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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W0937384142
管理番号 1386277 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-08-26 
確定日 2022-06-09 
事件の表示 商願2020−2655拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第9類,第37類,第38類,第41類及び第42類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として,令和2年1月9日に登録出願されたものである。
本願は,令和3年1月13日付けで拒絶理由の通知がされ,同年2月12日付けで意見書が提出されたが,同年5月26日付けで拒絶査定がなされたものである。
これに対して令和3年8月26日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり,指定商品及び指定役務については,原審における同年2月12日付け及び審判請求と同時に提出された手続補正書により,別掲2のとおりの商品及び役務に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2079755号商標(以下「引用商標1」という。)は,「共立」の文字を横書きしてなり,昭和60年7月3日登録出願,第10類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同63年9月30日に設定登録され,その後,平成21年3月4日に指定商品を第9類「理化学機械器具,光学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,測定機械器具」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第3167473号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲3のとおりの構成よりなり,平成4年9月29日登録出願,第37類「建築一式工事,内装仕上工事」を指定役務として,同8年6月28日に特例商標及び重複商標として設定登録されたものである。
(3)登録第3170236号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲4のとおりの構成よりなり,平成4年9月28日登録出願,第37類「機械器具設置工事,エレベ―タ―・エスカレ―タ―・リフトの修理又は保守」を指定役務として,同8年6月28日に特例商標及び重複商標として設定登録されたものである。
(4)登録第3171048号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲5のとおりの構成よりなり,平成4年9月1日登録出願,第37類「管工事,電気工事」を指定役務として,同8年6月28日に特例商標及び重複商標として設定登録されたものである。
(5)登録第3172470号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲6のとおりの構成よりなり,平成4年9月2日登録出願,第37類「管工事,機械器具設置工事,熱絶縁工事,暖冷房装置の修理及び保守,ポンプの修理及び保守,冷凍機械器具の修理及び保守」を指定役務として,同8年6月28日に特例商標及び重複商標として設定登録されたものである。
(6)登録第3269654号商標(以下「引用商標6」という。)は,別掲5のとおりの構成よりなり,平成4年9月1日登録出願,第42類「自動制御盤・操作盤・分電盤の設計,空調及び計装配線工事の設計」を指定役務として,同9年3月12日に特例商標として設定登録されたものである。
(7)登録第6096277号商標(以下「引用商標7」という。)は,別掲7のとおりの構成よりなり,平成29年11月30日登録出願,第37類「火災報知機又はその他の消防設備機械器具の修理又は保守」を含む第37類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として,同30年11月9日に設定登録されたものである。
(8)登録第6260587号商標(以下「引用商標8」という。)は,別掲8のとおりの構成よりなり,平成30年11月30日登録出願,第37類「火災報知機又はその他の消防設備機械器具の修理又は保守」を含む第36類,第37類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として,令和2年6月17日に設定登録されたものである。
