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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1383403 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-12-11 
確定日 2022-04-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6318044号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6318044号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6318044号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおり「CLARITIA」の欧文字と「クラリティア」の片仮名を2段に横書きした構成からなり,令和元年9月19日に登録出願,第3類「化粧品,せっけん類,香料,つけづめ,つけまつ毛,化粧用コットン」を指定商品として,同2年10月20日に登録査定,同年11月18日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において,引用する登録第2377300号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおり「CLARITY」の欧文字と「クラリティ」の片仮名を2段に書した構成からなり,昭和55年3月3日に登録出願,第4類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,平成4年2月28日に設定登録され,その後,同14年3月27日に指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」とする書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。
なお,申立人は,同人が「化粧品」について使用する商標を「CLARITY」の文字としている場合があるが,当該商標は,申立ての理由全体より引用商標と認められる。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録が取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 商品の類否について
本件商標の指定商品中,「化粧品,せつけん類,香料」は,引用商標の指定商品と同一である。
イ 商標の類否について
本件商標と引用商標とは,語頭から6文字目までの「CLARIT」の文字が共通し,それぞれその商標の構成に含まれる片仮名を考慮すれば,本件商標からは「クラリティア」,引用商標からは「クラリティ」の称呼を生じる。また,本件商標と引用商標に接する需要者及び取引者からして,これらの商標からは即座に特定の意味合いは理解できない。
両商標より生じる称呼は,語尾において「ア」の音の有無において相違する。したがって,対比する称呼の差異は,埋没し易い語尾にあり,また,その相違音の前の音はともに「クラリティ」で共通するため,称呼全体として,極めて近似した語韻・語調で呼称される中,語尾音「ティ(ティー)」と「ティア」は聞き誤りやすいものである。
したがって,本件商標と引用商標のそれぞれを一連に称呼するときは,全体の語調,語感が相紛らわしく聴別できないおそれがあるため,これらの商標より生じる称呼は相互に類似する。
本件商標と引用商標とは,外観においてともに大きく表示されたアルファベット文字の語頭から6文字目,並びに,片仮名の語頭から4文字目までを同じくし,これらの商標全体より生じる外観印象は共通する。また,前述のとおり,本件商標と引用商標より生じる称呼は相互に類似と評価すべきものである。
そして,本件商標及び引用商標の指定商品は,下記のとおり,訪問販売時やインターネット上のショッピングサイトにおいてその外観や称呼を用いて取引されることが通常であるところ,そのような実情を考慮すれば,本件商標と引用商標の類否を判断するに当たっては,観念に比して外観及び称呼を重視すべきことが明らかである。
したがって,本件商標と引用商標とは,外観及び称呼においてあるいは少なくともいずれか一方において共通・類似するものであり,これらの商標を隔離観察すれば,双方の商標は共通の印象・記憶・連想をもって需要者及び取引者に認識されるため,本件商標と引用商標とを同一・類似の商品について使用した場合は,商品の出所について混同を生じるおそれがある。
ウ 取引実情について
引用商標を使用した化粧品は,平成6年(1994年)8月21日に発売され(甲3),現在に至るまで継続して販売された事実がある(甲4)。さらに,インターネット上の検索サイトやショッピングサイトにて,対比する両商標の証拠の共通音「クラリティ」と「化粧品」をキーワードに検索を行うと,その検索結果の上位には,本件商標と引用商標の双方が多数ヒットする(甲5〜甲7)。そして,本件商標と引用商標を用いて提供される具体的な化粧品は,「クレンジングクリーム,洗顔料,化粧水,乳液」など主にスキンケアを用途とする点,そして内容量や商品価格においてもおおよそ共通する(甲4,甲8,甲9)。このような状況からすると,本件商標と引用商標が使用される商品は競合関係にあり,その需要者及び取引者も共通するといえる。
また,本件商標及び引用商標が使用される化粧品のおおよその商品包装の形状は,細長のボトル形状であるところ,いずれの商標も,商品包装正面の中央部より上方の位置に,商標並びにその下部に「cleansing cream」などといった化粧品の一般的な商品名を併記した共通の包装デザインを採用しており,対比する商標の差異をその文字列より一見して即座に把握することは困難である。
