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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1383420 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-06-18 
確定日 2022-04-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6370915号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6370915号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6370915号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年12月25日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同3年3月9日に登録査定され、同年3月30日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)。
(1)登録第5931457号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成28年7月13日
設定登録日 平成29年3月10日
(2)商願2019−55833号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第7類、第9類、第11類、第12類、第20類及び第28類に属する願書に記載の商品
登録出願日 平成31年4月22日
なお、引用商標1に係る商標権は現に有効に存続しているものであり、引用商標2に係る商標登録出願は審査に係属中である。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の対比について
(ア)本件商標
本件商標は「POWER」と「SHARK」の欧文字を二段書きにしてなり、その外観は、冒頭「P」部分を緑色の稲妻のような図形で表した他は太ゴシック体の欧文字で表されている(甲1)。
また「POWER SHARK」の文字からなる本件商標は、我が国において一般的に使用されている辞書等に掲載されていないものであり、既成の観念を有しない造語として認識されるものであるから、特定の観念を生じず、その構成文字に相応して「パワーシャーク」の称呼が生じる。
(イ)引用商標
引用商標の外観は、黒色の太ゴシック体の欧文字「POWER」と「SHARE」を右上がりに二段書きに配置した構成からなり、「E」部分を重ねて電源のレベルを表すかのように6本の横線で表されている(甲2、甲3)。
また、「POWER SHARE」の文字からなる引用商標は、我が国において一般的に使用されている辞書等に掲載されていないものであり、既成の観念を有しない造語として認識されるものであるから、特定の観念を生じず、その構成文字に相応して「パワーシェア」の称呼が生じる。
(ウ)本件商標と引用商標の対比
本件商標と引用商標の文字部分をみると、共に上段と下段のそれぞれに欧文字5文字ずつを配した10文字からなるところ、相違するのは両者の下段の語尾1文字のみであって、その構成においては10文字中9文字にも及ぶ「POWER」並びに「SHAR」の文字を共通にする、外観上近似した文字構成からなるものである。
更に、本件商標と引用商標は共に、黒色の太ゴシック体の文字で構成されている点、それぞれの文字の間隔が狭く各文字同士が近接した構成を採っている点で共通し、加えて、二段書きとした各文字がまとまりのある態様となっており、視覚的な特徴が酷似する。
次に称呼についてみると、本件商標は「パワーシャーク」、引用商標は「パワーシェア」となるところ、共に構成音数が4音(長音を含む。)である点、4音目が開拗音である点で共通し、語尾の音のみが相違する。
したがって、「パワーシャーク」と「パワーシェア」の両称呼を一連に称呼した場合には、語韻語調が似ている印象をもつから、両称呼は称呼上相紛れるものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観において近似するものであり、称呼において類似するものであるから、互いに相紛らわしい類似の商標というのが相当である。
イ 指定商品の対比
本件商標の指定商品中「変圧器(電気用のもの),配電用又は制御用の機械器具,電気コンバーター,バッテリーチャージャー,電子たばこ用充電器,電子たばこ用バッテリー,蓄電池,電池,バッテリーボックス,太陽電池,太陽光発電パネル,太陽電池」は引用商標1の指定商品全てと、類似群コード「11A01、11A03」において共通する。
更に、本件商標の指定商品中「着用可能なアクティビティトラッカー」は引用商標2の指定商品中「測定装置」等と類似群コード(10C01)において、本件商標の指定商品中「携帯情報端末」は引用商標2の指定商品中「未記録の磁気記録媒体」等と類似群コード(11B01及び11C01)において、本件商標の指定商品中「タブレットコンピューター用カバー,タブレット型コンピュータ」は引用商標2の指定商品中「タブレット型コンピュータ」等と類似群コード(11C01)において、それぞれ共通する。
ウ 取引の実情
取引の実情についてみるに、各指定商品においては、近年のスマートフォンの普及やECサイトの市場規模拡大などにより、実店舗だけでなく自社サイトや楽天市場・Amazon等のインターネットモールでの販売も広く行われるに至っている。
また、ECサイトでの商品購入は、店員にブランド名や商品名を口頭で伝える必要がなく、文字入力による検索や画面のクリック等により目視で商標や商品を確認することとなる。すなわち、消費者・需要者は、商品購入の際の目印として商標を称呼で認識するというよりも、視覚を介して、その構成態様や文字の配列などの外観を記憶・認識するものであり、昨今、必ずしも称呼に比重が置かれた商取引がなされるわけではない。
エ 小括
以上説明したとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標であると認められる。また、本件商標に係る指定商品中「ケーブル,動力ケーブル,電線及びケーブル」以外の商品と引用商標に係る指定商品は同一又は類似である。
よって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知性について
申立人は、カタログ(甲4)及びウェブサイト(甲5)にあるように、DIYやガーデニングに関する様々な商品に引用商標に係る商標を使用しており、日本においては2019年4月から各商品を販売している。
また、これらの商品は通販ショップamazon等においても広く流通しているものである(甲6)。
カタログ(甲4)にあるように、商品は、新潟県3条市所在の株式会社高儀が扱うが、同社に2019年に宛てたINVOICEにあるとおり、取引額も高額なものとなっている(甲7〜甲13)。
