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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) W29
管理番号 1385401 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-18 
確定日 2022-04-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6332849号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6332849号商標の指定商品中、第29類「スペイン産のイベリコ豚の肉を使用した生ハム(地理的表示(ギフエロ)で保護された生ハムを除く。)」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6332849号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの態様からなり、令和元年10月23日に登録出願、第29類「スペイン産のイベリコ豚の肉を使用した生ハム」を指定商品として、同2年12月16日に登録査定、同月22日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立て理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第16号並びに条約に違反して商標登録されたものに該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として資料1ないし資料3を提出した。
1 原産地呼称保護(PDO)「ギフエロ」の定義
(1)欧州連合(以下「EU」という。)の地理的表示制度は、特定の地域を原産地とし、その品質や評判等の特性がその原産地と結びつきがある製品の名称を保護する。
(2)原産地呼称保護(Protected Designation of Origin、以下「PDO」という。)と地理的表示保護(Protected Geographical Indication)の違いは、主に、産地内で調達された原材料の割合、または特定地域内で行われた生産工程の割合の度合いによって決められ、PDOとして登録されている製品は、産地との関連性が最も高い。
(3)PDOとして登録されている「ギフエロ」(Guijuelo)(以下単に「ギフエロ」という。)の表示は、特定の地域で豚が飼育され、豚の品種、食餌その他の条件を満たし、さらに決められた方法で加工され、熟成期間を守って生産されていることを消費者に保証する表示である。この製造行程を規制するのはギフエロ原産地呼称委員会であり、定められている条件で生産する生産者にのみ、対象製品の製造及び販売のために「ギフエロ」ブランドに適合していることを証する認定印を使用することができる。
2 EUにおける「ギフエロ」
「ギフエロ」は、EU議会の農産物品質に関する2012年11月21日の(UE)1151/2012規則により肉製品に分類されるもののうち差別化された品質を有するものとしてEU全域で法的に保障されている。
3 商標「ギフエロ」は、日本で保護対象とされている
日本では、2019年2月1日に提携された日EU経済連携協定の第14条「地理的表示に関する両提携国の法令」により、「Guijuelo(ギフエロ)」は保護の対象となった。同協定の付属書14−B、1215ページに「ギフエロ」の表記がある(外務省ウェブページ https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000382086.pdf 15頁)。
4 日EU経済連携協定における地理的表示に関する規定(第14章「知的財産」)
この規定は、次のように定めている。
(1)第14章「知的財産」第B節「知的財産に関する基準」第2款「商標」第14・18条(以下、単に「日EU経済連携協定第14・18条」と省略する場合がある。他も同じ。)
「各締約国は、登録された商標の権利者の承諾を得ていない全ての第三者が、当該登録された商標に係る商品又はサービスと同一又は類似の商品又はサービスについて同一又は類似の標識を商業上使用することの結果として混同を生じさせるおそれがある場合には、当該権利者がその使用を防止する排他的権利を有することを確保する。同一の商品又はサービスについて同一の標識を使用する場合は、混同を生じさせるおそれがある場合であると推定される。そのような排他的権利は、いかなる既得権も害するものであってはならず、また、締約国が使用に基づいて権利を認める可能性に影響を及ぼすものであってはならない。」(外務省ウェブページ https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000382088.pdf 320頁)。