以下,引用商標1ないし引用商標8をまとめていうときは,「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,始めの山括弧と終わりの山括弧を上下にずらして結合したような図形と,その右側に「KYORITSU」の欧文字を横書きして配し,図形の右側部分及び「O」の文字部分を水色で表し,それ以外の部分を紺色で表してなるものである。
そして,図形部分と文字部分とは一定のスペースを空けて配しており,視覚上分離して看取されるものである。また,「KYORITSU」の文字部分は,「キョーリツ」と読むことができるものであり,一般に「キョーリツ」と読む語は「共立」(「共同で設立すること」の意。)である(広辞苑第七版)ことからすれば,当該文字部分は「共立」の語の読みをアルファベットで表したものと認識させる。他方,図形は特定の意味合いを想起させないから,図形部分と文字部分とは,観念上の繋がりも見いだせない。さらに,文字部分は,上記のとおり「キョーリツ」と読むことができるのに対し,図形部分から特定の読みが生じるとはいえない。
そうすると,簡易迅速を尊ぶ商取引の実際においては,取引者,需要者は,称呼しやすい「KYORITSU」の文字部分を捉えて取引にあたる場合も少なくないというべきであるから,当該文字部分を要部として抽出し,他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって,本願商標は,「KYORITSU」の文字部分に相応して「キョーリツ」の称呼が生じると共に,「共同で設立すること」の観念が生じる。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1について
引用商標1は,「共立」の文字を横書きしてなるところ,当該文字は,上記アのとおり,「共同で設立すること」を意味する語であるから,引用商標1は,「キョーリツ」の称呼及び「共同で設立すること」の観念が生じる。
(イ)引用商標2について
引用商標2は,別掲3のとおり,「K」の形をモチーフにしたような赤茶色の縦長の図形と,当該図形を交差させるように「KYORITSU」の欧文字を横書きして配してなるところ,文字部分は図形部分と接することなく表され,かつ,両者に観念上のつながりも見いだせないことから,図形部分と文字部分とは,常に一体不可分のものとしてのみ把握,理解しなければならないものとはいえず,それぞれ独立して看取し得るものである。
そうすると,簡易迅速を尊ぶ商取引の実際において,上記アと同様に,文字部分を捉えて取引にあたる場合も少なくないというべきであるから,当該文字部分を要部として抽出し,他人の商標と比較することも許されるというべきである。また,「KYORITSU」の文字が「共立」の語を認識させることは,上記アのとおりである。
したがって,引用商標2からは,「KYORITSU」の文字部分に相応して「キョーリツ」の称呼が生じると共に,「共同で設立すること」の観念が生じる。
(ウ)引用商標3について
引用商標3は,別掲4のとおり,「K」の文字を左右に引き伸ばしたように図案化して,「KYORITU」の欧文字を横書きしてなるところ,「KYORITU」の文字部分は,「キョーリツ」と読むことができるものであり,一般に「キョーリツ」と読む語は,上記アのとおり,「共立」(「共同で設立すること」の意。)であるから,「KYORITU」の文字部分は「共立」の語の読みを表したものと認識させる。してみれば,引用商標3は,「KYORITU」の文字に相応して,「キョーリツ」の称呼及び「共同で設立すること」の観念が生じる。
(エ)引用商標4及び引用商標6について
引用商標4及び引用商標6は,別掲5のとおり,四角形の右上端から右下端までを「く」の字状に切り取るように白抜きした図形(白抜きの左側部分は黒色で,右側部分は赤茶色で表されている。)と,その下に「KYORITSU」の欧文字を横書きし,当該文字部分の「O」の文字の上部には,長音記号を認識させる直線が付されてなるものである。
そして,図形部分と文字部分とは視覚上分離して看取されると共に,観念上の繋がりも見いだせない。
そうすると,簡易迅速を尊ぶ商取引の実際において,文字部分のみを捉えて取引にあたる場合も多くあるというべきだから,当該文字部分を要部として抽出し,他人の商標と比較することも許されるというべきである。また,「KYORITSU」の文字が「共立」の語を認識させることは,上記アのとおりである。
したがって,引用商標4及び引用商標6からは,「KYORITSU」の文字部分に相応して「キョーリツ」の称呼が生じると共に,「共同で設立すること」の観念が生じる。
(オ)引用商標5について
引用商標5は,別掲6のとおり,長方形内に「KYORITSU」の欧文字を,文字の一部を切り取るなどしてデザイン化した字体で表してなるところ,当該長方形は単なる輪郭として看取されるものであって,強い印象を与えるものではないから,上記欧文字が要部として抽出されるものといえる。そして,当該文字は「共立」の語を認識させること上記アのとおりであるから,引用商標5からは,「キョーリツ」の称呼及び「共同で設立すること」の観念が生じる。
(カ)引用商標7について
