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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W42
管理番号 1383432 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-29 
確定日 2022-04-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6387298号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6387298号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6387298号商標(以下「本件商標」という。)は、「LEXIC」の文字を標準文字で表してなり、令和2年4月22日に登録出願、第42類「薬剤の分野における科学的研究,薬剤の分野における医学的研究及び科学的研究に関する情報の提供」を指定役務として、同3年4月2日に登録査定され、同年5月11日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する登録第6182532号商標(以下「引用商標」という。)は、「LEXICOMP」の文字を標準文字で表してなり、平成30年10月18日に登録出願、第9類「臨床試験・診断・治療・病状・薬理学の分野における医療的及び科学的研究に関する情報を内容とするデータベース管理用コンピュータソフトウェア,コンピュータソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」、第16類「臨床試験・診断・治療・病状・薬理学の分野における医療的及び科学的研究に関する情報を内容とするポスター・ハンドブック・リーフレット・掛け図・フリップチャート(印刷物)・参照マニュアル・小冊子,印刷物」及び第42類「オンラインで検索可能なデータベースによる臨床試験・診断・治療・病状・薬理学の分野における医療的及び科学的研究に関する情報及び結果の提供,医療・科学に関する試験・調査又は研究に関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、令和元年9月20日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号に該当する理由
ア 本件商標の称呼の特定
本件商標は辞書等に不掲載の造語であり、我が国において親しまれている英語やローマ字の読みに倣った読み方がなされ、「レキシク」又は「レキシック」の称呼が生じる。
イ 引用商標の称呼の特定
一方、引用商標の称呼については、全体から「レキシコンプ」の称呼が生じる他、後述の理由から、「LEXIC」部分から「レキシク」又は「レキシック」の称呼が生じる。
引用商標は、「LEXIC」の語に「OMP」の語を後続させたものであり、「OMP」の語は、「Orphan Medicinal Product」の略称であって「オーファン(希少疾病用)医薬品」の意味合いがある(甲3)。
引用商標の指定役務は、第42類「オンラインで検索可能なデータベースによる臨床試験・診断・治療・病状・薬理学の分野における医療的及び科学的研究に関する情報及び結果の提供,医療・科学に関する試験・調査又は研究に関する情報の提供」であり、これらの役務の取引業界は医薬品取引業界及び医療業界であり、その需要者等には、医薬品取扱事業者や医療従事者等のような医薬品及び医療に密接に関連する需要者及び取引者が含まれる。
このような需要者等は一般需要者とは異なり、医薬品や医療に関する専門的な知識を有する者であることからすれば、「OMP」が「オーファン(希少疾病用)医薬品」を意味する「Orphan Medicinal Product」の略称であることを通常有する知識に基づき認識する。
上記より、引用商標中「OMP」の語は、その指定役務(第42類)、とりわけ臨床試験・診断・治療・病状・薬理学に関連する役務との関係において、識別力が無いか極めて弱いものである。そのため、引用商標に接した需要者等は、その構成中の「OMP」には着目せず、語頭において強く支配的な印象を与える造語部分「LEXIC」に着目して取引を成す場合が十分ある。
上記事情を踏まえると、引用商標中「LEXIC」部分は、独立した自他商品等識別標識として機能することが想定されるため、要部として分離抽出し、商標類否判断を行うことが許される。
したがって、引用商標からは、「レキシコンプ」の称呼の他、「レキシック」又は「レキシク」の称呼が生じる。
ウ 本件商標と引用商標が類似する理由
引用商標の要部が「LEXIC」部分であることを前提に、以下本件商標が引用商標に類似するか否か検討する。
(ア)外観について
本件商標と、引用商標の要部「LEXIC」を比較すると、構成文字が完全に一致するため、外観上、本件商標は引用商標に類似する。
(イ)称呼について
本件商標から生じる「レキシック」又は「レキシク」の称呼と、引用商標の要部「LEXIC」から生じる「レキシック」又は「レキシク」の称呼が一致するため、称呼上、本件商標は引用商標に類似する。
(ウ)観念について
本件商標及び引用商標又はその要部からは、特定の観念が生じないことから、比較することができない。
(エ)指定役務の類似について
