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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W45
管理番号 1383307 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-12 
確定日 2022-03-10 
事件の表示 商願2019−113631拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「葬祭コーディネーター」の文字を標準文字で表してなり、第45類「葬儀に関する相談・情報の提供,葬儀・法要に関する礼儀作法及び返礼の助言,葬儀のための施設の利用に関する情報の提供,葬儀・法事のための施設の提供,葬儀・法事の企画,葬儀・法事の執行の媒介又は取次ぎ,葬儀・法事のための施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,葬儀・法要の執行,葬儀・法要の執行の媒介又は取次ぎ,葬儀に関する衣服の貸与,祭壇・葬儀用具の貸与,墓地又は納骨堂の提供」を指定役務として、令和元年8月26日に登録出願されたものである。
本願は、令和2年9月17日付けで拒絶理由の通知がされ、同年10月9日に意見書が提出されたが、同年12月22日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して令和3年4月12日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、『葬祭コーディネーター』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『葬祭』の文字は『葬式と祭祀』を、『コーディネーター』の文字は『物事を調整する人。』(広辞苑第七版 株式会社岩波書店)を、それぞれ意味し、本願商標は構成全体として、『葬祭を調整する人』程度を認識させるものである。また、葬祭の実施にあたり、調整業務を行う者を、『葬祭コーディネーター』と称している事実がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者及び需要者は、葬祭の実施にあたり、調整業務を行う者による役務であることを理解するにとどまり、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和3年10月21日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

4 証拠調べに対する請求人の意見
前記3の「証拠調べ通知」に対して、所定の期間を経過するも、請求人は何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「葬祭コーディネーター」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「葬祭」の文字部分は、「葬式と祭祀。」を意味する語であり、また、「コーディネーター」の文字部分は、「物事を調整する人。」(出典:いずれも「広辞苑 第七版」)をそれぞれ意味する語であって、いずれも日常的に使用されている語であるといえる。
そうすると、本願商標を構成する「葬祭コーディネーター」の文字からは、「葬祭を調整する人」の意味を容易に理解させるものである。
また、当審における証拠調べ通知において示したとおり、本願指定役務を取り扱う分野において、葬儀に係る役務を提供する者を「コーディネーター」とする表現や、それらの役務を提供することを「コーディネートする」という表現が使用されている例や、それらの役務を提供する者を「葬祭コーディネーター」と称している例が認められ、例えば、「お葬式の流れやプランをご提案する」(別掲1(1))、「ご家族様の思いをうかがってから調整させていただく」(別掲1(3))、「葬祭にまつわる事柄をサポートする」(別掲1(6))、「通夜・葬儀の一連の流れを滞りなく執り行えるよう、総合的にコーディネートする」(別掲1(10))のような文脈において、葬儀に関する一連の計画、事柄、遂行を調整することを「コーディネート」や「コーディネーター」の語を用いて表現している実情も認められる。
このような状況の下、本願商標である「葬祭コーディネーター」を本願の指定役務に使用しても、需要者は、これを「葬祭を調整する人」と理解し、「葬祭を調整する人」による役務であることを認識するにとどまるものというのが相当であって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「葬祭コーディネーター」の語が、「葬式と祭祀」などを意味する「葬祭」と「物事を調整する人。」などを意味する「コーディネーター」の語を組み合わせたものだとしても、「葬祭を調整する」とはどのようなことなのか、具体的に理解することはできない旨、本願商標は、創意工夫によるユニークな造語であって、単に「葬祭の実施にあたり、調整業務を行う者」といった意味合いで理解されることはない旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標を構成する「葬祭」及び「コーディネーター」の語は、いずれも日常的に使用されている語であり、「葬祭を調整する人」の意味を容易に理解させるものであることに加え、当審における証拠調べ通知によって示した事例のように、葬儀に関する一連の計画、事柄、遂行を調整することを「コーディネート」や「コーディネーター」の語を用いて表現している実情、さらにそれらの役務を提供する者を「葬祭コーディネーター」と称している実情を考慮すれば、「葬祭を調整する」とはどのようなことなのか、具体的に理解することはできないとは到底いえず、本願商標が、創意工夫によるユニークな造語であるということもできない。
イ 請求人は、登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、それらの登録例は、商標の構成文字及び取引の実情において本願とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が自他役務の識別標識として機能しうるか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであって、本願商標についての判断は、上記(1)のとおりであるから、請求人が挙げる登録例をもって本件判断が左右されるものではない。
(3)まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲
別掲 証拠調べ通知書において示した事実
1.葬儀に関する役務の分野において、それらの役務を提供する者を「コーディネーター」とする表現や、それらの役務を提供することを「コーディネートする」という表現が使用されている例。

(1)「セレモニーホール安井」のウェブサイトにおいて、「特徴5/厚生労働省認定『葬祭ディレクター技能審査』/一級葬祭ディレクター在籍」の見出しの下、「セレモニーホール安井には、厚生労働省が認定する、『葬祭ディレクター技能審査』制度に基づく葬祭ディレクターが在籍しております。葬祭ディレクターとは、お葬式の流れやプランをご提案する、いわば葬儀のコーディネーターです。些細なことから、専門的なことまで幅広くご相談ください。」の記載がある。
https://www.ceremony-yasui.com/reason/

