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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W44
管理番号 1385413 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-30 
確定日 2022-06-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第6387557号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6387557号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6387557号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年11月19日に登録出願され、第3類「化粧品」及び第44類「美容」を指定商品及び指定役務として、令和3年4月5日に登録査定、同年5月11日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、次の2件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの登録商標をまとめて「引用商標」という。)。
1 登録第5757464号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:「ONE & ONLY」の文字を標準文字で表してなるもの
登録出願日 平成26年3月4日
設定登録日 平成27年4月10日
指定役務 第44類「温泉施設の提供,温泉施設に関する予約の媒介又は取次ぎ,人又は動物に関する保健衛生及び美容,理容,美容,理容及び美容に関する予約の媒介又は取次ぎ,マッサージ,爪の美容,足の爪の美容,エステティックサロン及びネイルサロンに関する予約の媒介又は取次ぎ,医業,獣医業,医療施設における医療,医療施設に関する予約の媒介又は取次ぎ」及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
2 登録第6318013号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
登録出願日 令和元年8月13日
設定登録日 令和2年11月18日
指定役務 第44類「温泉施設の提供,温泉施設に関する予約の媒介又は取次ぎ,人又は動物に関する保健衛生及び美容,理容,美容,理容及び美容に関する予約の媒介又は取次ぎ,マッサージ,爪の美容,足の爪の美容,エステティックサロン及びネイルサロンに関する予約の媒介又は取次ぎ,獣医業,医療施設における医療,医療施設に関する予約の媒介又は取次ぎ」並びに、第36類、第39類、第41類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標について
本件商標は、「one」、「only」の欧文字、これらの欧文字の間に配置された「∞」の記号、及びこれらの文字の下段に配置された「ワン エン オンリー」の片仮名からなるものであり、それぞれゴシック体様のフォントで記載されている。
称呼については、「one」からは「ワン」、「only」からは「オンリー」の称呼が生じる。一方、「∞」は無限(大)を意味する記号であることから、「∞」単独では「ムゲン」ないし「ムゲンダイ」との称呼が生じ得る。しかし、本件商標が「one ∞ only」と「ワン エン オンリー」の二段併記という構成からなるものであることを踏まえると、下段は上段の読みを表したものと解することができる。したがって、本件商標に関する限りにおいて、「∞」は「エン」と称呼すると解するのが自然である。よって、本件商標の上段、下段のいずれからも「ワンエンオンリー」の称呼が生じると解する。
英語の発音には、複数の単語が連なることで、スペル上は存在するものの特定の文字が弱く、ないし短く発音される「リダクション」という現象が生じることがある。例えば、「take care(テイクケア)」について「テイッケア」と発音される。これは、「and(アンド、エンド)」でも同様であり、前後に単語が存在することで、単に「アン」や「エン」、または「ン」のように発音される(甲4、甲5)。
「one and only」という語は日本でもしばしば使用され、比較的馴染みのある語であるところ、本件商標権者がこれとは全く無関係に何ら観念を生じさせない造語として「ワン エン オンリー」なる語を登録したと考えるのは不自然であるから、「ワン エン オンリー」は「one and only」を意味するものであり、「エン」部分は前述のリダクションが生じた発音で記載されたものといえる。
そして、「one and only」には、形容詞として「ただ一つの、唯一無二の、二つとない」という意味があるほか、名詞として「かけがえのない人」という意味もあるから、本件商標からはこのような観念が生じる(甲6)。
2 引用商標について
(1)申立人
