• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1383404 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-18 
確定日 2022-03-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第6311250号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6311250号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6311250号商標(以下「本件商標」という。)は、「Monster Grip」の欧文字を上段に、「モンスターグリップ」の片仮名をその下段に、2段に横書きした構成からなり、令和2年1月31日に登録出願、第25類「履物,運動用特殊靴,乗馬靴」を指定商品として、同年10月20日に登録査定され、同年11月2日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり、以下、これらをまとめて「引用商標」という。また、引用商標は、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「MONSTER」(標準文字)
指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
登録出願日:平成22年7月8日
設定登録日:平成22年12月24日
2 登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲1のとおり
指定商品:第32類「エネルギー補給用清涼飲料,スポーツ用清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,エネルギー補給用のアルコール分を含有しない飲料,スポーツ用のアルコール分を含有しない飲料,ビール風味の麦芽を主体とするアルコール分を含有しない飲料,その他のアルコール分を含有しない飲料」
登録出願日:平成18年6月9日
設定登録日:平成19年6月22日
3 登録第5393681号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「MONSTER ENERGY」(標準文字)
指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
登録出願日:平成22年7月8日
設定登録日:平成23年2月25日
4 登録第6148588号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品:第9類、第12類、第14類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日:平成30年11月7日
設定登録日:令和元年5月31日
5 登録第5788676号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:「MONSTER ENERGY」(標準文字)
指定商品:第9類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日:平成26年12月25日
設定登録日:平成27年8月28日

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第446号証(枝番号を含む。)を提出した(以下、証拠については、「甲1」、「甲2」のように記載する。)。
1 申立人の使用に係る「MONSTER」(以下「申立人商標」という場合がある。)及びその表音「モンスター」の周知性について
(1)申立人商標と取扱商品
ア 申立人は、1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり、創業以降、アルコールを含有しない飲料、すなわち、炭酸飲料、フルーツジュース、エナジードリンク等の様々な飲料製品の企画、開発、製造、マーケティング、販売の事業に従事していたが、2015年6月以降はエナジードリンクの事業に注力している(甲2、甲58)。
イ 申立人は、2002年に「MONSTER」なるエナジードリンクのブランド(以下「MONSTERブランド」という。)を創設し、これ以降、現在に至るまで、「MONSTER」の文字をMONSTERブランドのエナジードリンク(以下、「MONSTERエナジードリンク」という。)の出所識別標識として使用している。
MONSTERエナジードリンクは、2002年に米国で最初に販売を開始後、日本では2012年5月から販売を開始し、現在では日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。
2002年のMONSTERブランド創設以降現在まで継続して、MONSTERエナジードリンクには、一貫して「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名が採用されており、これらの個別製品の包装容器(缶、瓶)には、特徴的な書体で大きく表示した「MONSTER」の文字(甲416)が独立して、見る者の目をひきつける態様で顕著に表示されている(別紙1、別紙2)。
このように、「MONSTER」の文字に他の語を結合する方法で命名された個別製品名と、特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字を顕著に表示した統一的なデザインの包装容器を特徴とするMONSTERエナジードリンクの事業の成功は、経済界で高い評価を受けている(甲2〜甲33、甲51〜甲58、甲391〜甲393)。
ウ 国内では、2012年5月以降現在までに、次のMONSTERエナジードリンク(リニューアル製品及び限定製品を含む。)が発売された(別紙1)。
(ア)「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー 缶355ml)」、「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー ボトル缶473ml)」
(イ)「MONSTER KHAOS(モンスターカオス 缶355ml)」
