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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W093742 |
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管理番号 | 1383429 |
総通号数 | 4 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2022-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-07-15 |
確定日 | 2022-04-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6400156号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6400156号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6400156号商標(以下「本件商標」という。)は、「@Wash」と標準文字で表してなり、令和2年8月7日に登録出願、第9類、第36類、第37類及び第42類に属する別掲記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年5月28日に登録査定され、同年6月9日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する、登録第6288189号(以下「引用商標」という。)は、「wash」の欧文字を標準文字で表してなり、令和2年2月17日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム」を指定商品として同年9月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立の理由 申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類の全指定商品及び第42類の全指定役務については、商標法第4条第1項第11号に該当し、第37類の全指定役務については、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、本件商標は、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下の様に述べ証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。 なお、表記にあたっては、甲○(「○」の部分は数字)のように省略して記載する場合がある。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標の指定商品の第9類「アプリケーションソフトウェア,スマートフォン,携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」(類似群コード11B01,11C01,11C02)と、引用商標の第9類「電気通信機械器具,携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム」(類似群コード11B01,11C01,11C02)とは、同一又は類似のものである。 また、本件商標の指定役務の第42類「アプリケーションソフトウェアの提供,アプリケーションプログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供」(類似群コード42X11)と、引用商標の第9類「電子計算機用プログラム」(類似群コード11C01)とは、類似と推定されるもの(備考類似)である。 また、本件商標の指定役務の第42類「電子データの収集・解析・分析又は保存,アプリケーションソフトウェアの設計・作成・開発又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」(類似群コード42P02)と、引用商標の第9類「電子計算機用プログラム」(類似群コード11C01)とは、例えば、PayPay株式会社のウェブサイトで取り扱われる商品「PayPayアプリ」(電子計算機用プログラム)のように、<1>商品の譲渡・設計・作成・開発・保守、データ収集・解析・保存が同一事業者によって行われているのが一般的であり、<2>商品と役務の用途が一致し、<3>商品の譲渡場所と役務の提供場所が一致し、<4>需要者の範囲が一致することから、同一又は類似のものである。 他方、本件商標「@Wash」は、「@」の記号と「洗浄」等を意味する英単語の「Wash」(出典:株式会社小学館「プログレッシブ英和中辞典」)の文字を標準文字で表してなるところ、その全体をもって特定の意味合いを有する語として親しまれているものともいい難く、これを常に一体不可分のものとして把握しなければならないとする格別の事情も見出せないものであるから、これに接する取引者、需要者をして、容易に「@」の記号と「Wash」の文字とを結合したものと看取されるものと認められる。 本件商標の構成中の「@」は、「商品の単価を表し、また、電子メールのアドレスなどに使う。」記号であって(出典:株式会社岩波書店「広辞苑第七版」「アットマーク」の項)、「アットマーク」と称呼されるほか、その読みが併記されていない場合には、単なる記号として認識されて称呼されない場合(甲3)も少なくなく、審査においても【称呼(参照情報)】(甲1)として考慮されている。 また、「@」の記号は、従来より商品の単価を表す記号・符号として親しまれているものであり、また、近時は電子メール、インターネット、SNS(ソーシャルネットワーキングシステム)、携帯電話、スマートフォンが普及し、例えば、「@」の記号は、メールアドレスでは「個別アドレス@所属先」、SNSアカウントでは「@所属先」(甲3)の如く用いられているところである。 これら「@」の用例からみるに、当該記号に続く部分に「所属先」といった重要な情報を示す文字が続けられていることよりすれば、「@○○」のような表示に接した場合、当該記号に続く「○○」の部分を、重要な部分として印象される場合も決して少なくないというのが相当である。 してみれば、本件商標をその指定商品(第9類「アプリケーションソフトウェア,スマートフォン,携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」)や指定役務(第42類「アプリケーションソフトウェアの提供,アプリケーションプログラムの提供,電子データの収集・解析・分析又は保存,電子計算機用プログラムの提供,アプリケーションソフトウェアの設計・作成・開発又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」)に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、商標使用者の意図とは関係なく、その構成中の親しまれた英単語の「Wash」の文字部分が主たる要部と認識し、当該部分に着目して取引に資する場合も決して少なくないと判断するのが相当である。 そうとすると、本件商標は、「Wash」の文字部分に相応して、単に「ウオッシュ」の称呼をも生じ、かつ、「洗浄」の観念を生ずるものであるといわなければならない。 他方、引用商標は、英単語の「wash」の文字からなり、「ウオッシュ」の称呼及び「洗浄」の観念を生ずるものである。 してみれば、本件商標「@Wash」と引用商標「wash」とは、外観において類似する点があることの他、「Wash」、「wash」の文字より生ずる「ウオッシュ」の称呼及び「洗浄」の観念を共通にする類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。 (2)商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号について 上記(1)のとおり、本件商標を、その指定商品及び指定役務中の、第37類「乗物用洗浄機の修理又は保守,自動販売機の修理又は保守,乗物用洗浄機の貸与,自動車の洗浄及びつや出し,自動車の洗浄施設の提供,乗物の洗浄,自動車の洗車に関する情報の提供」に使用した場合であっても、これに接する取引者、需要者(甲4、甲5)は、商標使用者の意図とは関係なく、その構成中の親しまれた英単語の「Wash」の文字部分が主たる要部と認識するのが相当である。 このような本件商標を、その指定役務中「洗浄」に関連した役務、例えば第37類「自動車の洗浄」等に使用しても、これに接する需要者は自動車に対する洗浄に関連することを認識するにとどまるから、本件商標は何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものではなく、かつ、上記以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条1項16号に違反して登録されたものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標について 本件商標は、「@Wash」と標準文字で表してなるところ、その構成中の「@」は、「コンピュータで用いられる情報交換符号の1。電子メールのアドレスではユーザー名とドメイン名を区切る符号として用いられる。」(出典:コンサイスカタカナ語辞典第5版)の意味を有し、「Wash」の欧文字は、「洗う、洗濯する、洗浄する。」(出典:リーダーズ英和辞典第2版)の意味を有する語である。 ところで、「@」が「アットマーク」と読まれることは一般に知られており、「Wash」の欧文字も平易な英単語で「ウォッシュ」と読まれるものであることが一般に知られているといえる。 そして、本件商標は、外観については、同大・等間隔でまとまりよく一体的に表されており、その構成に相応して生じる「アットマークウォッシュ」の称呼も、格別冗長というほどではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。 また、本件商標は、たとえ、「@」が電子メールのアドレスにおいて区切り符号に使われる場合があるとしても、上記構成及び称呼からすれば、「Wash」の欧文字部分のみが強く印象づけられるというよりは、むしろ構成全体をもって一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるというのが相当である。 さらに、本件商標は、その構成中「Wash」の欧文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものなどと認めるに足りる事情は見いだせない。 そうすると、本件商標は、その構成全体が一体不可分のものであって、「アットマークウォッシュ」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。 イ 引用商標について 引用商標は「wash」と標準文字で表してなるところ、その構成文字は、「洗浄する」等の意味を有する平易な英語といえるから、「ウォッシュ」の称呼及び「洗浄する」の観念を生じる。 ウ 本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標の類否について検討するに、本件商標と引用商標は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ、外観においては、その構成中の先頭に「@」の有無という差異を有し、外観上与える印象が異なるものであるから、両者は判然と区別し得るものである。 次に称呼についてみるに、本件商標から生じる称呼が「アットマークウォッシュ」であるのに対し、引用商標から生じる称呼は「ウォッシュ」であるから、その構成音及び音数が異なるため、明瞭に聴別可能であり、相紛れるおそれはないものである。 さらに観念については、本件商標からは、特定の観念が生じず、引用商標からは「洗浄する」の観念が生じるものであるから、観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 よって、その指定商品及び指定役務の類否について言及するまでもなく、商標法第4条第1項第11号には該当しない。 (2)商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号について 本件商標については、上記(1)アのとおりであり、特定の観念を生じない一種の造語というべきものである。 また、当審において職権を持って調査したが、本件商標の登録査定時において、本件商標を構成する「@Wash」の記号及び文字は、本件申立に係る第37類の指定役務中「洗浄」に関連した役務との関係で、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものというべき事情も発見できなかった。 したがって、本件商標は、これを申立に係る第37類の指定役務中、例えば、「自動車の洗浄及びつや出し,乗物の洗浄,自動車の洗車に関する情報の提供」に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるとはいえないから、商標法第3条第1項第6号に該当しない。 また、本件商標は、これを申立に係る第37類の指定役務中、上記以外の役務について使用しても、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるというべき事情も見当たらないから、商標法第4条第1項第16号に該当しない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第6号、同法第4条第1項第11号及び同項第16号のいずれの規定にも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標の指定商品及び指定役務 第9類 アプリケーションソフトウェア,スマートフォン,携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具 第36類 プリペイドカードによる支払代金の電子決済,プリペイドカードの発行及びこれに関する情報の提供,電子プリペイドカードの発行及びこれに関する情報の提供 第37類 乗物用洗浄機の修理又は保守,自動販売機の修理又は保守,乗物用洗浄機の貸与,自動車の洗浄及びつや出し,自動車の洗浄施設の提供,乗物の洗浄,自動車の洗車に関する情報の提供 第42類 アプリケーションソフトウェアの提供,アプリケーションプログラムの提供,電子データの収集・解析・分析又は保存,電子計算機用プログラムの提供,アプリケーションソフトウェアの設計・作成・開発又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2022-03-31 |
出願番号 | 2020098520 |
審決分類 |
T
1
652・
261-
Y
(W093742)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
齋藤 貴博 |
特許庁審判官 |
板谷 玲子 馬場 秀敏 |
登録日 | 2021-06-09 |
登録番号 | 6400156 |
権利者 | 株式会社ダイフク |
商標の称呼 | アットウオッシュ、アットマークウオッシュ、エイウオッシュ、アウオッシュ、ウオッシュ |
代理人 | 特許業務法人R&C |