(2)第14章「知的財産」第B節「知的財産に関する基準」第2款「商標」第14・27条第1項
「各締約国は、地理的表示がこの款の規定に基づいて保護される場合には、その使用が商品の品質を誤認させるおそれがある商標の登録を拒絶する。ただし、当該商標の登録出願が、関係する領域において2及び3に規定する地理的表示の保護を適用する日の後に提出される場合に限る。この1の規定に違反して登録された商標については、無効とする。」(外務省ウェブページ https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000382088.pdf 329頁)
5 適用される規則
(1)上記4(2)のとおり、日EU経済連携協定には、当事者が「その使用が商品の品質を誤認させるおそれがある商標の登録を拒絶する。」旨の一般的な義務が含まれるところ(同協定第14・27条第1項)、同協定第14・22条第2項において、「地理的表示」とは、ある商品について、その確立した品質、社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において、当該商品が締約国の領域又はその領域内の地域若しくは地方を原産地とするものであることを特定する旨規定している。したがって、地理的表示に類似した商標出願は、地理的表示によって保護されているが仕様を満たさない同一カテゴリーの一般商品に関しては、地理的表示によって保護される品質特性を持つとの誤解を生じさせるため、登録できない。
(2)本件商標の指定商品は、すべての「スペイン産のイベリコ豚の肉を使用する生ハム」が、スペインのギフエロ市周辺地域に起因する品質を備えているかのごとく、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(3)本件商標権者は、地理的表示「ギフエロ」をブランド名として占有的に使用しているところ、当該行為は、他社が地理的表示「ギフエロ」の名の下に販売する商品との混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)工業所有権の保護に関するパリ条約第10条の2
工業所有権の保護に関するパリ条約第10条の2(以下「パリ条約第10条の2」という。)は、「いかなる方法によるかを問わず、競争者の営業所、産品又は工業上若しくは商業上の活動との混同を生じさせるようなすべての行為」を含む「工業上又は商業上の公正な慣習に反するすべての競争行為は、不正競争行為を構成する。」と規定している。

第3 当審における取消理由
審判長は、令和3年12月28日付け取消理由通知書をもって、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)に対し、本件商標の登録は、その指定商品中、第29類「スペイン産のイベリコ豚の肉を使用した生ハム(地理的表示「ギフエロ」で保護された生ハムを除く。)」について、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものである旨通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えた。

第4 本件商標権者の意見
本件商標権者は、上記第3の取消理由に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第16号該当性について
(1)商品の品質の誤認を生ずるおそれについて
商標法第4条第1項第16号が「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」について商標登録を受けることができないと規定しているのは、商標を構成する文字、図形等が直接的に特定の商品の特性を表示したものであるため、当該商標が特定の商品以外の商品に使用された場合に、取引者、需要者が商品の品質を誤認して、商品を購入することがないように取引者、需要者の保護を図ることにあるものと解される(平成27年12月25日判決言渡平成27年(行ケ)第10162号)。
(2)地理的表示保護制度における品質の誤認について
申立人の主張及び提出した証拠並びに職権による調査によれば、別掲2の1及び2のとおり、地理的表示保護制度においては、特定の産地と品質等の面で結び付きのある農林水産物・食品等の産品の名称を、地理的表示として保護している。
そうすると、地理的表示産品として登録されている名称を、当該産地と品質等の面で結び付きのある商品以外の商品に使用するときは当該商品の品質に誤認をあたえるものと認められる。
(3)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、黒地に金色で表された王冠と豚とおぼしき図形の下部に金字で表された「GUIJUELO」(「G」の文字は他の文字に比して大きく表され、「O」の文字はやや図案化されている)の文字を横書きしてなるものである。
