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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W16 |
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管理番号 | 1383409 |
総通号数 | 4 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2022-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-04-22 |
確定日 | 2022-03-25 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6348359号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6348359号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6348359号商標(以下「本件商標」という。)は、「ELLEFORET」の欧文字を標準文字で表してなり、令和2年5月14日に登録出願、第16類「紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,キッチンペーパー,クッキングペーパー,ウェットティッシュペーパー,乳児用おしりふき,その他の衛生おしりふき,不織布製の体用汗拭きシート(紙製の体用汗拭きシートとして用いるもの。),紙製の体用汗拭きシート,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製テーブルクロス,ティッシュペーパー,トイレットペーパー,その他の紙類,印刷物」を指定商品として、同3年1月18日に登録査定、同年2月3日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する登録商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)は、次のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4428845号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:ELLE 登録出願日:平成11年6月30日 設定登録日:平成12年10月27日 指定商品:第16類「印刷物」のほか第16類及び第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (2)登録第5443818号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:ELLE(標準文字) 登録出願日:平成20年11月7日 設定登録日:平成23年10月14日 指定商品及び指定役務:第16類「印刷物」のほか第16類、第9類、第35類、第38類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品中、第16類「印刷物」(以下「申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。 (1)引用商標の著名性について 申立人は、引用商標を永年にわたり「雑誌」や「ファッション関連商品」について使用しており、とりわけ引用商標1は、申立人の使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において我が国における取引者、需要者の間で広く認識されていた。 これは、過去の審決や異議決定でも認められてきた顕著な事実である(甲4〜甲8)。 そして、これらの審決・異議決定時から、現在までの間に引用商標の著名性に変動があったと認められる事情はない。1945年フランスでファッション雑誌「ELLE」が発行されて以来(甲9)、現在に至るまで、引用商標を題号に含む雑誌が継続的に発行されており、安定した発行部数を維持している。甲10は2018年以降、最新版までの雑誌「ELLE」の表紙の写しである。甲11ないし甲13は、2018年から2020年までの雑誌「ELLE」の統計資料であり、7万部から9万部程度の発行部数と、オンライン版へは400万件近いアクセスがあったことがわかる。 また、姉妹紙である「ELLE DECOR」について同様に毎年7万部程度の発行部数と、オンライン版へは20万件近いアクセスがあったことがわかる(甲14〜甲16)。雑誌「ELLE gourmet」についても毎年6万部程度の発行部数と、オンライン版へは70万件近いアクセスがあったことがわかる(甲17〜甲19)。 オンライン版のみ制作されている「ELLE girl」にも毎年100万件以上のアクセスがある(甲20、甲21)。 もちろん、申立人の雑誌「ELLE」は、現在でも世界43の国と地域で発行されており、各地において多くの読者に愛読されている(甲22)。 このように、引用商標1は、本件商標の登録出願日である2020年5月14日時点で、請求人の取扱いに係るファッション雑誌の題号を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものであることは明白であり、その著名性は本件商標の登録査定時においても継続していた。 (2)商標法第4条第1項第11号について 本件商標と引用商標は、外観・称呼・観念において類似する商標であり、指定商品においても第16類「印刷物」が重複するものであるから本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。 本件商標は、「ELLEFORET」の欧文字を書してなるので、明瞭に著名商標「ELLE」を含んでおり、かつ、これが指定商品「印刷物」について著名であることに疑いはない。そして「ELLEFORET」中の「ELLE」部分が既成の語の一部となっているものでもない。 そうとすれば、たとえ本件商標の外観構成がまとまりよく一体に表されていたとしても、これに接する取引者、需要者は、その中に著名商標「ELLE」を看取し、これを要部として認識する。 このように、本件商標と引用商標は相紛らわしい類似商標とするのが相当であって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号について ア 引用商標の周知・著名性 前記のとおり、引用商標、とりわけ引用商標1は、第16類「印刷物」について著名であることは明白であり、この点は過去の審決からみても顕著な事実として認められている。 イ 「ELLE」の造語性、独創性 引用商標は、第16類「印刷物」との関係において何ら特定の意味合いを示すものではないので、これを1945年時点で採択したという点において強い独創性がある。 ウ 本件商標と引用商標の類似性 前記のとおり、本件商標は、「ELLE」をそっくりそのまま内包し、かつ、全体として成語をなすなどという事情もないので、その類似性は極めて高い。 エ 商品の関連性 申立人が引用商標を使用する商品は、「雑誌」であって、これは本件商標の指定商品中第16類「印刷物」に含まれるので商品分野において完全に一致する。当然、需要者層も完全に重複する。 オ 混同のおそれ 商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、いわゆる狭義の混同のみならず、商品や営業の関連性を想起させる広義の混同が含まれる(甲20)。さらに、同号の目的からすれば、周知表示又は著名表示へのフリーライドや希釈化(ダイリューション)を防止することも重要であるとされている。 