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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W25
管理番号 1383286 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-27 
確定日 2022-03-16 
事件の表示 商願2019−86221拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品として、令和元年6月19日に登録出願されたものである。
なお、本願は、令和2年3月2日付けで拒絶理由の通知がされ、同年4月20日に意見書が提出されたが、同年8月27日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して、令和2年11月27日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続している。
1 登録第4559962号商標(以下「引用商標1」という。)は、「U.W.F.」の文字を標準文字で表してなり、平成11年4月8日登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同14年4月12日に設定登録され、その後、同24年5月22日に第25類「ティーシャツ,帽子,その他の被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,バンド,ベルト,ズボンつり,ガーター,靴下止め,仮装用衣服」を指定商品とする更新登録がされたものである。
2 登録第5682121号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成25年5月22日登録出願、第25類「被服,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第43類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同26年7月4日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、二重の線で縁取り(外側は太い線、内側は細い線)をした楕円図形(以下「楕円図形」という。)の内部に、格子模様の円図形(以下「格子様図形」という。)を中央に配し、楕円図形の上方の内側の線に沿って弧を描くように小さく「★KICK,SUBMISSION&SUPLEX★」の文字(以下「本願上段文字」という。)を配し、楕円図形内の中段には大きく「U.W.F.」の文字を、「W.」を「U.」及び「F.」の位置から少し上方にずらして配し、さらに下段中央に、二人の人間が組み合っている様子を表したと思しき図形(以下「人様図形」という。)を配し、その人様図形の左側に「PROFESSIONAL」の文字、右側に「WRESTLING」の文字(以下「本願下段文字」という。)をそれぞれ小さく横書きした構成よりなるものである。
そして、本願商標の文字部分は、本願上段文字及び本願下段文字についてはそれぞれが極めて小さく表されているのに対し、「U.W.F.」の文字部分は、本願商標の中央に、大きく太字で顕著に表されていることから、構成態様において明らかな相違があり、各文字部分は、外観上、分離して観察されるものである。
また、「U.W.F.」の文字は、辞書等に載録されていないものであって、一種の造語として認識されるものであるところ、本願商標の指定商品を取り扱う分野において、「U.W.F.」の文字と本願上段文字及び本願下段文字とが、相互に、一体不可分のものとして認識されるとみるべき関連性は見いだせない。
そうすると、本願商標中の文字部分は、それぞれが観念上の結びつきを有するものではなく、外観上も異なる大きさで表されているものであるから、その構成中、太字で顕著に表されている「U.W.F.」の文字部分が、商品の識別標識として最も強く支配的な印象を与えるものといえる。
一方、本願商標の図形部分は、楕円図形の内側に、格子様図形及び人様図形を配してなり、これらは、一見して、直ちに特定の意味合いを表すものとして認識されるものとはいい難いことから、いずれも、出所識別標識としての称呼及び観念は生じるものとはいえない。
そして、本願商標の図形部分は、「U.W.F.」の文字部分と一体となって特定の意味合いを生じるなどの事情も見いだせないことから、図形部分と「U.W.F.」の文字部分とは、それぞれを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。
そうすると、本願商標は、その全体を観察して、引用商標と比較して商標の類否を判断することに加えて、その構成中の「U.W.F.」の文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきであり、該文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たすものといえる。
したがって、本願商標は、その全体から生じる「キックサブミッションアンドスープレックスユーダブリューエフプロフェッショナルレスリング」の称呼の他に、「U.W.F.」の文字に相応して「ユーダブリューエフ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は、上記第2の1のとおり、「U.W.F.」の文字を標準文字で表してなるところ、外観上、特筆すべき特徴のない構成態様であり、また、「U.W.F.」の文字は、辞書等に載録されていないものであって、一種の造語として認識されるものであるから、特定の観念を生じないものである。
