• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z42
管理番号 1384391 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-05-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-04-01 
確定日 2021-12-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4641092号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4641092号商標(以下「本件商標」という。)は、「FEERIQUE」の欧文字と「フェリーク」の片仮名とを上下二段に表してなり、平成13年12月26日に登録出願、第42類「美容,理容,美容に関する情報の提供,理容に関する情報の提供」を指定役務として、同14年10月31日に登録査定、同15年1月31日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、令和3年4月15日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成30年4月15日から令和3年4月14日までを以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、2011年に美容サロン「エピレ(epiler)」(1文字目の「e」にはアクサン記号が付される。以下同じ。)を開業し、現在に至るまで継続的に「脱毛」の役務の提供を行ってきた点は認めるが、「エピレ(epiler)」で使用している脱毛機器の名称として本件商標「FEERIQUE/フェリーク」と社会通念上同一の商標を使用しているとの主張など承諾できない点がある。
(1)「フェリークFV4」の文字及び「FEERIQUE FV4」(以下「使用商標1」という。)について
乙第9号証ないし乙第13号証における使用商標1の使用は、商標としての目印的な使用ではなく、文章中の文字や商品説明の文字にすぎない。このような文字としての使用は商標の自他役務識別機能を発揮し得ない使用なのでそもそも商標としての使用ではない。
(2)「FEERIQUE FV4」のロゴ(以下「使用商標2」という。別掲1)について
使用商標2(乙14、乙15)は、一見して白字での「F」「F」「4」の文字が誇張して見られ、よく見ると「F」と「F」の間に「EERIQUE」、「F」と「4」の間に「V」の字が見られ、かかる文字の判別が困難である。さらに、「FEERIQUE FV4」の文字全体が白色の楕円で囲まれているため全体としての一体感が見て取れる。以上より、使用商標2は、「FEERIQUE」と「フェリーク」の二段表記からなる本件商標とは外観上非類似である。
次に、称呼、観念については、「FEERIQUE」はフランス語で「妖精」という意味があるようだが、一般的な日本人がこのフランス語を知っているかどうかは疑問があり、美容の役務の需要者は「FEERIQUE」の読みや意味を知っているという特別な事情があるわけでもない。
よって「FEERIQUE」の文字を知らない主たる日本の需要者は例えばローマ字読みで「フィーリクー」のように称呼することがあり、むしろそのようなケースが多いと考えられる。このように考えると、本件商標の称呼は「フェリーク」であり、使用商標2の称呼は「フィーリクー」あるいは「フィーリクーエフブイフォー」ということになり、本件商標とは称呼は非類似である。
さらに、「FEERIQUE」の意味が分からない主たる日本の需要者にとっては、使用商標2の観念も不明であるから、本件商標とは観念も非類似となる。以上より、使用商標2と本件商標の外観・称呼・観念を総合的に考慮すると、両商標は社会通念上同一の商標ではない。
(3)「FEERIQUE」のロゴ(以下「使用商標3」という。別掲2)について
使用商標3は、当該脱毛機器の照射部側面に使用される「FEERIQUE」のロゴであるが、使用商標3は全体として斜字体であり、語頭の「F」のみが大きく表記されているため、「FEERIQUE」と「フェリーク」の二段表記からなる本件商標と外観は非類似である。また、使用商標3の称呼、観念については、上記使用商標2で述べた通り、本件商標の称呼は「フェリーク」であり、使用商標3の称呼は「フィーリクー」ということになり称呼は非類似である。さらに、使用商標3の観念も上記の通り不明であるため、本件商標とは観念も非類似となる。
以上より、使用商標3と本件商標の外観・称呼・観念を総合的に考慮すると、両商標は社会通念上同一の商標ではない。