(ウ)「MONSTER ABSOLUTELY ZERO(モンスターアブソリュートリーゼロ 缶355ml)」
(エ)「MONSTER ENERGY M3(モンスターエナジーM3 ワンウェイびん150ml)」、「MONSTER ENERGY M3(モンスターエナジーM3 缶160ml)」
(オ)「MONSTER COFFEE(モンスターコーヒー 缶250ml)」
(カ)「MONSTER ENERGY ULTRA(モンスターウルトラ 缶355ml)」、「MONSTER ENERGY ULTRA(モンスターウルトラ スペシャルデザイン缶355ml)」
(キ)「MONSTER ENERGY THE DOCTOR(モンスターロッシ 缶355ml)」
(ク)平野歩夢コラボ缶 「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー スペシャルデザイン缶355ml)」及び「MONSTER ENERGY ULTRA(モンスターウルトラ スペシャルデザイン缶355ml)」
(ケ)「MONSTER CUBA LIBRE(モンスターキューバリブレ 缶355ml)」
(コ)「MONSTER PIPELINE PUNCH(モンスターパイプラインパンチ 缶355ml)」
(2)広告宣伝活動
申立人によるMONSTERエナジードリンクの広告宣伝活動は、国際的に活躍する多数の有名アスリート・チーム及びイベントに対するスポンサー活動を中核として、ウェブサイト及びプレスリリースによる広告、商品サンプルの配布、大手コンビニエンスストアやイベント主催者と提携した大規模な販売キャンペーン(景品・賞品のプレゼントを含む。)、スポーツイベント等の開催、契約アスリート等の動画・画像の公開、MONSTERブランドのライセンス商品の開発及び販売、ビデオゲーム会社と提携したMONSTERブランドを使用したビデオゲームの開発及び共同販売促進活動の実施など極めて多彩な内容である。こうした広告宣伝活動は、「MONSTER」の文字(特徴的な書体で表示したものを含む。)、爪の図柄(別掲2の上部部分)と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字と活字体で表示した「ENERGY」の文字からなるロゴマーク、「MONSTER ENERGY」の文字(以下、これらを併せて「MONSTERブランドマーク」という。)を使用して、本件商標の登録出願日前から継続的かつ頻繁に全国規模で実施されている(別紙3〜別紙7)。
また、申立人は、MONSTERエナジードリンクの中心的需要者層である10代ないし30代の世代(特に男性)に人気が高いモータースポーツ、エクストリームスポーツの分野を中心にスポンサー活動を行い、さらに、ウェブサイト及びソーシャルメディアのアカウントを開設して、MONSTERブランドを需要者にアピールするための広告を実施している(別紙9)。
需要者におけるMONSTERブランドのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された模倣品が日本の税関で輸入差止される事案が、遅くとも平成25年7月から度々発生している(甲169〜甲224、別紙8)。
(3)国内外における商標登録
申立人は、MONSTERブランドマークについて、引用商標を始めとして、国内外において多数の商標登録を取得している(甲432〜甲442)。
(4)申立人のMONSTERエナジードリンクの国内市場占有率など
第三者によるエナジードリンクに関する市場調査及び消費者アンケート調査によれば、2013年時点で、申立人のMONSTERエナジードリンクの国内市場占有率は、既に25%を超え、一般消費者におけるブランド認知度も第2位であり、それ以降も、着実に売上を伸ばし、若い世代の男性を中心とした従来の主要需要者層にとどまらず、女性の間でも、MONSTERブランドは、認知度を高めている(甲311〜甲322、甲383〜甲385)。
また、MONSTERエナジードリンクは、市場で「モンスター」と称され、「MONSTER」、「モンスター」と表示されて認識されている(甲10、甲16、甲17 ほか)。
(5)小括
以上の事柄に照らせば、申立人の使用に係る「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標の構成文字「Monster Grip」及び「モンスターグリップ」は、英単語の「monster」及び「grip」に通じるものであり、その表音の「モンスター(monster)」及び「グリップ(grip)」が外来語として一般に広く親しまれていることから、「Monster」と「Grip」の2語、及び「モンスター」及び「グリップ」の2語を、それぞれ結合したものと容易に認識、理解される。
また、本件商標は、「Monster(MONSTER)」又はその表音の「モンスター」の文字、「モンスター」の音(称呼)、及び「モンスター」の観念を包含する点で、引用商標並びに「MONSTER」を使用したMONSTERエナジードリンクの個別製品名(別紙1)と一致し、外観、称呼及び観念の印象が類似する。
加えて、本件商標の構成中「Monster Grip」の文字部分は、MONSTERエナジードリンクに使用されているすべての個別製品名と同一のネーミング規則、すなわち、「MONSTER」に他の語を結合する方法によって構成されている。
さらに、本件商標の構成中「Grip」及び「グリップ」の文字部分は、本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)に使用しても十分な自他商品識別力を発揮し得ないものであり、少なくとも、本件商標の構成中「Monster」及び「モンスター」の文字部分と比較して自他商品識別力が薄弱であるから、本件商標は、語頭の「Monster」及び「モンスター」の文字部分が出所識別標識として需要者に強い印象を与える。
したがって、本件商標は、申立人商標と類似性の程度が極めて高い。
(2)本件指定商品は、引用商標4及び引用商標5の指定商品と同一又は類似のものであり、加えて、本件指定商品は、申立人又はその商標ライセンシーが取り扱う各種ライセンス商品(スポーツ用品、服飾品及び雑貨類)と同一又は類似のものであり、これらの商品と極めて関連性が強い。
また、本件指定商品の需要者は、一般消費者であるから、その通常の需要者の注意力の程度はさほど高いものとはいえない。
