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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W43
管理番号 1386278 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-08-27 
確定日 2022-06-15 
事件の表示 商願2020−2514拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第43類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として,令和2年1月9日に登録出願,その後,指定役務については,原審における同3年2月25日受付の手続補正書により,第43類「飲食物の提供」に補正されたものである。
本願は,令和2年11月24日付けで拒絶理由の通知がされ,同3年2月25日に意見書が提出されたが,同年6月28日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年8月27日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第5991840号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成29年2月24日に登録出願,第43類「飲食物の提供」を指定役務として同年10月27日に設定登録されたものであり,現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,「KURA」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして,該文字は辞書等に載録がないものの,「KURA(クラ)」と読ませる日本語は,「座」(「物をのせる所。物をのせる台。」等の意),「蔵・倉・庫」(「穀物・商品・家財などを火災・水湿・盗難などから守り,保管・貯蔵するための建物。倉庫。土蔵。」の意。),「鞍」(「人や荷物を乗せるために牛馬の背におく具。」の意。),「競」(「くらべ」の略,ある語の下に添えて「きそうこと」の意。)がある(いずれも「広辞苑第七版」)。しかしながら,「座」や「競」は通常「くら」と読む漢字ではないこと,「鞍」は用途が限定的であり,また指定役務との関連性に乏しく,ただちに該語を想起させるとはいい難いのに対し,「蔵」は穀物等を保管・貯蔵するという点において指定役務と一定の関連性があり,他の語と比較して最も想起しやすい語というのが相当である。
そうすると,本願商標は,その構成文字に相応して,「クラ」の称呼が生じると共に,「蔵(穀物等を保管・貯蔵するための建物)」の観念が生じるというべきである。
イ 引用商標について
引用商標は,別掲2のとおり,一部を図案化した「蔵」の漢字を上部に最も大きな字体で表わし,これよりは小さく表した「KURA」の欧文字をその下に横書きし,さらにその下に最も小さな字で「TEPPANYAKI & SUSHI」の欧文字を横書きして配してなるものである。
そして,引用商標の構成中の「蔵」の漢字は,上記アのとおり「穀物・商品・家財などを火災・水湿・盗難などから守り,保管・貯蔵するための建物。倉庫。土蔵。」を意味する語であること,該語が「くら」と読むものであることからすれば,構成中の「KURA」の欧文字は,漢字の「蔵」の読みをアルファベットで表したものと認識させるものである。
さらに,構成中の「TEPPANYAKI & SUSHI」の欧文字は,「鉄板焼と寿司」を欧文字と記号で表したものと理解させるものであり,指定役務との関係では料理の内容,すなわち役務の質を表すものであるから,当該文字は自他役務の識別標識としての機能がないか又は極めて弱い部分ということができる。
そうすると,引用商標の構成中,ひときわ大きく表された「蔵」の文字と,当該文字の読みをアルファベットで表した「KURA」の文字の部分が,自他役務の識別標識としての機能を強く発揮する部分というべきであるから,これらの文字部分を要部として抽出し,他人の商標と比較することも許されるというべきである。
したがって,引用商標は,「蔵」及び「KURA」の文字部分に相応して,「クラ」の称呼が生じると共に,「蔵(穀物等を保管・貯蔵するための建物)」の観念が生じる。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の要部との類否を検討するに,外観については,本願商標と引用商標の「KURA」の文字部分は,そのつづりを共通にするものであると共に,いずれも特徴ある書体で表されたものとはいい難いから,看者に対し別異のものであるという印象を与え難い。また,本願商標と引用商標の「蔵」の文字部分については,漢字と欧文字という文字種の差異があるものの,商標の使用において,文字種を相互に変換し又は併用するなどして使用することは一般に行われており,また,そのような使用は引用商標の構成からも当てはめていうことができるものである。してみれば,上記差異が,看者に対して別異のものであるほどの印象を与えるものとはいい難いばかりか,むしろ,上記欧文字部分の共通性を併せて考慮すれば,両商標は,外観において,似かよった印象を与えるというべきである。
