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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) W09
管理番号 1385397 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-09-25 
確定日 2022-05-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第6267274号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6267274号商標の指定商品及び指定役務中、第9類「コンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),電子計算機,コンピュータ周辺機器,ダウンロード可能なコンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム,記録済みコンピュータプログラム,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務についての商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6267274号商標(以下「本件商標」という。)は,「Galaxy Mobile」の文字を標準文字で表してなり、令和元年8月6日に登録出願,第9類及び第41類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同2年6月9日に登録査定され、同年7月8日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標のうち、登録第4498554号商標及び登録第6309820号商標は次のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第4498554号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:Galaxy(標準文字)
指定商品 :第9類 別掲3のとおりの商品
登録出願日:平成12年6月8日
設定登録日:平成13年8月10日
2 登録第6309820号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:Galaxy Harajuku(標準文字)
指定商品 :第9類、第35類 別掲4のとおりの商品及び役務
登録出願日:平成31年3月11日
設定登録日:令和2年10月29日

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標はその指定商品中、第9類「全指定商品」及び第41類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第80号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 前提となる事実
(1)「GALAXY」の著名性について
ア 申立人が使用している商標「GALAXY」は、申立人が設計・開発・製造・販売しているスマートフォン、タブレット、ウェアラブル製品などに使用するブランド名で、これら一連の商品は「GALAXY」シリーズとして、需要者、取引者に認識されている。特に、スマートフォンのGALAXYシリーズは、2019年初頭時までの累計の販売数で、既に20億台を突破している(甲6)。また、申立人のスマートフォンの世界シェアは2012年頃から現在に至るまで約20%を維持し、世界No.1のシェアを維持している(甲7)。単純計算すると、世界でスマートフォンを使用する人口の5人に1人は申立人の「GALAXY」のスマートフォンを使用していることになる。また、タブレットにおけるシェアについても、2011年度からほぼ世界シェア2位を維持している(甲8)。
次に、我が国の国内携帯電話/スマートフォン市場規模の調査によると、近年の国内市場携帯電話出荷台数・ベンダー別シェアは次のとおり、国内と国外の競合他社が数多くいる中で、申立人のスマートフォンは高い占有率を誇っている(甲9〜甲12)。
なお、申立人の携帯電話・スマートフォンは全て「GALAXY」シリーズの製品であり、2018年ないし2020年第2四半期の656.5万台の出荷台数は「GALAXY」製品の出荷台数を意味する。
上記のとおり、申立人の「GALAXY」シリーズは世界中で販売されているため、申立人は世界で合計約400件もの「GALAXY」及び「GALAXY」を含む商標を出願・登録し、「GALAXY」シリーズの保護を図っている(甲13)。
イ 申立人の「GALAXY」シリーズは、我が国でもその動向が注目され、少なくとも2013年1月ないし2020年6月に、さまざまなメディアを通じて多数紹介されている(甲14〜甲39)。
また、雑誌で紹介や操作ガイドの書籍が多数販売されている(甲40〜甲59)。
上記のとおり、携帯電話、スマートフォン及びタブレット等の分野において、申立人の「GALAXY」シリーズは、我が国の需要者及び取引者に広く知られていることがわかる。
(2)「Mobile」の語について
本件商標は、欧文字「Galaxy」と「Mobile」とで構成されているが、「Mobile」部分については、単独でも「スマートフォン」や「タブレット」等を指す言葉として一般的に用いられている(甲60〜甲67)。
(3)本件商標の商標権者について
本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)であるアイジージー シンガポール ピィーティーイー リミテッドは、モバイルゲームに関する商品とサービスを提供している(甲68)。
(4)小括
上記(1)ないし(3)により、申立人の「GALAXY」シリーズは、携帯電話/スマートフォンの分野で世界1位、我が国でもベスト5のシェアがあること、申立人の「GALAXY」は我が国のみならず世界中において周知著名商標であると認識されていること、「Mobile」の語は、「携帯電話、スマートフォン、タブレット等の外出先に持ち運んで使用可能な小型情報端末」の意味として一般的に使用されていること、本件商標権者はモバイルゲームに関する商品とサービスを提供していることが取引の実情として明らかである。