ところで、申立人の主張及び提出した証拠並びに職権による調査によれば、別掲2の2及び3のとおり、地理的表示保護制度については、新聞等により報道され、「Guijuelo」及び「ギフエロ」の文字についても、日EU経済連携協定発効前の地理的表示分野の合意概要として肉製品(ハム)における地理的表示として、平成31(2019)年2月1日に公表され、また、外国の特定農林水産物等の名称(地理的表示)として、同日に指定の公示がなされるとともに、新聞、雑誌、ウェブサイト等においても、ハムの地理的表示及び一定の品質を有するハムの生産地名として掲載されている。
そうすると、本件商標の登録査定時(令和2(2020)年12月16日)において、我が国の需要者の間では「Guijuelo」及び「ギフエロ」の文字が、肉製品(ハム)の地理的表示及び一定の品質を有するハムの生産地名を示すもの、すなわち直接的に特定の商品の特性を表示したものとして認識、把握されるものというのが相当である。
以上から、本件商標は、その構成中に地理的表示として登録されており、需要者に一定の品質を有するハムの生産地名として知られている「GUIJUELO」の文字を有しているものであるから、その指定商品中「地理的表示「ギフエロ」で保護された生ハム」以外の「スペイン産のイベリコ豚の肉を使用した生ハム」に使用するときには、当該商品があたかも「地理的表示「ギフエロ」で保護された生ハム」であるかのごとく、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標はその指定商品中「スペイン産のイベリコ豚の肉を使用した生ハム(地理的表示「ギフエロ」で保護された生ハムを除く。)」については、商標法第4条第1項第16号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は、商標法第4条第1項第15号の規定に基づき、本件商標権者が「地理的表示「ギフエロ」をブランド名として専有的に使用することは、他社が地理的表示「ギフエロ」の名の下に販売する商品との混同を生ずるおそれがある。」旨を主張しているので、以下、検討する。
本規定は、商標登録出願された商標(以下「出願商標」という。)が他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標である場合に、その登録を認めない旨の規定であり、「混同を生ずるおそれ」の判断は、出願商標と他人の標章との類似性の程度、他人の標章の周知著名性及び独創性の程度や、出願商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の関連性、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他の取引の実情に照らして、当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるものである。
しかしながら、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあるとする引用標章を示す証拠は提出されていないから、上記に述べた「混同を生じるおそれ」について判断することができない。
また、職権による調査によっても、本件商標の指定商品の取引者、需要者の間で、本件商標が他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあるとする事情も発見できなかった。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるとはいえないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 条約に違反して商標登録されたこと(工業所有権の保護に関するパリ条約第10条の2及び日EU経済連携協定第14・27条第1項に違反すること)について
(1)工業所有権の保護に関するパリ条約第10条の2は、別掲3のとおり、不正競争行為の禁止について規定しているところ、本件の登録異議の申立ては、商標登録出願に係る登録処分の適否を審理するものであって、不正競争行為については、同条約に基づく他の法令において判断がなされるべきものであるから、当審において判断することはできない。
(2)日EU経済連携協定第14・27条第1項の規定は、別掲2の1(2)イのとおり、「地理的表示がこの款の規定に基づいて保護される場合には、その使用が商品の品質を誤認させるおそれがある商標の登録を拒絶する。」旨規定しているところ、我が国においては、商標法第4条第1項第16号によって商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標を拒絶しているものである。