申立人は、One&Only、Atlantis、Mazanga、SIROなどのブランド名を使用し、ドバイ、モルディブ、モロッコ、南アフリカ、メキシコ、モーリシャス他様々な国において最高級リゾートホテルやホテルに付随するゴルフ場、カジノ施設などの開発・運営を手掛ける国際的な企業であり、特に、One&Onlyは申立人が運営する施設の中で最も施設数の多い代表的なブランドであって、現在世界各地で12の高級ホテルを運営しているほか、現在も同ブランド名のホテルをギリシャで2か所、ドバイで1か所建設中である。
(2)引用商標の構成
ア 外観
引用商標1は、「ONE & ONLY」の欧文字を標準文字で表してなるものである。
引用商標2は、「ONE&ONLY」(決定注:「One&Only」の誤りと思われる。)の欧文字をTimes New Roman様の文字で、若干右に傾けた書体で表してなるものである。
イ 称呼
引用商標1及び引用商標2のいずれからも、「ワンアンドオンリー」、「ワンエンドオンリー」、「ワンアンオンリー」、「ワンエンオンリー」などの称呼が生じる。
ウ 観念
上述のように、「one and only」には、形容詞として「ただ一つの、唯一無二の、二つとない」という意味があるほか、名詞として「かけがえのない人」という意味もある。
したがって、引用商標1及び引用商標2のいずれからも、このような観念が生じる。
3 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標は、いずれも「ONE(又はOne又はone)」及び「ONLY(又はOnly又はonly)」という同一の文字を含み、両商標は、「∞」と「&」という8文字中わずか1文字において相違するに過ぎず、相違する文字部分も目に付きやすい商標の語頭などではなく、単語「ONE(又はOne又はone)」と「ONLY(又はOnly又はonly)」の間における相違である。加えて、「∞」と「&」は共に2つの環を組み合わせたような曲線の形状からなる記号であるため、視覚上近似した印象を与える。
さらに、本件商標はゴシック体様の文字、引用商標1は標準文字、引用商標2はTimes New Roman様の文字でそれぞれ記載されており、いずれも一般的に用いられるフォントであるから、いずれかの商標が外観上強い印象を与えるなどの事情はない。
したがって、本件商標と引用商標は、外観上類似する。
本件商標からは、「ワンエンオンリー」の称呼が生じ、引用商標からは、「ワンアンドオンリー」、「ワンエンドオンリー」、「ワンアンオンリー」、「ワンエンオンリー」などの称呼が生じるから、本件商標と引用商標は、称呼上類似する。
本件商標と引用商標からは、形容詞の「ただ一つの、唯一無二の、二つとない」、ないし名詞の「かけがえのない人」という同一の観念が生じ得る。
以上のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼、観念上同一又は類似するものであるから、両商標が同一又は類似の役務に使用された場合に、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ず、両商標は類似するものである。
4 本件商標と引用商標の指定役務の比較
本件商標に係る第44類の指定役務は、引用商標1及び引用商標2に係る第44類のいずれかの指定役務とその役務の目的、取引者・需要者の範囲等を共通にする同一又は類似する役務である。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、引用商標と外観、称呼、観念上同一又は類似するものであって、引用商標の指定役務と同一又は類似する指定役務に用いられるものである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、「one ∞ only」の欧文字及び記号並びに「ワン エン オンリー」の片仮名を上下二段に横書きしてなる構成よりなるものである。そして、上段の構成中の「one」及び「only」の欧文字はそれぞれ「一つの」及び「唯一の」を意味する親しまれた英単語であることから、各文字に相応して「ワン」及び「オンリー」の称呼を生じうるが、中間に配置された「∞」の記号は、「無限(大)」を表すものであって、特定の称呼を生じるものではないことから、上段の欧文字及び記号からは、直ちに一連の称呼が生じるものではない。
また上段の欧文字及び記号は、それぞれ上記の意味を有するところ、全体として辞書等に掲載がないことから、一連の造語を表示したものと認められる。
そして、下段の「ワン エン オンリー」の構成中、「ワン」及び「オンリー」の片仮名は上段の「one」及び「only」の文字をそれぞれ片仮名で表したものと理解されるから、かかる構成においては、下段の片仮名が上段の欧文字及び記号の称呼を特定したものとするのが自然である。
そうすると、本件商標は、その片仮名部分に相応した「ワンエンオンリー」の称呼を生じるものであり、特定の観念は生じないものである。
2 引用商標について
引用商標1は、上記第2の1のとおり「ONE & ONLY」の文字を標準文字で表してなり、「ONE」の欧文字、「&」の記号及び「ONLY」の欧文字との間に1文字程度の空白を有するものの同じ大きさ、同じ書体をもって、外観上、まとまりよく一体的に表されているものである。
