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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30323543
管理番号 1383416 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-06-04 
確定日 2022-04-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第6365984号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6365984号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6365984号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年2月10日に登録出願、第30類、第32類、第35類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同3年3月9日に登録査定され、同月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第6146196号商標(以下「引用商標1」という。)
商標 別掲2のとおり
指定役務 第35類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 平成30年5月25日
設定登録日 令和元年5月24日
(2)登録第6159713号商標(以下「引用商標2」という。)
商標 別掲3のとおり
指定商品 第3類、第8類ないし第11類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第25類、第26類、第28類ないし第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成30年5月25日
設定登録日 令和元年7月5日
(3)登録第5706452号商標(以下「引用商標3」という。)
商標 別掲3のとおり
指定役務 第35類「広告」
登録出願日 平成26年4月22日
設定登録日 平成26年10月3日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の類似性
(ア)まず、外観について、本件商標は、「MINI」及び「SOF」の欧文字を丸味を帯びた白色又は黄色の太字で二段に並記し、その背後に丸味を帯びた青色の四角形を配した態様からなる。
引用商標1は、「MINI」及び「SO」の欧文字を白色の太字で二段に並記すると共に「SO」の右隣にウインクをした人の笑顔と思しき白色の図形を配し、その背後に手提げ袋と思しき赤色の四角い図形を配した態様からなる。
引用商標2及び3は、「MINISO」の欧文字を橙色の太字で表してなる。
本件商標と引用商標とは、構成文字「M」「I」「N」「I」「S」「O」を共通にし、また、本件商標と引用商標1とは、更に、「MINI」と「SO」が白色の太字で二段に並記されると共に背景として四角い図形を有する点で、構成態様が酷似している。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において、近似した印象を与える。
(イ)次に、称呼について、本件商標からはローマ字の読みに倣って「ミニソフ」の称呼を生じ、引用商標からは同様にローマ字の読みに倣って「ミニソ」又は「ミニソウ」の称呼を生じる。
ここで、「ミニソフ」と「ミニソ」とは、第1音から第3音までの「ミ」「ニ」「ソ」を共通にし、末尾の「フ」の音の有無においてのみ相違する。加えて、一般的に語尾の音は聴取し難いとされている上に、「フ」の音は両唇の隙間から息を吐くように、比較的弱く消え入るように発音される清音である。また、「ミニソフ」と「ミニソウ」とは、第1音から第3音までを共通にし、末尾の「フ」と「ウ」の音においてのみ相違する。加えて、「フ」の音は上記のとおり比較的弱く消え入るように発音される清音であると共に、「ウ」の音と母音を同じくする。
そうすると、いずれの場合においても、本件商標と引用商標とは、それぞれを一連に称呼したときには、全体の語感、語調が近似したものとなり、互いに聞き誤るおそれが十分にある。
(ウ)そして、観念について、本件商標と引用商標とは、いずれも造語からなり、特定の意味合いを生じない。よって、両商標は、互いに異なる意味合いを有しないことから、観念上、区別し得るものではない。
(エ)以上より、本件商標と引用商標とは、少なくとも外観及び称呼において相紛らわしく、商品・役務の出所について混同を生じるおそれのある類似の商標である。
イ 商品・役務の類似性
本件商標の指定商品・役務中、第35類「タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」及び第43類「飲食物の提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供,調理用機械器具の貸与,業務用ソフトクリームサーバーの貸与,業務用コーヒー抽出機の貸与,飲料水ディスペンサーの貸与」以外のものと、引用商標1の第35類の指定役務、引用商標2の第29類、第30類及び第32類の指定商品、引用商標3の第35類の指定役務の一部又は全部とは、その類似群コードを同じくするものである。
よって、これらの指定商品・役務は、互いに同一又は類似の商品・役務である。
ウ 小括
以上より、本件商標と引用商標とは、商標が類似し、指定商品・役務も同一又は類似の関係にあるものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本号に係る最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号)に当てはめ、本件について検討すると、以下のとおりである。
ア 本件商標と引用商標1との類似性の程度
本件商標と引用商標1とは、上記(1)アに述べたとおり、互いに類似の商標である。
イ 引用商標1の周知著名性及び独創性の程度
引用商標1は、申立人のハウスマークであり、「シンプル、ナチュラル、上質」というコンセプトの下に手頃な価格の商品を販売する申立人の各小売店舗において、また、それに関連して使用されている(甲5)。2013年の創業以来、申立人は、全世界を舞台に事業展開しており、現在では78か国以上において、3,200以上の店舗を出店している。
そして、日本においては、関東を中心として、主に多くの買物客で賑わうショッピングモールに焦点を当てて、高田馬場店、イオンモール小名浜店、同幕張新都心店、同津田沼店、同名取店の5店舗を出店している(甲5)。高田馬場店オープンの際には、ウェブサイト記事で取り上げられ(甲6)、それ以外にも、国内と国外とを問わず、申立人の店舗に関するインターネットニュース記事は多数存在し、Google検索エンジンで「MINISO ニュース」をキーワードとして検索すると、申立人自身のウェブサイトも散見されるものの、約354万件ものウェブサイトがヒットする(甲7)。