そして、上記1のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品中、第29類「スペイン産のイベリコ豚の肉を使用した生ハム(地理的表示「ギフエロ」で保護された生ハムを除く。)」についての登録は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわなければならないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
しかしながら、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品、すなわち、「地理的表示「ギフエロ」で保護された生ハム」については、取り消すべき理由はないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲1 本件商標(色彩は原本参照)


別掲2 「GUIJUELO」及び「ギフエロ」の文字について
1 「ギフエロ」の日EU経済連携協定における取り扱いについて
(1)日本では、2019年2月1日に発効された「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定」(以下「日EU経済連携協定」という。)において、「Guijuelo(日本語表記:ギフエロ)」が「肉製品(調理したもの、塩蔵したもの、くん製したもの等)[豚肉のハム]」について、地理的表示として保護の対象となった(同協定の「附属書14−B 地理的表示の表」1215頁 外務省ウェブページ https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000382086.pdf 15頁)。
(2)日EU経済連携協定における地理的表示に関する規定(「第14章 知的財産」第B「知的財産に関する基準」)
標記規定では、次のように定めている。
ア 第2款「商標」第14・18条「商標により与えられる権利」
「各締約国は、登録された商標の権利者の承諾を得ていない全ての第三者が、当該登録された商標に係る商品又はサービスと同一又は類似の商品又はサービスについて同一又は類似の標識を商業上使用することの結果として混同を生じさせるおそれがある場合には、当該権利者がその使用を防止する排他的権利を有することを確保する。同一の商品又はサービスについて同一の標識を使用する場合は、混同を生じさせるおそれがある場合であると推定される。そのような排他的権利は、いかなる既得権も害するものであってはならず、また、締約国が使用に基づいて権利を認める可能性に影響を及ぼすものであってはならない。」(外務省ウェブページ https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000382088.pdf 320頁)。
イ 第2款「商標」第14・27条「商標との関係」第1項
「各締約国は、地理的表示がこの款の規定に基づいて保護される場合には、その使用が商品の品質を誤認させるおそれがある商標の登録を拒絶する。ただし、当該商標の登録出願が、関係する領域において2及び3に規定する地理的表示の保護を適用する日の後に提出される場合に限る。この1の規定に違反して登録された商標については、無効とする。」(外務省ウェブページ https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000382088.pdf 329頁)
ウ 日EU経済連携協定の合意内容
農林水産省食料産業局は、平成29年12月に、「日EU・EPA(GI分野)の概要」と題し、日EU経済連携協定の合意内容として、地理的表示と商標との関係について、「協定発効後、保護されているGIと同一・類似名称の商標出願があった場合、当該商標が、GI産品の品質に誤認を与える場合、当該商標出願は拒絶される。」旨公表している(農林水産省ウェブページ 別紙1 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/outline/attach/pdf/index-160.pdf)。

2 「Guijuelo」を含む我が国における地理的表示の保護について
(1)農林水産省においては、日EU経済連携協定に基づき、当該国及び地域の地理的表示産品について登録されている商品を外国の特定農林水産物等の名称として登録しているところ、「Guijuelo」(日本語表記:ギフエロ)が、次のとおり公示されている。
指定年月日:平成31年2月1日
指定番号:第56号
農林水産物等の区分:第6類 畜産加工品類 食肉製品類(ハム類)
農林水産物等の生産地:スペイン 原材料であるイベリア種の豚が飼育される地域(生産地域)、ハム及びショルダーハムが加工される地域(加工地域)(なお、詳細については、次のとおり。)