しかるところ、上に検討したように、引用商標とりわけ引用商標1の著名性、申立人が引用商標を使用し周知、著名となっている商品と本件商標の指定商品「印刷物」は完全に重複し、そしてその取引者、需要者も一致すること等、その商品の提供者や取引者、需要者層の個別、具体的な関連性や共通性の実情等を総合的に考察すれば、本件商標が第16類「印刷物」に使用された場合には、それがあたかも申立人のブランドである「ELLE」に係る申立人の提供する商品であるかのごとく誤認され、そうでなくとも、何らかの密接な営業上の関連性を想起させ、あたかも申立人のグループ会社か、あるいは許諾を受けた者に係る商品であるかのごとく誤認させ、商品又は営業上の出所混同を生じるおそれが極めて高い。 よって、本件商標は、その指定商品中第16類「印刷物」について、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)「ELLE」の周知性について ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。 ファッション雑誌「ELLE」は、1945年にフランスで発行され(甲9)、我が国においても、引用商標1を表紙に表示する雑誌(エル・ジャポン)を継続的に発行している(甲10)。その発行部数は、2018年から2020年までに、7万部から9万部程度の発行部数及びオンライン版へのアクセスが400万件近くあるとされる。 また、「ELLE」の姉妹紙である「ELLE DECOR」は、毎年7万部程度の発行部数及びオンライン版へのアクセスが20万件近くのアクセス、雑誌「ELLE gourmet」は、毎年6万部程度の発行部数及びオンライン版へのアクセスが70万件近くあり、オンライン版のみ制作されている「ELLE girl」には、毎年100万件以上のアクセスがあるとされる。 イ 上記認定事実からすれば、引用商標に係る「ELLE」と称するファッション雑誌は、我が国において近年(2018年から2020年)も7万部から9万部程度の継続的な発行部数があり、そのウェブサイトにも継続的なアクセスがあったとしても、提出証拠によっては、雑誌の取引市場の中において、その発行部数やアクセス数の多寡を客観的に比較、評価することができない。 そのため、引用商標は、商品「雑誌」との関係において、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の一般需要者の間における認知度までは不明であるが、少なくとも、ファッション分野に関心の高い取引者、需要者の間においては一定程度認識されていたといえる。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標は、「ELLEFORET」の欧文字を標準文字で表してなるところ、同書、同大、等間隔で表されていることからすれば、全体がまとまりよく一体的に表されてなるものである。 そして、本件商標を構成する「ELLEFORET」の欧文字は、辞書等に載録されていないから、本件商標は、その構成文字に相応して、「エルフォレット」又は「エレフォレット」の称呼を生じるが、特定の観念を生じない。 なお、申立人は、本件商標の外観構成がまとまりよく一体的に表されているとしても、これに接する取引者、需要者は、その中に著名商標「ELLE」を看取し、これを要部として認識する旨を主張するが、本件商標のようなまとまりのよい一体的な構成においては、構成文字全体をして一連一体の語を表してなると認識、理解されるというべきで、どの箇所で区切るべきかは判然としないから、引用商標に係る周知性の程度を考慮したとしても、本件商標の構成中「ELLE」の文字部分が強く支配的な印象を与えるものとはいえず、当該文字部分を本件商標の要部ということはできない。 イ 他方、引用商標は、上記2のとおり、「ELLE」の文字からなるものであるから、当該文字に相応して、「エル」の称呼を生じる。 また、引用商標は、「彼女(たち)は。それ(ら)は。」の意味を有するフランス語(「クラウン仏和辞典」三省堂)であるとしても、我が国で具体的な意味を有する外来語として親しまれてはいないから、特定の観念を生じるものではないが、上記(1)のとおり、ファッション分野に関心の高い取引者及び需要者の間においては一定程度認識されている商標であるから、「(申立人らのブランドとしての)ELLE」の観念を生じる場合がある。 ウ 本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、上記1のとおり、「ELLEFORET」の文字からなるのに対し、引用商標は、「ELLE」の文字からなるものであるから、両商標は、構成文字及び構成態様が異なり、外観上、相紛れるおそれはない。 そして、称呼においては、本件商標から生じる「エルフォレット」又は「エレフォレット」の称呼と引用商標から生じる「エル」の称呼とは、その構成音及び構成音数において明らかな差異を有するものであるから、明瞭に聴別できる。 また、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標からは「(申立人らのブランドとしての)ELLE」の観念を生じ得るから、相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない別異の商標であって、類似しない。 したがって、本件商標は、引用商標とは類似する商標ではないから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似であるかにかかわらず、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 引用商標の周知性について 引用商標に係る「ELLE」は、上記(1)のとおり、商品「雑誌」との関係において、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ファッション分野に関心の高い取引者、需要者の間においては一定程度認識されている商標である。 イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について 本件商標と引用商標は、上記(2)ウのとおり、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない別異の商標であり、類似性の程度は極めて低い。 ウ 引用商標の独創性について 引用商標の構成文字(ELLE)は、「彼女(たち)は。それ(ら)。」等の意味を有するフランス語を表した成語であるから(「クラウン仏和辞典」三省堂)、その独創性は高いものではない。 エ 申立商品と引用商標に係る商品の関連性、需要者の共通性について 申立商品(雑誌)と引用商標に係る商品(雑誌)とは、同一の商品であって、その需要者も共通する。 オ 出所の混同のおそれについて 上記(1)のとおり、引用商標に係る雑誌「ELLE」は、ファッション分野に関心の高い取引者、需要者の間においては一定程度認識されているが、その構成文字は独創性が高いものではなく、なにより、本件商標と引用商標は別異の商標であって、類似性の程度は極めて低いから、申立商品と引用商標に係る商品が同一で、需要者を共通にするとしても、本件商標から引用商標との関連性を連想、想起し、申立人又は同人と経済若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、申立商品について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2022-03-15 |
出願番号 | 2020060407 |
審決分類 |
T
1
652・
261-
Y
(W16)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
矢澤 一幸 |
特許庁審判官 |
阿曾 裕樹 杉本 克治 |
登録日 | 2021-02-03 |
登録番号 | 6348359 |
権利者 | 大王製紙株式会社 |
商標の称呼 | エルフォレット、エリフォレット、エレフォレット |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 外川 奈美 |
代理人 | 齋藤 宗也 |