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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1382541 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-18 
確定日 2022-01-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第6312726号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6312726号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6312726号商標(以下「本件商標」という。)は、「HEADY」の欧文字を書してなり、令和2年4月23日に登録出願、第25類「コート,外衣,靴下,ガードル,スカート,履物,手袋(被服),ズボン,帽子,スカーフ」を指定商品として、同年10月2日に登録査定、同年11月5日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は、以下の6件であり、いずれも現に有効に存続している。
(1)登録第902541号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:HEAD
指定商品:第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:昭和44年5月16日
設定登録日:昭和46年6月21日
書換登録日:平成13年12月12日
(2)登録第1038256号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:HEAD
指定商品:第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:昭和42年12月12日
設定登録日:昭和48年10月15日
書換登録日:平成16年8月4日
(3)登録第1526485号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:ヘッド
指定商品:第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:昭和44年1月7日
設定登録日:昭和57年7月30日
書換登録日:平成15年11月26日
(4)登録第5356771号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:HEAD
指定役務:第35類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日:平成19年6月21日
設定登録日:平成22年10月1日
(5)登録第5555002号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:HEAD Japan(標準文字)
指定商品:第9類、第18類、第25類、及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成24年2月21日
設定登録日:平成25年2月8日
(6)国際登録第1156590号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:HEAD
指定商品:第25属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品
優先権主張日:2012年9月19日(Austria)
国際商標登録出願日:2013年(平成25年)2月7日
設定登録日 平成25年11月15日
2 申立人の使用に係る商標
申立人が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号商標に該当するとして引用する商標は、同人の業務に係る商品「スポーツ用品、スポーツウェア」に使用して著名商標として認知されているとする「HEAD」の欧文字からなる商標(以下「使用商標」という。)である。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、第25類「全指定商品」についての登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第270号証を提出した。なお、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、欧文字で「HEADY」と書してなり、その文字に応じて「ヘッディ」の称呼が生じる。
観念については、「HEADY」の文字は、我が国において一般的に知られた英単語ではないため、平易な英単語「HEAD」に接尾語「Y」を付けたものと認識され、接尾語「Y」は、接続した名詞を形容詞化させたり、くだけた親しみをもたせるために使用されるものであり、接尾語「Y」が付く単語は多数存在することから(甲2)、「HEAD」に関連したもの、「頭っぽい」という観念や、「HEADに親しみを込めた表現」との観念が生じる。
(2)引用商標
引用商標1、引用商標2、引用商標4及び引用商標6からは、その文字「HEAD」に応じて「ヘッド」の称呼及び「頭」又は「申立人の著名ブランドであるヘッド」の観念が生じる。
引用商標3からは、その文字「ヘッド」に応じて「ヘッド」の称呼及び「頭」又は「申立人の著名ブランドであるヘッド」の観念が生じる。
