• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3542
管理番号 1385414 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-08-05 
確定日 2022-05-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第6389680号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6389680号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6389680号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年3月24に登録出願、第35類「市場調査又は分析,商品分析・消費者分析・競合環境分析,ウェブサイト経由によるマーケティングに関する情報の提供,インターネッウェブサイトによる広告,人材募集及び人材管理並びにこれらに関するコンサルティング及び情報の提供」及び第42類「デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,製図用具の貸与」を指定役務として、同3年3月2日に登録査定され、同年5月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する登録第4801814号商標は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成14年12月24に登録出願、第25類「ゴルフ靴」を指定商品として、同16年9月10日に設定登録され、その後、同26年4月15日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第36号証を提出した。
(1)引用商標が広く知られていることについて
申立人は1963年にデンマークで創業した靴の製造・販売会社である。申立人は創業以来一貫して「履きやすい靴」をテーマに商品開発を重ね、世界唯一「牛の皮革から消費者へ届ける靴まで」の生産工程全体を一元管理している。1982年にデンマークで直営店をオープンし、今では全世界に3800以上の店舗を構えるまでに成長し、デンマークを代表するシューズメーカーとしてデンマーク王室御用達の栄誉を受けるなど、世界的な著名となった靴メーカーとなった(甲3)。日本でも2016年には旗艦店として銀座に直営店を開設するほか、伊勢丹、大丸、そごう、丸井、PARCO、松坂屋、三越等、日本を代表する有名百貨店に多数出展しており(甲4〜甲11)、日本全国に80店を超える店舗を構えている(甲12)。こうした各店舗ではそれぞれキャンペーン告知のはがきを送付したり、宜伝広告用のポスターを掲示したりしている(甲13)。また、地下遊歩道や地下鉄駅構内にも定期的な巨大広告を掲示している(甲14)。
申立人の靴はそのデザイン性の高さと履き心地の良さから高い評判を得ており、ファッション情報誌や業界紙に頻繁に紹介記事が掲載されている。申立人が把握しているものだけでも2015年以降で100回を超える記事が掲載されている(甲15)。しかも、申立人の商品が掲載されている雑誌は靴専門誌はもとより、男性向けファッション誌、女性向けファッション誌、スポーツ誌等、その分野も多岐にわたっている。なお、広告・記事の発行部数は広告を出稿した広告代理店の報告による(甲15)。
また、当然ながら申立人の商品はインターネットでも膨大な数の記事において紹介されている(甲16〜甲29)。こうした記事には、例えば「一番履きやすい靴とその理由」(甲16)、「履き心地最高!1度履くと手離せなくなる」(甲17)、「<エコー>で上質感のあるカジュアルな足元を!履き心地にこだわる男が選ぶミニマル顔スニーカー!」(甲18)、「ケタ違いの快適さが嬉しい<エコー>」(甲19)、「最高評価の靴」(甲20)、「クセになる履き心地」(甲21)、「ゴアテックス搭載の万能ブーツ」(甲22)といったようなタイトルが付けられていることからも明らかなように、申立人の商品は市場において高い評価を得ている。もちろん、申立人の商品は婦人靴の分野においても人気がある(甲23〜甲26)。近年では、この履き心地を極めるため3Dプリンターを使った完全オーダーメイドの靴を開発し、話題を集めている(甲26〜甲29)。
申立人の商品が現に我が国で販売されている事実を示す証拠として申立人の商品に関する請求書の一部(甲30、甲31)を提出する。甲第30号証は申立人の商品を扱う販売事業者向けの請求書の一部であり、甲第31号証は直営店を運営する申立人の日本法人向けの請求書の一部である。なお、甲第30号証はあくまで「一部」を例示したものであり、その取引先がここに提示した株式会社ワールドアンバー・アルペン・ライトアップショッピングクラブ・株式会社楽歩堂・加賀スポーツ株式会社・阪急イングス・丸紅株式会社・つるや株式会社・株式会社アートケイズ・株式会社ヴィクトリア・オンワード樫山・株式会社大沢商会・ボンフカヤ株式会社・株式会社松屋に限られるものを意味するものではない。
特に甲第31号証は、準備可能であった2015年からのものであるが、継続して相当数の商品が出荷されている事実が確認できる。なお、申立人の独自集計であるが、申立人の商品は直営店向けに毎年20万足から30万足出荷されており、概算で2015年に32億円、2016年に38億円、2017年に46億円、2018年に49億円、2019年に54億円程度の売り上げを記録している。
引用商標は申立人のハウスマークであり、上記各甲号証に現れた写真からも見て取れるように、出願人店舗には必ず引用商標が掲示されており、かつ、その商品そのものにも引用商標が表されている。
このように、引用商標は本件商標の出願時点で既に靴において我が国で周知・著名なものとなっており、その周知・著名性は現在も継続しているものである。
なお、引用商標の著名性は、2011年の段階で既に特許庁において認定された事実がある(甲32)。また、結論としては商標法第4条第1項第15号に該当しないとされたものの、引用商標の著名性については「本件商標の登録出願時及び登録査定時(2011年)には既に我が国の取引者、需要者に広く認識されていた」と認定されている(甲33)。
