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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W0305
管理番号 1383424 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-06-21 
確定日 2022-04-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第6371078号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6371078号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6371078号商標(以下「本件商標」という。)は、「TRUTH.」の文字を標準文字で表してなり、令和元年11月12日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同3年2月2日に登録査定、同年3月31日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして、引用する登録第5902233号商標(以下「引用商標」という。)は、「NATURE’S TRUTH」の文字を標準文字で表してなり、平成28年6月16日に登録出願、第3類「精油,化粧品」及び第5類「ビタミン剤,ビタミンを主原料とするサプリメント,ミネラルを主原料とするサプリメント,栄養補助食品,サプリメント,ハーブからなる栄養補助食品」を指定商品として、同年12月2日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標はその指定商品中、第3類「全指定商品」(以下「本件申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第82号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、欧文字の「TRUTH.」を横書きした商標である。
引用商標は、「NATURE’S」及び「TRUTH」の語により構成されており、「NATURE’S」は「自然の」という語であり、次の「TRUTH」の語と結び付け易い語ともいえる。
そして、引用商標の称呼は「ネイチャーズトゥルース」であり、長音を含めて全体として若干長めの音からなっている。しかし、特に近年、需要者は長めの名称を短く略して称する頻向が強い。
また、「NATURE’S」若しくは「NATURE」の語は、「自然の」又は「自然由来の」という意味合いで、第3類の化粧品等の分野において多用され、商標登録としても併存例が非常に多い語である。
さらに、「NATURE’S」は「自然の」又は「自然由来の」と理解されるため、第3類の「化粧品」や第5類の「サプリメント」等との関係では、それ自体の識別力は弱い。
すなわち、「NATURE’S TRUTH」の「NATURE’S」は、指定商品との関係では、「品質」を表していると解されやすい上に、指定商品との関係で商標登録の併存例が非常に多く、しかも名称としては若干長めである。
以上からすると、引用商標は、他の商標又は商品名との区別のためにも、より識別力を有している「TRUTH」と略して称呼され、又はより強い印象を有する「TRUTH」で識別されやすいものである。
そのうえ、「NATURE’S TRUTH」は、そのまま称呼されるだけでなく、「TRUTH」と称されることも十分にあり得るから、引用商標が「TRUTH」と略して称される又は認識される場合、本件商標「TRUTH.」は、引用商標との関係で、外観、称呼、観念の全ての点においてほぼ同一視されることになる。そして、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、第3類「化粧品,香料」について同一又は類似している。
以上から、本件商標は、第3類「化粧品,香料」について引用商標と類似していると判断されるべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 申立人及び申立人の商品について
申立人は、アメリカ合衆国ニューヨーク州にある有限責任会社で、化粧品、栄養補助食品、アロマテラピー製品、ビタミン、ミネラルを含む高品質のウェルネス製品のメーカーであり、取扱製品は世界中に提供されている。
申立人の商標である「NATURE’S TRUTH」(引用商標)は、2014年より継続的に世界中で化粧品、精油、サプリメント等について使用されてきた結果、世界中の人々に支持され、申立人の「化粧品,精油,ビタミン剤,ビタミンを主原料とするサプリメント,ミネラルを主原料とするサプリメント,栄養補助食品,サプリメント,ハーブからなる栄養補助食品」と直接的に関係付けられるようになった。具体的には、申立人は、インターネットを介して、世界74か国で化粧品、精油、及びサプリメントを販売してきた(甲3〜甲6)。
申立人は、引用商標が世界各国で適切に保護されるべく、約50か国において商標登録を受けている(甲7〜甲81)。これにより、引用商標は、申立人を直接的に表す化粧品、精油、サプリメントの商標として米国を中心として世界的に著名となり、高い信頼と名声を獲得してきた。
このように引用商標は、その商品の品質の高さ、使用状況等を背景に、高い信用と名声を獲得した世界的一流ブランドとして、一般需要者をはじめ、取り扱う取引者や一般消費者など、世界中の人々に深く浸透するに至っている。
したがって、引用商標は、申立人の業務に係る化粧品、精油、ビタミン剤やサプリメント等に関する出所識別標識として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において著名であり、その著名性の程度は極めて高いものであるといえる。
イ 混同のおそれ
引用商標と本件商標が類似することは前述したとおりであり、申立人と何ら関係のない商標権者等が本件商標をその指定商品又は指定役務について使用すれば、申立人の業務に係る商品又は役務と混同され、その出所につき誤認されるおそれがあることは明白である。
仮に、本件商標と引用商標が類似しないとしても、本件商標は申立人の業務に係る商品等と混同を生ずるおそれがある。
また、申立人の業務に係る商品又は役務は、本件商標に係る指定商品又は指定役務の一部と同一又は類似するが、類似しない指定商品又は指定役務に係る商品等についても、本件商標は、使用されれば申立人の業務と混同が生じるおそれが多分に存在する。
以上のとおり、本件商標は、仮に本件商標と引用商標が類似しないとしても、申立人と何ら関係のない商標権者等が本件商標に係る指定商品又は指定役務について使用したとすれば、あたかも申立人の系列会社等の緊密な営業上の関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると、取引者・需要者に誤信されるおそれが多分に存する。
