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審決分類 審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W37
管理番号 1383316 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-08 
確定日 2022-03-30 
事件の表示 商願2019−117012拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は,令和元年9月3日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年9月4日付け :拒絶理由通知書
令和2年10月9日 :意見書の提出
令和3年3月10日付け:拒絶査定
令和3年6月8日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第37類「建設工事,建築工事に関する助言又はコンサルティング,建設工事に関する情報の提供,リフォーム工事に関する情報の提供,建築設備の運転・点検・整備,火災報知機の修理又は保守,照明用器具の修理又は保守,建物の外壁の清掃」を指定役務として,登録出願されたものである。

3 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,拒絶の理由に引用した登録商標は,以下に掲げるとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3096767号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
指定役務 第37類「建築一式工事,土木一式工事」
登録出願日 平成4年9月28日
設定登録日 平成7年11月30日
(2)登録第4873202号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲3のとおり
指定役務 第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,火災報知機の修理又は保守,照明用器具の修理又は保守,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き」を含む,第35類及び第37類に属する商標登録原簿に記載の商品役務
登録出願日 平成16年3月19日
設定登録日 平成17年6月17日
(3)登録第5785945号(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 別掲4のとおり
指定役務 第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,火災報知機の修理又は保守,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,マンション・戸建住宅の建設工事,マンション・戸建住宅の修理・補修工事,マンション・戸建住宅のリフォーム工事に関する助言,マンションの共用部分の清掃」を含む,第37類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成27年3月20日
設定登録日 平成27年8月14日
以下,引用商標1ないし引用商標3をまとめて「引用商標」という。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標
本願商標は,別掲1のとおり,青色の大小3つの水滴様の図形を組み合わせた図形(以下「本願図形部分」という。)の右側に,「あなぶき建設工業」(「な」の文字を構成する横棒は一部欠けている。)の平仮名及び漢字(以下「本願文字部分」という。)を横書きしてなるところ,図形部分と本願文字部分とは視覚上分離して看取されるばかりでなく,これらを常に一体不可分のものとしてのみ観察しなければならないとする特段の事情も見出し得ないものである。
そうすると,本願文字部分と本願図形部分とは,それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
また,本願文字部分を構成する各文字は,同じ大きさで,等間隔に表されているものであって,外観上まとまりよく一体的な印象を与えるものであり,「あなぶき」の文字部分が殊更看者に対して強く支配的な印象を与える構成であるとはいえず,文字部分全体から生じる「アナブキケンセツコウギョウ」の称呼も,若干冗長ではあるものの,無理なく一連に称呼し得るものである。
そして,本願商標の構成中,「あなぶき」の文字は,「吉野川中流南岸,支流の穴吹川流域を占める旧町。」(「コンサイス日本地名辞典 第5版」株式会社三省堂)を示す「穴吹」の漢字,又は,氏の一つである「穴吹」(別掲5)の漢字を平仮名表記したものであると容易に認識できるものである。また,「建設」の文字は「建物や組織をつくりあげること。」の意味を,「工業」の文字は「手作業をする職人。」,「原料や粗製品を加工して有用なものとする産業。」(ともに「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)の意味を有する語であるものの,これらを一連に結合してなる「あなぶき建設工業」の文字は,辞書等に掲載がないものであって,全体として,特定の意味合いを想起させることのないものである。
さらに,本願商標の構成中「あなぶき」の文字が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情も見いだせない。
してみれば,本願文字部分の上記構成及び称呼からすれば,これに接する取引者,需要者は,殊更に「あなぶき」の文字部分のみに着目することなく,本願文字部分の構成全体をもって,特定の意味合いを生じない一体不可分の造語を表したものとして認識し,把握するというのが自然である。
したがって,本願文字部分は,その構成文字に相応した,「アナブキケンセツコウギョウ」の一連の称呼のみを生じ,特定の観念は生じないものである。
なお,本願図形部分からは,特定の称呼及び観念は生じない。
イ 引用商標
(ア)引用商標1
引用商標1は,別掲2のとおり,「ANABUKI」の欧文字を横書きしてなるところ,当該文字は辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを想起させることのない,一種の造語として理解されるものである。
したがって,引用商標1は,その構成文字に相応して,「アナブキ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(イ)引用商標2
引用商標2は,別掲3のとおり,「穴吹」の漢字と「ANABUKI」の欧文字を二段に横書きしてなるところ,上記アのとおり,「穴吹」の文字は「吉野川中流南岸,支流の穴吹川流域を占める旧町。」を示すもの又は氏の一つを表すものであって,「ANABUKI」の文字は「穴吹」の文字を欧文字表記したものと容易に認識させるものである。
したがって,引用商標2は,その構成文字に相応して,「アナブキ」の称呼を生じ,「吉野川中流南岸,支流の穴吹川流域を占める旧町を示すものとしての「穴吹」」又は「我が国における氏の一つとしての「穴吹」」の観念を生じるものである。
(ウ)引用商標3