2 商標法第4条第1項第11号に該当するものであること
(1)類否判断の場面
需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合は、分離して把握すべきということになる。
(2)本件商標
本件商標は、「Galaxy」と「Mobile」の結合商標であるところ、本件商標の構成文字中、「Galaxy」の語は、申立人のブランドとして取引者及び需要者に広く知られたものになっており、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えること、「Mobile」の語は、それ自体「携帯電話、スマートフォン、タブレット等の外出先に持ち運んで使用可能な小型情報端末」であることを表す一般的な語であり、また、スマートフォン、タブレットを通じて提供されるゲームについても、「モバイルゲーム」として一般的に認識されていることから、本件商標の指定商品及び指定役務との関係において、自他商品役務識別力がないか、又は、極めて弱いものであり、当該部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないものと認められる。
したがって、本件商標における類否判断の対象部分は、「Galaxy」というべきである。
(3)本件商標と引用商標1との比較
ア 本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1との外観についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「Galaxy」と引用商標1「Galaxy」は外観上同一である。
次に、称呼についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「Galaxy」の文字から生じる「ギャラクシー」の称呼と引用商標1の「Galaxy」の文字から生じる「ギャラクシー」の称呼も称呼上同一である。
最後に観念についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「Galaxy」と引用商標1「Galaxy」は、申立人の周知著名商標であると取引者及び需要者が認識するため、観念上も類似することは明らかである。
したがって、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、同一又は類似の商標であるといえる。
イ 本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品の比較
本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「コンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),電子計算機,コンピュータ周辺機器,ダウンロード可能なコンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム,記録済みコンピュータプログラム,電子出版物,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」と、引用商標1の指定商品中、第9類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」とは類似する。
(4)本件商標と引用商標2との比較
ア 本件商標と引用商標2との類否について
引用商標2は、欧文字「Galaxy」と「Harajuku」の結合商標である。引用商標2の指定商品及び指定役務との関係において、地名の「原宿」を意味する「Harajuku」の文字部分は、識別力のない部分に該当するため、引用商標2の類否判断の対象部分は「Galaxy」とみるのが極めて自然である。
そこで、本願商標と引用商標2との外観についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「Galaxy」と引用商標2の類否判断の対象部分である「Galaxy」は外観上同一である。
次に、称呼についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「Galaxy」の文字から生じる「ギャラクシー」と引用商標2の類否判断の対象部分である「Galaxy」の文字から生じる「ギャラクシー」の称呼も称呼上同一である。
最後に観念についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「Galaxy」と引用商標2の類否判断の対象部分である「Galaxy」は、申立人の周知著名商標であると取引者及び需要者が認識するため、観念上も類似することは明らかである。
したがって、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても同一又は類似の商標であるといえる。
イ 本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標2の指定商品及び指定役務の比較
本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「コンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),電子計算機,コンピュータ周辺機器,ダウンロード可能なコンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム,記録済みコンピュータプログラム,家庭用テレビゲーム用プログラムソフトを記憶させたROMカートリッジ,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」と、引用商標2の指定商品及び指定役務中、第9類「LED大型スクリーン表示装置,バーチャルリアリティ用ヘッドセット,末記録のUSBフラッシュドライブ,フラッシュメモリカード(未記録のもの),ネットワーク用ルータ,電子看板用ディスプレイパネル,半導体,スマートフォン用バッテリーチャージャー,時計の形をしたスマートフォン,半導体ドライブ,スマートフォン,スマートフォン用保護カバー,身体装着式携帯情報端末,コンピュータ,コンピュータ用モニター,コンピュータソフトウェア,タブレット型コンピュータ,ポータブルコンピュータ」及び第35類「LED大型スクリーン表示装置・バーチャルリアリティ用ヘッドセット・未記録のUSBフラッシュドライブ・フラッシュメモリカード(未記録のもの)・ネットワーク用ルータ・電子看板用ディスプレイパネル・半導体・スマートフォン用バッテリーチャージャー・ビデオプロジェクター・セットトップボックス・時計の形をしたスマートフォン・半導体ドライブ・スマートフォン・スマートフォン用保護カバー・棒状のスピーカー・増幅器・音響再生装置・音声送信装置・身体装着式携帯情報端末・センサー(測定機器)(医療用のものを除く。)