(3)申立人の使用に係る「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていた。
(4)したがって、本件商標が本件指定商品に使用された場合、これに接した需要者は、申立人の使用に係る「MONSTER」及び申立人を直観し、当該商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取り扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがある。
また、本件商標の使用は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力を希釈化するものであり、また、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであるから、公の秩序を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人商標の周知性について
(1)申立人提出の証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料株式会社(以下、「アサヒ飲料」という。)を通じて2012年(平成24年)5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その販売量は同年9月には累計100万箱を超え、12月には累計157万箱となった(甲7〜甲9)。
イ 申立人は、我が国において2013年(平成25年)5月に「モンスターアブソリュートリーゼロ」(甲10、甲15)、2014年(平成26年)8月に「モンスターエナジー M3」(甲59、甲61)、同年10月に「モンスターコーヒー」(甲60、甲62)、2015年(平成27年)7月に「モンスターウルトラ」(甲101〜甲103)、2017年(平成29年)6月に「モンスターロッシ」(甲256、甲257、甲263)、2018年(平成30年)4月に「MONSTER CUBA LIBRE(モンスターキューバリブレ)」(甲323、甲324)、2019年(平成31年)4月に「モンスターパイプラインパンチ」(甲357〜甲360)の販売を開始し、製品によってはリニューアルしたり、コラボ缶の製品を販売している(甲127〜甲130、甲252、甲253 ほか)(以下、これらをまとめて「申立人商品」という。)。
ウ 申立人商品のうち、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER KHAOS」(2016年(平成28年)5月のリニューアル発売後)、「モンスターアブソリュートゼロ」、「モンスターエナジー M3」、「モンスターウルトラ」、「モンスターロッシ」及び「モンスターパイプラインパンチ」の容器には、別掲3のとおりデザイン化された「MONSTER」の文字(以下、この文字部分を「MONSTERロゴ」という。)及び「ENERGY」の文字を2段に表した商標(色彩が異なるものを含む。以下「別掲3商標」という。)が表示されている(甲7、甲8、甲10、甲59、甲101、甲130、甲257、甲357)。
また、「モンスターコーヒー」の容器には、「COFFEE」の文字及びMONSTERロゴの文字が2段に、その下部に「COFFEE+ENERGY」の文字が上部の文字に比べ小さな文字で近接して表示されている(甲60)。
そして、これら一連の商品を指称する際は、「モンスターエナジー」ブランドと総称されている(甲8、甲10、甲59、甲60、甲129、甲130)。
エ 申立人は、我が国で開催される各種のスポーツ競技会、イベントにおいて、看板、ユニフォーム、車体など多種多様なものに、別掲3商標を表示している(甲73〜甲80、甲82 ほか)。
オ JMR生活総合研究所による消費者調査(No.196 エナジードリンク(2014年7月版))によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であった(甲311)。
カ 飲料総研の調査によれば、我が国における2013年のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲320)。
キ ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTERENERGY」であった(甲319)。
ク 申立人商品は、キャンペーンなどにおいて、例えば「モンスターを飲んで・・・」、「モンスターがもう一本!」などのように、申立人商品を「モンスター」と表示しているが、そのニュースリリース記事やポスター、ウェブサイト等には、申立人商品の画像又は別掲3商標若しくは「モンスターエナジー」の文字も表示又は掲載されている(甲69、甲71、甲79、甲101〜甲103、甲111、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124)。
(2)ア 上記認定事実のとおり、申立人商品は、我が国において、2012年(平成24年)5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」により販売が開始され、その後現在まで、「モンスターエナジー」ブランドと総称される計9種の商品が販売され、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じて広告宣伝が行われていたこと、2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースで第2位であったこと、申立人商品の認知度はエナジードリンク市場においては第2位と高い順位であることを示す市場調査結果もあることから、申立人商品は、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認知されていたといえる。
そして、申立人商品は、そのほとんどの容器の中央に、「MONSTER ENERGY」の文字が表示されていること、さらに、ニュースリリース、各種記事などにおいて「MONSTER ENERGY」、「モンスターエナジー」と称されていることよりすれば、当該商品の認知度は、「MONSTER ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字からなる商標に帰属するというべきである。