引用商標7は,別掲7のとおり,アルファベットの「O」を桃色の円形状に表し,その他の文字を青色で表した「KYORITSU」の文字を,ひときわ大きく中央に横書きして配し,その上部には,「よい朝のために。」の文字を,下部には「HOTELS & DORMITORIES」の文字を,それぞれ小さな文字で横書きして配してなるものである。
そして,中央に目立つように表された「KYORITSU」の文字部分が,看者の注意を最も引き,強く印象に残りやすいといえるから,簡易迅速を尊ぶ商取引の実際において,当該文字部分を捉えて取引にあたる場合も少なくないというべきである。してみれば,当該文字部分を要部として抽出し,他人の商標と比較することも許されるというべきである。また,「KYORITSU」の文字が「共立」の語を認識させることは,上記アのとおりである。
したがって,引用商標7からは,「KYORITSU」の文字部分に相応して「キョーリツ」の称呼が生じると共に,「共同で設立すること」の観念が生じる。
(キ)引用商標8について
引用商標8は,別掲8のとおり,アルファベットの「O」を桃色の円形状に表し,その他の文字を青色で表した「KYORITSU」の文字を横書きしてなるところ,当該文字は「共立」の語を認識させること上記アのとおりであるから,引用商標8からは,「キョーリツ」の称呼及び「共同で設立すること」の観念が生じる。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
(ア)本願商標と引用商標1の類否について
本願商標の要部と引用商標1の類否を検討するに,外観については,本願商標の「KYORITSU」の文字部分と,引用商標の「共立」の文字とは,欧文字と漢字という点において相違するものの,我が国においては,漢字を同じ称呼のアルファベットで表記することが一般的に行われていることを考慮すると,文字種が異なることによる本願商標と引用商標1の外観の相違は,両商標が別異のものであると認識させるほどの強い印象を与えるものではなく,むしろ相互に文字種を変換したものであるといった印象を与えるものであるから,両者は似かよった印象を与えるというべきである。
次に,称呼については,本願商標と引用商標1は,「キョーリツ」の称呼を共通にするものである。
さらに,観念については,本願商標と引用商標1は,「共同で設立すること」の観念を共通にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標1とは,称呼及び観念を共通にし,外観においても似かよった印象を与えるものであることからすれば,本願商標と引用商標1の外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両商標は,その出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
(イ)本願商標と引用商標2の類否について
本願商標の要部と引用商標2の要部の類否を検討するに,外観については,両者は,そのつづりを共通にするものである。
次に,称呼については,本願商標と引用商標2は,「キョーリツ」の称呼を共通にするものである。
さらに,観念については,本願商標と引用商標2は,「共同で設立すること」の観念を共通にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標2とは,称呼及び観念を共通にし,外観については,「KYORITSU」のつづりを共通にするものであるから,本願商標と引用商標2の外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両商標は,その出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
(ウ)本願商標と引用商標3の類否について
本願商標の要部と引用商標3の類否を検討するに,外観については,引用商標3における「K」の文字のデザイン化や「S」の文字の有無といった相違がある。しかしながら,商標の使用においては,同一の文字をデザイン化したり,デザインを変更したりして使用することが一般的に行われている実情があることを考慮すると,一定程度デザインに相違があることは,両商標が別異のものであると認識させるほどの強い印象を与えるものではないというべきである。また,両者は,「S」の文字の有無があるとしても,それ以外の「KYORIT」及び「U」の7文字のつづりを共通にすると共に,相違する「S」の文字は,後ろから2文字目にあって,目立ちにくく,さらには「S」の文字がなくても上記イ(ウ)のとおり「キョーリツ」と難なく読めるために埋没しやすいといえることから,これらの相違が看者に対して外観上の顕著な相違として強い印象を与えるものではないというべきである。
次に,称呼については,本願商標と引用商標3は,「キョーリツ」の称呼を共通にするものである。