引用商標5は、欧文字の「HEAD」と「Japan」の間に一文字分のスペースを空けて横書きした態様からなる結合商標であり、「HEAD」部分は申立人の著名商標である一方、「Japan」部分からは地域としての「日本」や組織としての「日本法人」程度の意味合いを看取させるにすぎず、その識別力は極めて弱いものであるから、引用商標5の要部は「HEAD」である。
そして、引用商標5からは、その要部「HEAD」に応じて「ヘッド」の称呼及び「頭」又は「申立人の著名ブランドであるヘッド」の観念が生じる。
(3)本件商標と引用商標の類否
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否について、最高裁判例(甲9:最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決(最高裁昭和39(行ツ)110号))の観点を踏まえて検討する。
ア 申立人は、オーストリア国ケンネルバッハに本社を置くオーストリア法人であり、1950年の創業以来60年余りにわたり世界中において大規模な事業展開をしてきた一流スポーツメーカーである(甲10)。
申立人は、スキー用具、スノーボード用品、テニス用品、スポーツウェア、アクセサリー等を世界中で大々的に販売し(甲11〜甲61)、申立人のハウスマークである商標「HEAD」(ヘッド)を、これら多岐にわたる商品に大々的に使用してきたことにより、商標「HEAD」は申立人を直接的に表す一流スポーツブランドとして世界的に著名となり、高い信頼と名声を獲得し、世界中の人々に支持されてきた。
そして、申立人の商標「HEAD」は、無効2004−89079号事件(甲62)、知財高裁平成18年(行ケ)第10307号審決取消請求事件(甲63)において、我が国におけるスポーツ用品(特に、「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,袋物」)の著名商標と認定され、J−PlatPatの日本国周知・著名商標検索にも申立人が所有する一部の商標が掲載されている(甲64)。また、本件商標の登録出願時及び登録査定時においてもこの著名性を維持し、現在に至っているものである。
イ 本件商標からは、「ヘッディ」の称呼及び「頭っぽい」、「HEADに親しみを込めた表現」との観念が生じ、他方、引用商標からは「ヘッド」の称呼及び「頭」、「申立人の著名商標」の観念が生じる。
本件商標と引用商標とを対比すると、外観については、引用商標のうち欧文字「HEAD」からなるものとの関係では、「HEAD」の文字つづりを共通にするため、近似した印象を与え、類似する。
称呼については、「ディ」と「ド」との差異があるが、両語は子音を共通にする似通った音であり、かつ差異音は称呼上聴別し難い語尾に位置するため、両称呼は、語調語感が近似し称呼上相紛らわしいといえる。
また、観念については、本件商標からは「頭っぽい」「HEADに親しみを込めた表現」などの「HEAD」にかなり近似した観念が生じることから、観念を共通するとまではいえないものの、かなり近似した印象を与えるものといえる。
これらを総合的に勘案し、時と場所を異にして指定商品等の需要者が通常有する注意力を基準として判断すれば、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれの高い類似の商標である。
ウ 本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似する商品である。
(4)したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
仮に本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しないとしても、同法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」について、最高裁判例(甲65:最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決(最高裁平成10年(行ヒ)第85号)参照)、及び特許庁の審査基準(甲66)によれば、本件商標は、同法第4条第1項第15号に該当するものであり、以下、これらの観点を踏まえて検討する。
(1)申立人は、使用商標を長年にわたり、継続的にスキー用具、スノーボード用品、テニス用品、その他運動用バッグ、ウェア、アクセサリー等について使用しており、我が国はもちろんのこと、世界中の人々に支持されてきている。これにより、使用商標は、申立人を直接的に表す一流スポーツブランドとして世界的に著名となり、高い信頼と名声を獲得し、世界中の人々に支持されてきたことは、雑誌等(甲67〜甲241)における掲載回数の多さから明らかである。
2019年テニス商品のヨーロッパにおけるマーケットシェアは第2位(約30%)であり、日本における硬式テニスラケットについては、第4位(約13.1%)である(甲242)。
2019年スキー用品のヨーロッパにおけるマーケットシェアは第2位(約19%)であり、日本においては第3位(約4.7%)、スキー板は第3位(約8.4%)、スキーブーツは第2位(約11.3%)、スキービンディングは第1位(約22%)を誇る(甲242)。
全世界におけるHEADブランド商品の売上げは過去5年間、毎年300億円以上、2015年は約343億円、2016年は約342億円であり、申立人は売上げの約10%を広告宣伝費に費やしている。
また、申立人は、親会社であるHEAD SPORT GMBHへ商標ライセンスの許諾を含む独占的な商標ライセンスを与えており(甲243)、同社は2005年にI社とライセンス契約を締結し(甲244)、日本ではいわゆるアパレル関連のHEADブランド商品は、I社がサブライセンスを行い(甲245、甲246)、2005年から各商品を日本において展開している(甲11)。