・着用可能なアクティビティトラッカー・再充電可能な電池・カメラ・コンピュータ・コンピュータ用モニター・コンピュータソフトウェア・タブレット型コンピュータ・テレビジョン受信機・ヘッドセット・ポータブルコンピュータ及び携帯電話機の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は類似する。
(5)小括
以上からすれば、本件商標は、引用商標に類似し、かつ、本件商標の指定商品及び指定役務も引用商標のそれらと類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第10号に該当するものであること
引用商標1は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願前から周知著名である。
そして、本件商標は、引用商標1に類似する商標であり、かつ、本件商標の第9類の指定商品と引用商標1の指定商品は類似し、また、本件商標の第41類の指定役務も第9類のスマートフォンやタブレットを介して提供されることが近年では非常に多いため、密接に関連しているといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号に該当するものであること
申立人の引用商標1「Galaxy」は、本件商標の出願前に申立人の業務に係る商品の商標として我が国で周知著名なものとなっていることから、引用商標1と類似する本件商標が、その指定商品及び指定役務に使用された場合には、当該商品及び役務は、申立人の業務に係るものと誤認され、その出所について混同されるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 商標法第4条第1項第19号に該当するものであること
本件商標権者が、申立人の引用商標1「Galaxy」と類似する本件商標を使用すれば、申立人の著名商標「Galaxy」に化体した信用、名声及び顧客吸引力等を毀損させるおそれがあり、さらには、本件商標権者が、申立人の当該商標の著名性に便乗して不正な利益を得ようとしていることも明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
6 商標法第4条第1項第7号に該当するものであること
引用商標1「Galaxy」が申立人の商標として著名であるという事情の下では、申立人と何ら関係のない者である本件商標権者に、「Galaxy」の語を含む本件商標の使用を、本件商標の指定商品及び指定役務について独占させることは、一般公衆の認識に反し、商道徳上問題があるばかりでなく、公衆を混乱させ、公正な商取引秩序を乱すおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審における取消理由の要旨
当審において、本件商標権者に対し、「本件商標は、その指定商品及び指定役務中、別掲2の指定商品(以下「取消対象商品」という。)について、引用商標1との関係において商標法第4条第1項第11号に該当し、引用商標2との関係において同法第8条第1項に違反して登録されたものである。」旨の取消理由を令和3年6月16日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第5 商標権者の意見
上記第4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項該当性について
(1)商標の類否
ア 本件商標
(ア)本件商標は、上記第1のとおり「Galaxy Mobile」の文字を標準文字で表してなり、「Galaxy」と「Mobile」の文字の間にスペースがあることから、「Galaxy」の文字と「Mobile」の文字を結合してなるものとみるのが自然である。
(イ)そして、本件商標の構成文字中「Mobile」の文字は、「移動性の(もの)」及び「移動できる」などの意味を有する英語であるところ、申立人提出の甲各号証(甲60〜甲67)の記載内容からすれば、「携帯電話」、「スマートフォン」、「タブレット」及び「携帯可能なコンピュータ(小型情報端末)」などをいうものとして、本件商標の登録査定時において、少なくとも「携帯電話」、「スマートフォン」、「タブレット」及び「携帯可能なコンピュータ(小型情報端末)」の取引者、需要者に認識されていたものと認められる。
なお、上記甲各号証には、本件商標の登録査定日前に掲載等されたことが確認できないものが含まれるが、それらがプリントアウトされたと認められる日は本件商標の登録査定日の4か月程度後であって、その間に記載内容が変更されたというべき要因は認められないことをあわせ考慮すれば、上記のとおり判断するのが相当である。
そうすると、本件商標「Galaxy Mobile」は、これをその指定商品及び指定役務中、コンピュータ又はそれに関連する商品といえる取消対象商品について使用するときは、これに接する取引者及び需要者をして、その構成中「Mobile」の文字を、当該商品が「スマートフォン」、「タブレット」又は「携帯可能なコンピュータ(小型情報端末)」であること、すなわち、商品の品質を表したものと認識させるものと判断するのが相当である。
してみると、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務中、取消対象商品について使用するときは、その構成中「Mobile」の文字部分から出所識別標識としての称呼及び観念が生じないものであって、「Galaxy」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものというべきである。
