に多数いた。よって、そもそも「お名前ポエム」という用語には識別力がない。
また、本件商標権者は、本件商標登録以前から「お名前ポエム」を商品として業務をしている作家に対し、商品名変更依頼の電話をかけ、削除をするまで何度も電話をかける、損害賠償の話をする、関係のない勤務先にも連絡を入れるなどの迷惑行為をする事例もあり、営業妨害などの損害を加えており、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的で使用している。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「お名前ポエム」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、同一の書体をもって、同一の大きさ、等間隔で表してなるものであるから、外観上まとまりよく一体的なものとして看取され、また、これより生ずる「オナマエポエム」の称呼はよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、これを構成する「お名前」の文字は、「人の氏名。また、姓に対しての名。」を意味する語に尊敬語の接辞「お」を付したものであり、また、「ポエム」の文字は、「1編の詩。詩的な文章。」の意味を有する語であるところ、全体としては特定の意味合いを理解させるものではないが、かかる構成からすれば、その構成全体をもって一体不可分のものと看取、把握されるものである。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「オナマエポエム」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、「名前詩」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、同一の書体をもって、同一の大きさ、等間隔で表してなるものであるから、外観上まとまりよく一体的なものとして看取されるばかりでなく、これより生ずる「ナマエウタ」の称呼はよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、引用商標は、これを構成する「名前」の文字は、「人の氏名。また、姓に対しての名。」などの意味を、「詩」の文字は、「自然や人事などから受ける感興・感動を、リズムをもつ言語形式で表現したもの。」の意味を、それぞれ有するところ、全体としては特定の意味合いを理解させるものではないが、かかる構成からすれば、その構成全体をもって一体不可分のものと看取、把握されるものである。
したがって、引用商標は、その構成文字全体に相応して、「ナマエウタ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標は、それぞれ前記構成よりなるものであって、それぞれの構成文字に明らかな差異を有するものであるから、外観上、判然と区別し得るものである。
また、本件商標より生ずる「オナマエポエム」の称呼と引用商標より生ずる「ナマエウタ」の称呼は、構成音及び音数が明らかに異なるものであるから、明瞭に聴別し得るものである。
そして、本件商標と引用商標は、共に特定の観念を生じないものであるから、比較することができないものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれのないものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して勘案すれば、紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定役務が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について
周知性
商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されており、その適用にあたっては、周知性が要件とされるところ、申立人は周知性を有する商標について何ら主張していないが、念のため「お名前ポエム」及び「名前詩」(引用商標)の周知性について、以下検討する。
(ア)申立人提出の、ウェブサイト、SNS、ショッピングサイト等において、「お名前ポエム」や「名前ポエム」の各文字及び名前、文章、似顔絵などが記載された色紙等の画像が掲載されている(資料1〜5)。しかし、当該ウェブサイト等の大半は日付が確認できないものであるから、本件商標の登録出願時及び登録査定時における「お名前ポエム」の文字の周知性を推し量ることはできない。
(イ)上記ウェブサイト、SNS、ショッピングサイト等において、「名前詩」(引用商標)の文字が、引用商標の指定役務に使用されている事実は確認できない。
(ウ)上記(ア)及び(イ)からすれば、名前、文章若しくは似顔絵などが記載された色紙等、又はそれらを作成する作業を「お名前ポエム」若しくは「名前ポエム」と称している事例は散見される。
しかしながら、「お名前ポエム」及び「名前詩」(引用商標)の文字が、他人(申立人又は引用商標に係る商標権者等)の業務に係る商品又は役務に使用して需要者の間に広く認識されているといった事実は確認できない。
そうすると、「お名前ポエム」及び「名前詩」(引用商標)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、他人(申立人又は引用商標に係る商標権者等)の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。また、引用商標が外国の需要者の間に広く認識されていた事実を認め得る証拠の提出はない。
不正の目的
申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすことはできないから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。
ウ 小括
上記ア及びイのとおり、「お名前ポエム」及び「名前詩」(引用商標)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであり、また、本件商標が不正の目的をもって使用するものと認めることもできないものであるから、本件商標と「お名前ポエム」及び「名前詩」(引用商標)の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第19号適用の要件を欠くものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)申立人の主張について
申立人は、商標法第4条第1項第19号の申立て理由において、「お名前ポエム」(本件商標)の用語には識別力がない旨主張しているが、当該号の適用において、本件商標の識別力の有無は要件とされていない。
なお、上記(2)アのとおり、「お名前ポエム」の文字が掲載されているウェブサイト等は、その日付が確認できないものが大半であって、本件商標の登録査定日以前の日付が確認できるものはわずかしかないから、本件商標がその登録査定時において、自他役務を識別する機能を果たし得ないということはできない。
したがって、申立人の主張は採用することはできない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-06-02 
出願番号 2020109706 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W41)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 馬場 秀敏
岩崎 安子
登録日 2021-08-31 
登録番号 6436050 
権利者 株式会社fude−moji style
商標の称呼 オナマエポエム、ナマエポエム、オナマエ、ナマエ、ポエム 

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