このような状況に鑑みると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標1は、申立人の役務(小売等役務)に係る商標として、我が国の需要者の間で広く認識されるに至っていたと推察される。
また、引用商標1は、特定の観念を生じない造語である「MINISO」と図形からなり、独創性を有する商標である。
ウ 本件商標の指定役務と申立人の業務に係る役務との間の関連性の程度及び取引者・需要者の共通性
本件商標の指定商品・役務中の第35類「タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」及び第43類「飲食物の提供並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供,調理用機械器具の貸与,業務用ソフトクリームサーバーの貸与,業務用コーヒー抽出機の貸与,飲料水ディスペンサーの貸与」のうち、少なくとも「飲食物の提供」等は、申立人の業務に係る役務中の「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、飲食物を取り扱うという点で関連性を有するといえ、取引者・需要者も共通する場合が多いと考えられる。
エ 総合的判断
以上の事情を考慮し、本件商標の指定役務の取引者・需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、その指定役務について使用した場合、これに接する取引者・需要者をして、申立人の業務に係る役務を連想・想起させ、その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあると考えられる。
オ 小括
以上より、本件商標は、申立人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、青色の隅丸四角形内の上段に「MINI」の欧文字を、下段に「S」と「F」の欧文字を白抜きで表し、下段の「S」と「F」の間に黄色の円を描いてなるものである。
そして、一般に商標の構成文字の全部又は一部をデザイン化して表すことが行われていることからすれば、本件商標は、その下段の部分は「SOF」の文字をデザイン化して表したものと認識させるものとみるのが自然であり、上段の「MINI」と下段の「SOF」の文字に相応し「ミニソフ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標
引用商標1は、別掲2のとおり、赤色の手提げ袋と思しき図形内の上段に、「MINI」の欧文字を、下段に「SO」の欧文字とウインクをした顔を想起させる図形を白抜きで表してなり、上段の「MINI」と下段の「SO」の文字に相応し「ミニソ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
引用商標2及び3は、別掲3のとおり、「MINISO」の欧文字を赤色で表してなり、該文字に相応し「ミニソ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると、両者の上記のとおりの外観は、構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。
次に、本件商標から生じる「ミニソフ」と引用商標から生じる「ミニソ」の称呼を比較すると、両者は語尾における「フ」の音の有無という差異を有し、その差異が4音又は3音という短い音構成からなる両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は少なくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知性について
(ア)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は、我が国において、2014年頃から「MINISO」という小売店5店舗において、引用商標1及び2を使用し日用品等を販売していること(甲5、甲6)、及び、申立人の店舗は全世界で78か国に3,223店舗あり、その売上げは2015年に7.5億ドル、2016年に15億ドル、2017年に18億ドル(具体的な通貨単位は不明である。)であったこと(甲5)がうかがえるものの、我が国における申立人の店舗における売上高、来店者数など販売実績に係る主張はなく、その証左も見いだせない。
(イ)上記(ア)からすれば、申立人は我が国において引用商標1及び2を使用して、日用品等の販売を行っていることは認め得るとしても、我が国における販売実績を示す証左は見いだせないから、引用商標1及び2は、いずれも申立人の業務に係る役務(日用品等の小売)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また、引用商標3は、その指定役務「広告」について使用されていることが確認できないから、申立人の業務に係る役務(広告)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
したがって、引用商標は、いずれも申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度
上記(1)のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
ウ 出所混同のおそれ
上記アのとおり、引用商標はいずれも申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記イのとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であって別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(本件商標)

(色彩は原本参照。)

別掲2(引用商標1)

(色彩は原本参照。)

別掲3(引用商標2及び3)

(色彩は原本参照。)


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異議決定日 2022-03-30 
出願番号 2020014406 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W30323543)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 板谷 玲子
馬場 秀敏
登録日 2021-03-19 
登録番号 6365984 
権利者 ミニストップ株式会社
商標の称呼 ミニソフ、ソフ、エスオオエフ 
代理人 北口 貴大 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 

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