引用商標3は,別掲4のとおり,濃い灰色の「穴吹建設」の漢字を横書きしてなるところ,その構成各文字は,同じ大きさ,同じ書体で,等間隔に表されているものであり,外観上まとまりよく一体的な印象を与えるものであって,文字部分全体から生じる「アナブキケンセツ」の称呼も,よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると,引用商標3の上記構成及び称呼からすれば,これに接する取引者,需要者は,その構成全体をもって,特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識し,把握するというのが自然である。
したがって,引用商標3は,その構成文字に相応して,「アナブキケンセツ」の一連の称呼のみを生じ,特定の観念は生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標の類比
(ア)本願商標と引用商標1について
本願商標の要部の一つである本願文字部分と引用商標1とを比較すると,外観においては,上記ア及びイ(ア)のとおり,本願文字部分の構成文字は,平仮名と漢字からなるのに対し,引用商標1の構成文字は,欧文字のみからなるものという差異があることに加え,後半部における「建設工業」の文字の有無という顕著な差異を有するものであるから,外観上,判然と区別できるものである。
また,称呼においては,本願文字部分から生じる「アナブキケンセツコウギョウ」の称呼と引用商標1から生じる「アナブキ」の称呼とを比較すると,語頭における「アナブキ」の音を共通にするとしても,後半部における「ケンセツコウギョウ」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから,それぞれを一連に称呼するときは,明瞭に聴別し得るものである。
さらに,観念においては,本願文字部分と引用商標1は,ともに特定の観念を生じないものであるから,比較することができない。
してみれば,本願文字部分と引用商標1とは,観念において比較することができないとしても,外観において判然と区別することができるものであって,称呼において明瞭に聴別し得るものである。
そして,これらが取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して考察すれば,本願商標と引用商標1とは,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(イ)本願商標と引用商標2について
本願商標の要部の一つである本願文字部分と引用商標2とを比較すると,外観においては,上記ア及びイ(イ)のとおり,本願文字部分の構成文字は,平仮名と漢字からなるのに対し,引用商標2の構成文字は,漢字及び欧文字からなるものという差異があることに加え,後半部における「建設工業」の文字の有無という顕著な差異を有するものであるから,外観上,判然と区別できるものである。
また,称呼においては,本願文字部分から生じる「アナブキケンセツコウギョウ」の称呼と引用商標2から生じる「アナブキ」の称呼とを比較すると,語頭における「アナブキ」の音を共通にするとしても,後半部における「ケンセツコウギョウ」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから,それぞれを一連に称呼するときは,明瞭に聴別し得るものである。
さらに,観念においては,本願文字部分は特定の観念を生じないのに対し,引用商標2は「吉野川中流南岸,支流の穴吹川流域を占める旧町を示すものとしての「穴吹」」又は「我が国における氏の一つとしての「穴吹」」の観念を生じるから,両者は相紛れるおそれはない。
してみれば,本願文字部分と引用商標2とは,外観において判然と区別することができるものであり,称呼上明瞭に聴別し得るものであって,観念上相紛れるおそれのないものである。
そうすると,本願商標と引用商標2とは,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(イ)本願商標と引用商標3について
本願商標の要部の一つである本願文字部分と引用商標3とを比較すると,外観においては,上記ア及びイ(ウ)のとおり,本願文字部分の構成文字は,平仮名と漢字からなるのに対し,引用商標3の構成文字は,漢字のみからなるものという差異があることに加え,後半部における「工業」の文字の有無という顕著な差異を有するものであるから,外観上,判然と区別できるものである。
また,称呼においては,本願文字部分から生じる「アナブキケンセツコウギョウ」の称呼と引用商標3から生じる「アナブキケンセツ」の称呼とを比較すると,前半部における「アナブキケンセツ」の音を共通にするとしても,後半部における「ケンセツコウギョウ」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから,それぞれを一連に称呼するときは,明瞭に聴別し得るものである。
さらに,観念においては,本願商標と引用商標3は,ともに特定の観念を生じないものであるから,比較することはできない。
してみれば,本願商標と引用商標3とは,観念において比較することができないとしても,外観において判然と区別することができるものであって,称呼において明瞭に聴別し得るものである。
そして,これらが取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して考察すれば,本願商標と引用商標3とは,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(2)まとめ
以上のとおり,本願商標は,引用商標と非類似の商標であるから,指定役務の類否について論ずるまでもなく,商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえないから,本願商標がこれに該当するとして本願を拒絶した原査定は,取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

別掲1 本願商標(色彩は,原本参照。)

別掲2 引用商標1

別掲3 引用商標2

別掲4 引用商標3


別掲5
(1)名字由来netのウェブサイトの,「【名字】穴吹」の項には,「【名字の由来解説】」の見出しの下,「現徳島県である阿波国美馬郡穴吹村が起源(ルーツ)である。近年,香川県に多数みられる。」の記載がある。
https://myoji-yurai.net/searchResult.htm?myojiKanji=%E7%A9%B4%E5%90%B9
(2)日本姓氏語源辞典のウェブサイトには,「穴吹」の項がある。
https://name-power.net/fn/%E7%A9%B4%E5%90%B9.html

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審決日 2022-03-15 
出願番号 2019117012 
審決分類 T 1 8・ 261- WY (W37)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 大森 友子
須田 亮一
商標の称呼 アナブキケンセツコーギョー、アナブキケンセツ、アナブキ 
代理人 特許業務法人山内特許事務所 

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