したがって,対比する商標の使用対象商品間における用途や需要者及び取引者の共通性並びに商品自体の競合性,商品包装デザインの共通性を合わせて考慮すると,本件商標をその指定商品中「化粧品,せっけん類,香料」について使用した場合には,申立人の提供に係る商品との関係で,商品の出所について混同を生じるおそれがあることは明白である。
よって,本件商標と引用商標とは類似する。
エ 以上より,本件商標は,引用商標に類似する商標であって,その商標登録に係る指定商品又はこれに類似する商品について使用をするものであるから,本件商標は,その指定商品中,第3類「化粧品,せっけん類,香料」について商標法第4条第1項第11号に該当する
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
狭義の混同
引用商標のこれまでの使用の実績や商品の取引手法,本件商標及び引用商標が実際に使用される商品の共通性・競合性並びに申立人の事業規模及びその周知・著名性に鑑みれば,本件商標は,引用商標を容易に連想させ,本件商標がその指定商品に使用された場合,商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
申立人は,昭和34年11月17日に設立され,創業から現在に至るまで,商標「メナード」及び「MENARD」(以下,申立人の商標「MENARD」を「MENARD商標」という。)の下,国内外にて一貫して化粧品その他商品の製造・販売を行う日本国内の化粧品メーカーである(甲10)。
そして,商標「メナード」及びMENARD商標並びに申立人の周知・著名性については,特許情報プラットフォームの日本国周知・著名商標検索にて,確認することからも明らかである(甲11)。
次に,引用商標は,上記(1)ウのとおり,申立人の提供に係る化粧品について,平成6(1994)年8月21日より現在に至るまで継続して使用されている(甲3,甲4)。また,上記(1)ウのとおり,本件商標及び引用商標が使用される商品は競合関係にあり,その需要者及び取引者も共通する(甲4,甲8,甲9)。
また,申立人事業の特徴の一つとして,「訪問販売」での商品提供,並びに,自社商品を用いた美容サロンの運営が挙げられるところ(甲12),本件商標権者も同様に化粧品の訪問販売事業並びに美容サロンの運営を行っている(甲13)。このため,本件商標及び引用商標が使用される商品の流通経路(取引チャネル)は共通し,申立人及び本件商標権者の事業自体も競合関係にある。
そして,MENARD商標とともに使用される引用商標は,MENARD商標の周知・著名性とも相まって,需要者及び取引者からして申立人の提供に係る化粧品の商標として強く印象付けられている。
このような中で,先行して製造・販売される化粧品に使用される引用商標の文字列の存在を知る需要者及び取引者が,前掲の商品包装を用いて本件商標を冠し提供される化粧品に接した場合には,申立人の業務に係る化粧品であるとその出所につき混同を生じるおそれがある。
したがって,引用商標のこれまでの使用の実績,本件商標と引用商標の類似性,両商標が使用される具体的商品自体の用途・ラインナップ,内容量及び価格帯の共通性,商品の取引チャネル,加えて,本件商標権者と申立人の事業の競合性,両商標が使用される商品包装デザインの共通性からすれば,申立人の業務に係る商品と同一又は類似の商品,若しくは,これらに関連する本件商標の指定商品の全てについて引用商標と類似する本件商標を使用した場合には,需要者及び取引者は,本件商標が表示する商品は申立人の業務にかかる商品であるとして直接的に混同するおそれ,すなわち,狭義の混同を生じせしめるおそれがある。
広義の混同
需要者及び取引者が,本件商標が指標する商品は,申立人の提供に係る商品であるとして直接的に混同するおそれはないとしても,上述のとおり,引用商標が少なくとも「化粧品」について需要者の間に広く認識されている商標であることに鑑みれば,本件商標のその指定商品への使用は,申立人の子会社若しくは関連会社の提供に係る商品であるとの緊密な営業上の関係,又は,同一の表示による展開事業を営むグループに属する関係にあると誤信されるおそれ,すなわち,広義の混同を生じるおそれがある。
混同を生ずるおそれ
(ア)本件商標と引用商標との類似性の程度
上記(1)イのとおり,本件商標と引用商標とは,同一及び類似の関係にあることは明らかである。
(イ)引用商標の周知著名性
引用商標は,上記アのとおり,本件商標の出願日の時点において,日本全国におけるその使用の実績に鑑みれば「化粧品」の周知な表示として確立していた。また,少なくとも引用商標は,申立人の著名なMENARD商標と併せて使用されており,申立人自身及び著名なMENARD商標との関係も相まって,申立人の提供に係る化粧品の商標として広く認識されていた。
さらに,同事実に鑑みれば,本件商標をその指定商品の全てについて使用する行為は,周知な引用商標の顧客吸引力,希釈する行為にほかならない。
(ウ)本件商標の指定商品と申立人の提供に係る商品との関連性及び取引者及び需要者の共通性その他取引の実情
本件商標の指定商品と申立人の提供に係る商品「化粧品」とは,その生産部門,販売部門及び需要者の範囲において共通する。すなわち,上記のとおりの取引実情(甲4,甲7〜甲10,甲12,甲13)からすれば,本件商標と引用商標が使用する商品間においては,具体的商品自体の用途・ラインナップ,内容量及び価格帯,商品の取引チャネル,商品包装デザインに加え,需要者及び取引者も共通するため,密接な関連性がある。。
