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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W41 |
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管理番号 | 1382464 |
総通号数 | 3 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2022-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-06-15 |
確定日 | 2022-02-03 |
事件の表示 | 商願2019−108690拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和元年8月9日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年 9月 3日付け:拒絶理由通知 令和2年11月18日 :意見書の提出 令和3年 3月 8日付け:拒絶査定 令和3年 6月15日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,人材派遣によるスポーツの教授,運動療法の指導,理学療法に関する指導,運動の指導又は教授,機能回復又は運動能力増進のための運動療法に関する資格付与のための資格試験の実施・資格の認定・資格の付与,当せん金付証票の発売,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,運動用具の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,写真の撮影」を指定役務として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの登録商標をまとめていうときは、「引用商標」という。)。 (1)登録第3094574号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成 「クオレ」の文字を横書きしてなるもの 指定役務 第41類「美容及びエステティックの教授」 登録出願日 平成4年9月30日 設定登録日 平成7年11月30日 (2)登録第3094575号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成 別掲2のとおり 指定役務 第41類「美容及びエステティックの教授」 登録出願日 平成4年9月30日 設定登録日 平成7年11月30日 (3)登録第6080833号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成 別掲3のとおり 指定役務 第41類「料理教室の企画・運営及び開催,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,料理コンテストの企画・運営又は開催,自然体験活動に関するイベントの企画・運営又は開催,娯楽・教育・文化に関するイベントの企画・運営又は開催,料理に関する研修施設の提供」 登録出願日 平成29年12月21日 設定登録日 平成30年9月14日 (4)登録第6127358号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成 別掲4のとおり 指定役務 第41類「運動施設の提供及びその取次ぎ,娯楽施設の提供及びその取次ぎ,興行場の座席の手配及びその媒介又は取次ぎ」を含む第39類、第41類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 登録出願日 平成30年1月26日 設定登録日 平成31年3月8日 4 当審の判断 (1)本願商標 ア 本願商標は、別掲1のとおり、上段に、角に丸みのある六角形内に四角張った太字で「C」の文字を表した図形(以下「C図形」という。)を、中段に、四角張った太字で表された「CUORE」の文字を、下段に、細字で小さく表された「CUORE RHYTHMIC−KARATE SCL」の文字(高さは中段の文字の3分の1ほどである。)を配してなるものである(全ての構成要素は、緑色で表されている。)。 そして、本願商標は、C図形部分、「CUORE」の文字部分及び「CUORE RHYTHMIC−KARATE SCL」の文字部分を上中下の三段に構成した印象を与えるものであるところ、それら構成部分は相互に一定の間隔を空けて、重なり合うこともなく配置され、各構成部分は、それぞれが独立したものであるとの印象を与えることから、視覚上分離して認識されることに加え、本願商標の構成においては、目につきやすい中央部に、「CUORE」の文字が太字で顕著に表されていることを鑑みると、視覚的に、「CUORE」の文字部分が強く印象づけられる特徴を備えているといえる。 イ 本願商標の構成中、上段のC図形部分は、その構成態様から特定の意味合いを想起させるとはいい難く、特定の称呼及び観念は生じない。 中段の「CUORE」の文字部分は、その構成文字に相応して、「クオレ」の称呼を生じる。また、該語は、「心臓」の意味を有するイタリア語(「伊和中辞典 第2版」小学館)であるが、本願の指定役務中、「知識の教授」に含まれる「イタリア語の教授」等の役務の取引者、需要者はともかく、その他の役務の取引者、需要者には馴染みの薄いイタリア語であることから、本願の指定役務に係る取引者、需要者は、「CUORE」の文字を、特定の観念を有するものと認識しないのが通常というべきである。 さらに、下段の「CUORE RHYTHMIC−KARATE SCL」の文字部分は、その構成文字に相応して、「クオレリズミックカラテエスシーエル」の称呼を生じるところ、上述のとおり、特定の観念を想起させない「CUORE」の文字と、「律動的な」の意味を有する「RHYTHMIC」の英語(「ベーシック ジーニアス英和辞典」大修館書店)及び「空手」をローマ字で表したと認識される「KARATE」の文字とをハイフンで結合したものと、辞書等に載録が認められない「SCL」の文字を、横一列に配置してなるものであり、その構成中の「RHYTHMIC−KARATE」の部分が、「律動的な空手」程の意味合いを想起させるとしても、その前後に配された「CUORE」及び「SCL」の文字部分が特定の意味合いを想起させるものではないことから、下段の文字部分は、全体として特定の観念を生じない。 