本件商標の指定役務「薬剤の分野における科学的研究,薬剤の分野における医学的研究及び科学的研究に関する情報の提供」と、引用商標の指定役務「オンラインで検索可能なデータベースによる臨床試験・診断・治療・病状・薬理学の分野における医療的及び科学的研究に関する情報及び結果の提供,医療・科学に関する試験・調査又は研究に関する情報の提供」は、提供の手段・目的、需要者、取引者が共通しており、同一事業者によって提供される場合がある役務であることから、類似関係にある役務である。
(オ)小括
以上より、本件商標及び引用商標は、観念が生じないことから比較できないものではあるが、外観及び称呼を共通にする商標である。また、本件商標の指定役務は、引用商標の指定役務と類似関係にある。これらのことを総合的に勘案すると、本件商標は、引用商標に類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号に該当する理由
引用商標はその指定商品及び指定役務の取引業界(特に、医療業界)において周知著名である。また、本件商標は引用商標と類似関係にあることから、本件商標をその指定役務に使用した場合、需要者は、引用商標の商標権者と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同する恐れがある。
ア 申立人の引用商標の周知著名性について
(ア)申立人について
申立人である「アップトゥデイト インコーポレイテッド(UpToDate,Inc.)」は、多岐に渡る分野(ヘルスケア、法務、ビジネス、会計、コンプライアンス等)において180か国以上の顧客に情報提供を行っている世界的企業である「ウォルターズクルーワー(Wolters Kluwer NV)」の子会社である。
申立人は、上記ウォルターズクルーワーのヘルスケア分野において、申立人の略称を使用した情報提供サービス「UPTODATE」を通じて、医療・医薬品に係る様々な情報を世界各国の医療従事者等に提供している。
この「UPTODATE」は、臨床意思決定支援システムであり、医療従事者が医療行為を行う際の意思決定を適切に行うことができるよう、また、治療方針に確信が持てるよう、世界の著名医師の臨床データに裏付けられたエビデンスに基づく医療情報を提供するものである。当該医療情報により、我が国においても誤診率が低減している状況にある。
(イ)申立人の事業と引用商標の周知著名性について
申立人は、情報提供サービス「UPTODATE」と共に、「LEXICOMP」(医薬品等の医療情報提供サービス)を提供している。「UPTODATE」は臨床意思決定支援システムであるが、これとの親和性が高い、高度な医薬品情報リソースとして、医薬品の用量・用法や投与、使用上の注意などに関する意思決定や、患者への情報提供のため「LEXICOMP」は活用されている(甲4)。
医療業界における医療提供者の普遍的課題として、困難な臨床問題への回答を迅速に見つけ出すための広範かつ専門性の高い情報の獲得が挙げられるが、この「LEXICOMP」では、とりわけ、医療において情報が不足しがちとされる小児・新生児、成人、高齢者に対する投薬やガイドライン等の情報が含まれており、当該情報提供サービスを利用することで、患者の安全性及び、医療従事者の業務効率がそれぞれ向上され、質の高い患者ケアを実現されていることから、「LEXICOMP」は医療業界では高く評価されている。
「Lexicomp」は、1978年に米国で提供を開始され、現在世界で約2,400もの病院・医療関係機関の臨床現場において広く活用されている現状であり、医療関係業界の需要者等、特に医療従事者には我が国も含めて世界的に「Lexicomp」の商標は広く知られている状況にある。
我が国の医療業界において周知著名であることは、例えば、日本医療薬学会が発行する「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」(甲5)において、「(問)臨床現場で薬物相互作用をマネジメントする上で、医薬品情報システムの活用は有用か?また、薬物相互作用の検索するためのデータベースとしてどのようなものがあるか?」との問いに対し、「薬物相互作用の検出について、海外ではコンピューター上のソフトウェアプログラムや臨床意思決定支援システムが活用されている。薬物相互作用検索に活用できる医薬品情報データベースの代表として、有料のものではUpToDateの医薬品情報リソースであるLexicomp(省略)があり、(省略)これらについてはスマートフォンやタブレット用のアプリもあるため、ベッドサイドを含め様々な場所で活用でき、利便性に優れている。」との記載がある。このように、医療業界における医薬品情報システムの代表として「Lexicomp」が紹介されていることからも、医療業界で広く認識され、かつ、使用されている情報提供サービスであることが伺える。
また、「Lexicomp」は、高度な医薬品情報リソースとして、医薬品の用量・用法や投与、使用上の注意等を含む極めて専門的な情報を提供するサービスである関係上、申立人は、一般的な広告よりも、医療関係機関への営業や、当該情報提供サービスの潜在的な利用者が存在し得る全国の大学へのセミナー実施による営業を行うことで、その周知著名性を向上させてきている(甲6〜甲11)。実際、我が国において「Lexicomp」を導入し医薬品情報を調査できるようにしている大学も存在しており、その一部を示す(甲12、甲13)。