(ウ)また、本件商標の構成文字中「Galaxy」の文字は、申立人提出の甲各号証によれば、申立人は2010年(平成22年)頃から現在まで申立人の商品(スマートフォン)に商標「Galaxy」(大文字「GALAXY」を含む。)を使用していること(甲19、甲46ほか)、申立人の商品の我が国における出荷台数は、2018年(平成30年)、2019年(平成31年、令和元年)、2020年(令和2年)第1四半期及び第2四半期において、いずれもシェアが4位又は3位であること(甲9〜甲12)、申立人の商品は我が国において2013年(平成25年)以降、新聞、雑誌等で紹介等されていること(甲14〜甲43)が認められることなどから、申立人の商品に使用されている商標「Galaxy」は、本件商標の登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、スマートフォンの需要者の間に広く認識されているものと認められる。
そうすると、本件商標は、その構成中上記商標と同一の文字である「Galaxy」の文字部分が、取引者及び需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえ、かかる事情からも、「Galaxy」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものといえる。
(エ)したがって、本件商標は、その構成文字「Galaxy Mobile」から、「ギャラクシーモバイル」の称呼を生じるほか、「Galaxy」の文字部分に相応し、「ギャラクシー」の称呼及び「銀河(系)」の観念を生じるものというべきである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、上記第2の1のとおり「Galaxy」の文字からなり、該文字に相応し「ギャラクシー」の称呼及び「銀河(系)」の観念を生じるものである。
(イ)引用商標2は、上記第2の2のとおり「Galaxy Harajuku」の文字からなり、該文字に相応し「ギャラクシーハラジュク」の称呼を生じるものである。
そして、引用商標2の構成中「Harajuku」の文字部分は、地名の「原宿」を、すなわち商品の産地、販売地及び役務の提供地などを表したものと認識させるものであって、自他商品役務識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものであり、出所識別標識としての称呼、観念が生じないものと判断するのが相当である。
そうすると、引用商標2は、「Galaxy」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものといえ、該文字に相応し、上記(ア)と同様に「ギャラクシー」の称呼及び「銀河(系)」の観念も生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、まず、本件商標の構成中「Galaxy」の文字部分と引用商標1「Galaxy」の文字及び引用商標2の構成中「Galaxy」の文字部分を比較すると、これらはすべて同じ文字からなるものであって、外観、称呼及び観念において異なるところはないものであるから、両者は紛れるおそれのある類似のものというべきものである。
そうすると、本件商標は引用商標のいずれとも類似する商標といわなければならない。
(2)指定商品及び指定役務との類否
本件商標及び引用商標の指定商品及び指定役務は、別掲1並びに別掲3及び別掲4のとおりである。
そして、本件商標の指定商品及び指定役務中、取消対象商品は、引用商標1の指定商品中、第9類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品」、及び、引用商標2の指定商品及び指定役務中、第9類「LED大型スクリーン表示装置,バーチャルリアリティ用ヘッドセット,未記録のUSBフラッシュドライブ,フラッシュメモリカード(未記録のもの),ネットワーク用ルータ,電子看板用ディスプレイパネル,半導体,スマートフォン用バッテリーチャージャー,時計の形をしたスマートフォン,半導体ドライブ,スマートフォン,スマートフォン用保護カバー,身体装着式携帯情報端末,コンピュータ,コンピュータ用モニター,コンピュータソフトウェア,タブレット型コンピュータ,ポータブルコンピュータ」及び第35類「全指定役務」と同一又は類似するものである。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は引用商標と類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品及び指定役務中、取消対象商品は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、取消対象商品について、引用商標1との関係において商標法第4条第1項第11号に該当し、引用商標2との関係において同法第8条第1項に違反して登録されたものである。
2 取消対象商品以外の指定商品及び指定役務について
上記1(1)ア(イ)のとおり、本件商標は、取消対象商品について使用するときは、その構成中「Mobile」の文字部分から出所識別標識としての称呼及び観念が生じないものであって、「Galaxy」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものであるとしても、取消対象商品以外の指定商品及び指定役務については、本件商標はその構成中「Mobile」の文字部分から出所識別標識としての称呼及び観念が生じないとはいえないこと、かつ、引用商標の周知性は、取消対象商品以外の指定商品及び指定役務を取り扱う分野においては立証されていないこともあわせ考慮すれば、取消対象商品以外の指定商品及び指定役務との関係において、本件商標から「Galaxy」の文字部分を抽出し、引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することは適当ではない。