(2)「ヒルトン成田」のウェブサイトにおいて、「お別れの会・法要」の見出しの下、「ホテルならではの『お別れの会』をコーディネート致します。故人様がお世話になった方々をお迎えして『未来に向かった絆創り』を行われてみては如何でしょうか?法人・個人様に関わらずお客様のご希望に沿った『お別れの会』をコーディネート致します。」の記載がある。
https://www.hiltonnarita.jp/plans/mice/11

(3)「秋桜コバヤシ」のウェブサイトにおいて、「葬儀にかかわるすべてを真心でコーディネートする」の見出しの下、「秋桜コバヤシの葬儀は、全てのご葬儀にかならず含まれる内容と、故人・ご家族様の思いをうかがってから調整させていただく項目がございます。基本となるプランはございますが、実際のご葬儀は、故人・ご遺族様の思い・こだわりから形づくられるもの。どんなことでもまずはご相談ください。」の記載がある。
http://cosmos-kb.com/

(4)「アノニマ・スタジオ」のウェブサイトにおいて、「小金井祭典 是枝嗣人(葬祭師)」の見出しの下、「・・・学生時より葬祭業に携わるようになり、2007年に小金井祭典株式会社を設立。不必要な形式には捉われず、当事者の気持ちを疎かにせず、唯一無二の葬儀をコーディネートする葬祭界の異端児。遺書作成やグリーフサポートなど、葬儀にとどまらない相談ができる『ちょっと訊ける場所・めぐる』というサロンを設け、街の困りごとも引き受けている。」の記載がある。
https://www.anonima-studio.com/the-work-opens-us-wa/hiraku-shigoto-wa03.html

(5)「エン転職」のウェブサイトにおいて、「葬儀スタッフ 大成祭典株式会社」の見出しの下、「人生最後のセレモニーを演出してください。まごころを込めて葬儀をコーディネートする仕事です。ご遺族の気持ちを汲み取り、希望を叶える式になるよう力を注いでください。<仕事の流れ>▼連絡があれば、寝台車を手配。病院や個人宅へ故人をお迎えにあがります。▼ご遺族に寺院をご紹介。枕飾りをご準備します。▼葬儀の規模や場所、形式等を打ち合わせします。見積り明細書を作成してください。▼火葬場、寺院、供車、写真、返礼品、料理、礼状、生花等を手配します。▼葬儀会場の説明へ。通夜では司会を担当します。▼葬儀告別式では、司会を担当し、運営全般を担います。▼その後、初七日や四十九日の手配等も行ないます。」の記載がある。
https://employment.en-japan.com/comp-21093/?WorkID=751275&aroute=28

(6)「株式会社ウェルしおん」のウェブサイトにおいて、「わたしたちの想い」の見出しの下、「わたしたちは、皆様の葬祭にまつわる事柄をサポートするために、大きく分けて2つの事業を行っております。/1つ目の事業は、最後のお別れとなる『火葬』(火葬のみ=直葬)をサポートするため、『ウェル・しおん』が『火葬のみ』のプランである『しおん』を販売いたします。/2つ目の事業としましては、『葬送の今を考える会』がセミナーを主催し、『現代の葬送』をはじめさまざまなテーマ通じて、決して後悔しないご葬儀選びをしていただけるよう、定期的に“葬送セミナー”を開催いたします。/あわせて、生活保護受給者の『福祉葬』(葬祭扶助)のご案内もいたします。皆様個人個人に適した『葬送』(ご葬儀)を『コーディネート』(ご提案)する窓口として、当社をご利用いただければ幸いです。」の記載がある。
http://www.wel-shion.com/

(7)「一般社団法人セカンドライフ・エンディング協会」のウェブサイトにおいて、「葬儀コーディネーター入門講座」の見出しの下、「心のこもった葬儀をコーディネートするお仕事/ご家族のご希望を尊重する生前相談型のご葬儀をコンセプトに葬儀の相談、葬儀発生から通夜・告別式・アフターフォローまで大切な方を亡くされたご遺族や関係者の方々の心に寄り添い、亡くなった故人様をお葬式という儀式でお送りするお手伝いをするのが葬儀コーディネーターのお仕事です。」の記載がある。
http://v3.next-rev.com/bizschool/sougi/nyumon.html

(8)「ECOなお葬式」のウェブサイトにおいて、「ご尊家様とお打合わせする際のこだわり」の見出しの下、「ECO[エコ]なお葬式は、1日1葬儀をモットーにご家族様を中心としたほのぼのと心温まるお葬式をコーディネート致します。ご家族様がお葬式について何を望まれておられるのか、対象者様に対する思い入れの大きさと深い悲しみの奥底から感じとれるものは何かを、私共ができる可能な限りのご提案をさせていただきます。事前のご相談から事前予約まで、ご納得のいくまで、ご説明させていただいております。」の記載がある。
https://www.119421.com/plan_jijo.html