さらに、申立人が、我が国で情報提供サービス「Lexicomp」の提供を開始することが報道された際、様々な情報発信ウェブサイトでもその記事が取り上げられており(甲14〜甲19)、また、薬剤師のブログ(甲20)や薬理学リファレンスアプリの解説サイト(甲21)で紹介される等していることからも医療業界において申立人の情報提供サービス「Lexicomp」が注目を集めていることが伺える。
したがって、上記より、引用商標は、我が国の医療業界において、医療情報提供サービスの商標として周知著名性を獲得している。
イ 商標法第4条第1項第15号が適用されるためのその他の考慮事由
商標審査基準では、商標法第4条第1項第15号の該当性について、以下の事実を勘案するとしているので、引用商標の周知著名性以外の点について申し述べる。
(ア)本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標は、引用商標の要部「LEXIC」と類似することから、類似性の程度は高いといえる。
(イ)引用商標が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるか
引用商標は造語であり、特に要部となる「LEXIC」部分は辞書にも掲載されていない語であって、引用商標の構成上顕著な特徴ある語である。
(ウ)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品又は指定役務との関連性
本件商標の指定役務である第42類「薬剤の分野における科学的研究,薬剤の分野における医学的研究及び科学的研究に関する情報の提供」は、「薬剤の分野」の役務であり、引用商標の指定商品及び指定役務は、「薬剤の分野」を含むか、少なくとも密接な関連性がある「臨床試験・診断・治療・病状・薬理学の分野」における商品又は役務である。
したがって、本件商標の第42類の指定役務は、引用商標の第42類の指定役務と類似関係にあるだけではなく、第9類「臨床試験・診断・治療・病状・薬理学の分野における医療的及び科学的研究に関する情報を内容とするデータベース管理用コンピュータソフトウェア,コンピュータソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」及び第16類「臨床試験・診断・治療・病状・薬理学の分野における医療的及び科学的研究に関する情報を内容とするポスター・ハンドブック・リーフレット・掛け図・フリップチャート(印刷物)・参照マニュアル・小冊子,印刷物」の指定商品とも密接に関連する役務であることが明らかである。
(エ)商品等の需要者共通性
本件商標の指定役務の需要者は、薬剤分野の科学的研究や医学的研究に関する情報を必要とする、医薬品取扱事業者や医療従事者等の医薬品及び医療に密接に関連する需要者等が含まれる。一方、引用商標の指定役務(第42類)の需要者等は、医薬品取扱事業者や医療従事者等であり、第9類と第16類の指定商品もまた臨床試験・診断・治療・病状・薬理学の分野における医療的及び科学的研究に関連する商品であるので、こちらの需要者にも医薬品取扱事業者や医療従事者等が含まれる。
したがって、本件商標の指定役務の需要者と、引用商標の指定商品及び指定役務の需要者は共通する。
(オ)申立人が使用する他の商標に関する事情(その他の取引事情)
申立人は、医療関係情報等の提供サービスにあたり、引用商標以外の商標を使用している(甲22)。
このように、申立人は、引用商標以外に「Lexi」を冠した多数の商標を医療関係情報の提供サービスに使用している。こうした医療関係情報の提供サービスにおける申立人商標の使用状況からすれば、「Lexi」が冠された商標が申立人の提供するサービスであることが、少なくとも医療業界における需要者等へ印象付けられている。なお、「Lexi」が冠された商標を多用して、医療関係情報の提供サービスを行っている第三者は申立人以外には存在しない。
ウ 小括
引用商標は、我が国の医療業界において、医療情報提供サービスの商標として周知著名性を獲得している。また、本件商標と引用商標は類似関係にあること、引用商標は造語であること、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務は密接な関連性を有すること、その需要者も共通すること、さらに、引用商標のシリーズとして申立人は「Lexi」を冠した商標を医療情報提供サービスに多数使用している現状があることを、総合的に考慮すれば、本件商標がその指定役務に使用された場合、需要者は、引用商標の商標権者と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同する恐れ(広義の混同の恐れ)が十分にある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人の主張によれば、申立人は「ウォルターズクルーワー(Wolters Kluwer NV)」の子会社であり、臨床意思決定支援システム(医療従事者が医療行為を行う際の意思決定を適切に行うことができるよう、また、治療方針に確信が持てるよう、世界の著名医師の臨床データに裏付けられたエビデンスに基づく医療情報を提供する情報提供サービス)「UPTODATE」と共に、「LEXICOMP」(医薬品等の医療情報提供サービス)を提供している。