サブライセンスに基づくアパレル関連商品の日本における売上高は、グロスで年間40ないし45億、ネットで年間約20ないし25億円となる(甲247)。
申立人のHEADブランド商品は、スポーツ雑誌のみではなく、ファッション雑誌においても取り上げられており(甲248〜甲254)、さらに、イベントを行い、人気を博している(甲255〜甲258)。
さらに、申立人は全世界において「HEAD」からなる商標を登録しており(甲259)、日本においても多くの商標を登録している(甲260〜甲266)。
このように、使用商標は、その商品の品質の高さ、小売店における使用状況、その歴史及び大規模な宣伝広告やイベント活動等を背景に、高い信用と名声を獲得した世界的一流ブランドとして、スポーツファンを始め、競技者やその関係者、取り扱う取引者や一般消費者など、世界中の人々に深く浸透するに至っている。
したがって、使用商標は、申立人の業務に係るスポーツ用品や被服、履物等に関する出所識別標識として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において著名であり、その著名性の程度は極めて高いものである。
(2)申立人の著名商標「HEAD」と本件商標が類似することは前述したとおりであり、申立人と何ら関係のない本件商標権者等が本件商標をその指定商品について使用すれば、申立人の業務に係る商品と混同され、その出所につき誤認されるおそれがあることは明白である。
仮に、本件商標と申立人の著名商標「HEAD」が類似しないとしても、本件商標は申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であることは、「HEADS」(登録第4900787号の1及び同第4900487号の2)の登録を取り消した異議2006−90006の決定(甲267)の判断からも首肯できるものである。
上記決定において認定されているとおり、商標「HEAD」は、運動用具のみならず、スポーツウェアについても著名であり、また、スポーツウェアには運動用特殊のみならず、被服の範疇に含まれるトレーニングスーツなども含まれるものであって、さらに近年のワンマイルウェア(甲268)の人気によって、申立人の「HEAD」ブランドの被服における著名度は、更に高くなっている。
特許庁における審査基準(甲66)に当てはめても、本件商標は著名な商標「HEAD」を一部に含むものであり、商標法第4条第1項第15号に該当することは明らかである。
さらに上記で認定したとおり、本件商標と申立人の著名商標「HEAD」は類似するものであるが、仮に類似しないとしても、両商標の差異は末尾の「Y」の有無のみであって、両者の差異音は、実質的に、母音「i」と「o」が相違するだけであり、ともに促音を含めた3音よりなり、称呼における識別上、重要な要素を占める語頭音を含めた2音「ヘッ」を同じくすることを併せ考えれば、上記異議決定における判断同様、本件商標と使用商標の称呼は、近似するものといえる。
加えて、甲2から明らかなとおり、接尾語「Y」は接続した言葉に親しみを込めた表現であることから、申立人ブランドの別ブランド、例えば子供向けブランドやカジュアル版ブランドのように需要者に認識されるといえる。
以上のことを総合的に勘案すれば、仮に本件商標と使用商標が類似しないとしても、申立人と何ら関係のない本件商標権者等が本件商標をその指定商品について使用するときは、あたかも申立人の系列会社等の緊密な営業上の関係にある営業主の業務に係る商品であると、取引者、需要者に誤信されるものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標の構成の一部である「HEAD」は、その著名性の高さ故に検索エンジンで検索すれば常に上位に表示され(甲269、甲270)、商標「HEAD」がスポーツ用品はもちろん、被服などいわゆるアパレル関連商品についても申立人の著名商標であることは容易に把握できる。
そうすると、本件商標権者が申立人の「HEAD」ブランドを全く知らなかったとは考えにくく、むしろ、本件商標権者は、申立人が長年の歴史、多額の広告宣伝費等により築き上げた著名商標「HEAD」に化体した信用、名声、顧客吸引力等にフリーライドする意図をもって本件商標を採択したと考えるのが自然であり、本件商標が係る指定商品に使用されれば、著名商標「HEAD」に化体した信用や名声等を毀損させるおそれが多分に存するものである。
以上のことを総合的に勘案すれば、本件商標権者は、不正の目的をもって本件商標をその指定商品に使用をするものであると容易に推認することができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものである。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
商標法第4条第1項第7号公序良俗に関する規定であるが、特許庁の審査基準(甲66)の観点を踏まえて検討する。
(1)商標「HEAD」が日本及び外国における需要者の間に広く認識されており(甲67〜甲241)、本件商標と商標「HEAD」は類似する商標である。
(2)本件商標と使用商標とは、単なる「Y」の一文字の有無に差異があるだけで、両商標は相紛れるおそれの高い類似の商標であるといえる。
