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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1383431 |
総通号数 | 4 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2022-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-07-28 |
確定日 | 2022-04-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6388133号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6388133号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6388133号商標(以下「本件商標」という。)は、「momoly」の文字を標準文字で表してなり、令和2年10月16日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同3年4月6日に登録査定、同年5月12日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議申立ての理由において、引用する登録第6015882号商標(以下「引用商標」という。)は、「モモリ」の片仮名及び「MOMORI」の欧文字を上下2段に書してなり、平成29年5月22日に登録出願され、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同30年2月2日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由(要旨) 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 (1)商品の類否 本件商標の指定商品中、「化粧品」は、引用商標の指定商品と同一である。 (2)商標の類否 本件商標は、その構成「momoly」全体として商標の要部として認識され、その構成文字に相応して「モモリー」の称呼を生じ、特定の意味合いは理解されない。 一方、引用商標は、その構成全体及びその構成中の「モモリ」並びに「MOMORI」のそれぞれが商標の要部として認識され、その構成文字に相応して「モモリ」の称呼を生じ、特定の意味合いは理解されない。 そして、本件商標と引用商標から生じる称呼を比較すると、両者は、長音の有無において相違するところ、当該差異音は、埋没し易い語尾にあり、前音の「リ」に吸収されて独立したー音として明確に聴取され難い音であるから、称呼全体の語韻、語調に与える影響が極めて少ない語尾における長音の差異をもって、両者を非類似と判断することは妥当ではない。 さらに、実際の化粧品の取引の場面を考えれば、本件商標と引用商標から生じる称呼をもって異なる化粧品を識別する上で、需要者、取引者の一方が呼称した「モモリー」の音を、他方が「モモリ」と聞き誤ることが十分に想定される。 したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において類似する。 (3)取引の実情について 化粧品の分野においては、電話等のロ頭による商取引が行われていないなど、商標の称呼よりも外観や観念を重視して取引されるといった特殊かつ恒常的な取引の実情は存在しない。 一方で、一般的に、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、電話を用いた口頭による取引を行う場合や、伝聞で商標(称呼)をもって当該商品を特定して伝えることも少なくなく、需要者、取引者が商標の称呼を頼りに商品を特定することが普通に行われている。 また、化粧品は、男女を問わず非常に幅広い年代の需要者・取引者に利用される一般消費財であり、数多くの具体的商品を含む概念であって、仮に、化粧品の概念に含まれる特定の個別商品については、称呼をもっては取引されないといった局所的な取引実情が存在するとしても、そのような取引の実情は考慮すべきでないから、需要者、取引者をして、本件商標と引用商標の外観及び観念上の差異が、称呼における類似性を凌駕し、両者が指標する商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがないということはできない。 (4)まとめ 以上から、本件商標は、引用商標に類似する商標であって、引用商標の指定商品と同一の商品について使用をするものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 当審の判断 (1)本件商標について 本件商標は、上記1のとおり、「momoly」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書等に載録された成語でなく、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識し、把握されるものである。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「モモリー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標は、「モモリ」の片仮名及び「MOMORI」の欧文字を上下2段に書してなるところ、上段の片仮名は下段の欧文字の読みを表したものと容易に認識できるものである。 そして、「MOMORI」の文字は、一般の辞書等に載録された成語でなく、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識し、把握されるものである。 そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「モモリ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について ア 外観 本件商標と引用商標の外観を比較すると、両者の全体の構成はそれぞれ上記1及び2のとおりであり、本件商標は標準文字で横一列に表したものであるのに対し、引用商標は上下2段からなるという顕著な差異を有し、字体も明らかに相違するものである。そして、本件商標と引用商標における欧文字において、ともに6文字の構成文字数よりなり、1文字目ないし4文字目は「momo」及び「MOMO」のつづりを共通にするものであるとしても大文字と小文字の差異を有しており、5文字目及び6文字目における「ly」と「RI」の文字が明らかに相違するから、外観上、判然と区別し得るものである。 イ 称呼及び観念 本件商標から生ずる「モモリー」の称呼と引用商標から生ずる「モモリ」の称呼とは、語頭音を含めた「モモリ」の音を共通にし、語尾における長音の有無にのみ差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときには、語調、語感が近似するから、称呼上、互いに相紛れるおそれがあるものである。 そして、観念については、両者は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。 ウ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができず、称呼において近似し、相紛れるおそれがあるとしても、それが外観における顕著な差異をしのぐほどの強い印象を与えるとまではいえないことから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 したがって、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (4)請求人の主張について 請求人は、化粧品の分野において、電話による取引や、商標の称呼を頼りに商品を特定することが普通に行われているから、本件商標と引用商標との類否判断において、称呼における類似性を軽視し、外観及び観念に重きをおいて商標の類否を検討すべき具体的な理由及び取引実情を示すべきである旨主張する。 確かに、化粧品の分野において、電話等の口頭による取引の存在を否定するものではないが、他方で、需要者をして店頭において直接商品を選択したり、昨今においては、インターネットを介して取引が行われていることからすれば、それらも含めたものが化粧品の一般的な取引の実情といえるものである。 そして、上記(3)のとおり、本件商標と引用商標との類否について、称呼が近似するとしても、そのことが、外観における顕著な差異をしのぐほどの強い印象を与えるとまではいえないから、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標と判断したものであるから、請求人の上記主張は採用することができない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、その登録は同条第1項の規定に違反してなされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2022-03-30 |
出願番号 | 2020128528 |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W03)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
平澤 芳行 |
特許庁審判官 |
水落 洋 小俣 克巳 |
登録日 | 2021-05-12 |
登録番号 | 6388133 |
権利者 | 富源株式会社 |
商標の称呼 | モモリー |
代理人 | 前田 大輔 |
代理人 | 朝倉 美知 |
代理人 | 中村 知公 |
代理人 | 伊藤 孝太郎 |