(9)「葬祭業界で働く」(薄井秀夫/柿ノ木坂ケイ=著 ぺりかん社)の32頁及び33頁において、「お仕事拝見(1)葬儀社スタッフ/遺族に寄り添いながら、葬儀を執り行う仕事」の見出しの下、「何しろ葬儀の準備は慌ただしい。依頼の連絡を受けてからいろいろなことをコーディネートして実際に執り行うまで2、3日ほどしかない場合が多いのである。」の記載がある。

(10)「最新葬儀業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本」(吉川美津子著 秀和システム)の140頁において、「葬儀社スタッフ・葬祭ディレクター」の見出しの下、「通夜・葬儀の一連の流れを滞りなく執り行えるよう、総合的にコーディネートするとともに遺族をサポートするのが、葬儀社スタッフの仕事。消費者ニーズの多様化で、柔軟な対応が求められています。」の記載がある。

2.葬儀に関する役務の分野において、それらの役務を提供する者を「葬祭コーディネーター」と称している例。

(1)「冠婚葬祭こころの会」のウェブサイトにおいて、「葬祭コーディネーター」の見出しの下、「葬祭業務全般(御見積、施行担当、アフターフォロー等)」の記載がある。
http://www.kokoro-aoi.com/recruit-funeral-coordinator

(2)「一般社団法人 日本のぞみ葬協会」のウェブサイトにおいて、「日本のぞみ葬協会の設立について」の見出しの下、「・・・従来の儀礼化された葬儀の形にとらわれない心のこもった葬儀を提案させていただく為に、(社)日本のぞみ葬協会は設立されました。」、「事業内容/(1)葬祭に関する事業(2)葬祭コーディネーターの養成と葬祭指導員の育成(3)葬祭事業開業に関する技能支援と人材育成(4)葬祭コーディネーター技能習得養成講座の開催(5)葬祭コーディネーター情報の交流(6)葬祭に関する広報活動(7)その他,当法人の目的達成に必要な事業」の記載がある。
http://nozomiso.or.jp/

(3)「ランスタッド」のウェブサイトにおいて、「お仕事の内容」の見出しの下、「≪人気の紹介予定派遣です!/葬祭コーディネーターのお仕事≫・喪主、ご遺族の方とのお通夜・葬儀のプラン相談→打ち合わせや、見積り書作成など/・葬儀の会場設営、進行/・ご遺体の搬送、安置/・葬儀場施設の維持、管理/・集金/・病院、寺院の訪問・フォロー/・生前の葬儀プラン相談/・チラシのポスティング等」の記載がある。
https://www.randstad.co.jp/office/s2040/wnWTUB101317/

(4)「株式会社セレモール」のウェブサイトにおいて、「顔の見えるスタッフが“24時間まごころサポート”」の見出しの下、「葬祭コーディネーター/・・・/故人様を送られるご遺族、ご親族の想いに悔いが残りませぬよう、心に誓い取り組んでおります。」、「葬祭コーディネーター/・・・/ご遺族様の不安を解消し、安心してお任せ頂ける様、一生懸命お役に立ちたいと心から願っています。」の記載がある。
http://www.ceremollgroup.com/staff.html

(5)「お葬儀屋さん伽蓮」のウェブサイトにおいて、「葬祭コーディネーター・・・」の見出しの下、「学校職・事務職・営業職・身体障害者授産施設勤務とさまざまな職種を経て、大手葬儀社で勤務。人間一人一人違うのに『コース』からパターンを選び、セレモニー風ベルトコンベアー式で流れるように終わっていくお葬儀に疑問を持ち、真摯にお葬儀に向き合う女性の葬儀屋として平成16年10月に『伽蓮』を設立いたしました。主婦目線の配慮と心遣いを大切にし、必要な物だけを購入して頂くことで、ご遺族様のご要望に沿ったお葬儀を実現させています。お葬儀の基本と、ご遺族様の状況に耳を傾け、大切な方との最後の限られた時間をできる限りサポートさせて頂くことが、私の姿勢でありつとめです。」の記載がある。また、「女性が運営する伽蓮の強み」の見出しの下、「いざお葬儀を行うとなると、ほとんどの方達が何をすればよいのかわからないと言われます。伽連では、できあいの印刷された決まった様式のプリントを渡すのではく、葬祭コーディネーター・・・が直接お伺いをし、お話を伺ったうえで、喪主様やその家族の人達がしなければいけないことを細かく説明し、お伝えします。」の記載がある。
https://karen-kawato.jp/heart

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。


審理終結日 2021-12-22 
結審通知日 2022-01-04 
審決日 2022-01-24 
出願番号 2019113631 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W45)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 綾 郁奈子
馬場 秀敏
商標の称呼 ソーサイコーディネーター、コーディネーター 
代理人 一色国際特許業務法人 

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