したがって、引用商標1は、「U.W.F.」の文字に相応して「ユーダブリューエフ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、別掲2のとおり、外側の線が太く内側の線が細い金色の二重の縁取りをした楕円図形(以下「金色楕円図形」という。)の内部に、背景として金色の格子模様の円図形(以下「金色格子様図形」という。)を中央に配し、金色楕円図形の上方の縁に沿って弧を描くように赤色の縁取りの白抜き文字で小さく「プロレス&格闘技酒場」の文字(以下「引用上段文字」という。)を配し、金色楕円図形内の中段には金色で大きく「U.W.F.」の文字を、「W.」を「U.」及び「F.」の位置から少し上方にずらして配し、さらに下段中央に金色で「道場」の文字を「U.W.F.」の文字に比してやや小さく横書きした構成よりなるものである。
そして、引用商標2の文字部分のうち、引用上段文字部分は赤色の縁取りの白抜き文字で小さく表されているのに対し、「U.W.F.」の文字及び「道場」の文字は、「道場」の文字が「U.W.F.」の文字に比してやや小さく表されているものの、いずれも金色の文字で中段から下段にかけて、引用商標2の全体の大半を占める形でまとまりよく表されていることから、引用上段文字部分と「U.W.F.」及び「道場」の文字部分は構成態様において明らかな相違があり、各文字部分は、外観上、分離して観察されるものである。
一方、引用商標2の図形部分は、金色楕円図形の内側に、金色格子様図形を配してなり、これらは、一見して、直ちに特定の意味合いを表すものとして認識されるものとはいい難いことから、いずれも、出所識別標識としての称呼及び観念は生じるものとはいえない。
そして、引用商標2の図形部分は、文字部分と一体となって特定の意味合いを生じるなどの事情も見いだせないことから、図形部分と文字部分とは、それぞれを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。
そうすると、引用商標2は、その全体を観察して、本願商標と比較して商標の類否を判断することに加えて、図形部分と文字部分がそれぞれ独立して自他商品識別標識としての機能を果たすものといえる。
したがって、引用商標2は、その構成全体から生じる「プロレスアンドカクトーギサカバユーダブリューエフドージョー」の他に、「U.W.F.」及び「道場」の文字に相応して「ユーダブリューエフドージョー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
ア 本願商標と引用商標1との類否について
本願商標と引用商標1とは、その全体の外観構成において相違するものの、本願商標の要部と引用商標1は、いずれも「U」、「.」、「W」、「.」、「F」及び「.」の文字からなり、そのつづりを共通にすることから、外観において類似するものである。また、称呼においては、「ユーダブリューエフ」の称呼を同一にするものであって、さらに、観念においては、両者はいずれも特定の観念を生じないことから、比較することはできないところ、これらを総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標1を同一又は類似の商品に使用した場合は、取引者、需要者がその出所について混同を生ずるおそれがあるというのが相当である。
したがって、本願商標は、引用商標1と類似する商標といえるものである。
イ 本願商標と引用商標2との類否について
本願商標と引用商標2とを比較すると、称呼においては、本願商標から生じる「キックサブミッションアンドスープレックスユーダブリューエフプロフェッショナルレスリング」及び「ユーダブリューエフ」の称呼と、引用商標2から生じる「プロレスアンドカクトーギサカバユーダブリューエフドージョー」及び「ユーダブリューエフドージョー」の称呼とは、そのいずれの称呼の比較においても、構成音数が明らかに異なることから、称呼において相紛れるおそれはない。
また、観念においては、本願商標と引用商標2のいずれも特定の観念を生じないことから、比較することはできない。
そして、外観においては、本願商標と引用商標2とは、両商標を子細に観察すれば、色彩、格子様図形と金色格子様図形の格子の線の数及び湾曲度合いの差異、人様図形の有無、「U.W.F.」の文字以外の文字部分において差異を有するとしても、その全体の外観構成においては、いずれも、外側の線が太く内側の線が細い二重の縁取りをした楕円図形と、その内部に背景として格子模様の円図形が配されている点、楕円図形の上方の縁に沿って弧を描くように小さく文字が配されている点、及び中央部分に大きく太字で「U.W.F.」の文字を配し、特に、その「U」、「W」及び「F」の書体
とその各欧文字には、「.」が右下部に付され、さらに、それが四角形で表されていることに加え、「W.」が「U.」及び「F.」の位置から少し上方にずらして配されており、構成各文字の位置関係まで一致すること等において、その構成の軌を一にするものであり、いずれも「二重の縁取りをした楕円図形の内部に背景として格子模様の円図形が配され、楕円図形の上方の縁に沿って弧を描くように小さく文字が配され、中央部分に大きく、同じ書体、同じ位置関係で『U.W.F.』の文字が配置された構図」として、取引者、需要者の記憶に強く印象づけられているものといえることから、本願商標と引用商標2は、外観上、相紛らわしい商標というべきである。
そうすると、本願商標と引用商標2とは、観念において比較することができず、称呼においては相紛れるおそれはないものの、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等が、「二重の縁取りをした楕円図形の内部に背景として格子模様の円図形が配され、楕円図形の上方の縁に沿って弧を描くように小さく文字が配され、中央部分に大きく、同じ書体、同じ位置関係で『U.W.F.』の文字が配置された構図」において共通するものであり、これらを総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標2を同一又は類似の商品に使用した場合は、取引者、需要者がその出所について混同を生ずるおそれがあるというのが相当である。