(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/designation/attach/pdf/56-1.pdf)
(証拠方法(2)(2の丸囲み文字)農林水産省ウェブページ)

(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/designation2/index.html)
(2)特定農林水産物等の名称の保護に関する法律
特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(以下「地理的表示法」という。)においては、その目的及び外国の特定農林水産物等の保護について、次のとおりとしている。
ア 目的
「・・・特定農林水産物等の名称の保護に関する制度を確立することにより、特定農林水産物等の生産業者の利益の保護を図り、もって農林水産業及びその関連産業の発展に寄与し、併せて需要者の利益を保護することを目的とする。」(第1条)
イ 外国の特定農林水産物等の指定
「・・・我が国がこの法律に基づく特定農林水産物等の名称の保護に関する制度と同等の水準にあると認められる特定農林水産物等の名称の保護に関する制度(以下「同等制度」という。)を有する外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下この項において同じ。)であって、次の各号のいずれにも該当するもの(以下「締約国」という。)と相互に特定農林水産物等の名称の保護を図るため、当該締約国の同等制度によりその名称が保護されている当該締約国の特定農林水産物等について指定をすることができる。」(第23条第1項柱書)
3 我が国の需要者における「Guijuelo」及び「ギフエロ」の文字及び地理的表示保護制度の認識について
(1)「Guijuelo」(ギフエロ)の文字に係る各省による地理的表示保護について
上記(1)及び(2)のとおり、外務省ウェブサイトでは、「Guijuelo」(ギフエロ)の文字を地理的表示保護の対象として公表しており、また、上記(2)アのとおり、農林水産省では、「Guijuelo」(ギフエロ)の文字を地理的表示法に基づき公示している。
さらに、農林水産省では、地理的表示保護制度に関する様々な情報を関係者に広く周知することを目的に、「地理的表示(GI)保護制度」としてウェブサイト上にページを設け、各種情報を掲載するとともに、「地理的表示メールマガジン」を月1回程度配信しており、平成27年4月以降、令和4年3月7日に至るまで177回のメールマガジンを配信している(農林水産省ウェブページ https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/index.html、https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/mailmag/index.html)。
(2)新聞記事について
ア 「ギフエロ」について
(ア)2005年(平成17年)2月25日付け日本食糧新聞には、「ヨーロッパ名産食品(2)滑らかな味もつハモン・イベリコ・ギフエロ」の見出しの下、「ハモン・イベリコ・ギフエロ(西)(PDO認証) イベリコ豚は、スペインのイベリア半島原産の黒豚で、遺伝子学的にもたいへん貴重な品種。・・・中でも、サラマンカ県にあるギフエロ村の産するものだけがPDO認証を受けている。・・・ギフエロ産のハムは比較的塩分が少なめで、あまりくせが強くなく滑らかで甘い特徴がある。肉質は軟らかく風味豊か、栄養価が高く絶妙な味わいで、高級食材として注目されている。」との記載がある。
(イ)2007年(平成19年)3月16日付け日本食糧新聞には、「ヨーロッパ名産食品(下)ロゴの周知いま一歩 EU品質認証システム」の見出しの下、「チーズ、オリーブオイルに続いて日本で販売されている認証商品に、食肉加工品がある。・・・PDO認証の・・・スペイン「ハモン・イベリコ・ギフエロ」(イベリコ豚を原料に、サラマンカ県のギフエロ村で産する)。」との記載がある。
イ 地理的表示法について
(ア)2014年(平成26年)6月19日付け日本農業新聞には、「地理的表示法が成立」の見出しの下、「農林水産品・食品の地域ブランド化を進めるための「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(地理的表示法)が18日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。地域の特色ある農林水産物・食品について、一定の品質基準を設けた上で、産地名を含んだ商品名を「地理的表示」として保護し、不正な表示があった場合は国が取り締まる。」旨の記載がある。
(イ)2014年(平成26年)7月2日付け毎日新聞には、「経済観測:地理的表示制度が始まる」の見出しの下、「特定の地域で独自の方法・製法で作られ、品質上の特性が地域に由来していると特定された商品は、6月18日に成立した「地理的表示法」で、産地名を含む名称が保護されるようになる。」旨の記載がある。