したがって、本件商標を取消対象商品以外の指定商品及び指定役務について使用したとしても、引用商標との出所の混同のおそれはないというのが相当であるから、商標法第4条第1項第11号に該当せず、かつ、同法第8条第1項の規定に違反して登録されたものではない。
また、その他、本件商標の取消対象商品以外の指定商品及び指定役務についての登録を取り消すべき理由を見いだせない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中「結論掲記の指定商品」については、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項の規定に違反してされたものであるから、その余の申立の理由について論及するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきである。
しかしながら、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務については、その登録を取り消す理由がないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1(本件商標の指定商品及び指定役務)
第9類「コンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),電子計算機,コンピュータ周辺機器,ダウンロード可能なコンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム,記録済みコンピュータプログラム,電子出版物,家庭用テレビゲーム用プログラムソフトを記憶させたROMカートリッジ,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」
第41類「オンラインによるゲームの提供,娯楽情報の提供,娯楽の提供,オンラインによる電子出版物の提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインで提供される電子書籍及び電子定期刊行物の制作,テキスト(広告文を除く。)の執筆及び制作,コンピュータを利用して行う書籍の制作,ゲーム用具の貸与,教育又は娯楽に関する競技会の企画・運営,会員制による教育・娯楽の提供,会議の手配及び運営,文化又は教育のための展示会の企画・運営,書籍の制作」

別掲2(取消対象商品)
第9類「コンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),電子計算機,コンピュータ周辺機器,ダウンロード可能なコンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム,記録済みコンピュータプログラム,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」

別掲3(引用商標1の指定商品)
第9類「理化学機械器具,測定機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,救命用具,電気通信機械器具,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品,ロケット,遊園地用機械器具,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,潜水用機械器具,検卵器,電動式扉自動開閉装置」

別掲4(引用商標2の指定商品及び指定役務)
第9類「LED大型スクリーン表示装置,バーチャルリアリティ用ヘッドセット,未記録のUSBフラッシュドライブ,フラッシュメモリカード(未記録のもの),ネットワーク用ルータ,電子看板用ディスプレイパネル,半導体,スマートフォン用バッテリーチャージャー,ビデオプロジェクター,セットトップボックス,時計の形をしたスマートフォン,半導体ドライブ,スマートフォン,スマートフォン用保護カバー,棒状のスピーカー,増幅器,音響再生装置,音声送信装置,身体装着式携帯情報端末,センサー(測定機器)(医療用のものを除く。),着用可能なアクティビティトラッカー,再充電可能な電池,カメラ,コンピュータ,コンピュータ用モニター,コンピュータソフトウェア,タブレット型コンピュータ,テレビジョン受信機,ヘッドセット,ポータブルコンピュータ,携帯電話機」
第35類「LED大型スクリーン表示装置・バーチャルリアリティ用ヘッドセット・未記録のUSBフラッシュドライブ・フラッシュメモリカード(未記録のもの)・ネットワーク用ルータ・電子看板用ディスプレイパネル・半導体・スマートフォン用バッテリーチャージャー・ビデオプロジェクター・セットトップボックス・時計の形をしたスマートフォン・半導体ドライブ・スマートフォン・スマートフォン用保護カバー・棒状のスピーカー・増幅器・音響再生装置・音声送信装置・身体装着式携帯情報端末・センサー(測定機器)(医療用のものを除く。)・着用可能なアクティビティトラッカー・再充電可能な電池・カメラ・コンピュータ・コンピュータ用モニター・コンピュータソフトウェア・タブレット型コンピュータ・テレビジョン受信機・ヘッドセット・ポータブルコンピュータ及び携帯電話機の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 小松 里美
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
異議決定日 2022-01-06 
出願番号 2019106976 
審決分類 T 1 651・ 261- ZC (W09)
最終処分 08   一部取消
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 小俣 克巳
榎本 政実
登録日 2020-07-08 
登録番号 6267274 
権利者 アイジージー シンガポール ピィーティーイー リミテッド
商標の称呼 ギャラクシーモービル、ギャラクシーモビール、ギャラクシーモバイル、ギャラクシー、モービル、モビール、モバイル 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
代理人 特許業務法人R&C 

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