したがって、本願商標は、引用商標2と類似する商標といえるものである。
(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願商標の指定商品は、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」であるところ、引用商標1の指定商品である第25類「ティーシャツ,帽子,その他の被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,バンド,ベルト,ズボンつり,ガーター,靴下止め,仮装用衣服」とは同一又は類似するものであり、また、引用商標2の指定商品及び指定役務中、第25類「被服,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」は、本願商標の指定商品に含まれるものであるから、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
(5)小活
上記(1)ないし(4)によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標の外観は、各図形及び文字の全てが黒色単色で表記され、楕円の中に全体としてまとまりのある図形として描かれており、これに接する取引者、需要者は一体的な図形であると認識、理解することから、「U.W.F.」の文字部分のみを本願商標の特徴的な部分とすることはできない旨主張する。
しかしながら、「U.W.F.」の文字と図形部分とは、一体となって特定の意味合いを生じるなどの事情も見いだせないものであって、さらに、本願商標の指定商品との関係において、商品の品質等を表示するものである等の特別な事情はなく、他に、その不可分一体性を認めるべき事情も見当たらないことから、「U.W.F.」の文字のみを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず、「U.W.F.」の文字を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されることは、上記1(1)のとおりである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(2)請求人は、過去の裁判例及び審決例を挙げて、本願商標も同様に取り扱われるべきであり、本願商標と引用商標1とは非類似である旨主張している。
しかしながら、請求人の挙げる裁判例及び審決例は、いずれも本願商標とは、その構成及び態様が異なるものであって、本願とは事案を異にするというべきものであるばかりでなく、商標の類否の判断は、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであるから、請求人の挙げた事例は、上記1(3)アの判断を左右するものではない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(3)請求人は、本願商標と引用商標2は、構成上、共通点はあるものの、レスリングをする男性の図形の有無、構成する各文字の有無、地球様の図形の緯線と経線の差異、及び色彩の差異等の顕著な差異を有し、外観が大きく異なる旨主張する。
しかしながら、本願商標と引用商標2とは、その全体の外観構成においては、いずれも、外側の線が太く内側の線が細い二重の縁取りをした楕円図形を有している点、楕円図形の内部に背景として格子模様の円図形が配されている点、楕円図形の上方の縁に沿って弧を描くように小さく文字が配されている点、及び、中央部分に大きく太字で「U.W.F.」の文字を配しており、特に、両者の構成各文字の書体において色彩以外の差異がないことに加え、「W.」が「U.」及び「F.」の位置から少し上方にずらして配されており、両者の構成各文字の位置関係まで一致すること等において、その構成の軌を一にするものであり、いずれも「二重の縁取りをした楕円図形の内部に背景として格子模様の円図形が配され、楕円図形の上方の縁に沿って弧を描くように小さく文字が配され、中央部分に大きく、同じ書体、同じ位置関係で『U.W.F.』の文字が配置された構図」として、取引者、需要者の記憶に強く印象づけられていることは、上記1(3)イのとおりである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
3 結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標


別掲2 引用商標2(色彩については、原本を参照。)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2021-12-20 
結審通知日 2022-01-14 
審決日 2022-01-26 
出願番号 2019086221 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W25)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 榎本 政実
小俣 克巳
商標の称呼 ユウダブリュウエフ、キックサブミッションアンドスープレックス、キックサブミッションスープレックス、プロフェッショナル、レスリング、キック、サブミッションアンドスープレックス、サブミッションスープレックス、サブミッション、スープレックス 
代理人 保田 元希 

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