さらに、使用商標3の使用は形式的には商標法第2条第3項第4号あるいは同法第2条第3項第5号の使用に該当するといえるが、実際には、使用商標3は脱毛機器の照射部側面に比較的小さく表示されているのみで、しかも脱毛機器の照射部は、施術時に施術者によって保持されて需要者の患部に使用される部分であるため、役務の需要者にとって直接目につきにくい部分である。商標は役務の需要者に視認されてこそ商標としての機能を発揮し得るから、使用商標3のような商標の使用は需要者に対して商標の自他役務識別機能を発揮しない得ない使用である。
(4)「FEERIQUE FV3」のロゴ(以下「使用商標4」という。別掲3)について
使用商標4は「FEERIQUE FV3」のロゴであるが(乙17)、上記した使用商標2とほぼ同様の理由で本件商標と社会通念上同一の商標ではない。つまり、使用商標4は白字での「F」「F」「3」の文字が誇張して見られ、「F」と「F」の間に「EERIQUE」、「F」と「3」の間に「V」の字が見られるが、かかる文字の判別が困難である。さらに、「FEERIQUE FV3」の文字全体が楕円で囲まれているため全体としての一体感が見て取れるから、使用商標4は本件商標とは外観上非類似である。
また、本件商標の称呼は「フェリーク」であり、使用商標4の称呼は「フィーリクー」又は「フィーリクーエフブイスリー」ということになり称呼は非類似である。さらに、使用商標4の観念も不明であり、本件商標とは観念も非類似となるから、使用商標4も登録商標とは社会通念上同一の商標ではない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第22号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標の構成
本件商標は、「FEERIQUE」の欧文字と「フェリーク」の片仮名を上下二段に中央揃えで横書きした構成からなり、本件商標中、下段は、上段の欧文字の読みを片仮名で表記したものである。
(2)被請求人の役務について
ア 被請求人は、2020年2月から現在に至るまで、自身の経営する美容サロン「エステティックTBC」の全店舗において「ライト脱毛」と呼ばれる光を利用した美容脱毛(以下「光脱毛」という。)コースの提供を継続的に行ってきた(乙1)。また、被請求人は、2011年に光脱毛専門の美容サロン「エピレ(epiler)」(以下「エピレ」という。)を開業し、同サロンの全店舗においても継続的に「脱毛」の役務の提供を行ってきた(乙2)。「脱毛」は、本件商標の指定役務「美容」(以下「本件役務」という。)に含まれる役務である。
イ 「エステティックTBC」及び「エピレ」で提供される光脱毛においては、当該サービス提供開始以来継続して「FEERIQUE (フェリーク)」という脱毛機器が使用されてきた(乙3、乙4)。一例として、「エステティックTBC」上大岡店(乙5)及び「エピレ」横浜本店 (乙6)における店舗外観及び店舗内写真を提出する。
「FEERIQUE(フェリーク)」は、被請求人が自身の「脱毛」の役務に使用するのみの目的で機器メーカーに製造させた、被請求人専用の脱毛機器であり、機器本体部と照射部から構成されている。当該脱毛機器は、照射部の先端を顧客が脱毛を希望する部位に当てると、そこから発せられる光が当該部位の黒色部分に反応し、発毛組織の処理を行うというものである。 したがって、光脱毛の役務提供に際し当該脱毛機器は必須の物である。
当該脱毛機器は、平成14年(2002年)2月1日に初代機器が登場して以来バージョンアップを繰り返しており、「FEERIQUE(フェリーク)」の後に「フレームバージョン(FRAME VERSION)」の略語である「FV」の文字と数字から構成されるバージョン情報を記載して表すことにより、容易にそのバージョンが把握できるようにしている。
要証期間に使用された当該脱毛機器のバージョンは「FV3」、「FV4」及び「FV5」であり、「FV3」は平成22年(2010年)6月2日から現在に至るまで、「FV4」は平成24年(2012年)9月3日から現在に至るまで、「FV5」は平成26年(2014年)4月3日から現在に至るまで使用されている。「FV3」及び「FV4」の機器本体部には、「FEERIQUE FV3」又は「FEERIQUE FV4」の文字が付されており、その照射部側面及び背面には「FEERIQUE」の文字が付されている(乙3、乙4)。
ウ 要証期間内である平成31年(2019)1月及び令和3年(2021年)2月に「エステティックTBC」の店舗で顧客に配付された脱毛を含むエステサービスのコースパンフレット(乙7、乙8)にも当該脱毛機器を用いた施術の写真が掲載されており、同時期にも前記脱毛機器を使用した同様の役務が継続的に提供されてきたことがうかがい知れる。
(3)要証期間内における本件役務に関する本件商標の使用について
