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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W37
管理番号 1384328 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-25 
確定日 2022-04-06 
事件の表示 商願2019−76564拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は,「家は、道具。」の文字を標準文字で表してなり,第37類「建設工事,建設工事に関する助言,建設工事に関する情報の提供」を指定役務として,令和元年5月31日に登録出願されたものである。
本願は,令和2年3月26日付けで拒絶理由の通知がされ,同年8月11日付けで意見書が提出されたが,同年10月22日付けで拒絶査定がされたものであり,これに対して同3年1月25日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『家は、道具。』を標準文字で表してなるところ,その構成中の『家』の文字は,『人が住むための建物』,『道具』の文字は,『物を作り出すため,あるいは仕事をはかどらせるため,また生活の便のために用いる器具の総称』の意味を有し,インターネット情報によれば,『家は道具』の文字が『家は,住む人がより良く暮らすための道具である』ほどの意味合いで,建設会社,建築設計事務所,建築士等の家づくりに関する考え方として,また集客するための宣伝広告の文言として広く使用されている。そうすると,本願商標をその指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者は,本願商標を自他役務の識別標識として認識するというよりはむしろ,『家は,住む人がより良く暮らすための道具である』という建設会社,建築設計事務所,建築士等の家づくりに関する考え方の一類型又は集客するための宣伝広告の文言として認識,理解するにとどまるから,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における審尋
1 当審において,令和3年10月28日付け審尋により,別掲2に掲げる事実を記載した上で,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとの暫定的見解を示し,期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。
2 上記1の審尋において,本願商標が自他役務を識別することができることを証する資料の提出の用意があるとする請求人の主張に対し,資料の提出を求めた。

第4 審尋に対する請求人の回答の要旨
1 請求人は,前記第3の審尋に対し,令和3年12月13日付け回答書を提出し,要旨以下のとおり意見を述べた。
(1)提示された事例は,原審において引用された文献を含め,11件の記載事例があるにすぎず,これら事例をもって役務一般に使用される語句からなると判断することはできない。
(2)商標はその出所識別標識としての性質上,「家は道具」のように優れて簡潔であることが必要とされるところ,ある考え方が記述されているからといって直ちに自他商品識別力を欠くことにはならない。
(3)引用された事例の多くは,表現態様によって,ある考え方が叙述されているのであって,端的に「家は道具」と表現したものは1社の事例にすぎない。
2 請求人は,前記第3の2に対し,何ら資料の提出をしなかった。

第5 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は,「家は、道具。」の文字を標準文字で表してなるところ,本願商標を構成する文字の語義や使用事例について,以下のとおり確認することができる。
(1)「道具」の語義について
「大辞林第四版(株式会社三省堂発行)」において,「道具」の意味として,原審で示した「物を作り出すため、あるいは仕事をはかどらせるため、また生活の便のために用いる器具の総称。」のほかに,「他の目的のための手段・方法として利用される物や人。」の記載がある。
(2)インターネットにおける「家は道具」等の文字の使用事例について
本願の指定役務を提供する分野において,家を道具として捉え,家づくりの基本的な考え方を表す事例や,そのような考え方について「家は道具」と端的に表す事例は,原審で示した事実(別掲1)に加え,別掲2で示す事実を確認することができる。
これらの事実からすると,本願の指定役務を提供する分野において,「家」を,快適な暮らし,家族との幸せな暮らし,豊かで楽しい生活等,より良く暮らすという目的を達成するためのもの(手段)として捉え,「家は〇〇のための道具」のように表現し,家づくりの基本的な考え方を示す事例が見られる。また,そのような考え方について「家は道具」と端的に表す事例がある。
2 商標法第3条第1項第6号該当性について
上記1よりすれば,本願商標構成中の「道具」の文字は,「他の目的のための手段として利用されるもの」の意味を有し(1(1)),また,本願の指定役務を提供する分野において,「家」を,より良く暮らすためのもの(手段)として捉え,「家は〇〇のための道具」,「家は道具」等のように,家を道具に例える表現は,家づくりの基本的な考え方を示すものとして一般に使用されている事例が確認できる(1(2))。
そうすると,家を道具に例える表現の一種といえる「家は道具」の文字は,「家は,より良く暮らすための道具(手段)」ほどの意味合いをもって家づくりの基本的な考え方を示したものと理解されるものというべきである。
また,本願の指定役務(建築関係)との関係において,家づくりの基本的な考え方を示した「家は道具」の文字は,役務の説明を表したものということができ,さらに,事業の宣伝広告に使用される表現として用いられているものである。
そうすると,「家は、道具。」の文字からなる本願商標は,これをその指定役務について使用をしても,これに接する取引者,需要者は,「家は,より良く暮らすための道具(手段)」ほどの意味合いをもって,役務を提供する際に家づくりの基本的な考え方を示す役務の説明としての宣伝広告を表示したものと認識するにとどまり,何人かの業務に係る役務であることを認識することができないというべきである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は,提示された使用事例は原審における事例を含めて11件であり,これら事例をもって役務一般に使用される語句からなると判断することはできず,また,事例の多くはある考え方が叙述されているものであって,ある考え方が記述されているからといって直ちに自他役務識別力を欠くことにはならない旨主張する。
しかしながら,各事例は,前記1(2)及び2のとおり,いずれも「家は道具」等の文字が,家づくりという,本願の指定役務(建築関係)についての基本的な考え方を表したものとして使用され,宣伝広告に用いられるものである。そうすると,本願商標に接する取引者,需要者は,これを自他役務の識別標識として認識するというよりは,上記各事例と同様,家づくりの基本的考え,すなわち役務の説明を表したものと理解するにとどまるというべきである。
(2)請求人は,請求人が2000年4月以降,現在に至るまでパンフレット等に本願商標を使用してきた結果,本願の指定役務の需要者に広く知られており,自他役務を識別することができるものとなっている旨主張する。
しかしながら,前記第4の2のとおり,当審において請求人に対し資料を提出する機会を与えたものの,請求人は何ら資料を提出していないことから,上記主張を採用することはできない。
(3)したがって,請求人の主張は,いずれも採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

