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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
管理番号 1386353 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-02-08 
確定日 2022-06-23 
事件の表示 商願2021−63701拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類「ダウンロード可能なクラウドコンピューティング用ソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成30年9月27日に登録出願された商願2018−122062に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和3年5月25日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年6月2日付けで拒絶理由の通知がされ、同年7月9日付けの意見書が提出されたが、同年11月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同4年2月8日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
1 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標(以下「引用商標」という。)は、次の2のとおりであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
そして、原査定は、本願商標は、引用商標と同一又は類似であって、その指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
2 登録第6274862号商標
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成30年8月7日
設定登録日:令和2年7月30日
指定商品及び指定役務:第9類「フランスで企画・開発・デザイン又は製造された腕時計型携帯情報端末,フランスで企画・開発・デザイン又は製造されたスマートフォン,フランスで企画・開発・デザイン又は製造された電子応用機械器具及びその部品,フランスで企画・開発・デザイン又は製造されたスマートフォン用ストラップ,フランスで企画・開発・デザイン又は製造されたスマートフォン用のケース又はカバー」を含む第9類、第14類、第18類、第24類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)商標の類否について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、「Agatha」(「A」の欧文字はややデザイン化されている。)の欧文字の左側に、彩色された図形を配した構成からなるものである。
そして、本願商標の構成中、左側の図形部分と右側の欧文字部分とは、図形と文字という構成要素の違いから、視覚上分離して観察されるものであり、また、これらを常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだせないものである。
そうすると、本願商標の構成中、図形部分と欧文字部分とは、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められないものである。
してみると、本願商標は、その構成中、「Agatha」の欧文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
そして、「Agatha」の文字(語)は、「女子の名」を意味する英単語(小学館発行「ランダムハウス英和大辞典第2版」)であるとしても、当該語が我が国において一般に親しまれているものとは認められない。
そうすると、本願商標は、その構成中「Agatha」の欧文字部分から、その構成文字に照応して「アガサ」又は「アガタ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、上段に「AGATHA」の欧文字を大きく顕著に表し、下段に「PARIS」の欧文字を小さく表した構成からなるものである。
そして、引用商標の構成中、「PARIS」の欧文字(語)は、「パリ(フランスの首都)」を意味する語(前掲書)であり、その指定商品との関係では、商品の品質又は産地を表示するものであるから、当該欧文字部分から出所識別標識としての称呼、観念は生じないといえる。
その結果として、引用商標の構成中、「AGATHA」の欧文字が、顕著に表されていることもあいまって、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
そうすると、引用商標は、その構成中、「AGATHA」の欧文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
そして、「AGATHA」の文字(語)は、前記アのとおり、我が国において一般に親しまれているものとは認められないから、引用商標は、その構成文字に照応して「アガサ」又は「アガタ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標の構成中「Agatha」の欧文字部分と引用商標の構成中「AGATHA」の欧文字部分とを比較すると、外観においては、語頭における「A」の文字のデザイン化の有無及び2文字目以降が大文字か小文字かの違いはあるものの、「Agatha(AGATHA)」の構成文字を共通にするから、両者は近似した印象を与えるものである。
また、両者は、いずれも「アガサ」又は「アガタ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないから、称呼を共通にし、観念においては比較することができない。
そうすると、本願商標と引用商標との外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、たとえ観念において比較することができないとしても、外観において近似し、称呼を共通にする両者は、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(2)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願商標の指定商品「ダウンロード可能なクラウドコンピューティング用ソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」は、引用商標の指定商品中「フランスで企画・開発・デザイン又は製造された腕時計型携帯情報端末,フランスで企画・開発・デザイン又は製造されたスマートフォン,フランスで企画・開発・デザイン又は製造された電子応用機械器具及びその部品,フランスで企画・開発・デザイン又は製造されたスマートフォン用ストラップ,フランスで企画・開発・デザイン又は製造されたスマートフォン用のケース又はカバー」と同一又は類似の商品である。
(3)小括
以上により、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定商品又はこれに類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「AGATHA PARIS(アガタパリ)」は世界的なジュエリーブランドであり、我が国においても26店舗が展開されていることからすると、「AGATHA\PARIS」の文字は、引用商標の指定商品及び指定役務との関係において、「AGATHA PARIS(アガタパリ)」に係る商品及び役務を表すものとして取引者、需要者に広く知られているから、引用商標に接する取引者、需要者はこれを一体不可分の商標として認識する旨主張するとともに、第3号証を提出している。
請求人の提出に係る第3号証は、「AGATHA PARIS(アガタ・パリ)の口コミ評判」と題するウェブサイトの写しであるが、これによれば、「AGATHA PARIS(アガタ・パリ)」というジュエリーブランドが存在することは認められるものの、当該ウェブサイトのみでは、当該ブランドが取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認められない。
また、本願商標の指定商品は「ダウンロード可能なクラウドコンピューティング用ソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」であるから、当該指定商品は、ジュエリー(宝飾品)とは極めて関連性の低い商品である。
そうすると、仮に、当該ジュエリーブランドがジュエリー(宝飾品)に関する取引者、需要者の間に広く認識されているとしても、本願商標の指定商品である「ダウンロード可能なクラウドコンピューティング用ソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」に関する取引者、需要者の間にまで広く認識されているとは認めることはできない。
(2)請求人は、引用商標の審査の過程において、商標法第4条第1項第11号に該当するとされた、拒絶理由に対する意見書の中で、引用商標の商標権者から「引用商標に接する看者は一体不可分の商標として認識する」と主張されていた旨を主張する。
しかしながら、引用商標の審査の過程において、前記主張がなされたとしても、それが商標の類否判断において考慮することのできる一般的、恒常的な取引の実情とはいえないものであるから、本件においては、前記1のとおり判断するのが相当である。
(3)請求人は、本願商標の指定商品「ダウンロード可能なクラウドコンピューティング用ソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」は、その用途や機能・性能等について検討を重ねた上で取引するものであるから、需要者(事業者等)は、比較的慎重に商品を選択するとみるべきであり、このような需要者の注意力を踏まえると、本願商標と引用商標は、外観において顕著な差異を有するものであることから、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれはなく、非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、「電子応用機械器具及びその部品」には、例えば「光学式マウス」、「電子計算機」(いわゆるコンピュータ)、「電子式卓上計算機」(いわゆる電卓)、「電子辞書」といった商品が含まれ、その需要者には一般の消費者が含まれるものであるから、本願商標の指定商品の需要者の注意力はさほど高いとはいえないものであると判断するのが相当である。
(4)請求人は、「アガサ」又は「アガタ」の称呼が生じる商標の登録例を数件挙げた上で、これらと、引用商標及びこれと同様の構成文字からなる商標とが非類似の商標として併存して登録されている旨主張する。
しかしながら、請求人が挙げる登録例は、いずれも本願商標とはその構成文字を異にするものであるから、本件とは事案を異にするものである。
(5)以上により、請求人の主張は、いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1(本願商標。色彩については原本参照。)


別掲2(引用商標)



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)
この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意)
特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分に御注意ください。
審理終結日 2022-04-25 
結審通知日 2022-04-26 
審決日 2022-05-09 
出願番号 2021063701 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W09)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 山田 啓之
杉本 克治
商標の称呼 アガサ、アガタ 
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所 

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