(ウ)2014年(平成26年)9月17日付け日本農業新聞には、「地理的表示保護制度 非食用で意見募集/農水省 周知へ全国説明会」の見出しの下、「同省(農林水産省)は、今回の意見募集を含めた地理的表示保護制度全般を周知するために、9月30日の近畿地区を皮切りに各地区で説明会を順次開く。都道府県や市町村の担当者、農業団体や生産者が対象。同制度の運用に向けて来年度予算の概算要求では、地理的表示の登録について産地の相談に応じる知的財産の専門家や弁理士などの相談窓口を設置する「地理的表示保護制度推進事業」に1億円盛り込んだ。各地区の開催場所と日時は次の通り。」の記載及び各地(10カ所)の説明会の場所及び日程の記載がある。
(エ)2015年(平成27年)3月22日付け日本農業新聞には、「地理的表示で来月全国説明会 制度や申請を周知/農水省」の見出しの下、「農水省は、地域産品の名称を保護し、ブランド化を後押しする地理的表示保護制度の周知に本格的に取り組む。4月14日の仙台市を皮切りに全国9カ所で説明会を開き、産地関係者向けに具体的な申請方法を説明する。6月1日に予定する登録申請の受付開始に向け、5月からはメールマガジンも発行し、地域ブランドの動きを発信する。」及び「メールマガジンは、新規の申請内容や新たに登録を受けた内容、制度の運用状況などの情報について月に1回程度配信する。また農水省は地理的表示に登録された産品に付けるマークを近く公表する予定だ。ブロックごとの説明会の開催場所と日程は次の通り。」の記載並びに各地(9カ所)の説明会の場所及び日程の記載がある。
(オ)2015年(平成27年)4月11日付け朝日新聞には、「農産物輸出後押し、政府の「お墨つき」 GIマーク、6月から」の見出しの下、「6月から始まる「地理的表示保護制度」(GI制度)のマークが決まった。富士山や、国旗の日の丸など日本のシンボルを強調したデザインで、すぐ日本製の農産物とわかるようにした。地域の名産で一定の品質を持つ農林水産物・加工食品に、政府のお墨つきとしてつけられる。」の記載がある。
(カ)2015年(平成27年)4月12日付け毎日新聞には、「農水省:産地ブランド、認定マーク 6月から 輸出の促進狙う」の見出しの下、「農林水産省は、農水産物や食品の産地名を国がブランドとして保護する「地理的表示保護制度」を6月から始める。登録されると、海外などほかの地域の類似品が同じ名前を名乗ることはできなくなる。農水省は、地名のブランド力を向上させ、消費拡大や輸出促進につなげたい考えだ。制度開始を前に、農水省は、登録された産品に付けるマークを公表した。」旨の記載がある。
(キ)2015年(平成27年)4月13日付け日本食糧新聞には、「農水省、6月から地理的表示法施行へ マークも公表」の見出しの下、「農林水産省は10日、地理的表示法を6月に施行する考えを示し、同法に基づく制度のマーク(図)を公表した。・・・農水省は14日から、地理的表示の概要や説明会などを開催。また、メールマガジンを配信してPRしていく。」旨の記載がある。
(ク)2015年(平成27年)6月1日付け日本経済新聞には、「「地理的表示」きょうから、農水産ブランド、国が守る、黒酢・かぶせ茶・・・産地を強く。」の見出しの下、「1日、新しい地域ブランドの保護制度が始まる。特定の産地と結びついた農水産品を「地理的表示」に認定、不正使用は国が直接取り締まる。既存の認定制度と違い、違反者には懲役や罰金も科して国が産地を守る強力な保護制度だ。農林水産省が同日始める申請受け付けには、10以上の産地が名乗りを上げる見通し。地域ブランド振興の切り札として期待が高まる。」の記載がある。
(ケ)2015年(平成27年)7月14日付け日本経済新聞には、「食品などに地理的表示制、品質管理、生産者は努力を(多面鏡)」の見出しの下、「特定の産地と結びついた食品などの名称を保護する地理的表示制度が6月から始まった。すでに北海道の「夕張メロン」や鳥取県の「砂丘らっきょう」など登録申請が相次いでいる。」の記載がある。
(コ)2016年(平成28年)1月12日付け朝日新聞には、「(社説)地理的表示 地域おこしの推進力に」の見出しの下、「地域の気候や風土、伝統に根ざし、その地域の名を冠した農林水産品や食品などのブランドを守り、価値を高めていく。そんな地理的表示保護制度に基づき、夕張メロン(北海道)や江戸崎かぼちゃ(茨城県)、神戸ビーフ(兵庫県)など7品目が国の審査を経て登録された。」の記載がある。
(サ)2018年(平成30年)11月6日付け朝日新聞には、「日EUのEPA、2月にも発効」の見出しの下、「政府は6日、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の承認案と関連法案を閣議決定した。国会に提出し、12月まで開かれている臨時国会での成立を目指す。・・・関連法案は、EPAで農林水産品の地理的表示保護を強化するのに合わせた地理的表示法の改正案。」の記載がある。