ア 被請求人は、本件審判の要証期間内に、本件役務に関する取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して展示若しくは頒布した(商標法第2条第3項第8号)。さらに、被請求人は、本件役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを用いて本件役務を提供する(同法第2条第3項第4号)とともに、役務の提供の用に供する物に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを本件役務の提供のために展示してきた(同法第2条第3項第5号)。
イ 被請求人店舗で提示された取引書類について
(ア)被請求人は、少なくとも要証期間内である令和2年(2020年)12月から令和3年(2021年)4月14日までの間に、「エステティックTBC」又は「エピレ」の店舗内で、来店した顧客に対し前記の光脱毛の
施術を行う前に、乙第9号証ないし乙第13号証の資料を提示した上で自身のサービス内容について説明を行い、その後、当該顧客に前記脱毛機器(「FV3」又は「FV4」のバージョンのもの)を使用した光脱毛の役務を提供してきた。
(イ)乙第9号証及び乙第10号証は、令和2年(2020年)12月から現在に至るまで継続的に「エピレ」の各店舗を訪れた顧客に提示されてきた資料であり、乙第11号証は、令和2年(2020年)12月から現在に至るまで継続的に「エピレ」の札幌駅前店・名古屋栄本店・天神店・小倉店のみの店舗限定で顧客に提示されてきたものである。
乙第12号証及び乙第13号証は、令和3年(2021年)3月から現在に至るまで継続的に「エステティックTBC」の各店舗を訪れた顧客に提示されてきた資料であり、いずれの資料も右下に「20.12」又は「21.03」という数字が記載されているが、これは、各々「2020年12月」、「2021年3月」を指すものであり、これらの時期から当該資料が顧客に提示されてきたことを示すものである。
(ウ)前記資料(乙9〜乙13)には「FEERIQUE(フェリーク)」の「FV」のバージョンの機器の写真が掲載されており、その右横には使用商標1が記載されている。前記の通り「FV4」の部分はバージョン情報を示すものにすぎず、自他役務識別機能を発揮する部分ではない。本件商標も使用商標1も欧文字「FEERIQUE」と片仮名文字「フェリーク」から構成されており、使用商標1が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることは明白である。
(エ)以上のとおり、要証期間内に、被請求人が、本件役務に関する取引書類に本件商標と社会通念上同一の認められる商標を付して展示若しくは頒布した(同法第2条第3項第8号)ことは明らかである。
ウ 店舗写真について
(ア)要証期間内に撮影された被請求人サロン「エピレ」及び「エステティックTBC」の店舗内の写真として、令和2年(2020年)2月18日に撮影された「エピレ」名古屋栄本店の店舗内の写真(乙14の1)及びそのファイル情報(乙14の2)、令和2年(2020年)6月2日に撮影された「エピレ」天神店の店舗内の写真(乙15の1) 及びそのファイル情報(乙15の2)、令和2年(2020年)5月29日に撮影された「エステティックTBC」西鉄久留米店の店舗内の写真(乙16の1)及びそのファイル情報(乙16の2)、令和2年(2020年)7月8日に撮影された「エステティックTBC」熊本店の店舗内の写真(乙17の1)及びそのファイル情報(乙17の2)、令和2年(2020年)9月15日に撮影された「エステティックTBC」高知店の店舗内の写真(乙18の1) 及びそのファイル情報(乙18の2) を提出する。
これらの写真(乙14の1、乙15の1、乙16の1、乙17の1、乙18の1) はいずれも、被請求人が顧客に光脱毛の施術を行う部屋又はこれに隣接する部屋において撮影された写真であり、そのファイル情報(乙14の2、乙15の2、乙16の2、乙17の2、乙18の2)には、当該写真が撮影された日付が示されている。
(イ)「エピレ」名古屋栄本店の店舗内写真(乙14の1) 及び「エピレ」天神店の店舗内写真(乙15の1)から、その中央に置かれた当該脱毛機器本体部に使用商標2が、「エステティックTBC」西鉄久留米店の店舗内写真(乙16の1) から、当該脱毛機器の照射部側面に使用商標3が、「エステティックTBC」熊本店の店舗内写真(乙17の1)から、当該脱毛機器本体部に使用商標4が、「エステティックTBC」高知店の店舗内写真(乙18の1) から、当該脱毛機器本体部に使用商標4及び照射部側面に使用商標3が付されていることが把握できる。
使用商標3は、欧文字「FEERIQUE」から構成され、前記の通り、使用商標2及び使用商標4中「FV3」及び「FV4」の部分は脱毛機器のバージョンを表す情報にすぎないため、当該使用商標2及び使用商標4のうち自他役務識別機能を発揮する部分は「FEERIQUE」である。
一方、前記のとおり、本件商標は、「FEERIQUE」の欧文字と「フェリーク」の片仮名文字を上限二段に中央揃えで横書きした構成からなり、下段の文字は、上段の欧文字の読みを片仮名で表記したにすぎない。