(3)申立人は世界中において大規模な事業展開をしてきた一流スポーツメーカーとして知られていること、使用商標は、申立人の業務に係るスキー用具、テニス用具、運動用バッグ、スポーツウェアを表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていること、また、我が国において「HEAD」ブランドが付されたいわゆるアパレル商品も広く販売されていることを考慮すると、本件商標権者が使用商標又は申立人の存在を知らなかったものとはいい難く、本件商標は、意図的に「HEAD」の文字を含み、申立人の著名商標に近似した構成態様にすることにより、本件商標に接する取引者、需要者に使用商標を連想、想起させ、使用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りフリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受けたものといわざるを得ない。
そのため、本件商標は、使用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって使用商標の特徴を模倣して出願し登録を受けたものといわざるを得ず、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべきである。
(4)したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものである。

第4 当審の判断
1 使用商標の周知性
(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。
ア 申立人は、1950年に米国で創業し、現在はオーストリア国ケンネルバッハに本社を置くオーストリア法人であり、アメリカを中心に世界80か国以上で事業を展開しているスポーツ用品メーカーであること、及び申立人は、スキー用品、スノーボード用品、テニス用品、スポーツウェア、アクセサリー等を販売し、申立人のハウスマークである「HEAD」をこれら商品について使用してきたこと(甲10〜甲61、甲67〜甲87ほか)。
イ 申立人が取り扱うスキー板及びスキーブーツ等のスキー用品、テニスラケット及びテニス用バッグ等のテニス用品などの各種のスポーツ用品(以下「使用商品」という。)は、使用商標の表示の下、1993年(平成5年)ないし2020年(令和2年)の日本向け商品カタログに掲載されたこと(甲12、甲13、甲15、甲16、甲18〜甲21、甲24、甲25、甲27〜甲29、甲31〜甲33ほか)。
ウ 申立人が取り扱う商品、スキー用品、テニス用品等は、使用商標の表示の下、本件商標の登録出願前に発行された雑誌に掲載されたこと(甲121〜甲126、甲235〜甲240ほか)。
エ 株式会社矢野経済研究所の「2020年版 スポーツ産業白書」によれば、スキー板などのスキー用品、硬式テニスラケットなどのテニス用品(使用商品)の国内出荷数量・金額は、2017年、2018年、2019年(見込み)及び2020年(予測)において、いずれも上位5位以内となっていること(甲242)。
オ 申立人は、2015年、2016年には、楽天ジャパンオープン(テニス)、インターナショナル・プレミア・テニスリーグ、FISアルペンスキーワールドカップ2016湯沢苗場大会、東レ パン パシフィックオープンテニス2016を協賛し、また、2015年ないし2018年には各種イベントや雑誌などで使用商品の広告を行ったこと(甲252〜甲257)などが認められる。
(2)上記(1)の事実からすれば、使用商標は、申立人の業務に係るスキー用品、テニス用品などのスポーツ用品(使用商品)に使用され、日本向けのカタログ及び各種雑誌に掲載され、使用商品のうち、スキー用品、テニス用品の国内出荷数量・金額は2017年ないし2020年(見込み、予測を含む。)において、いずれも5位以内であり、加えて、申立人は2015年以降も使用商品の広告宣伝活動を行っていることをあわせ考慮すれば、使用商品及びこれに使用されている使用商標は、本件商標の登録出願の日前から、登録査定日はもとより現在においても継続して、申立人の業務に係る商品(スキー用品、テニス用品など)を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認められるものである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「HEADY」の欧文字を書してなるところ、当該文字は、「向こう見ずな、性急な。」を意味する英語(「ベーシックジーニアス英和辞典」(株式会社大修館書店))であるものの、我が国において一般に親しまれた語とはいえないから、直ちに特定の意味合いを理解するとはいい難いものであり、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語と認識されるものである。
そうすると、本件商標からは、その構成文字に相応し、「ヘッディー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
なお、申立人は、本件商標は、平易な英語「HEAD」に、接続した名詞を形容詞化させたり、くだけた親しみをもたせるために使用される接尾語「Y」を付けたものと認識されるものであり、接尾語「Y」が付く単語が多数存在することから、「HEADY」の英単語になじみがないとしても「HEAD」に関連したもの、「頭っぽい」という観念や「HEADに親しみを込めた表現」の観念が生じる旨主張している。
しかしながら、「Y」が接尾語であるとしても、成語である「HEADY」の文字から、上記意味合いを想起させるものとはいい難く、「HEADY」の文字から申立人が主張する観念を生じることを認めるに足る証拠も見いだせない。