(エ)以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 本件商標は,他人である申立人の業務に係る商品を表示するものとして,日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正の目的をもって使用をするものである。
イ 申立人が使用する商標の周知性
まず,上述のとおり,申立人が「化粧品」について使用する引用商標は,本件商標の登録出願の時点において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていた。
不正の目的について
(ア)他人の商標が需要者の間に広く知られているか
引用商標は,国内外における化粧品の製造・販売を主な事業内容とする申立人の事業規模からすれば,少なくとも日本国内全域での提供実績があり,「化粧品」の分野において,需要者及び取引者の間に広く認識されていることは明らかである。
(イ)その周知商標が造語よりなるものであるか,若しくは,構成上顕著な特徴を有するものであるか
引用商標の「CLARITY」は,「明快,明晰,(音色の)清澄」といった意味合いを有する既存の英単語であるが,「化粧品」との関係においては当該商品の説明的な意味合いをもって認識される表示ではない。また,我が国における一般的な英語教育の水準に鑑みれば,化粧品の需要者及び取引者が,「CLARITY」の既存の英単語としての正確な意味合いを即座に把握することは困難である。したがって,引用商標を申立人の販売に係る商品について採用する必然性はない。そして,先行して使用され,需要者及び取引者の間で広く認識されるに至っている引用商標に類似する本件商標を,本件商標権者が採択する理由は,引用商標に化体した信用にただ乗りする意図に基づくことにほかならない。また,少なくとも,申立人と同じく「化粧品」の分野にて主たる事業を行う本件商標権者が,「化粧品」について実際に使用される引用商標を知って,すなわち「悪意」で本件商標の登録出願に及んだことは明白である。
(ウ)本件商標を使用した場合,その周知商標に化体した信用,名声,顧客吸引力等を毀損させるおそれがあるか
引用商標は,上記のとおり「化粧品」の分野においては,申立人の提供に係る商品の表示として広く認識されるに至っている。よって,引用商標に類似する本件商標を使用した場合は,引用商標に化体した信用,名声及び顧客吸引力にただ乗りし,その信用・名声及び顧客吸引力を利用することが可能である。この点,本件商標権者は,申立人と同じく化粧品の製造・販売を主な事業内容とする法人なのであるから,本件商標の採択時において,少なくとも申立人が引用商標を使用していたことを知っていたはずであり,申立人の提供に係る化粧品について先行して使用される引用商標に類似する本件商標の使用は,引用商標に化体した信用,名声,顧客吸引力等を毀損させるおそれがある行為にほかならない,
エ 以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人は1959年(昭和34年)11月に設立された化粧品及び医薬部外品等の製造販売等を行っている法人であって,その支社,支店及び関連会社は,日本全国及び中国,フランス等の海外に存在し,販売国・地域は23か国・地域に及ぶ(甲10)。
(イ)申立人の名称の一部の欧文字表記である「MENARD」の文字からなる商標は,特許情報プラットフォームの日本国周知・著名商標検索において,防護標章として登録されている旨掲載されている(甲11)
(ウ)申立人の1994年(平成6年)8月発行の雑誌並びに同年,2004年(平成16年),2014年(平成26年)及び2019年(令和元年)発行のカタログにおいて,商品群の名称を「クラリティグループ」とし,包装容器の上部に「CLARITY」の文字を付した化粧品(以下「使用商品」という。)が掲載されている(甲3,甲4)。
イ 上記アより,申立人は1959年(昭和34年)11月に設立された化粧品等を製造販売する法人であって,申立人の略称を欧文字表記した「MENARD」の文字は,防護標章として登録されていることから,我が国において,需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
そして,引用商標の欧文字部分又は片仮名部分からなる商標を付した化粧品(使用商品)が少なくとも1994年(平成6年)ないし本件商標の登録出願時である2019年(令和元年)には販売されていたものである。
しかしながら,引用商標を付した使用商品の販売数,売上高,市場シェア等の具体的な販売実績,使用地域並びに広告宣伝の方法,期間,地域及び規模を示す主張,証左は見いだせない。
その他,引用商標が,我が国及び外国における取引者,需要者において,どの程度認識されているかを客観的に把握できる証拠は提出されていない。
したがって,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,引用商標が,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国又は外国における取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,別掲1のとおり「CLARITIA」の欧文字と当該文字より小さく表した「クラリティア」の片仮名とを2段に表してなるところ,欧文字と片仮名の文字の大きさの違い及び両文字部分が中心をそろえて一体的に表されている構成からすると,当該片仮名は欧文字の読みを表したものと容易に認識できるものである。
また「CLARITIA」の欧文字は,辞書等に載録が認められないことから,特定の意味合いを生じることのない一種の造語を表したものとして認識されるというべきである。