ウ 以上を踏まえると、本願商標は、C図形部分と各文字部分を上中下の三段に配置した構成よりなる結合商標であるところ、各構成部分は視覚上分離して認識されるとともに、観念上のつながりもなく、本願商標全体から生じる「クオレクオレリズミックカラテエスシーエル」の称呼も20音と冗長であることに加え、本願商標の構成において、中央に目立つ態様で表された「CUORE」の文字部分は、視覚上、強く印象づけられる特徴を備えていることから、本願商標から「CUORE」の文字部分を要部として抽出し、これと引用商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、本願商標は、その要部(CUORE)の構成文字に相応して「クオレ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 (2)引用商標 ア 引用商標1について 引用商標1は、前記3(1)のとおり、黒色のゴシック体で「クオレ」の文字を横書きしてなるところ、該語は、「クオレ【Cuore イタリア】」の見出しの下、「(心の意)イタリアの作家デ=アミーチス作の小説。」の意味を有するとして辞書に載録されている(「広辞苑 第七版」岩波書店)ものの、我が国におけるイタリア語の普及度に鑑みれば、上記(1)イと同様に、本願の指定役務に係る取引者、需要者は、特定の観念を有するものと認識しないのが通常というべきである。 したがって、引用商標1は、「クオレ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 イ 引用商標2について 引用商標2は、別掲2のとおり、黒色の丸みを帯びた書体で「CUORE」の文字(「O」の文字には、アクセント記号が付されている。以下同じ。)を横書きしてなるところ、上記(1)イと同様に、「クオレ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 ウ 引用商標3について 引用商標3は、別掲3のとおり、ピンク色で表されたパン、鍋等の図形と、緑色で表された葉茎等の図形が、円状の輪郭を構成するように交互に配置された図形(以下「輪郭図形」という。)内に、黒色の丸みを帯びた書体で「cuore」の文字を横書きし、その下に黒色のゴシック体で小さく「HATANO GAS」の文字(高さは上段の文字の6分の1ほどである。)を横書きしてなるものである。 そして、本願商標の構成中、輪郭図形は、その構成態様から特定の意味合いを想起させるとはいい難く、特定の称呼及び観念は生じない。また、上段の「cuore」の文字は、上記(1)イと同様に、「クオレ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。そして、下段の文字部分中、前半の「HATANO」の文字は、「ハタノ」の称呼が生じるところ、日本人の氏である「畑野」、「秦野」、「波多野」等や、神奈川県に存する「秦野」市を想起させ、後半の「GAS」の文字は、「ガス」の称呼を生じ、「ガス、気体、ガソリン」等の意味を有する語であるから、両語を結合してなる「HATANO GAS」の文字は、全体として「ハタノガス」の称呼を生じるものの、特定の意味合いを表示したものとして直ちに理解されるとはいい難い。 さらに、引用商標3の構成中、円状の輪郭を構成する各図形や、上段と下段の文字部分の間に、称呼上及び観念上の結び付きは見いだせないから、これらを常に一体のものとして把握する理由があるとはいえない。 そうすると、引用商標3の構成中、目につきやすい中央部に表された「cuore」の文字部分は、下段の文字に比して大きく表されており、視覚上、強く印象づけられる特徴を備えていることから、引用商標3から「cuore」の文字部分を要部として抽出し、これと引用商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、引用商標3は、「クオレ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 エ 引用商標4について 引用商標4は、別掲4のとおり、青色のセリフ体で「CUORE」の文字(「O」の文字内には、船と思しき赤色の図形が表されている。)を横書きし、その下には該文字と幅を揃えた赤色の横線(上部にやや湾曲している。)を配してなるものである。 そして、欧文字の「O」を表すに当たり、その輪郭内部に図形を配するというデザイン手法は、広く採用されているところ、該図形部分のみが需要者の注意を強く惹きつけるような特異な表現方法とまではいえず、欧文字「O」の輪郭自体は維持されているものであるから、引用商標4に接した需要者は、該文字部分について、欧文字「O」をデザイン化したものであると自然に理解するものといえる。また、該図形や、文字の下の横線は、その構成態様から特定の意味合いを想起させるとはいい難く、特定の称呼及び観念は生じない。 したがって、引用商標4は、上記(1)イと同様に、「クオレ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 (3)本願商標と引用商標との類否 本願商標と引用商標の類否を検討すると、全体の外観においてはそれぞれ相違するものの、本願商標の要部である「CUORE」の文字部分と、引用商標2及び引用商標4並びに引用商標3の要部である「cuore」の文字部分とを比較すると、大文字か小文字か、アクセント記号の有無及び書体の違いがあるとしても、両者はその構成においてつづりを共通にするものであるから、外観上、近似した印象を与えるものである。 また、本願商標の要部である「CUORE」の文字と引用商標1とは、欧文字と片仮名であって文字種を異にするものの、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり、デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両者における文字種の相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。 