したがって、本件商標と使用商標2ないし使用商標4は、「FEERIQUE」の文字において共通しているとともに、その構成文字に相応して「フェリーク」の称呼が生じる点でも一致し、観念において異なるところはないと解されるから、両者は、社会通念上同一と認められる商標である。
(ウ)当該店舗写真(乙14〜乙18) に加え、要証期間内である平成31年(2019年)1月及び令和3年(2021年)2月に「エステティックTBC」の各店舗で顧客に配付されたエステサービスのコースパンフレット(乙7、乙8)にも前記脱毛機器を用いた施術の写真が掲載されている点、及び、後述の被請求人顧客による陳述書の存在も併せて鑑みると、要証期間内に被請求人が使用商標2ないし使用商標4を付した当該脱毛機器を使用して本件役務を提供するとともに、当該脱毛機器を本件役務の提供のために展示してきたことは明白である。また、前記の通り、当該脱毛機器は、これにより顧客の希望する部位の脱毛が可能となる物であり、被請求人により提供されてきた光脱毛の役務には必須の機器である。
したがって、当該脱毛機器は、商標法第第2条第3項第4号に定める「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」及び同法第2条第3項第5号に定める「役務の提供の用に供するもの」に該当する。
(エ)以上のとおり、要証期間内に、被請求人が、本件役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを用いて役務を提供する(同法第2条第3項第4号)とともに、役務の提供の用に供する物に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを本件役務の提供のために展示した(同法第2条第3項第5号)ことは明らかである。
エ 被請求人顧客による陳述書について
乙第19号証は、令和3年(2021年)2月14日に「エピレ」新宿本店に来店した顧客(以下「顧客A」という。)による陳述書であり、乙第20号証は、令和3年(2021年)3月20日に「エピレ」渋谷店に来店した顧客(以下「顧客B」という。)による陳述書である。
当該陳述書(乙19、乙20)が示す通り、顧客Aは、令和3年(2021年)2月14日に「エピレ」新宿本店において、前記の取引書類(乙9)を提示され、光脱毛についての説明を受けた後、前記の脱毛機器(FV4のバージョンのもの)を使用した光脱毛の施術を受けており、顧客Bは、令和3年(2021年)3月20日に「エピレ」渋谷店において、前記の取引書類(乙9)を提示され、光脱毛についての説明を受けた後、前記の脱毛機器(FV4のバージョンのもの)を使用した光脱毛の施術を受けている。
なお、被請求人の顧客管理システム(乙21、乙22)上でも、顧客Aが2021年2月14日に新宿本店を訪問し、VIOラインに関する光脱毛の施術を受けた事実、顧客Bが2021年3月20日に渋谷店を訪問し、ひざ下に関する光脱毛の施術を受けた事実が確認できる。当該顧客データ中「結果入力」欄の「コース」の記載は、当該顧客が光脱毛コースの施術を受けたことを示すものである。当該陳述書(乙19、乙20)及び当該顧客管理システムデータ(乙21、乙22)は、前記(3)イ及びウにおける被請求人の主張を裏付けるものである。
(4)以上より、本件商標は、本件審判請求登録前3年以内に日本国内において被請求人が役務「美容」に使用した結果、業務上の信用が化体しているものであり、本件商標は、本件審判の取消の対象とはなりえない。

第4 当審の判断
1 認定事実
被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)被請求人(商標権者)は、美容サロン等を経営する「東京都新宿区西新宿1丁目25番1号」所在の法人である。そして、被請求人(商標権者)の名称及び住所が、脱毛専門の美容サロン「エピレ」の商号及び所在地と一致していることから、「エピレ」は、被請求人(商標権者)が経営する美容サロンであるといえる(乙1の1、乙2の1)。
(2)「エピレ」において、「VIO・5脱毛2回プラン」、「フェイス・5脱毛2回プラン」等の脱毛プランや「両ヒザ下」、「両ヒジ下」等、脱毛可能な部位を選べるプランも設定されており、同サロンの脱毛方法等の紹介があり、インターネットや電話により、脱毛の予約が可能となっている。
以上から、被請求人(商標権者)は、自身の経営する美容サロン「エピレ」において、脱毛の役務を提供していることが認められる(乙2の1、乙2の3、乙2の4)。
(3)被請求人(商標権者)が経営する美容サロン「エピレ」店舗内において、脱毛に使用する機器の照射部に使用商標3「FEERIQUE」が付されていることから、被請求人(商標権者)は、「エピレ」店舗内において、使用商標3を付した脱毛機器を用いて脱毛を提供したといえる(乙6、乙10)。