そうすると,本件商標は「クラリティア」の称呼を生じ特定の観念を生じるものとはいえない。
イ 引用商標
引用商標は,別掲2のとおり「CLARITY」の欧文字と,当該欧文字よりやや小さく表した「クラリティ」の片仮名とを2段に表してなるところ,欧文字と片仮名の文字の大きさの違い及び両文字部分が中心をそろえて一体的に表されている構成からすると,当該片仮名は欧文字の読みを表したものと容易に認識できるものである。
そして,「CLARITY」の欧文字は,「明快,明瞭」等の意味を有する英語であるから,引用商標は「クラリティ」の称呼を生じ「明快,明瞭」の観念を生じるというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は,それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ,それぞれの上段の欧文字の語尾における「IA」と「Y」の文字の差異及び下段の片仮名の語尾における「ア」の文字の有無に差異を有するものであるが,上段の欧文字の差異は,8文字と7文字という比較的短い文字構成からなる両者の外観の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえない。
また,下段の語尾の「ア」の文字の有無も6文字と5文字という短い文字構成からなる両者の外観の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえないから,両商標全体を比較しても,外観において両者は相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
次に,称呼について見るに,本件商標から生じる「クラリティア」の称呼と引用商標から生じる「クラリティ」の称呼とは,語頭から4音までの「クラリティ」の音を共通にし,語尾の「ア」の音の有無において相違するところ,5音又は4音と短い音構成からなる両称呼においては,相違音が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず,それぞれを一連に称呼するときは語調,語感が異なることから,両者は,称呼上,明瞭に聴別し得るものである。
そして,観念においては,本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し,引用商標は「明快,明瞭」の観念を生じるというのが相当であるから,両商標は,観念上,相紛れるおそれはないものである。
そうすると,両商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点においても,相紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。
したがって,本件商標は,その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似であるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は,上記(1)イのとおり,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されているものではなく,また,上記(2)ウのとおり,本件商標は,引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものであるから,その類似性の程度は低いものである。
そうとすると,本件商標は,その指定商品と引用商標に係る商品との関連性にかかわらず,これに接する取引者,需要者が引用商標を連想又は想起するものということはできない。
してみれば,本件商標は,その指定商品について使用しても,これに接する取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
引用商標は,上記(1)イのとおり,申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものではなく,また,本件商標は,上記(2)ウのとおり,引用商標とは,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると,引用商標が周知であることを前提に本件商標の登録出願の目的及び経緯に不正の目的があったとする申立人の主張には理由はなく,その他,本件商標の登録出願の目的及び経緯に,不正の目的(不正の利益を得る目的,他人に損害を与える目的など。)があったことを具体的に示す証拠の提出はない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものではないから,同法第4条に違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲
別掲1 本件商標


別掲2 引用商標



(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-03-31 
出願番号 2019123142 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W03)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 大森 友子
平澤 芳行
登録日 2020-11-18 
登録番号 6318044 
権利者 株式会社ナリス化粧品
商標の称呼 クラリティア 
代理人 朝倉 美知 
代理人 前田 大輔 
代理人 中村 知公 
代理人 伊藤 孝太郎 

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