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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W11
管理番号 1385281 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-22 
確定日 2022-05-02 
事件の表示 商願2019− 68301拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和元年5月14日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 3月 9日付け:拒絶理由通知
令和2年 4月27日 :意見書の提出
令和2年10月21日付け:拒絶査定
令和3年 1月22日 :審判請求書の提出
令和3年11月 9日付け:証拠調べ通知
令和3年12月21日 :意見書の提出

2 本願商標
本願商標は、「真ん中冷凍室」の文字を標準文字で表してなり、第11類「家庭用及び業務用の電気冷蔵庫,家庭用電熱用品類,業務用冷凍機械器具」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「真ん中冷凍室」の文字を標準文字により表してなるところ、真ん中(中段)に冷凍室を配置した構成よりなる冷蔵庫等が製造・販売されている実情が見受けられる。
そうすると、本願商標をその指定商品中、例えば、「真ん中に冷凍室を配置した冷蔵庫」等に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が「真ん中に冷凍室を配置した冷蔵庫」であることを認識するに止まるものといえるから、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「真ん中に冷凍室を配置した商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審における職権証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲に掲げる事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第1項の規定に基づき、その結果を請求人に通知し、意見を求めた。

5 職権証拠調べに対する請求人の意見
(1)「真ん中冷凍室」の語が使用されている事実は認められるものの、引用記事は、「真ん中冷凍室」の語を単独で使用する例ではなく、「真ん中冷凍室」の意味について解説が付されているものや、「冷凍室が真ん中配置」のように、「配置」の語や助詞の「が」等を用いるなど、特徴を説明する語が補われている。このことは、「真ん中冷凍室」の語からは、指定商品の具体的な品質等を認識できないことから行われているものであり、「真ん中冷凍室」の語は一種の造語として使用されている。
(2)「真ん中冷凍室」の語が使用されている事実は認められるものの、引用記事は、登録第4003511号「まんなか野菜室」の漢字表記である「真ん中野菜室」と並列的に使用されている。このことから、「真ん中冷凍室」の語は同登録商標と同様に一種の造語として使用されている。
(3)以上のとおり、職権に基づく証拠調べの結果を考慮しても、本願商標は、商品の特徴や品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないことから、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。

6 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は「真ん中冷凍室」の文字を標準文字で表してなるところ、「真ん中」の文字は「距離・場所・順序などで、ちょうど中央にあたるところ。」(出典:デジタル大辞泉)を、「冷凍室」の文字は「物を凍らせる、あるいは、凍った状態を維持する機能を有した部屋のこと。」(出典:実用日本語表現辞典)を意味する語であり、構成文字全体として「真ん中が冷凍室」程度の意味を理解させるものである。
そして、別掲における証拠調べ通知によって示した事実によれば、本願指定商品の分野においては、真ん中(中段)に冷凍室を配した冷蔵庫が製造・販売されており、そのような配置を有する冷蔵庫の特徴が、「真ん中冷凍室」と称されている実情が認められる。
そうすると、本願商標をその指定商品中「家庭用及び業務用の電気冷蔵庫」及び「その他の冷蔵庫」に使用したときは、これに接した需要者及び取引者は、その商品が「真ん中(中段)に冷凍室を配置した冷蔵庫」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するに止まり、自他商品の識別標識としては機能し得ないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標に含まれる「真ん中」の語が多義的であるから、本願商標からは複数の意味合いが生じること、本願商標は助詞を介さずに一語として表されているから、日本語として正確な表現でないこと、別掲の証拠調べにおいて列挙した使用例については、「真ん中冷凍室」の語が単独で使用されておらず、特徴を説明する語が補われていること等から、本願商標は自他商品識別力を有する一種の造語である旨主張している。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願指定商品の分野において、「真ん中冷凍室」の語が、真ん中(中段)に冷凍室を配置した冷蔵庫の特徴を表示するもの即ち、商品の品質を表示するものとして取引上使用されている実情があることを踏まえると、本願商標に接する需要者及び取引者は、本願商標を「真ん中に冷凍室を配置した冷蔵庫」であることを表すものと認識するに止まると判断するのが相当である。
イ 請求人は、過去の登録例(第1号証〜第6号証)を挙げて、本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様や取引の実情を踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、本願商標の上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲 【別掲】
1 「HITACHI」のウェブサイト
2005年12月28日付け「ニュースリリース」の見出しの下、「真ん中冷凍室の冷蔵庫『冷凍鮮科』シリーズに大容量535Lを追加」「『ずっと使うから 日立』の視点・・・ラクラク 冷凍室が真ん中配置、3段ケースを採用しているので出し入れがラクラク」「主な仕様・・・形態・・・冷凍室真ん中タイプ(大容量3段スライド式ケース)」との記載がある。
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2005/12/1228a.html