そして、本願商標の要部である「CUORE」の文字と引用商標1、引用商標2及び引用商標4並びに引用商標3の要部である「cuore」の文字とは、称呼において「クオレ」の称呼を共通にするものである。さらに、観念においては、本願商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上比較することができない。 そうすると、本願商標の要部である「CUORE」の文字と引用商標1、引用商標2及び引用商標4並びに引用商標3の要部である「cuore」の文字とは、観念において比較することができないとしても、外観において近似した印象を与え又は顕著な差異として強い印象を与えず、かつ、称呼において同一のものであるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、本願商標と引用商標は、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 (4)本願の指定役務と引用商標の指定役務との類否 ア 本願の指定役務中、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,人材派遣によるスポーツの教授,運動療法の指導,理学療法に関する指導,運動の指導又は教授,機能回復又は運動能力増進のための運動療法に関する資格付与のための資格試験の実施・資格の認定・資格の付与」は、引用商標1及び引用商標2の指定役務である第41類「美容及びエステティックの教授」と同一又は類似の役務である。 イ 本願の指定役務中、第41類「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」は、引用商標3の指定役務である「料理教室の企画・運営及び開催,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,料理コンテストの企画・運営又は開催,自然体験活動に関するイベントの企画・運営又は開催,娯楽・教育・文化に関するイベントの企画・運営又は開催,料理に関する研修施設の提供」と同一又は類似の役務である。 ウ 本願の指定役務中、第41類「運動施設の提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配」は、引用商標4の指定役務中、第41類「運動施設の提供及びその取次ぎ,娯楽施設の提供及びその取次ぎ,興行場の座席の手配及びその媒介又は取次ぎ」と同一又は類似の役務である。 (5)小括 以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定役務も引用商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (6)請求人の主張について ア 請求人は、本願商標について、互いに共通部分(上段と中段の構成中、「C」が同一態様で表されている。中段と下段中最初の語が「CUORE」である。)を有しており、全ての要素が緑色で表され、中央揃えでバランス良く配置されていることもあいまって、本願商標は、全体をもって一体的なロゴマークと認識できる旨主張する。 しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標は、外観上、中段の「CUORE」の文字部分と他の部分は明確に区別され、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合していると認められないことに加え、観念上のつながりもなく、本願商標全体から生じる称呼も冗長であるから、本願商標から「CUORE」の文字部分を抽出して、類否判断をすることも許されるというべきである。 イ 請求人は、「CUORE」、「クオレ」、「クォーレ」の文字が、役務区分(第35類〜第45類)において、複数、商標登録されている事実や、会社名、屋号等に多用されている事実を挙げ、該文字は、強い出所識別力を発揮する語とはいえない旨主張する。 しかしながら、請求人が挙げる「CUORE」、「クオレ」、「クォーレ」の文字からなる複数の商標登録例が存在することからも明らかなとおり、「CUORE」等の文字は、各指定役務の分野において、その構成から出所識別機能を有さない商標であるということはできず、本願商標及び引用商標の構成中の「CUORE」等の文字についても、自他役務出所識別標識としての機能を十分に果たすものである。 ウ 請求人は、第41類において、「リズミックカラテ」(商標登録第5178384号)及び「リズミック カラテ クオレ」(商標登録第6291312号)を商標登録していることから、請求人が創作し、片仮名表記にて商標登録している語を含む「CUORE RHYTHMIC−KARATE SCL」の文字部分は、極めて強い識別力を発揮する旨主張する。 しかしながら、請求人が挙げる既登録例は、いずれも本願商標とはその構成、態様を異にするものであって、本件とは事案を異にするものであるから、その既登録例があることにより、本願商標についてした上記認定、判断が左右されることはない。 エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。 (7)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 1 本願商標(色彩は、原本参照。) 2 引用商標2 3 引用商標3(色彩は、原本参照。) 4 引用商標4(色彩は、原本参照。) (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審理終結日 | 2021-11-16 |
結審通知日 | 2021-11-24 |
審決日 | 2021-12-07 |
出願番号 | 2019108690 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W41)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
佐藤 松江 |
特許庁審判官 |
石塚 利恵 鈴木 雅也 |
商標の称呼 | クオレリズミックカラテエスシイエル、クオレ、リズミックカラテエスシイエル、リズミックカラテ、リズミック、エスシイエル、シイ |
代理人 | 南瀬 透 |
代理人 | 遠坂 啓太 |
代理人 | 加藤 久 |
代理人 | 宇野 智也 |