そうすると、申立人商品に係る「MONSTER ENERGY」の文字からなる商標は、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして、その需要者の間に広く認識されているといえる。
イ 他方、申立人商品は、その容器に「MONSTER」及び「ENERGY」の各文字が比較的近接して表示されているもの(別掲3を含む。)がほとんどであり、MONSTERロゴのみが表示されている商品についての出荷数、シェア等の販売実績は確認できず、「MONSTER」の文字の申立人商品の略称としての客観的な認知度を示す証拠もない。
さらに、「MONSTER」の文字及び「モンスター」の文字は、ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等において、申立人又は申立人商品の略称として表示又は掲載されることがあるとしても、通常は申立人商品又は「モンスターエナジー」若しくは別掲3商標の文字と共に表示又は掲載されている。
そうすると、「MONSTER」の文字及び「モンスター」の文字が、需要者において申立人商品を表示するものと認識されているとは考え難い。
したがって、「MONSTER」の文字からなる申立人商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人商標の周知性及び独創性について
申立人商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものではない。
また、申立人商標は、「MONSTER」の文字からなるところ、当該文字は、「怪物」の意味を有する平易な英語であるから、独創性の程度は低い。
(2)本件商標と申立人商標との類似性について
ア 本件商標は、「Monster Grip」の欧文字及び「モンスターグリップ」の片仮名を2段に表してなるところ、その上段の構成中に一文字程度の字間があるとしても、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさで、全体としてまとまりよく一体的に表されており、その構成文字に相応して生じる「モンスターグリップ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標の構成中、「Monster」の文字は「怪物」の意味を、「Grip」の文字は「しっかりつかむこと。」の意味を有する英語(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)であるものの、その構成文字全体としては、具体的な意味合いを想起させるものではない。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「モンスターグリップ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
イ 申立人商標は、「MONSTER」の文字からなるところ、その構成文字に相応して、「モンスター」の称呼及び「怪物」の観念を生じる。
ウ 以上を踏まえると、本件商標と申立人商標は、外観及び称呼において相違し、観念においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、類似性の程度は極めて低い。
(3)本件指定商品と申立人商品の関連性について
本件指定商品は、上記第1のとおり、履物や運動用の特殊な靴などであるのに対し、申立人商品は、飲料である「エナジードリンク」であるから、それぞれの販売部門や流通経路が明らかに相違し、両商品の関連性の程度は乏しい。
(4)出所混同のおそれ
以上のとおり、申立人商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものではなく、独創性の程度も低いものであって、本件商標とも類似性の程度は極めて低く、本件指定商品と申立人商品との関連性も乏しいから、本件指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標は、その指定商品について使用しても、取引者、需要者をして申立人商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記第1のとおり、「Monster Grip」及び「モンスターグリップ」の文字からなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。
また、本件商標は、上記2のとおり、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして申立人商標を連想又は想起させることのないものである。
その他、本件商標の登録出願の目的や経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る具体的な証拠の提出はない。
そうすると、本件商標は、その指定商品に使用することが社会一般の道徳に反し公正な取引秩序を乱す、あるいは国際信義に反するなど、公序良俗に反するものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、他に同法第43条の2各号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲1(引用商標2)

別掲2(引用商標4。色彩は原本を参照。)

別掲3(申立人の商品の容器に表示されている商標)


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-03-04 
出願番号 2020010714 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W25)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 杉本 克治
阿曾 裕樹
登録日 2020-11-02 
登録番号 6311250 
権利者 株式会社Good One
商標の称呼 モンスターグリップ 
代理人 柳田 征史 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