別掲1(原審で示した事実)
(1)「芦葉工藝舎」のウェブサイト
「『家は道具である』という視点」の見出しの下,「『家は道具である』という視点。家族とのコミュニケーションを増やしたい。子どもたちの成長に合わせて緩やかに変化していく空間をつくりたい。家事の負担を少しでも軽くしたい。新しい家に求めること、新しい家で実現したいこと、つまり、『家という道具』に求める用途や目的は住む人の数だけ存在します。だから、私たちは、その用途や目的を丹念に読み解き、『住む人にとって、道具としての役割を果たせるのか?』という問いかけの中で考え抜いています。」との記載がある。
https://www.ashiba.jp/column/tools.html
(2)「合資会社マルタ設計長野」のウェブサイト
「家は道具であり、人が使ってこそ価値が生まれる」の見出しの下,「家という『道具』を使っていくのは『あなた』です。家はモデルルームでもない限り、造っただけでは、なんの価値もありません。・・・『家の価値』とはどういうことでしょうか。それは『人が使って、はじめて価値が生まれる』ということです。人が使わなければ、ただの空き家な訳ですから、存在する意味さえない程になってしまいます。でも、人が住んで居るということは、それだけで家が存在する意味が生まれています。そして、『家の価値が高い』ということは、その家が使い易かったり、住み易かったり、好みの雰囲気だったりすることで高まります。・・・家は人が住む道具ですので、あなたにとって価値の高い家という道具をお造り下さい。」との記載がある。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~youkiss/tanti/watasinogangaerukentiku%20iewadougudearihitogatukattekoso.htm
(3)「BROOK株式会社」のウェブサイト
「家は道具。そして一生の相棒。」の見出しの下,「私たち『BROOK』が考える家とは?『日々の暮らしに彩りを添える、住むための道具である』 5つの約束、道具として、1.機能がしっかりしていること。2.長年愛用できる丈夫さをもつこと。3.ずっと愛し続けられる普遍のデザインであること。4.愛でることができる質感を大切にすること。5.誰もが手に入れられる価格であること。」との記載がある。
https://www.brook-akita.com/about/
(4)「株式会社もみの木ハウス」のウェブサイト
「家は道具です。」の見出しの下,「家族が安心して住むためのですね。ですので、デザインが良いとか悪いとかは、道具としての最低基準を満たしたうえで、考えるべきだと自分は考えています。その『安心して住む』為の最低基準が長期優良住宅だと考えています。ですので、自分は長期優良住宅の基準以下の住宅は造りません。」,「家を道具と考えると、一つ一つの形状に意味をもたせて作る訳で、意味のない形づくりはしないと言う事になります。ですので、自分の造る家に意味のないデザインはないです。」との記載がある。
https://momi-house.com/planning/2019718/
(5)「NPO法人 家づくりの会」のウェブサイト
「季節の彩りの中にある大好きな家で」の見出しの下,「『家は道具です。』 はっきりと言い切ってもらえたことが、我が家の家づくりの原点です。・・・『空間が広いか狭いかは関係ない。その場所がちゃんと機能すればいいのです。家は道具です。』 今日も我が家の一番大きな道具の中を行ったり来たり、私は元気に家事に勤しみます。」との記載がある。
https://npo-iezukurinokai.jp/uservoice/%E5%AD%A3%E7%AF%80%E3%81%AE%E5%BD%A9%E3%82%8A%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8B%E5%A4%A7%E5%A5%BD%E3%81%8D%E3%81%AA%E5%AE%B6%E3%81%A7/

