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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W05
管理番号 1386260 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-01 
確定日 2022-05-26 
事件の表示 商願2020− 42167拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和2年4月15日の登録出願であって、同年9月14日付けの拒絶理由の通知に対し、同年11月6日に意見書が提出されたが、同3年2月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願商標
本願商標は、「ぜーぜー」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,医療用接着テープ,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。),人工受精用精液」を指定商品として、登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「ぜーぜー」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「苦しげな、または激しい息遣いのさまやその時の呼吸の音を表す語」である「ぜいぜい」を、長音を用いて表記したものとして容易に理解されるものである。
そして、「ぜーぜー」の文字が、「薬剤」を取り扱う業界において、咳をする音を表す語として広く使用されており、また、ぜーぜーする咳に効果がある薬剤が一般的に取引されている実情がある。
そうすると、本願商標をその指定商品中「薬剤」に使用するときは、取引者・需要者は、その商品が「ぜーぜーする咳に効果がある薬剤」だと理解し、単に商品の品質を表示した標章として認識するというのが相当であり、また、「ぜーぜーする咳に効果がある薬剤」以外の「薬剤」に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審おける審尋
当審において、審判長は、請求人に対し、令和3年12月6日付けで、別掲のとおりの事実を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定してこれに対する回答を求めた。

5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記4の審尋に対し、令和4年1月13日付け回答書を提出し、要旨以下のように主張した。
(1)審尋において示された使用例(「ぜーぜーとする喘鳴をともなうせき又はたん」)は、内容を示唆する語句「〜をともなう」が「ぜーぜー」の後ろに付加されて成立するものであり、また、「ぜーぜーをともなう〜」の語句が直接的に修飾するのは「せき」となっているから、「ぜーぜー」の文字のみに接した取引者、需要者が、「ぜーぜーする咳に効果がある薬剤」との意味・観念に直ちに想到する蓋然性は証明されていない。
(2)審尋において示された使用例は、原審と同一の使用例が追加されたのみであり、このことは、指定商品の業界において、同一の記載のみが硬直的・画一的に使用されている事実であり、「ぜーぜー」の語が通常は単独で使用されていないことの証左である。
(3)過去の審決例、登録例と比較しても、本願商標のみが、指定商品「薬剤」との関係において、格別に記述的・説明的であり、商品の品質等を直接的かつ具体的に表すものであるとする特殊な事情は発見されない。