さらに,観念については,本願商標と引用商標3は,「共同で設立すること」の観念を共通にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標3とは,称呼及び観念を共通にし,外観において相違する点があるとしても,称呼及び観念の共通性を凌駕するほど顕著な相違として強い印象を与えるものではないから,本願商標と引用商標3の外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両商標は,その出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
(エ)本願商標と引用商標4及び引用商標6の類否について
本願商標の要部と引用商標4及び引用商標6の要部の類否を検討するに,外観については,両者は,そのつづりを共通にするものである。なお,「O」の文字部分の上部には長音記号が付されているものの,当該記号は称呼を特定しやすくするために付されているにすぎないものであるから,当該記号が付されていることによって,看者に対して別異のものであると印象付けることはないというべきである。
次に,称呼については,本願商標と引用商標4及び引用商標6は,「キョーリツ」の称呼を共通にするものである。
さらに,観念については,本願商標と引用商標4及び引用商標6は,「共同で設立すること」の観念を共通にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標4及び引用商標6とは,称呼及び観念を共通にし,外観については,「KYORITSU」のつづりを共通にするものであるから,本願商標と引用商標4及び引用商標6の外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両商標は,その出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
(オ)本願商標と引用商標5の類否について
本願商標の要部と引用商標5の類否を検討するに,外観については,引用商標5の文字は一部にデザイン化が施されているものの,両者は,そのつづりを共通にするものである。そして,商標の使用において,同一の文字をデザイン化したり,デザインを変更したりして使用することが一般的に行われている実情があることを考慮すると,一定程度デザインに相違があることは,両商標が別異のものであると認識させるほどの強い印象を与えるものではなく,むしろ上記のとおり文字のつづりが同じであることからすれば,両者は似かよった印象を与えるというべきである。
次に,称呼については,本願商標と引用商標5は,「キョーリツ」の称呼を共通にするものである。
さらに,観念については,本願商標と引用商標5は,「共同で設立すること」の観念を共通にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標3とは,称呼及び観念を共通にし,外観においても似かよった印象を与えるものであることからすれば,本願商標と引用商標5の外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両商標は,その出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
(カ)本願商標と引用商標7の類否について
本願商標の要部と引用商標7の要部の類否を検討するに,外観については,引用商標7の「KYORITSU」の文字部分における「O」の文字がデザイン化されているものの,両者は,そのつづりを共通にするものである。そして,商標の使用においては,同一の文字をデザイン化したり,デザインを変更したりして使用することが一般的に行われている実情があることを考慮すると,一定程度デザインに相違があることによって,両商標が別異のものであると認識させるほどの強い印象を与えるものではない。むしろ上記のとおり文字のつづりが同じであること,本願商標も「O」の文字部分の色彩に変化が加えられていることからすれば,両者は似かよった印象を与えるというべきである。
次に,称呼については,本願商標と引用商標7は,「キョーリツ」の称呼を共通にするものである。
さらに,観念については,本願商標と引用商標7は,「共同で設立すること」の観念を共通にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標7とは,称呼及び観念を共通にし,外観においても似かよった印象を与えるものであることからすれば,本願商標と引用商標7の外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両商標は,その出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
(キ)本願商標と引用商標8の類否について
本願商標の要部と引用商標8の類否を検討するに,外観については,引用商標8の「O」の文字がデザイン化されているものの,両者は,そのつづりを共通にするものである。そして,商標の使用においては,同一の文字をデザイン化したり,デザインを変更したりして使用することが一般的に行われている実情があることを考慮すると,一定程度デザインに相違があることによって,両商標が別異のものであると認識させるほどの強い印象を与えるものではない。むしろ,上記のとおり文字のつづりが同じであること,本願商標も「O」の文字部分の色彩に変化が加えられていることからすれば,両者は似かよった印象を与えるというべきである。
