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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W093742
管理番号 1386386 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-09-22 
確定日 2022-05-27 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1497931号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1497931号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1497931号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、2019年1月14日にArgentinaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2019年(平成31年)3月28日に国際商標登録出願、第9類、第37類及び第42類に属する別掲2に示すとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2021年(令和3年)6月3日に登録査定、同年7月16日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する登録第5511327号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成23年1月31日に登録出願、第9類「充電器,その他の配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,携帯電話用充電器,その他の電気通信器具,電子応用機械器具及びその部品,測定機械器具,電気磁気測定器,電線及びケーブル」を指定商品として、同24年8月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、「JuiceRoll」の文字を標準文字で表してなり(決定注:標準文字は誤記と認める。)、別掲2に示すとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とするものである(甲1)。
(2)本件商標の要部
本件商標は、「JuiceRoll」と表記され、このうち、「Roll」は「ロール」と読み、「圧延や艶出しなどに使う、表面の磨かれた金属円筒、ローラー、巻いて作ったものの称、ロール・フィルムの略」と複数の意味を持つが(甲3)、シナモンロール、ロールケーキ、バターロールなどがあるように、一般的には巻いて作ったものを指す語句として広く使用されている。このような「Roll」という用語の一般的な使用態様からすると、本件商標「JuiceRoll」のうち「Roll」部分は「巻いて作ったもの」を意味するものであって、通信を用いる機器や通信事業といった場面においては、当該用語単体で出所識別力を有するものではない。
一方、「JuiceRoll」のうち「Juice」(ジュース)は、少なくとも日本国内においては、「汁。液汁。特に、果物・野菜のしぼり汁。果汁。また、広義にはそれを加工した飲料」を意味し(甲4)、専ら飲料として認識されている。
しかしながら、「Juice」(ジュース)は、口語的に「電気、ガソリン、石油、その他の液体燃料」といったエネルギーを意味する俗語として用いられる用語であり(甲5)、本件商標の指定商品である電気製品や電子機器やソフトウェアといった飲食物以外の商品や飲食物に関連しない役務とともに使用するときには「Juice」(ジュース)は、識別力を有する特別な意味合いを生じ、こうした商品や役務の需要者に対しては、商品や役務の出所表示として強い識別機能を有する表記である。
以上から、本件商標においては、その指定商品及び指定役務との関係においては、前半の「Juice」部分が本件商標の要部であるといえるから、類否判断においても「Juice」部分を比較対象とすべきである。
(3)引用商標
引用商標は、別掲3のとおり、アルファベット大文字のゴシック体で「JUICE」と表した標章であり、上記2のとおりの商品を指定商品としている。
(4)本件商標と引用商標との比較
上記(2)のとおり、本件商標にかかる標章において出所識別機能を有する部分は「Juice」の文字部分であるから本件商標と引用商標の類似性の判断に当たっては、本件商標の要部である「Juice」と引用商標とを比較するべきである。
そこで、まず、「Juice」と引用商標「JUICE」の外観を比較すると、前者が大文字と小文字の両方を含むのに対し、後者は大文字のみの表記となっているが、全く同一のつづりであることから、要部の外観はほぼ共通である。
次に、称呼については、両者ともに「ジュース」の称呼を生じ、全く同一である。
さらに、「Juice」及び「JUICE」は、ともに英語で「ジュース」、すなわち、果物・野菜のしぼり汁という観念を生じることから、観念も同一である。
よって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において共通する。
そして、本件商標の指定商品のうち、少なくとも、電池・充電器に関連する第9類「電気ソケット,電気自動車用充電装置,電気自動車用充電装置,電動式乗物の電力供給用蓄電池,電気自動車用充電調整器,整流器,整流器モジュール,整流器,充電器,蓄電池,蓄電池用充電器,乗物用電気ケーブル,充電装置の管理用・電気自動車並びにその他の電気負荷及び関連する発電システムの充電用のコンピュータソフトウェア,ダウンロード可能なソフトウエアアプリケーション,充電装置の位置特定用ソフトウェアアフリケーション」、第37類「乗物のバッテリーの充電,電気自動車の充電,電気自動車への充電に関する情報の提供」及び第42類「コンピュータシステム及びコンピュータネットワークの操作による充電用機器及びその他の遠隔制御可能な電気負荷の管理用、総電力需要・電気自動車用充電装置・エネルギー保存システム及びその他の電気負荷及び発電システムに関するエネルギー管理用ソフトウェアの設計及び開発,総電力需要・電気自動車用充電装置・エネルギー保存システム及びその他の電気負荷及び発電システムに関する技術的支援の性質を持つコンピュータ技術に関する助言,電気自動車用充電装置の遠隔管理用並びにネットワーク接続された電気自動車用充電装置及びその他の電気負荷及び電源の制御用のオンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),電気自動車用充電装置・電気自動車用整流器・充電器・電流整流器・整流器モジュール・電気ソケット・充電器・蓄電池(バッテリー).バッテリーチャージャー・乗物用電気ケーブルに関する研究及び開発,充電装置の管理用・電気自動車並びにその他の電気負荷及び関連する発電システムの充電用ソフトウェアの開発」については、その要部を共通するものであって、上記2の引用商標の指定商品とは極めて類似である。