このように引用商標が著名であることは特許庁において繰り返し認定されているものであることから、最早顕著な事実といえる。そして、上記のとおり、その後も益々その著名度を上げているのであるから、引用商標の出願時点でこの著名性が維持ないし高まっていることは明らかである。
前記のとおり、申立人は引用商標を靴について永年に渡り使用している。そして、申立人の商品はその履き心地の良さや機能性の高さ、またデンマーク王室御用達という信頼性が評価され、我が国を含む全世界で好評を博している。
我が国においても、インターネットをはじめ各種媒体で申立人の商品の特集が組まれており、そこに使用されている引用商標は相当程度の周知性・著名性を獲得しているであろうことが容易に想像できる。
このように引用商標は我が国において周知・著名性を有している。
(2)「ecco」の造語性、独創性
「ecco」は特段意味のない造語であり辞書に記載のない語であるからその造語性、独創性は極めて高い。
(3)本件商標と引用商標の類似性
本件商標と引用商標は共に欧文字「ECCO」をモチーフとしており、各文字の組み合わせ方も含めて外観の類似性は極めて高い。また、称呼も同一である。よって、その類似性は極めて高いものである。
(4)商品・役務の関連性
前記のとおり、「他人の商品又は役務の性質上、取引者、需要者が一定分野の関係者に限定されている場合には、そのような取引者、需要者の間に広く認識されていれば足り、消費者一般に周知著名であることを要しないし、非類似の商品又は役務の間であっても、広義の混同を生ずるおそれは否定できない」とされている(平成14年(行ケ)第285号判決、甲34)。
この点、引用商標が周知著名となっていた商品「履物」と本件商標の指定役務はそれ自体としては取引事情を著しくことにする異種、別個の産業分野に属する。
しかし、本件商標の第35類の指定役務は「主として、人又は組織が提供するサービスであって(1)商業に従事する企業の運営若しくは管理に関する援助、又は(2)商業若しくは工業に従事する企業の事業、若しくは、商業機能の管理に関する援助を主たる目的とするもの」であり、第42類のそれは「主として、理論的又は実用的な側面を有する活動分野に関する個別的又は集団的な人により提供されるサービスが含まれる。当該サービスは、化学者、物理学者、エンジニア、コンピュータプログラマー等のような専門家によって提供されるものである。」(商品・サービス国際分類表類別表(注釈付き)対訳表)。すなわち、上記指定役務の取引者、需要者は、当該役務の性質上、いわゆるビジネスマンとして社会で活躍する成人男女全般が該当する。これらの者が通勤時の負担軽減や健康管理に関心を持ち、その際に重要な働きを担う「履物」に注意を払うのは当然のことである。そして、周知著名となっている申立人の商品には「ビジネスシューズ」も含まれる(甲34〜甲35)。そうとすれば、本件商標の指定役務の取引者、需要者と引用商標に係る「履物」の取引者、需要者とは、相当程度共通する。
(5)前記のとおり、商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、所謂狭義の混同のみならず、商品や営業の関連性を想起させる広義の混同が含まれる(前記最高裁判決)。さらに、同号の目的からすれば、周知表示又は著名表示へのフリーライド希釈化(ダイリューション)を防止することも重要であるとされている。
しかるところ、上に検討したように、引用商標の著名性、申立人が引用商標を使用し周知・著名となっている商品と本件商標の第35類及び第42類の指定役務の取引者、需要者が相当程度共通すること等、その商品の提供者や取引者・需要者層の個別・具体的な関連性や共通性の実情等を総合的に考察すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合には、それがあたかも申立人の著名ブランドである「ecco」ブランドに係る申立人の提供する役務であるかのごとく誤認され、そうでなくとも、何らかの密接な営業上の関連性を想起させ、あたかも申立人のグループ会社か、あるいは許諾を受けた者に係る役務であるかのごとく誤認させ、営業上の出所混同を生じるおそれが極めて高いといわねばならない。
(6)小括
以上のとおり、本件商標がその指定役務について使用された場合は、申立人の著名商標に係る商品と出所の混同を生ずるおそれが高いものであり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

4 当審の判断
申立人の主張において、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する標章は、申立人の主張及び甲各号証から、引用商標及び別掲3のとおりの標章(以下「使用標章」という。また、引用商標と使用標章を合わせて「引用商標等」という。)と認定し、判断した。
(1)引用商標等の周知性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、1963年にデンマークで創業した靴の製造、販売会社であり、1982年にデンマークで直営店をオープンし、今では全世界に3800以上の店舗を構えている(甲3)。そして、我が国においては、2016年に旗艦店として銀座に直営店を開設し、現在では伊勢丹、大丸、PARCO、松坂屋、三越等の百貨店など全国に80以上の店舗を有している(甲4〜甲12)。
(イ)申立人は、申立人の製造・販売に係る靴(以下「申立人商品」という。)を取り扱う上記の各店舗において、引用商標等を表示するとともに、引用商標等を使用して申立人商品に係る、キャンペーン告知のはがきやリーフレット等を作成したり、SNS等による告知等を行っている(甲13)。また、地下遊歩道や地下鉄駅構内に掲示した申立人商品の広告には、引用商標等が表示されている(甲14)。
(ウ)申立人商品は、雑誌や業界紙、インターネットにおいて紹介されている(甲15〜甲29)ものの、引用商標等が表示されていないものもある。
(エ)申立人の主張によると、申立人商品の出荷数及び売上高は、直営店向けに毎年20万足から30万足であり、概算で2015年に32億円、2016年に38億円、2017年に46億円、2018年に49億円、2019年に54億円程度とされる。