(イ)ウォルターズ・クルーワーのウェブサイト(2018年8月の記事)によれば、「ウォルターズ・クルーワー、医薬品情報リソースLexicompの国内提供を開始」の見出しの下、「臨床意思決定支援リソース『UpToDate』(アップ・トゥー・デート)など、クリニカル・エフェクティブネス(臨床的有用性)事業をグローバル展開するウォルターズ・クルワーは、医薬品情報リソース「Lexicomp」(レキシコンプ)の国内における提供開始を発表しました。Lexicompは、米国での提供を1978年に開始し、現在世界2,400の病院・医療機関において、ポイントオブケアで簡単に利用できる高度な医薬品情報リソースとして、医薬品の用量・用法や投与、使用上の注意などに関する意思決定や、患者への情報提供に活用されています。」と記載されている(甲4)。
(ウ)「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」(日本医療薬学会発行)によれば、「臨床現場で薬物相互作用をマネジメントする上で、医薬品情報システムの活用は有用か?また、薬物相互作用を検索するためのデータベースとしてどのようなものがあるか?」の見出しの下、「・・・薬物相互作用検索に活用できる医薬品情報データベースの代表として有料のものではUpTodateの医薬品情報リソースであるLexicomp・・・」と記載されている(甲5)。
(エ)島根大学附属図書館及び東京医科大学図書館のウェブサイトにおいて、2020年11月26日に「医薬品情報リソースLexicomp活用のヒント」と題するセミナーの開催、久留米大学医学図書館のウェブサイトにおいて、2021年7月13日にUpToDateのオンラインセミナーの開催、順天堂大学学術メディアセンターのウェブサイトにおいて、2021年6月30日にUpToDateのオンラインセミナーの開催、奈良県立医科大学附属図書館のウェブサイトにおいて、2021年9月28日にUpToDate及びLexicompのオンラインセミナーの開催、旭川医科大学図書館のウェブサイトにおいて、平成28年4月4日にUpToDate Anywhereの利用登録会(及びリモートアクセス再認証)・説明会の開催されたことが、それぞれに記載されている(甲6〜甲11)。
(オ)「群馬大学総合情報メディアセンター」、「毎日新聞」、「PRTIMES」、「時事メデイカル」、「Digital PR Platform」、「Dream News」、「ZDNet Japan」、「intech.media」及び「Lexicomp Online クイックリファレンスガイド」のウェブサイトにおいて、申立人が「Lexicomp」を我が国で提供等していることが記載されている(甲13〜甲19、甲21、甲22)。
イ 上記アにおいて認定した事実によれば、申立人が臨床意思決定支援システムである「UpToDate」及び医薬品等の医療情報提供サービスである「Lexicomp」を提供していることはうかがえるところである。
しかしながら、引用商標に係る商品及び役務の我が国における商品の売上高、販売料などの販売実績及び役務の提供実績を示す主張及び証左も見いだせず、また、宣伝広告の回数や宣伝広告費の額など、周知・著名性を数量的に判断し得る具体的な証拠は提出されていないから、その事実を客観的に把握することができないものである。
これに加え、いくつかのセミナーにおいて引用商標に関する記事が掲載されているとしても、その開催日は、示された証拠の6件のうち、5件は本件商標出願日以降のものであり、出願日前のものは、わずか1件にすぎない。また、通常、セミナー等の開催の告知が開催日以前に行われることを考慮しても、これらの告知が、出願日前に行われたとする日付けを確認できる証拠は提出されていないから、その事実を客観的に把握することができないものである。
そうすると、引用商標に係る商品及び役務が、病院関係において提供されたことがうかがえるものの、上記のとおり、引用商標に係る商品及び役務の提供実績、宣伝広告の時期、方法及び規模等を示す証左は見いだせず、引用商標が需要者にどの程度認識されるかに至ったかはうかがい知ることはできない。
その他、本件商標の登録出願日において、引用商標が広く知られていることを認めるに足る証拠の提出はなく、引用商標の周知性を認め得る事情は見いだせない。
してみると、提出された証拠をもってしては、引用商標の周知性を認めるには不十分といわざるを得ないものであり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものとまでは認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標の構成
本件商標は、「LEXIC」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は一般的な辞書には載録がなく、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
通常、造語からなる商標については、我が国において広く親しまれている英語読み風又はローマ字読み風に称呼されることが一般的であるから、本件商標はその構成文字に相応して、「レキシク」及び「レキシック」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標の構成
引用商標は、「LEXICOMP」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は同じ書体、同じ大きさ及び等間隔でまとまりよく一体に表されているものである。