(4)乙第19号証は、「エピレ」新宿本店に来店した顧客(以下「顧客A」という。」による陳述書の写し、乙第21号証は、被請求人の顧客管理システムの写しとするところ、乙第19号証には、「陳述書」のタイトルの下、顧客Aが「エピレ」の顧客であり、顧客Aが令和3年2月14日に「エピレ」新宿本店に来店し、同サロンにて、同号証の添付1の資料を提示されるとともに、同号証の添付2の写真の機械を使用した脱毛サービスの提供を受けた旨の陳述内容が記載され、「令和3年5月30日」の日付の表示、住所欄に「東京都■」(■は、マスキング部分を示す。以下同じ。)、会員番号欄に「1117−■」、名前欄に「福■加■子」の記載及び「福■」の捺印がある。
そして、乙第19号証の添付1の資料の内容は、「エピレ」の各店舗を訪れた顧客に対し、施術を行う前に提示したとする乙第9号証の資料と同一のものであり、また、同号証の添付2の機器の写真は、乙第9号証の「エピレ」店舗内における脱毛に使用する機器の拡大写真と思われるところ、2葉目の当該脱毛機器の照射部に使用商標3の「FEERIQUE」の文字が付されている。
また、乙第21号証には、「お客様メニュー」のタイトルの下、お客様コード欄に「1117−■」、お名前欄に「フク■ カ■コ」、最終来店日欄に「2021/02/14 1117新宿本店」の記載、契約一覧の欄に、2018年12月12日から2020年7月11日にかけて、「VIO・5プラン」や「ヒザ下」等の複数のプランの契約履歴が確認できる。
(5)乙第20号証は、「エピレ」渋谷店に来店した顧客(以下「顧客B」という。)による陳述書の写し、乙第22号証は、被請求人の顧客管理システムの写しとするところ、乙第20号証には、「陳述書」のタイトルの下、「顧客B」が「エピレ」の顧客であること、顧客Bが令和3年3月20日に「エピレ」渋谷店に来店し、同サロンにて、同号証の添付1の資料を提示されるとともに、同号証の添付2の写真の機械を使用した脱毛サービスの提供を受けた旨の陳述内容が記載され、「令和3年5月28日」の日付の表示、住所欄に「東京都■」、会員番号欄に「1102−■」、名前欄に「宮■奈■」の記載及び「宮■」の捺印がある。
そして、乙第20号証の添付1の資料の内容は、「エピレ」の各店舗を訪れた顧客に対し、施術を行う前に提示したとする乙第9号証の資料と同一のものであり、また、同号証の添付2の機器の写真は、乙第9号証の「エピレ」店舗内における脱毛に使用する機器とする写真の拡大写真と思われるところ、2葉目の当該脱毛機器の照射部には、使用商標3の「FEERIQUE」の表示がある。
また、乙第22号証には、「お客様メニュー」のタイトルの下、お客様コード欄に「1102−■」、お名前欄に「ミヤ■ ナ■」、最終来店日欄に「2021/03/20 1102.E渋谷」の記載、契約一覧の欄に、2020年11月15日、同年11月29日に、「VIO・5プラン」「エピレチョイスLプラン」の複数のプランの契約履歴が確認できる。
2 判断
(1)使用商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「FEERIQUE」の欧文字と「フェリーク」の片仮名とを上下二段に表してなるところ、上段の「FEERIQUE」の文字は、「妖精の」の意味を有するフランス語であり、下段の「フェリーク」の文字は、上段の「FEERIQUE」の文字の読みを片仮名で表したものと理解されるものであるから、上段及び下段の各部が観念を同一とするものである。
使用商標3は、「FEERIQUE」の文字からなるところ、全体として斜体字であり、その構成中、1文字目の「F」が、他の構成文字に比してやや大きく表されているものの、「FEERIQUE」のつづりからなるものと容易に認識できるものである。
そうすると、使用商標3は、本件商標の構成中「FEERIQUE」の文字部分とそのつづりを共通にするものであるから、使用商標3は、本件商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一にするときの、その一方の使用であり、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用者及び使用時期等について
被請求人(商標権者)は、自身が経営する美容サロン「エピレ」において、脱毛の役務を提供しており(乙2の1、乙2の3、乙2の4)、当該サロンにおいて、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標3「FEERIQUE」を付した脱毛機器を用いた「脱毛」の役務が提供されていることが認められる(乙6、乙10)。
そして、顧客A及び顧客Bの陳述書及び被請求人(商標権者)の顧客管理システム(乙19〜乙22)により、陳述書及び顧客管理システムの一部がマスキングされてはいるものの、陳述書における顧客A及び顧客Bの来店日、来店店舗、会員番号、名前の一部と被請求人の顧客管理システムにおける顧客の最終来店日、会員番号及び店舗名を表したと思われる記載の表示、名前の一部の読みと思われる片仮名が一致していることから、顧客A及び顧客Bの陳述書と被請求人(商標権者)の顧客管理システムの内容に矛盾はないといえる。