したがって、本件商標は、本件申立商品について、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「TRUTH.」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「TRUTH」の文字は、「真実」等の意味を有する英単語(「新英和中辞典」研究社)である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「トゥルース」の称呼を生じ、「真実」の観念を生じるものである。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり、「NATURE’S TRUTH」の文字を標準文字で表してなるところ、「NATURE’S」と「TRUTH」の間に1文字程度の間隔を有するとしても、その構成文字は同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体に表されており、その構成文字全体に相応して生じる「ネイチャーズトゥルース」の称呼も、格別冗長というべきものでなく無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、その構成中の「NATURE’S」の文字は、「自然の」の意味(前掲書)を有する英単語「NATURE」と英語で所有格を表す「’S」が結合したものであり、「TRUTH」の文字は上記アのとおり、「真実」等の意味を有する英単語であるから、引用商標は、それを構成する各文字の字義に相応して「自然の真実」ほどの漠然とした意味合いを想起させるものといえる。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「ネイチャーズトゥルース」の称呼を生じ、「自然の真実」ほどの漠然とした意味合いを想起させるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標との類否について検討すると、外観については、両者の全体の構成はそれぞれ上記ア及びイのとおりであり、「TRUTH」の文字が共通するとしても、引用商標の前半部における「NATURE’S」の文字の有無という明らかな差異を有し、文字数も相違することから、両者は、外観上、見誤るおそれはなく、判然と区別し得るものである。
次に、称呼については、本件商標から生ずる「トゥルース」の称呼と引用商標から生ずる「ネイチャーズトゥルース」の称呼とは、引用商標の前半部における「ネイチャーズ」の音の有無という明らかな差異を有し、その音構成及び構成音数が相違するから、両者は聞き誤るおそれはなく、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念については、本件商標からは「真実」の観念を生じるのに対し、引用商標からは「自然の真実」ほどの漠然とした意味合いを想起させるものであるから、観念上、相紛れるおそれはないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないから、外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 申立人の主張について
申立人は、引用商標の構成中の「NATURE’S」の文字は、指定商品との関係において品質を表していると理解されやすい上に、商標登録の併存例も多く、しかも、名称としては若干長めであるから、その構成中の「TRUTH」の文字部分が要部として識別される旨主張する。
しかしながら、上記イのとおり、引用商標は構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識、把握されるものである。
その他、引用商標の構成中「TRUTH」の文字部分を分離抽出し、本件商標と比較検討すべきとする事情は見いだせない。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件申立商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性
(ア)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
申立人は、アメリカの法人で、化粧品や栄養補助食品などウェルネス製品のメーカーである(申立人の主張)。
そして、我が国及び外国のウェブサイト上において「精油、サプリメント」(以下「使用商品」という。)等の包装容器に引用商標が表示され、販売されていることがうかがえる(甲3〜甲6)。
なお、引用商標が表示された商品の製造者及び販売者は、提出された証拠からは不明である。
また、申立人は、引用商標を外国において登録商標として有していることがうかがえる(甲7〜甲52、甲54〜甲82)。
(イ)判断
上記(ア)によれば、我が国においてウェブサイト上で販売されている使用商品の包装容器に引用商標が表示されている(甲3)ものの、それらの使用商品と申立人との関係が確認できず、また、使用商品の売上高、販売数、市場シェア等の具体的な販売実績や、宣伝広告の回数、方法、頒布範囲等を示す主張、証拠は見いだせない。
そして、引用商標が外国で登録されていることが、引用商標の我が国における著名性にどのように結びつくのかについても明らかでない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国において、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり、かつ、本件商標と引用商標とは、上記(1)ウのとおり非類似の商標である。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標と引用商標とは、上記(1)ウのとおり、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはない非類似の商標であって、別異の商標であるから、本件商標及び引用商標の類似性の程度は低いものである。
ウ 出所の混同のおそれ
引用商標は、上記ア(イ)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において申立人の業務に係る商品として、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められず、かつ、上記イのとおり、本件商標及び引用商標の類似性の程度は低いもものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品中、本件申立商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件申立商品について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

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異議決定日 2022-03-30 
出願番号 2019143303 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W0305)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 小俣 克巳
水落 洋
登録日 2021-03-31 
登録番号 6371078 
権利者 株式会社TTW
商標の称呼 トゥルース、トルース 
代理人 岡本 茂樹 
代理人 豊山 おぎ 
代理人 中井 博 

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