(3)書籍
ア 「「生ハム」「サラミ」大全」(旭屋出版、平成30年10月25日初版発行、68頁)において、「ギフエロ Guijuelo D.O./Guijuelo D.O.P.」の見出しの下、「D.O.(D.O.P)名称はギフエロだが、生産地はギフエロの町だけでない。ギフエロに加え、その周辺地域も含まれ、レドラダ、ミランダ・デル・カスタニャル、ベハル、ソトセラノ、フラデス・デ・ラ・シエラ、タマメスなど77ヶ所。これらの地域で、スペイン国内のイベリコハムの生産量の、約60%もの量が生産されている。スペインで最も有名なD.O.とされる所以でもある。」旨の記載がある。
イ 「イベリコ豚の秘密とスペインの生ハム」(文芸社、2011年8月15日初版発行、180頁)において、「11.イベリコ・ハムの原産地呼称(D.O.P.)」の見出しの下、「現在4地域の原産地呼称が定められ、原産地統制委員会により厳重にイベリコ・ハムの品質が管理されています。このD.O.P.4地域の規定は、イベリコ・ハムにのみ適用される品質規定です。」の記載とともに、4地域の原産地呼称として、「a ギフエロ(D.O.P.“GUIJUELO”)」の解説として、地域情報やイベリコ・ハム生産指定地域、豚の品種の規定等の記載がある。
(4)ウェブサイト
ア 「スペイン市場 イベリアン」のウェブサイトにおいて、CATEGORY「イベリコ豚の生ハム」中の「ギフエロ産イベリコ生ハム」の見出しの下、「スペインのイベリコ豚生産地の中で最も有名で味の評価が高い内の一つ、ギフエロ地方の生ハムを使用しております。」の記載がある。
https://iberian.theshop.jp/items/45997163
イ 「生ハムドットコム」のウェブサイトにおいて、「イベリコ生ハムの量産地でもこだわりの伝統的技法で作る<ギフエロ・リサルド社>」の見出しの下、「生ハム.COMは、イベリコ生ハムの聖地ギフエロでも豚の選別のリーダー的存在、リサルドカストロ氏との業務提携を行っています。生ハム.COM店主が”ボデガ(熟成庫)”に入り、直接選んだ高品質なイベリコハムを輸入しています。」及び「D・O GUIJUELO(原産地呼称ギフエロ) イベリコ豚のハモン(後脚)と肩肉ハムの中で最古の原産地呼称で、サラマンカ地方の高地村落で作られたハムを指し、中でもギフエロが最も有名です。」の記載がある。
http://www.namaham.com/brand/lisardocastro.html
ウ 「株式会社鯉沼商会」のウェブサイトにおいて、商品情報の「厳選素材」中に、「ハモンイベリコ ギフエロ」の見出しの下、「ハモンイベリコ四大聖地のひとつ、ギフエロ地方で作られたこのハモンイベリコは、昔ながらの伝統的な製法を守り作られています。」の記載並びに商品名「ハモンイベリコ セボ カンポ ギフエロ 骨付き」、「ハモンイベリコ セボ カンポ ギフエロ スライス」、「チョリソ ベジョータ ギフエロ」及び「サルチチョン ベジョータ ギフエロ」の記載と各商品の画像が掲載されている。
https://koinuma-japan.com/type/special
エ 「スペイン輸入食材・販売のディバース」のウェブサイトにおいて、商品紹介のスペイン生ハム中の「カルディサン社 原木:ハモン イベリコ セボ デ カンポ JAMON IBERICO CEBO DE CANPO」の見出しの下、「原産地:スペイン・ギフエロ産」の記載並びに生ハムの画像が掲載されている。
http://www.diverse.co.jp/ham/259/
オ 「生ハム、オリーブオイルの情報・通販サイト THE STORY」のウェブサイトにおいて、「ギフエロ」の見出しの下、「ハモン・イベリコの原産地呼称(D.O.)のひとつ。・・・ギフエロでは皇族に献上されるために生ハムや腸詰製品が生産されてきた。ハモン・イベリコの中では最古の原産地呼称として知られ、実に国内生産量の半分以上がこのギフエロで生産されている。ギフエロ産の生ハムの特徴は比較的塩分が控えめであるが、涼しく乾燥した地域の為、塩漬け工程においてゆっくりと塩がなじんでいくからである。THE STORYが取り扱うアルトゥーロ・サンチェス社もこのギフエロで代々生ハム作りを行ってきた。100年の歴史を誇る彼らの製品は、このギフエロという地域の環境無くしては決して生まれなかっただろう。」の記載がある。
https://www.thestory.jp/blog/glossary/guijuelo/