6 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、「ぜーぜー」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「激しい、または苦しげな呼吸の音を表す語。」(広辞苑第7版)の意味を有する「ぜいぜい」を、長音を用いて表記したものと理解されるものである。
そして、当審において示した使用例(別掲)のとおり、厚生労働省の文書における鎮咳去痰薬に関する記述及び薬剤業界において、鎮咳去痰薬の効能及び効果として、「喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)をともなうせき又はたん」を表示している実情からすれば、「ぜーぜー」の文字は、「呼吸に際し、気道がぜいぜいと雑音を発すること。また、その音。」の意味を有する「喘鳴」の一種であり、せきの際の症状(呼吸音)であることが理解できるものである。
そうすると、本願商標は、その指定商品中の「薬剤」に使用した時は、これに接する需要者には、「ぜーぜーとする喘鳴をともなうせき又はたんに効能及び効果がある薬剤」ほどの意味合いを認識、理解させるにとどまり、単に商品の品質、効能を表示するにすぎないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標を「ぜーぜーとする喘鳴をともなうせき又はたんに効能及び効果がある薬剤」以外の薬剤に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、原審及び当審において示した使用例(「ぜーぜーとする喘鳴をともなうせき又はたん」)は、いずれも内容を示唆する語句「〜をともなう」が「ぜーぜー」の後ろに付加されており、また、「ぜーぜーをともなう〜」の語句が修飾するのは「せき」であるから、「ぜーぜー」の文字のみに接した需要者等が、「ぜーぜーする咳に効果がある薬剤」との意味を直ちに想到しないこと、そして、指定商品の業界において、「ぜーぜー」の文字が単独で使用されていない旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、「ぜーぜー」の文字は、「激しい、または苦しげな呼吸の音を表す語。」の意味を有する「ぜいぜい」を、長音を用いて表記したものと容易に看取されるものであり、厚生労働省の文書及び薬剤業界において鎮咳去痰薬の効能及び効果として「喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)」のように、「喘鳴」の音の例として「ぜーぜー」の文字が一般に表示されている実情からすると、「ぜーぜー」の文字が単独であっても、「喘鳴」の音を表していることを容易に理解、認識し得るものである。
そうすると、「ぜーぜーとする喘鳴をともなうせき又はたん」の症状に効果を有する薬剤を購入しようとする消費者及び薬剤業界に係る需要者は、本願商標が薬剤に使用されたときは、当該薬剤が「ぜーぜーとする喘鳴をともなうせき又はたんに効能及び効果がある薬剤」であることを容易に認識し得るというのが相当である。
さらに、商標法第3条第1項第3号に該当する商標であるか否かは、商標がその指定商品及び指定役務に使用されたときに、取引者又は需要者が、商品又は役務の品質、効能等を表示するものと一般に認識する場合においても該当すると判断されるものであり、「ぜーぜー」の文字が単独で現実に使用されていないことをもって、本件の判断が左右されるものではない。
イ 請求人は、過去の審決例及び登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、それらは、本件商標とは構成文字が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別に判断されるべきであるから、それらの事例の存在によって、上記(1)の認定判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲(審尋において示した事実)
1 平成27年3月25日付け厚生労働省医薬食品局長の文書
(1)文書番号「薬食発0325第14号」の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令第80条第2項第5号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医薬品の種類等の一部を改正する件及び都道府県知事の承認に係る医薬部外品の一部を改正する件について」において、「1 告示の改正の趣旨及び主な内容」の「(1)ウ 鎮咳去痰薬」の項目に「2(マル2) 効能及び効果を『せき、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)をともなうせき又は痰』、・・・としたこと。」との記載がある。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000092773.pdf
(2)文書番号「薬食発0325第26号」の「鎮咳去痰薬の製造販売承認基準について」において、「1 鎮咳去痰に関する効能又は効果をうたう内服用の薬剤(トローチ剤及びドロップ剤を含む。)であって、鎮咳去痰成分を含有するもの(漢方処方に基づく製剤及び生薬のみよりなる製剤を除く。)には、本基準が適用されること。」との記載及び別紙の「鎮咳去痰薬の製造販売承認基準」における「2 基準」の「(5)効能又は効果」の項目において、「ア 効能又は効果は『せき,喘鳴(ぜーぜー,ひゅーひゅー)をともなうせき,たん』の範囲とする。」の記載がある。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000092779.pdf

2 厚生労働省医薬食品局長の文書における、鎮咳去痰薬の効能及び効果に関する記載に倣った表現を表示している事実
(1)エーザイ株式会社の鎮咳去痰薬「アストフィリンS」の「製品の概要」における「効能・効果」の項目において、「喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)をともなうせき、せき、たん」の記載がある。
https://www.eisai.jp/products/asthphyllin/asthphyllin
(2)株式会社浅田飴の医薬品「浅田飴せきどめ(クールオレンジ)」の製品情報における「効能・効果」の項目において、「せき、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)をともなうせき、たん、・・・」の記載がある。
https://www.asadaame.co.jp/medicine/sekidome_co.html
(3)三宝製薬株式会社の鎮咳去痰薬「アドレニンエース錠」の「説明書」における「効能・効果」の項目において、「せき、たん、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)をともなうせき」の記載がある。
https://www.sampo-seiyaku.co.jp/products/cat2_7.html
(4)協同薬品工業株式会社の医薬品「クミアイ 新のどあめ」の製品案内における、「効能・効果」の項目において、「せき、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)をともなうせき、たん、・・・」の記載がある。
https://search.kyoyaku.co.jp/medlist/1_6nodoame.html
(5)うすき製薬株式会社の医薬品「後藤散 せきどめN」の製品案内における、「効能」の項目において、「せき、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)をともなうせき、たん」の記載がある。
http://www.gotosan.co.jp/itemes/item05.html
(6)小太郎漢方製薬株式会社の医薬品「一風飲せきどめ液『コタロー』」の製品案内における、「効能・効果」の項目において、「せき、たん、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)をともなうせき」の記載がある。
https://www.kotaro.co.jp/product/detail/z34.html
(7)オール薬品工業株式会社の医薬品「フストールシロップA」の製品案内における、「効能・効果」の項目において、「せき、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)をともなうせき、たん」の記載がある。
http://www.all-p.co.jp/product/newpage9.html


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-03-24 
結審通知日 2022-03-29 
審決日 2022-04-11 
出願番号 2020042167 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W05)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 大森 友子
水落 洋
商標の称呼 ゼーゼー 
代理人 門田 尚也 
代理人 杉村 光嗣 
代理人 杉村 憲司 

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