2 「家電Biz」のウェブサイト
2019年1月18日投稿の「三菱の冷蔵庫は進化した『瞬冷凍』を訴求 CMでは『時短』をキーワードに展開」の見出しの下、「三菱電機では野菜室真ん中タイプの冷蔵庫2タイプを市場に投入したところ・・・その背景としては冷蔵庫の買い換えサイクルが関係しているようだ。・・・大型冷蔵庫では真ん中冷凍室というレイアウトが主流だが、同社は『真ん中野菜室』『真ん中冷凍室』の両方のタイプを揃え、売り場で存在感を出し、お客のニーズに応える考えだ。」との記載がある。
https://kadenbiz.com/2019/01/18/mitsubishi-electric-refrigerator-new-product-announcement/

3 「家電マニア」のウェブサイト
2016年11月15日付け「野菜室が真ん中にある冷蔵庫のメリット・デメリットは何?」の見出しの下、「世の中の最新冷蔵庫を見ると真ん中冷凍室、下段に野菜室のタイプが多いですよね。」「共働きの世帯が増え、食材の長期保存のきく冷凍室の利用頻度が高くなると言うことで真ん中冷凍室が増えました。」「省エネ力が劣るため、省エネ製品にするためコストがかかります。(冷気は上から下へと流れるので真ん中冷凍室、下段野菜室の方が効率が高くなります。)」「またメーカー側の思惑から省エネ製品を作りやすいと言うことで真ん中冷凍室・下段野菜室が増えましたが、また昔に戻りつつありますね。」との記載がある。
http://kadenmania.me/articles/refrigerator-vegetable-center/

4 「価格.com」のウェブサイト
「ツインバード ハーフ&ハーフ HR−E915PW」の見出しの下、「ハーフ&ハーフ HR−E915PW のスペック・仕様・特長」の「レイアウト」に「真ん中冷凍室」があり、「解説」として「真ん中冷凍室 冷蔵庫の真ん中に冷凍室が配置されたタイプです」との記載がある。
https://kakaku.com/item/K0001004109/spec/

5 「GetNavi web ゲットナビ」のウェブサイト
2019年6月14日付け「今年は『冷蔵庫の買いどき』が早まる予感・・・だから、主要5メーカー上位モデルのポイントを一気にチェック!」の見出しの下、「日立は今年の2月下旬、『R−KX57K』・・・と『R−KW57K』・・・の2機種に思い切った機能を投入しました。冷蔵庫の引き出し室2段を冷蔵・冷凍・野菜室のいずれかに自由に変更できる『ぴったりセレクト』システムです。真ん中野菜室、真ん中冷凍室など、好みのレイアウトに変えられるだけでなく、2段とも冷凍室、2段とも野菜室にすることも可能です。自分が一番使いやすいレイアウトを選べるのはもちろん、季節やイベントごと、家族の成長に合わせてレイアウトを変更できるのが便利ですね。」との記載がある。
https://getnavi.jp/homeappliances/392799/2/

6 「家電 Watch」のウェブサイト
2018年2月26日付け「冷蔵庫の真ん中は『野菜室』か『冷凍室』か。三菱電機がラインナップ拡充」の見出しの下、「“野菜室が真ん中”でラインナップ拡充。真ん中冷凍室『WXシリーズ』も引き続き展開」「冷凍室が真ん中にある『WXシリーズ』と、同等のスペックを実現(MR−MX50Dの場合)。WXシリーズも引き続き展開し、冷凍室をよく使う人は『WXシリーズ』、野菜室をよく使う人は『MXシリーズ』と、どちらのニーズにも対応する。」との記載がある。
https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/1108404.html

7 「ランク王 買うを楽しく簡単に」のウェブサイト
2021年10月5日更新の「【2021年最新】野菜室が真ん中の冷蔵庫おすすめ10選|デメリットはある?」の見出しの下、「大半の冷蔵庫は冷凍室が真ん中・・・ちょうど10年前の買い替え時は真ん中冷凍室が主流でしたが、今は健康志向の高まりによって、ほとんどのメーカーが『真ん中野菜室』モデルも発売しています。」「実は、真ん中野菜室タイプと真ん中冷凍室タイプのシェアを同一メーカー内で比較すると、販売台数は拮抗しているという結果が出ています。」「野菜室が真ん中にある冷蔵庫のデメリットは、電気代にあります。通常、真ん中冷凍室機種の方が冷却効率がよく、電気代は低い傾向に。」との記載がある。
https://rank-king.jp/article/2205

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-02-28 
結審通知日 2022-03-04 
審決日 2022-03-16 
出願番号 2019068301 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W11)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 鯉沼 里果
大森 友子
商標の称呼 マンナカレートーシツ 
代理人 土生 真之 
代理人 大塚 啓生 
代理人 中村 仁 

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