したがって、申立人の上記主張は、認めることができない。
(2)引用商標について
ア 引用商標1、引用商標2、引用商標4及び引用商標6は、「HEAD」の欧文字をからなるところ、その構成文字に相応して、「ヘッド」の称呼を生じ、「頭」の観念を生じる。
イ 引用商標3は、「ヘッド」の片仮名からなるところ、その構成文字に相応して、「ヘッド」の称呼を生じ、「頭」の観念を生じる。
ウ 引用商標5は、「HEAD Japan」の欧文字からなるところ、その構成中の「Japan」の文字は、「日本」を意味する語であり、単に商品の産地・販売地又は創業地などを表示する、出所識別標識としての機能を有さないものといえるから、「HEAD」の文字部分が需要者、取引者をして、出所識別標識として、強く支配的な印象を与えるものと認められる。
そうすると、引用商標5は、その構成中の「HEAD」の文字部分が要部たり得るから、当該文字部分に相応して、「ヘッド」の称呼及び「頭」の観念が生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 「HEADY」の欧文字からなる本件商標と「HEAD」の欧文字からなる引用商標1、引用商標2、引用商標4及び引用商標6並びに引用商標5の要部とは、欧文字5文字又は4文字という比較的短い構成において、語尾の「Y」の文字の有無に差異により、外観において、判然と区別し得るものである。
次に、称呼についてみるに、本件商標から生じる「ヘッディー」の称呼と上記各引用商標から生じる「ヘッド」の称呼とは、語頭の「ヘッ」の音を同じくするとしても、構成音数が異なることに加え、4音又は3音という短い音構成において、語尾における、「ディー」の音と「ド」の音の差異を有するものであるから、称呼において、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、「頭」の観念を生じる上記各引用商標とは、観念において相紛れるおそれはない。
イ 本件商標と「ヘッド」の片仮名からなる引用商標3とは、その構成文字及び文字種において明らかに異なるものであり、外観において、判然と区別し得るものである。
次に、称呼についてみるに、本件商標から生じる「ヘッディー」の称呼と引用商標3から生じる「ヘッド」の称呼とは、語頭の「ヘッ」の音を同じくするとしても、構成音数が異なることに加え、4音又は3音という短い音構成において、語尾における、「ディー」の音と「ド」の音の差異を有するものであるから、称呼において、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、「頭」の観念を生じる引用商標3とは、観念において相紛れるおそれはない。
ウ 以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似する商標ではないから、その指定商品が引用商標の指定商品又指定役務と同一又は類似するかにかかわらず、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとしても、「HEAD」の文字は「頭」を意味する我が国で親しまれた英単語であり、その独創性は高いとはいえないこと、及び上記2のとおり、本件商標と「HEAD(ヘッド)」の文字からなるか、又は「HEAD」の文字を要部とする引用商標とは非類似の商標であって別異の商標であり、本件商標と「HEAD」の文字からなる使用商標との類似性も低いものというべきであることからすれば、本件商標は、これに接する需要者が、使用商標を連想又は想起することはないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者をして使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
本件商標と使用商標とは、上記3のとおり、相紛れるおそれのない別異の商標というべきものであって、非類似の商標である。
また、申立人は、本件商標権者は、申立人が長年の歴史、多額の広告宣伝費等により築き上げた著名商標「HEAD」に化体した信用、名声、顧客吸引力等にフリーライドする意図をもって本件商標を採択したと考えるのが自然である旨主張しているが、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が、不正の利益を得る目的、他人(申立人)に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記3のとおり、使用商標との間において商品の出所の誤認を生じるおそれはなく、また、その出願が不正の目的でなされたことを示す具体的な証拠はない。
さらに、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでなく、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2021-12-27 
出願番号 2020045266 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W25)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 杉本 克治
中束 としえ
登録日 2020-11-05 
登録番号 6312726 
権利者 卓聯管理有限公司
商標の称呼 ヘッディー 
代理人 保崎 明弘 
代理人 和田 光子 
代理人 鈴木 亜美 
代理人 竹山 尚治 
代理人 水野 勝文 
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