カ 「イベリコ豚専門店イベリコ屋」のウェブサイトにおいて、「スペイン生ハムの産地」の見出しの下、「スペインの4大生ハム産地」として、「ギフエロ産 ギフエロはスペインの4つの生ハム産地の中で最も北に位置する地域。日本の青森〜北海道と同じ緯度に位置し、夏と冬の気温差が激しい地域です。日本と異なり、年間を通して涼しく乾燥しているため生ハムの生産に理想的な気候を有しています。涼しく乾燥した地域の特性上、塩漬け工程においてゆっくりと塩が馴染むため、ギフエロ産の生ハムは比較的塩分が控えめと言われています。そしてハモン・イベリコの中では最古の原産地呼称として知られ、実に国内生産量の半分以上がこのギフエロで生産されています。」の記載がある。
https://www.iberico.co.jp/hpgen/HPB/entries/61.html
キ 「イトーヨーカドー」の2017年(平成29年)12月23日付けFacebookにおいて、「【セブンプレミアムゴールド】クリスマス向けオススメ商品のご紹介♪」の見出しの下、「ハモンイベリコの三大聖地の一つ、スペインのギフエロ村で作られた熟成十八ヶ月の生ハム。」の記載と商品画像が掲載されている。
https://m.facebook.com/itoyokado/posts/1342092375917994/?_se_imp=0UuNc7B8u8oGuXiwH
ク 「成城石井」のウェブサイト中の「SEIJYO ISHII STYLE March.2018」において、「“ワイン&生ハム”のマリアージュを楽しもう!」の見出しの下、商品名「フリアンマルティン ハモンイベリコベジョータ 50g ¥1,690+税」の解説として、「スペインのサマランカ地方にある、イベリコの名産地ギフエロでドングリを食べて育った最高ランクのイベリコ豚を使用。」の記載及び商品の画像が掲載されている。
https://www.seijoishii.co.jp/product/style/2018_mar.html
ケ 「楽天市場」のウェブサイトにおいて、「生ハムの名産地「ギフエロ」産のイベリコ・デ・ベジョータ製品をお届けします。」の見出しの下、「ハモンイベリコの味わいは、素材・産地・熟成期間等によりそれぞれ個性があります。まろやかで塩分控えめがお好みなら、ギフエロ産がおすすめです。」、「D・O GUIJUELO(原産地呼称ギフエロ)は、長い生ハム作りの歴史を持つ高地村落で、スペインでも有数の生ハム生産地です。」及び「ギフエロ産の生ハムは、塩味控えめでマイルドなのが特徴です。標高の高い寒冷地であるギフエロでは、その寒く乾燥した気候を活かして、素材を海塩に漬け込む工程を短縮できます。」の記載並びに商品の画像が掲載されている。
https://item.rakuten.co.jp/iberico/c/0000000205/
コ 「YAHOO!JAPANショッピング」中の「肉処・絶品お惣菜 オリーブの実」のウェブサイトにおいて、「ポイント消化 送料無料 おつまみ 「スペイン産イベリコ豚 しっとり濃厚 大トロ生ハム 40g」ぽっきり お試し」の見出しの下、商品情報の項目に「世界一高級な生ハムで知られるハモンイベリコ 産地:Made in ギフエロの原産地呼称 熟成期間:6ヶ月〜24ヶ月以上最上ランクです!」、「原産国:スペイン(ギフエロ)」及び「イベリコ豚の名産地「ギフエロ産」だから、美味しい!! ギフエロでしか出せない旨味。 スペインでも最も歴史ある産地 味わい高める天然の減塩製法 生ハム作りに最適な自然環境」の記載がある。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/olive-no-mi/6666.html?sc_i=shp_pc_search_itemlist_shsrg_title#

別掲3(工業所有権の保護に関するパリ条約第10条の2)
第10条の2 不正競争行為の禁止
(1)各同盟国は、同盟国の国民を不正競争から有効に保護する。
(2)工業上又は商業上の公正な慣習に反するすべての競争行為は、不正競争行為を構成する。
(3)特に、次の行為、主張及び表示は、禁止される。
1 いかなる方法によるかを問わず、競争者の営業所、産品又は工業上若しくは商業上の活動との混同を生じさせるようなすべての行為
2 競争者の営業所、産品又は工業上若しくは商業上の活動に関する信用を害するような取引上の虚偽の主張
3 産品の性質、製造方法、特徴、用途又は数量について公衆を誤らせるような取引上の表示及び主張


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-03-14 
出願番号 2019136157 
審決分類 T 1 651・ 271- ZC (W29)
最終処分 08   一部取消
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 大森 友子
水落 洋
登録日 2020-12-22 
登録番号 6332849 
権利者 リーパス株式会社
商標の称呼 ギフエロ 
代理人 フェルナンド・エルナンデス 

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