特に、引用商標に係る指定商品中、バッテリーで駆動する洗浄用具である「充電式洗浄ガン」の商品紹介に係る動画をYouTubeに2019年7月12日から公開しており(甲14)、令和3年7月11日現在で7,345回も視聴されている人気商品である。
また、通販サイトだけでなく、実店舗でも多くの商品を販売しており、例えば、カインズ 千葉ニュータウン店(千葉県印西市、甲15)、DCM(本部所在地:東京都品川区、甲16)、ジョイフル本田 千葉店(千葉県千葉市、甲17)においては、本件商標の出願日よりずっと以前の2019年8月に引用商標を使用している。
更には、2018年8月23日ないし25日に幕張メッセにて開催された「JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2018」において、引用商標に係る指定商品が展示・紹介がされていることからも(甲18)、日本及び世界中で引用商標が申立人の業務に係る商品であることが十分理解できる。
イ 本号の該当性
以上のとおり、申立人は同人の業務(DIYやガーデニングに関する商品)に引用商標を使用し、これが本件商標の出願時及び登録時において全国的に周知になっているから、引用商標に類似する本件商標が、本件指定商品中「ケーブル,動力ケーブル,電線及びケーブル」について使用された場合には、その商品に接する取引者及び需要者が、その商品が申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
上記2(2)の引用商標2は審査係属中のものであるから、引用商標2との関係における商標法第4条第1項第11号に係る申立人の主張は、同法第8条第1項に係る主張と認め、以下検討する。
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「POWER」と「SHARK」の欧文字を2段に表してなるもの(「P」の文字はデザイン化されている。)であり、該文字に相応し「パワーシャーク」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、いずれも別掲2のとおり、「POWER」と「SHARE」の欧文字を2段に表してなるもの(「E」の文字はいずれもデザイン化されている。)であり、該文字に相応し「パワーシェア」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者の上記のとおりの外観は、構成態様が明らかに異なり、両者を離隔的に観察しても相紛れるおそれのないものである。
次に、本件商標から生じる「パワーシャーク」と引用商標から生じる「パワーシェア」の称呼を比較すると、両者は後半部における「シャーク」と「シェア」の音の差異を有し、この差異音が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標と引用商標の文字部分をみると共に上段と下段に欧文字5文字ずつを配した10文字からなり、相違するのは下段の語尾1文字のみであって、10文字中9文字を共通にする外観上近似した文字構成からなるものである、本件商標と引用商標は共に黒色の太ゴシック体の文字で構成され、各文字同士が近接した構成を採っている点で共通し、加えて二段書きとした各文字がまとまりのある態様となっており、視覚的な特徴が酷似する、本件商標の称呼「パワーシャーク」と引用商標の称呼「パワーシェア」は、共に構成音数が4音(長音を含む。)である点、4音目が開拗音である点で共通し、両称呼を一連に称呼した場合、語韻語調が似ている印象をもつから称呼上相紛れるものであるなどとして、本件商標と引用商標とは、互いに相紛らわしい類似の商標である旨主張している。
しかしながら、本件商標と引用商標は、構成文字の綴りをみれば、語尾における「K」と「E」のみが相違するといえるものの、両者の外観は構成態様が明らかに異なり、また、両者の称呼「パワーシャーク」と「パワーシェア」とは後半部の「シャーク」と「シェア」の音の差異により明瞭に聴別できるものと判断するのが相当である。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項に違反して登録されたものといえない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知性について
(ア)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は電動工具用のバッテリーなどに引用商標(色彩の異なるものを含む。)を使用していること(甲4〜甲6、ほか)、申立人の商品は我が国において新潟県所在の株式会社高儀が輸入・販売元となっており(甲4、甲7〜甲13)、2019年頃から通販ショップ、実店舗で販売されていること(甲6〜甲13、甲15〜甲17)、引用商標を使用した商品は2019年7月からYouTubeで紹介されていること(甲14)がうかがえる。
しかしながら、引用商標を使用した商品(電動工具用のバッテリーなど。以下「使用商品」という。)の売上高、売上数、シェアなど販売実績を示す主張はなく、それを示す証左は見いだせない。(なお、株式会社高儀に宛てたインボイス(甲7〜甲13)は、使用商品に係るものと認め得るものは限られており(甲8)、かつ当該商品が我が国で販売されたことは確認できない。)
(イ)上記(ア)からすれば、使用商品が2019年頃から我が国で販売されていることはうかがえるものの、使用商品の販売実績等を示す証左は見いだせないから、使用商品に使用されている引用商標が、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 混同のおそれ
上記アのとおり引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(1)のとおり本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといえない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同法第8条第1項のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲1(本件商標)

(色彩は原本参照。)

別掲2(引用商標1及び2)



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異議決定日 2022-03-31 
出願番号 2020160464 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (W09)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 板谷 玲子
森山 啓
登録日 2021-03-30 
登録番号 6370915 
権利者 深▲セン▼市星奎科技有限公司
商標の称呼 パワーシャーク、シャーク 
代理人 柴田 雅仁 
代理人 高松 宏行 

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