また、引用商標2は、別掲2のとおり、「One」の欧文字と「Only」の欧文字とを装飾的な書体で表した「&」の記号で連結した構成からなるところ、「&」が装飾的な書体であるとしても、同じ大きさ、同じ間隔をもって外観上、まとまりよく一体的に表されているものである。
そして、「&」は、英語の「and」を表す記号であって、「&」の前後の語を対等に結合させるための記号として一般に採択されており、引用商標に通じる「one and only」の文字は、全体として「ただ一つの、あの有名な」(株式会社大修館書店 ベーシックジーニアス英和辞典 第2版)の意味を有する英語である。
そうすると、引用商標は、その構成全体をもって一体不可分のものとして認識し、把握されるとみるのが相当である。
してみると、引用商標は、その構成文字全体に相応して、「ワンアンドオンリー」の称呼が生じ、「ただ一つの、あの有名な」の観念を生ずるものである。
3 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否について検討すると、外観については、両商標の全体の構成はそれぞれ別掲1と上記第2の1及び別掲2のとおりであり、本件商標は上下二段の構成よりなることから、そもそも引用商標と全体構成を異にする上、本件商標の上段部分と引用商標の構成文字も、前半部の「one(ONE、One)」及び後半部の「only(ONLY、Only)」の綴りを共通にするが、中間において、「∞」と「&」とで相違し、該差異は、8文字構成という比較的少ない文字構成よりなる本件商標の上段部分と引用商標の外観全体に与える視覚的印象は大きく、見誤るおそれはないものであるから、両商標は、外観上、明確に区別することができるものといえる。
次に、称呼については、本件商標から生じる「ワンエンオンリー」の称呼と、引用商標から生じる「ワンアンドオンリー」の称呼とは、中間において、「エン」と「アンド」の音の差異を有し、両商標をそれぞれ一連に称呼した場合は、その語調、語感が異なり、十分に聴別しうるものと判断するのが相当である。
そして、観念については、本件商標からは、特定の観念が生じないのに対し、引用商標からは、「ただ一つの、あの有名な」の観念が生じるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において明確に区別することができ、称呼においても十分に聴別でき、観念においても相紛れるおそれはないことから、その外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
4 小括
したがって、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
5 申立人の主張について
申立人は、本件商標下段の「ワン エン オンリー」は、「one and only」をリダクション(音声変化の一つ)が生じた発音で記載されたものであることから、本件商標からは「one and only」に通じる観念が生じる旨主張し、甲第4号証ないし甲第6号証を提出している。しかしながら、甲第4号証によれば、リダクションは、「ネイティブが自然なスピードで話した時に起こる「音声変化」のひとつ。」であって、少なくとも、「and」を「エン」と発音することが、我が国の需要者に広く親しまれ、一般的に用いられている発音方法と認めるに足りる証拠は見いだせない上、本件商標の構成中、下段の「ワン エン オンリー」の片仮名は、上記1のとおり、造語である本件商標の構成中、上段の読みを特定したものであると認められることから、構成中の「エン」の文字は「and」の発音(読み)を表したものとはいえず、「one and only」に通じる観念が生じるものではない。
また、申立人は、引用商標から、リダクションが生じた発音である、「ワンエンオンリー」の称呼をも生じる旨主張しているが、「and」をリダクションにより発音することが、一般的に用いられる発音方法とまでは認めることはできないことは上述のとおりであるから、引用商標から「ワンエンオンリー」の証拠が生じるとは認められない。
したがって、申立人の上記主張は、採用することができない。
6 むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲

【別掲1】本件商標


【別掲2】引用商標2



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異議決定日 2022-05-23 
出願番号 2020143427 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W44)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 大森 友子
鯉沼 里果
登録日 2021-05-11 
登録番号 6387557 
権利者 風間 玲奈
商標の称呼 ワンエンオンリー、ワンオンリー、オンリー 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 石田 昌彦 
代理人 田中 克郎 
代理人 栗下 清治 
代理人 浜田 治雄 

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