次に,称呼についてみるに,本願商標と引用商標は,「クラ」の称呼を共通にするものである。
さらに,観念についてみるに,本願商標と引用商標は,「蔵(穀物等を保管・貯蔵するための建物)」の観念を共通にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標とは,外観において似かよった印象を与え,称呼及び観念を共通にするものであるから,本願商標と引用商標の外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両商標は,役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
エ 本願商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否について
本願商標の指定役務「飲食物の提供」と,引用商標の指定役務「飲食物の提供」は,同一の役務である。
オ 小括
以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似する商標であり,かつ,引用商標の指定役務と同一の役務について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,2020年1月以降に本願商標を使用し,店舗の看板やテレビコマーシャル等に使用しており,店舗数や請求人が展開している「くら寿司」のブランド認知度等も考慮すれば,本願商標からは,著名な回転寿司チェーンである「くら寿司」の観念が生じる旨主張する(甲2〜甲5)。
しかしながら,甲第2号証において「新ロゴ」とされているロゴマークは,特徴ある字体で表された「くら」の平仮名,印判状に表された「寿司」の文字及び「KURA」の欧文字を結合したものであり,また,その他の画像・写真や資料においても,本願商標が単独で使用されている様子は見られない。また,甲第4号証における「ブランド浸透度調査」についても,調査対象とされているのは「くら寿司」の名称であって本願商標ではない。以上よりすれば,一般的な書体で表された欧文字のみからなる本願商標が,請求人によって多数使用され,請求人の商標として広く認識されるに至ったと認めることはできないから,本願商標から請求人が主張するような観念が生じることはないというべきである。
なお,甲第2号証の3葉目に記載の「■新ロゴの特徴」によれば,「新しい紋章は、蔵を見て(略)夢が膨らむ思いがしたことから」,「蔵に用いられるなまこ壁のイメージを踏襲してデザインしました。」の記載があることからすれば,新ロゴが「蔵」を意識して作成されたものであることが読み取れる。
イ 請求人は,指定役務の分野においては,需要者が役務の提供を受ける場所(飲食店)に出向いていくことが一般的であり,店舗の看板等に付された商標の外観を目にして,店舗を識別することが一般的であり,また,インターネット上で飲食店を検索する場合においても,ウェブサイトに表示された商標の外観を見て,店舗を識別することが通常であり,称呼のみで店舗名を記憶することは多くはない,さらに,外観の差異を理由に非類似と判断した審決が多数ある旨主張する。
しかしながら,上記(1)のとおり,本願商標と引用商標は,一般的な書体で表された欧文字のつづりを共通にするなど外観において似かよった印象を与え,また称呼及び観念を共通にするものであるから,それぞれの商標に時と所を異にして接したときには,その出所について紛れるおそれがあるものというべきである。また,そのため,外観において顕著な差異があり,観念においても相違するか又は比較することができないとして非類似と判断した他の審決と同一に論じるべきではない。
ウ 請求人は,「蔵」,「KURA」の文字を有する商標が多数併存して登録されていることから,本願商標についても同様に登録すべき旨主張する。
しかしながら,本願商標と引用商標が類似しているか否かは,両商標を個別に比較して検討すべきであり,他の商標が引用商標と併存して登録されていることをもって,本願商標と引用商標が非類似と判断すべき根拠にはならない。加えて,本願商標は,一般的な書体で表された「KURA」の文字のみからなるものであることから,書体に顕著な特徴がある商標や,他の文字又は図形と結合した商標と同一の視点で論じるべきではない。
エ したがって,請求人の主張は,いずれも採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標)




(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-03-30 
結審通知日 2022-04-05 
審決日 2022-04-19 
出願番号 2020002514 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W43)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 板谷 玲子
茂木 祐輔
商標の称呼 クラ 
代理人 山田 威一郎 

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