そして、「OMP」の文字が、申立人が主張する「Orphan Medicina1 Product」(「オーファン(希少疾病用)医薬品」)の略称であるとしても、引用商標は、その構成に照らせば、これに接する取引者、需要者が、殊更その構成中の「LEXIC」の文字部分にのみ着目するというよりは、「LEXICOMP」の文字全体をもって不可分一体の語として認識するのが自然である。
また、上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認められないものである。
そして、当該構成文字全体は、辞書等に載録がなく、特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせないものであるから、一種の造語として理解されるものとみるのが相当である。
通常、造語からなる商標については、我が国において広く親しまれている英語読み風又はローマ字読み風に称呼されることが一般的であるから、引用商標は、その構成文字に相応して、「レキシコンプ」の称呼を生ずるというのが相当であり、当該称呼は、さほど冗長というものでもなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、引用商標は、その構成全体をもって「レキシコンプ」との一連の称呼のみを生ずる一体不可分の造語を表した商標と認識されるとみるべきであって、その他、その構成中の「LEXIC」の文字部分のみを分離、抽出して観察しなければならない格別の理由は存しない。
してみれば、引用商標は、その構成中の「LEXIC」の文字部分のみが独立して看者に印象づけられるものではないから、その構成文字全体に相応して、「レキシコンプ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標とは、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるものであって、外観においては、その全体の構成において、構成文字数の相違により、判然と区別し得るものである。
次に、本件商標から生ずる「レキシク」及び「レキシック」の称呼と引用商標から生ずる「レキシコンプ」の称呼とは、構成音数が異なることに加え、後半部において「ク」「ック」と「コンプ」の音の相違という明らかな差異を有するものであるから、称呼において明瞭に聴別し得るものである。
そして、本件商標及び引用商標からは、特定の観念は生じないものであるから、観念において比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において互いに紛れるおそれのないことが明らかなものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であるというのが相当である。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、引用商標に類似しない商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務の類否について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)イのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであり、また、本件商標と引用商標とは上記(2)ウのとおり、非類似の商標であって別異の商標というべきである。
してみると、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を想起又は連想することはないというべきであるから、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、その役務が他人(申立人)又はこれと組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものと認めることはできない。
その他、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
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異議決定日 2022-03-31 
出願番号 2020044618 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W42)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 馬場 秀敏
板谷 玲子
登録日 2021-05-11 
登録番号 6387298 
権利者 ベーリンガー・インゲルハイム・インテルナツイオナール・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
商標の称呼 レクシック、レキシック、レジック 
代理人 前川 純一 
代理人 小谷 悦司 
代理人 小谷 昌崇 
代理人 松永 章吾 
代理人 並川 鉄也 
代理人 森田 拓 
代理人 貴答 信介 
代理人 前川 砂織 
代理人 山崎 和香子 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
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