以上より、要証期間内である2021年2月14日及び2021年3月20日に、被請求人(商標権者)が経営する美容サロン「エピレ」において、顧客A及び顧客Bへの脱毛の役務の提供にあたり、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標3「FEERIQUE」を付した脱毛機器を用いたことが推認できることから、使用商標3の使用者は、被請求人(商標権者)であるといえる。
(3)使用役務について
上記(2)のとおり、被請求人(商標権者)は、自身が経営する美容サロン「エピレ」において、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標3「FEERIQUE」を付した脱毛機器を用いて「脱毛」の役務を提供したことが認められる。
そして、当該「脱毛」の役務は、請求に係る役務中「美容」の範ちゅうに属する役務である。
(4)小括
以上からすれば、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、請求に係る役務に含まれる「美容」の範ちゅうと認められる「脱毛」の役務の提供にあたり、その提供を受ける者の利用に供する脱毛機器に、本件商標と社会通念上同一の商標を付したものを用いて役務を提供したものであり、当該行為は、商標法第2条第3項第4号に該当する商標の使用であるということができる。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は、「FEERIQUE」の文字について、フランス語で「妖精」という意味があるようだが、一般的な日本人がこのフランス語を知っているかどうかは疑問があり、美容の役務の需要者は「FEERIQUE」の読みや意味を知っているという特別な事情があるわけでもないから、日本の需要者は、例えば、ローマ字読みで「フィーリクー」と称呼するケースが多い旨主張している。
しかしながら、「FEERIQUE」の文字は、「妖精の」の意味を有するフランス語であり、「フェリーク」の片仮名はその読みであることは、上記(1)のとおりである。
そして、本件商標の指定役務である「美容」の分野においては、フランス語も比較的多く使用されるものであり、「FEERIQUE」について、日本の需要者がローマ字読みで「フィーリクー」と称呼するケースが多いとする請求人の前記主張を裏付ける証拠は見当たらない。
仮に「FEERIQUE」の文字から「フィーリクー」の称呼を生じる場合があるとしても、その事実は、本件商標の称呼についての前記認定を左右するものではない。
イ 請求人は、使用商標3の使用は、脱毛機器の照射部側面に比較的小さく表示されているのみで、かつ、脱毛機器の照射部は、役務の需要者にとって直接目につきにくい部分であるから、このような商標の使用は商標の自他役務識別機能を発揮し得ない旨主張している。
しかしながら、使用商標3が小さく目につきにくい表示であるとしても、そのような使用態様であることが、請求に係る指定役務との関係において、直ちに自他役務識別機能を発揮し得ないとまではいい難いものである。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者が本件審判の請求に係る指定役務中「美容」の範ちゅうと認められる「脱毛」の提供に当たり、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を付したものを用いて役務を提供した(商標法第2条第3項第4号)ことを証明したと認められるものである。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1(使用商標2)(色彩は原本参照)


別掲2(使用商標3)(色彩は原本参照)


別掲3(使用商標4)(色彩は原本参照)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2021-10-07 
結審通知日 2021-10-12 
審決日 2021-11-02 
出願番号 2001115120 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z42)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 岩崎 安子
小田 昌子
登録日 2003-01-31 
登録番号 4641092 
商標の称呼 フェリーク、フィーリク 
代理人 特許業務法人iRify国際特許事務所 
代理人 青島 恵美 
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