よって、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商品につき使用をするものであって、引用商標との関係で出所につき誤認混同を与えるものである。
(5)申立人の事業上の不利益
以上のように本件商標は引用商標と出所につき誤認混同を与えるものであるが、事実、申立人は、自らが運営するノービル社の事業として、現に引用商標を電池、携帯電話用充電器、充電器などに付して製品を販売または製造販売を計画している(甲6〜甲9)。
そのため、本件商標がその権利者により使用されると、現に既に販売している製品あるいは今後販売する製品の出所につき誤認混同が生じる現実的な可能性に直面する。
殊に、本件商標の権利者である「エネル エス ピー エー」のウェブサイトには、「Juice,an extended family of charging solutions from Enel X」と記載されており、Juiceに普通名称が組み合わされた商標が登録された場合であっても「Juice」商標が全て同社のものであると認識され、出所に誤認混同が生じるおそれがある(甲10)。
このように、申立人は本件商標が存在することにより、自身の事業上の不利益を被ることになる。
(6)まとめ
以上のとおり、本件商標は、登録出願日前の商標登録出願に係る他人の商標である引用商標に類似することが明らかであり、また、その指定商品についても同一又は共通するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当することから、本件商標は取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、「JuiceRoll」の文字を横書きしてなるところ、「J」と「R」の文字が大文字で書されているものの、書体や文字の大きさに差異はなく、構成全体としてまとまりよく一体に表されているものである。
そして、「JuiceRoll」の文字が特定の意味合いを有するものとして知られているというような事情は見いだせないものであり、本件商標の構成において、「Juice」の文字部分が殊更に看者の注意をひくというような事情も見いだせない。
また、本件商標の構成文字に相応して生じる「ジュースロール」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、その構成全体をもって一体のものと認識されるというべきであり、その構成文字に相応して「ジュースロール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲3のとおり、「JUICE」の文字を横書きしてなるところ、書体や文字の大きさに差異はなく、構成全体としてまとまりよく一体に表されているものであり、該文字に相応して「ジュース」の称呼を生じ、「果物・野菜のしぼり汁。果汁。」(広辞苑第7版 株式会社岩波書店)の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否を検討すると、外観において、両者は、語頭の「J」の文字を共通にし、2文字目ないし5文字目までの文字については、その文字のつづりを共通にするとしても大文字と小文字の差異があり、また、語尾における「Roll」の文字の有無の差異を有していることからすれば、明確に区別し得るものである。
次に、称呼において、本件商標から生じる「ジュースロール」の称呼と引用商標から生じる「ジュース」の称呼とは、語頭の「ジュース」の音を共通にするとしても、「ロール」の音の有無に差異を有しており、明瞭に聴別できるものである。
さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は「果物・野菜のしぼり汁。果汁」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれはないものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観において明確に区別できるものであり、称呼において明瞭に聴別できるものであり、観念において相紛れるおそれがないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
本件商標と引用商標は、上記アないしウのとおり、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務が引用商標の指定商品と同一又は類似する場合があるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)

別掲2(本件商標の指定商品及び指定役務)

別掲3(引用商標)

異議決定日 2022-05-24 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W093742)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 小俣 克巳
豊瀬 京太郎
登録日 2019-03-28 
権利者 ENEL S.P.A.
商標の称呼 ジュースロール 
代理人 福井 孝雄 
代理人 神田 雄 
代理人 飯島 歩 
代理人 横井 知理 
代理人 町野 静 
代理人 小暮 君平 
代理人 特許業務法人BORDERS IP 

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