次に,称呼については,本願商標と引用商標8は,「キョーリツ」の称呼を共通にするものである。
さらに,観念については,本願商標と引用商標8は,「共同で設立すること」の観念を共通にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標8とは,称呼及び観念を共通にし,外観においても似かよった印象を与えるものであることからすれば,本願商標と引用商標8の外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両商標は,その出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
エ 本願商標の指定商品又は指定役務と引用商標の指定商品又は指定役務の類否について
(ア)本願商標の指定商品と引用商標1の指定商品の類否について
本願商標の指定商品及び指定役務のうち,第9類「カメラ用リモートコントローラー」は,引用商標1の指定商品中の「光学機械器具,写真機械器具,映画機械器具」と同一又は類似の商品である。
(イ)本願商標の指定役務と引用商標2ないし引用商標5の指定役務の類否について
本願の指定商品及び指定役務のうち,第37類「監視カメラの取付工事又は情報の提供,GPS電波信号を用いて複数のクレーンの現在位置を監視しクレーン同士が接触するおそれがある時に警報を発するための装置の据付又は据付に関する情報の提供,警報装置の取付工事,照明器具の取付工事,無線機器の取付工事,音響機械器具の取付工事」は,引用商標2の指定役務である第37類「建築一式工事,内装仕上工事」,引用商標3の指定役務中の第37類「機械器具設置工事」,引用商標4の指定役務である第37類「管工事,電気工事」及び引用商標5の指定役務中の第37類「管工事,機械器具設置工事,熱絶縁工事」と同一又は類似の役務である。
(ウ)本願の指定役務と引用商標6の指定役務の類否について
本願商標の指定商品及び指定役務のうち,第42類「監視カメラの設計,車載用カメラの設計,建設機械の死角確認用カメラの設計,警報装置の設計」は,引用商標6の指定役務中,第42類「自動制御盤・操作盤・分電盤の設計」と類似する役務である。
(エ)本願の指定役務と引用商標7及び引用商標8の指定役務の類否について
本願の指定商品及び指定役務のうち,第37類「監視カメラの修理又は保守」は,引用商標7及び引用商標8の指定役務中,「火災報知機又はその他の消防設備機械器具の修理又は保守」と類似する役務である。
オ 小括
以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似する商標であり,かつ,引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品及び役務について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,資料1〜3を根拠に,本願商標の「KYORITSU」の文字部分は,「凶率」,「京立」,「恐慄」の意味合いも生じることから,特定の観念は生じない旨主張する。
しかしながら,請求人の提出した資料は,資料としての位置付けが不明なブログのようなウェブサイトに記載された見出しの一部(資料1)や,自ら特定のキーワードをもとに検索した結果を示すもの(資料2及び資料3)であり,これらをもって請求人主張の各文字が一般に使用されている語であると認めることはできない。
そして,広辞苑第七版において「キョーリツ」と読む語として掲載されているものは,「共立」の語のみであって,このことは,「大辞泉第二版」(株式会社小学館発行)や「新明解国語辞典第八版」(株式会社三省堂発行)においても同様である。
そうすると,上記(1)アの認定のとおり,本願商標の文字部分は「共立」の語の読みをアルファベットで表したものと認識させ,「共同で設立すること」の観念が生じるものというべきである。
イ 請求人は,引用商標2,引用商標3,引用商標5の権利者が現実に行っている事業(役務)と本願の指定役務を挙げたうえで,それらの取引の実情を考慮すれば,外観が明らかに異なり,観念において共通しない本願商標と各引用商標は,別異の商標として認識される旨主張し,外観上の著しい相違により非類似と判断した審決例を挙げる。
しかしながら,商標法第4条第1項第11号該当性の判断は,当該商標の指定商品又は指定役務に基づいてなされるべきものであり,権利者等が現在実際に行っている事業に基づいて判断すべきものではない。
そして,本願商標と引用商標とは,上記(1)のとおり,いずれも称呼及び観念を共通にし,外観においても,似かよった印象を与えるもの若しくは共通性があるものであるか,又は相違する点があるとしても,称呼及び観念の共通性を凌駕するほど顕著に相違するものではないものであり,いずれも全体として類似するものである。