別掲2(審尋で示した事実)
(1)「道具」の語義について
「大辞林第四版(株式会社三省堂発行)」において,「道具」の意味として,原審で示した「物を作り出すため、あるいは仕事をはかどらせるため、また生活の便のために用いる器具の総称。」のほかに,「他の目的のための手段・方法として利用される物や人。」の記載がある。
(2)インターネットにおける「家は道具」等の文字の使用事例について
本願の指定役務を提供する分野において,家を道具として捉え,家づくりの基本的な考え方を表す事例は,原審で示した事実(別掲1)に加え,以下の事例を確認することができる。
ア 家を道具として捉え,家づくりの基本的な考え方を示す事例
(ア)「Kiya」のウェブサイトにおいて,「家は住むための道具。」の見出しの下,「道具なので、住めないと意味が無いし、家で住んでて体が休まらない、家族が不健康になることは、絶対に避けなければいけません。つまり、使いにくいと役立たずな家と言えると思います。道具ですから、住む人によって使い方も違いますよね。」,「ついつい打合せを進めていく中で、デザインに偏ったり、不安・心配から 過度に設備を入れたり、道具としての機能を無視してしまいだすと、不満足な結果になってきます。」,「ちょっと頭の片隅に、家はあくまで住むための道具!という意識を持っていただければ、色々な判断基準になると思いますよ」の記載がある(https://house-kiya.co.jp/%E5%AE%B6%E3%81%AF%E4%BD%8F%E3%82%80%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E9%81%93%E5%85%B7%E3%80%82/)。
(イ)「STAP Inc.」のウェブサイトにおいて,「MESSAGE」の見出しの下,「家は、暮らす道具/スタップ株式会社は、長年家づくりを担う一級建築事務所として、『家=家族と幸せに暮らす道具』と考えています。本来、家づくりは自分たちのライフスタイルに合わせ作り上げていくのが理想です。それなのに、モデルルームを模倣した家や規格住宅ばかり作っていては『できた家に合わせて暮らしてください』と言っているようなものかもしれません。」の記載がある(https://stap.co.jp/company/)。
(ウ)「株式会社創建設計」のウェブサイトにおいて,「企業理念」の見出しの下,「豊かで楽しい生活を送るためには、まずは住む場所が安心・安全な場であることが最も大切で優先すべきことす。そのうえで、使い勝手もよく長く使い続けられるものであることが大切です。家は豊かで楽しい生活を送るための道具であって、家づくりそのものが目的ではありません。私たちは建築家の作品をつくるのではなく、お客様が豊かで楽しい生活を送ることができる場づくりを優先した家をつくりたいと考えています。」の記載がある(http://www.soken-sekkei.co.jp/vision.php)。
イ 上記アと同様,家を道具として捉え,そのような考え方を「家は道具」と端的に表す事例
(ア)「子育ては小川の家」のウェブサイトにおいて,「あなたが家を建てる目的は何ですか?〜小川の家は子どもが自由に、健康に、安全に、安心して、過ごせるためです」の見出しの下,「あなたがマイホームを購入する目的は何ですか?(略)家は道具であり、家づくりはその手段である。/これが私の考え方です。/目的に対して手段がある。(略)幸せに暮らすことが目的(立派な家、豪華な家(略)を建てることが目的ではない)」の記載がある(http://ogawanoie.jp/blog/3714)。
(イ)「有限会社丸庄建設」のウェブサイトにおいて,「シンプルデザイン」の見出しの下,「家は道具/家はただ住むだけの箱ではなく、暮らしを豊かにするための大きな大きな道具です。時には傷がついたり、メンテナンスに手間がかかったとしても、使い込むほどに味わいが増して、愛着がわく。そんなふうに家を大切にしてほしい。」の記載がある(https://gifu-marusho.co.jp/design)。
(ウ)「有限会社コアハウス」のウェブサイトにおいて,「70年超/住み継ぐ家に」の見出しの下,「永く使うための強度、構造、デザインの工夫/家は道具ですから、頑丈で、役に立ってくれて、見た目がいいにこしたことはありません。その上で何より『永く』つかえる道具こそ本当にいい道具であると考えています。」の記載がある(https://www.corehouse.jp/concept/loved-more-longer)。



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-01-24 
結審通知日 2022-01-31 
審決日 2022-02-15 
出願番号 2019076564 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W37)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 小田 昌子
茂木 祐輔
商標の称呼 イエワドーグ、ウチワドーグ、イエワ、ウチワ、イエ、ウチ、ドーグ 
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 
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