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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1385416 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-08-18 
確定日 2022-05-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第6397608号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6397608号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6397608号商標(以下「本件商標」という。)は、「Think Relaxing」の欧文字を標準文字で表してなり、令和2年10月26日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同3年5月7日に登録査定され、同年6月3日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4498674号商標(以下「引用商標1」という。)は、「Think」の欧文字を標準文字で表してなり、平成12年9月29日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボン吊り,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同13年8月10日に設定登録されたものである。
2 登録第5233289号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Think」の欧文字を横書きしてなり、2007年1月26日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、平成19年4月27日に登録出願、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」を指定役務として、同21年5月22日に設定登録されたものである。
上記の引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、以下、「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」(以下「異議申立商品」という。)については、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 本件商標と引用商標の構成
(1)本件商標の構成
本件商標は、「Think Relaxing」の英文字を横書きしてなり、「シンクリラクシング」の称呼を生じるほか、長い商標であり、その一部である「Think」の部分をもって簡略化される可能性があり、かつ「Relaxing」が指定商品との関係で識別力が強いとはいえないため、「シンク」の称呼も生じる。
(2)引用商標の構成
引用商標は、いずれも「Think」の英文字を横書きしてなり、その構成に呼応して「シンク」の称呼が生じる。
2 本件商標と引用商標の類否
(1)本件商標と引用商標の外観
本件商標と引用商標の外観を対比すると、「Think」の5文字を共通にしている。
本件商標の構成中、最も目立ち看者の注意を引く語頭の5文字が引用商標と一致することから、本件商標と引用商標は、外観上相紛らわしい類似の商標である。
(2)本件商標と引用商標から生じる称呼
本件商標からは、その文字に呼応して「シンクリラクシング」の称呼を生じるほか、長い商標であり、その一部である「Think」の部分をもって簡略化される可能性があり、かつ「Relaxing」が指定商品との関係で識別力が強いとはいえないため、「シンク」の称呼も生じ、引用商標からは「シンク」の称呼を生じる。
そうすると、本件商標と引用商標は、「シンク」の称呼を共通にする、称呼上類似する商標である。
また、本件商標の構成中の「Relaxing」は「くつろいだ、落ち着いた」といった意味の語として理解・認識されるところ、本件商標の指定商品である被服等の分野においては、自宅等でくつろぐためのゆったりとした衣服が「リラクシングウェア」として販売されている事実があり(甲4〜甲6)、「Relaxing」は、本件商標の指定商品との関係で識別力が極めて弱い語と考えるのが相当である。
そうすると、本件商標の構成中、出所識別標識として需要者に認識されるのは「Think」の部分であり、この部分のみから称呼・観念を生じると考えるのが妥当である。
上記の理由により、本件商標からは引用商標と共通する「シンク」の称呼が生じるから、本件商標と引用商標は「シンク」の称呼を共通にする、称呼上類似する商標といわざるを得ない。
(3)本件商標と引用商標から生じる観念
本件商標「Think Relaxing」は、「Think」が「思う、考える」、「Relaxing」が「くつろいだ、落ち着いた」を意味する英単語として知られているものの、本件商標全体としてみた場合には特段の意味を有しない造語と考えられるため、本件商標からは特段の観念は生じない。
引用商標「Think」は、「考える、思う」を意味する英単語であり、「考える、思う」の観念を生じる。
よって、本件商標と引用商標は、一方が特定の観念を生じない造語として認識されるものであり、観念において対比することのできない商標である。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務
本件商標の指定商品中の異議申立商品は、全て引用商標1の第25類の指定商品と類似する。
また、本件商標の指定商品中の「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」は引用商標2の指定役務中の「被服の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供」と類似する。
(5)上記より、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において類似する商標であり、指定商品及び指定役務も類似するから、本件商標は、引用商標との関係で商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「Think Relaxing」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「Think」と「Relaxing」との間に1文字分の空白を介して、同じ書体及び同じ大きさをもって表され、視覚上、まとまりよく一体的なものとして看取されるものであり、その構成全体から生じる「シンクリラクシング」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標の構成中の「Relaxing」の文字が「くつろいだ、落ち着いた」といった意味を有する語であるとしても、本件商標の指定商品との関係において、特定の商品の具体的な品質を表すとみるべき事情は見いだせないから、当該文字が自他商品の識別標識としての機能を有しないとはいえない。
そうすると、本件商標を「Think」と「Relaxing」とに分離する特段の事情はなく、その構成中の「Think」の文字が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるとか、又はそれ以外の部分から出所識別標識としての称呼及び観念が生じないと認めるに足る事情は見いだせない。
してみれば、本件商標は、その構成文字全体をもって、一体不可分のものと認識、把握されるとみるのが相当である。
なお、申立人は、本件商標の構成中、出所識別標識として需要者に認識されるのは「Think」の文字部分であり、この部分のみから称呼・観念を生じる旨主張し、それを前提に、本件商標と引用商標が類似の商標である旨主張する。
しかしながら、上記のとおり、本件商標は、その構成文字全体をもって一体不可分のものと認識、把握されるというべきであり、また、ほかに「Think」の文字部分を分離抽出し、これを他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせないから、申立人のかかる主張はその前提において採用できない。
また、本件商標を構成する「Think Relaxing」の文字は、「Think」の文字が「思う。考える。」の意味を有する一般に親しまれている英語であり、「Relaxing」の文字が「くつろいだ、落ち着いた」といった意味の語であるとしても、構成文字全体として、辞書等に載録されている語ではなく、我が国で外来語として親しまれた語でもないから、一種の造語として認識、把握されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、「シンクリラクシング」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、いずれも「Think」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「シンク」の称呼を生じるものである。
そして、当該文字は、「思う。考える。」の意味を有する一般に親しまれている英語である。
したがって、引用商標は、「シンク」の称呼が生じ、「思う。考える。」の観念が生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、両商標は、外観において、それぞれの構成文字数が異なることに加え、「Relaxing」の文字の有無という明らかな差異を有しているから、明確に区別し得るものであって、外観上、相紛れるおそれはない。
そして、本件商標の「シンクリラクシング」の称呼と引用商標の「シンク」の称呼とは、その構成音数及び音構成が明らかに相違するものであるから、互いに聞き誤るおそれはなく、明瞭に聴別し得るものであって、称呼上、相紛れるおそれはない。
また、観念においては、本件商標は特定の観念が生じないのに対し、引用商標は「思う。考える。」の観念が生じるものであるから、観念上、相紛れるおそれはない。
してみると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき特段の理由も見いだせない。
(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務の類否について
本件商標の指定商品中の異議申立商品は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するものである。
(3)小括
上記(1)及び(2)のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、たとえ、本件商標の指定商品中の異議申立商品が、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、異議申立商品について商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

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異議決定日 2022-05-09 
出願番号 2020131994 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W25)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 荻野 瑞樹
小林 裕子
登録日 2021-06-03 
登録番号 6397608 
権利者 株式会社ワコール
商標の称呼 シンクリラクシング、シンク、リラクシング 
代理人 山崎 和香子 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 

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