また,そのため,外観が著しく相違し,観念においても紛れるおそれはない又は比較できないとして非類似と判断した過去の審決例と同一に論じることはできない。
ウ 請求人は,引用商標1,引用商標7及び引用商標8との関係においては,審判請求書と同時に提出した令和3年8月26日付け手続補正書により,拒絶理由は解消しており,拒絶理由が解消していない場合はさらなる補正の用意がある旨主張する。
しかしながら,仮にさらなる補正によって上記各引用商標との関係における拒絶理由が解消したとしても,他の引用商標との関係における拒絶理由は,上記(1)のとおり解消できるものではなく,そのため全体として登録を認めることができないものであるから,当合議体は更なる補正は必要ないと判断した。
エ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

別掲1 本願商標(色彩は,原本を参照。)


別掲2 本願商標の指定商品及び指定役務
第9類「音響警報装置,GPS電波信号を用いて複数のクレーンの現在位置を監視しクレーン同士が接触するおそれがある時に警報を発するための装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,カメラ及びビデオカメラ用電源装置,電池用充電器,充電器,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,蓄電池,太陽電池,電池,電気信号送信用ケーブル,電線用及びケーブル用繰出し器,電線及びケーブル,電気信号又は光信号の中継用電気通信機械器具,カメラ用リモートコントローラー,ビデオカメラ用リモートコントローラー,ビデオカメラ,ビデオモニタ,マイクロホン,監視カメラ,無線機器,スピーカー,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),データ保存管理用コンピュータソフトウェア,遠隔監視により計測したデータ又は撮影した画像データを保存し且つ要求に応じて保存データを送信する機能を有する情報収集端末装置」
第37類「監視カメラの取付工事又は情報の提供,GPS電波信号を用いて複数のクレーンの現在位置を監視しクレーン同士が接触するおそれがある時に警報を発するための装置の据付又は据付に関する情報の提供,警報装置の取付工事,照明器具の取付工事,無線機器の取付工事,音響機械器具の取付工事,カメラの修理又は保守,映画機械器具の修理又は保守,光学機械器具の修理又は保守,写真機械器具の修理又は保守,ビデオ機器の修理又は保守,監視カメラの修理又は保守,車載用カメラの修理又は保守,建設機械の死角確認用カメラの修理又は保守,無線通信機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具(「電話機械器具・ラジオ受信機及びテレビジョン受信機」を除く。)の修理又は保守」
第38類「無線通信機器の貸与,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」
第41類「ビデオカメラの貸与及びこれに関する情報の提供,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,カメラの貸与・光学機械器具の貸与またはこれらに関する情報の提供,インターネットを利用して行う映像の提供,インターネットを利用して行う音楽の提供」
第42類「監視カメラの設計,車載用カメラの設計,建設機械の死角確認用カメラの設計,警報装置の設計,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機及び電気計算機プログラムの貸与又はこれらに関する情報の提供,電子計算機用プログラムの提供,映像又は書類の電子データの保存用記憶領域の貸与,通信ネットワークに接続されたサーバにおけるデータ保管用の記憶領域の貸与,電子データの収集・解析・分析又は保存」

別掲3 引用商標2(色彩は,原本を参照。)


別掲4 引用商標3


別掲5 引用商標4及び引用商標6(色彩は,原本を参照。)


別掲6 引用商標5


別掲7 引用商標7(色彩は,原本を参照。)


別掲8 引用商標8(色彩は,原本を参照。)




(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-03-31 
結審通知日 2022-04-04 
審決日 2022-04-19 
出願番号 2020002655 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W0937384142)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 板谷 玲子
茂木 祐輔
商標の称呼 キョーリツ 
代理人 多田 裕司 

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