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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W05
管理番号 1383333 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-05 
確定日 2022-04-04 
事件の表示 商願2019−130340拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和元年10月7日の登録出願であって、同2年9月3日付けの拒絶理由の通知に対し、同年10月16日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同3年3月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第5類「薬剤」を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記1の手続補正により、第5類「殺虫剤,防虫剤,害虫忌避剤,ハエ忌避剤」と補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、右斜め上に傾斜したピンク色の平行四辺形の内側に、白色の縁で囲まれた青色の「腐敗抑制」のゴシック体文字が、上記平行四辺形の上辺及び下辺に対して平行に配置されてなるところ、昨今の日常の商取引において看者の注意を引くような視覚的効果をねらった表示が宣伝、広告等に使用されている現状よりすれば、本願商標は、全体として、「腐敗抑制」の文字を普通に用いられる方法の域を出ない方法で表示したものというべきである。
そして、本願商標構成中「腐敗」の文字は、「有機物、特に蛋白質が細菌によって分解され、有毒な物質と悪臭ある気体を生じる変化。くさること。」を意味する語であり、「抑制」の文字は「おさえとどめること。」を意味する語であり、いずれも親しまれた語であるから、本願商標全体としては、「有機物が細菌によって分解され、有毒な物質と悪臭ある気体を生じる変化を抑えとどめるもの」程の意味合いを容易に理解させるものといえる。
さらに、本願の指定商品を取り扱う分野において、「腐敗抑制」に通ずる「腐敗菌抑制成分」が追加された商品が取り扱われている実情がある。
そうすると、本願商標は、その指定商品に使用するときは、取引者、需要者をして、「有機物が細菌によって分解され、有毒な物質と悪臭ある気体を生じる変化を抑えとどめる効果も有する殺虫剤・防虫剤・害虫忌避剤・ハエ忌避剤」であることを認識するにとどまるから、単に商品の品質、効能を表示するにすぎないものであり、前記意味合いに照応する商品以外の商品に使用したときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審の判断
本願商標は、右斜め上に傾斜した濃ピンク地の平行四辺形内に「腐敗抑制」の文字を紺色の太ゴシック体で表し、その周辺を白く縁取りしてなるところ、一般に、商品又は役務に標章等を使用する際に様々なデザイン化が行われている現状にあっては、図形内に文字を表示し配色を施すことに加え、本願商標の構成文字の態様や色彩は、それ自体特殊な態様、色彩とはいい得ないから、本願商標は、普通に用いられる方法の範囲で表してなるとみるのが相当である。
そして、本願商標の構成中の「腐敗」の文字は「有機物、特に蛋白質が細菌によって分解され、有毒な物質と悪臭ある気体を生じる変化。くさること。」の意味を有する語であり、「抑制」の文字が「おさえとどめること。」の意味を有する語(いずれも「広辞苑第7版」)であるから、「腐敗抑制」の文字全体からは「腐ることを抑えとどめる」といった意味合いの効能を理解させるものといえる。
ところで、補正後の本願の指定商品「殺虫剤,防虫剤,害虫忌避剤,ハエ忌避剤」は、いずれも害虫の防除や忌避に用いる薬剤であって、ハエ、蚊、ゴキブリなどの害虫にとって有毒なピレスロイド系の殺虫成分やディート(ジエチルトルアミド)という防虫成分又は害虫が嫌う匂いや成分を含む薬剤を用いることでそれら商品に適した効能を達成しようとするものである。
そこで、「腐敗抑制」の文字を本願の指定商品の目的である害虫の防除や忌避に照らして検討すると、「腐敗」は主に食品等に微生物が増殖した結果、食品本来の色や味、香りなどが損なわれる現象である一方、本願の指定商品は、「腐敗」という現象を抑えとどめることを主目的とするものではなく、上記のとおり、殺虫成分や防虫成分又は害虫が嫌う匂いや成分を用いることで害虫の防除、忌避を目的とする商品である。また、腐敗の対象物や「腐敗」という現象をどのような手段、方法によって抑えとどめるのかも明らかではない。
そうすると、本願商標は、その補正後の指定商品との関係においては、直ちに商品の品質及び効能を直接的に表しているとはいえないものである。
また、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品を取り扱う業界において、「腐ることを抑えとどめる」という効能が、商品の品質又は効能として普通に採用されている事実を発見することができず、「腐敗抑制」の文字についても、商品の品質を直接的かつ具体的に表示するものとして、取引上普通に使用されている事実を発見することができない。さらに、本願商標に接する取引者、需要者が、当該文字を商品の品質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
してみれば、本願商標は、その指定商品について使用した場合に、商品の品質及び効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるというべきであり、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものということもできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

別掲 本願商標(色彩については、原本を参照。)


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審決日 2022-03-14 
出願番号 2019130340 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (W05)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 水落 洋
小俣 克巳
商標の称呼 フハイヨクセー 
代理人 加藤 勉 
代理人 萼 経夫 
代理人 ▲高▼ 昌宏 

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