(オ)申立人商品は、2015年12月頃から2020年10月頃まで我が国に出荷されていること(甲30、甲31)及び現在も販売されていること(職権調査)が認められる。
イ 上記アからすれば、申立人は、1963年にデンマークにおいて設立された靴の製造、販売会社であり、現在、全世界に3800以上の店舗を有しているとされている。そして、申立人は、我が国においては、2015年頃から現在まで継続して、全国の百貨店をはじめ80以上の店舗において申立人商品を販売するとともに、新聞、雑誌、インターネット等において申立人商品の広告を行っていることなどからすれば、申立人商品は、需要者の間である程度知られているということはできる。
しかしながら、申立人が主張する、直営店向け出荷数(毎年20万足から30万足)は、直営店を運営する申立人の日本法人向け請求書(甲31)で確認できる出荷数とは大きく異なるものであるから、これが取引の一部だとしても、直ちにその数値(出荷数)を採用することはできず、そのため、当該出荷数(毎年20万足から30万足)に基づいた売上高(2015年ないし2019年に概算で32億円ないし54億円程度)は、客観性に欠けるといわざるを得ない。
また、本件商標の登録出願時及び登録査定時における申立人商品の出荷数及び売上高は明らかにされていない。
この他に、申立人商品が我が国の取引者、需要者においてどの程度認識されているかを客観的に把握できる証拠は見あたらない。
以上からすれば、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品に使用されている引用商標等が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において、広く認識されているものと認めることはできない。
ウ なお、申立人は、引用商標等の周知・著名性を証するものとして過去の異議決定(甲32、甲33)を提出しているが、引用商標等の周知・著名性については、本件商標の登録出願時及び査定時又は審決時における実情に基づいて判断すべきものであるから、それをもって上記判断が左右されるものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標等との類似性について
本件商標は、別掲1のとおり、円形を基調とし、ややデザイン化した「ecco」の欧文字よりなるところ、その構成文字に相応し「エコー」、「エッコ」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に記載はなく、また何らかの意味合いを認識させるものでもないから、これより特定の観念は生じない。
一方、引用商標等は、別掲2のとおり、円形を基調とし、ややデザイン化した「ecco」の欧文字(「e」の左上及び「o」の右上が切断されている。)よりなるところ、その構成文字に相応し「エコー」、「エッコ」の称呼を生じ、当該文字は、上記(1)のとおり広く認識されているものではないし、辞書等に記載はなく、また何らかの意味合いを認識させるものでもないから、これより特定の観念は生じない。
そこで、本件商標と引用商標等の類否を検討すると、外観においては、
本件商標と引用商標等とは、上記のとおり、欧文字の綴りを共通にするものであり、その差異は、「ecco」の欧文字における「e」の左上及び「o」の右上の切りこみの有無であるから、両者は、外観において似かよった印象を与える。
次に、本件商標と引用商標等との称呼についてみるに、共に「エコー」、「エッコ」の称呼を生じ、また、観念については、本件商標と引用商標等とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較できないものである。
そうすると、本件商標と引用商標等とは、称呼を共通にし、外観において似かよった印象を与え、観念においては比較することができず、これらを総合的に判断すれば、両者は類似の商標であって、その類似性の程度は低いものではないというべきである。
イ 本件商標に係る役務と引用商標等に係る商品(申立人商品)の関連性、需要者の共通性について
本件商標の指定役務と申立人商品(靴)は、目的、提供場所又は販売場所、提供事業者又は取扱業者等において異なるものであるから、両者の関連性は低く、その取引者、需要者も異なるものである。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記(1)、ア及びイからすると、引用商標等は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとは認められないものであり、また、本件商標と引用商標等は、類似性の程度が低いものではないとしても、本件商標の指定役務と申立人商品は、関連性は低く、取引者、需要者も異なるものである。
そして、これらを踏まえて、本件商標の指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務に使用しても、取引者、需要者をして引用商標等を連想又は想起することはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当である。
この他に、申立人のいずれの主張を検討しても、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではなく、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標)


別掲3(使用標章)


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-05-11 
出願番号 2020038833 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W3542)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 馬場 秀敏
岩崎 安子
登録日 2021-05-17 
登録番号 6389680 
権利者 株式会社エッコ
商標の称呼 エコー、エッコ、エオー、エオオオ 
代理人 外川 奈美 
代理人 青木 篤 
代理人 齋藤 宗也 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