• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W05
管理番号 1381795 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-13 
確定日 2022-01-06 
事件の表示 商願2020−99111拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和2年8月11日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年11月10日付け:拒絶理由通知
令和2年12月11日 :意見書の提出
令和3年 2月 5日付け:拒絶査定
令和3年 4月13日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第5類「衛生マスク」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5466041号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成23年5月12日に登録出願、第35類「化学品の小売又はは卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,空気清浄機の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,衛生マスク及び医療用マスクの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,捕虫器・はえ取り器及びねずみ取り器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同24年1月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

4 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、時計回りに回転する矢印のように配置された3つの略長方形からなる図形と、その右側に配置された「HYPER GUARD」の欧文字(「HYPER」と「GUARD」の間は半角程度の空白を空けて表されており、語尾の「D」の左上は一部空白となり、十字の図形が配されている。)とを組み合わせた結合商標である。
そして、本願商標を構成する図形部分と文字部分とは、相互に一定の間隔を空けて、重なり合うこともなく配置され、それぞれが独立したものであるとの印象を与え、視覚上分離して認識されるものである。
また、本願商標の構成中、図形部分は、その構成態様から特定の意味合いを想起させるとはいい難く、特定の称呼及び観念は生じない。他方、文字部分を構成する「HYPER」の文字及び「GUARD」の文字は、「超」及び「守る」等の意味を有する、いずれも一般に親しまれた英語であるものの、両者が結合した「HYPER GUARD」の文字は、辞書等に載録がなく、本願の指定商品を取り扱う業界において、特定の意味合いを有する語として使用されている等の事情もないから、文字部分全体としては、特定の語義を有しない一種の造語とみるのが自然である。そうすると、文字部分は、その構成文字に相応して、「ハイパーガード」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。さらに、本願商標中の図形部分と「HYPER GUARD」の文字部分とに称呼上及び観念上の結び付きは見いだせないから、これらを常に一体のものとして把握する理由があるとはいえない。
上記したことを踏まえれば、本願商標は、「HYPER GUARD」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるというべきであって、該文字部分からは、「ハイパーガード」との称呼が生じるが、特定の観念は生じない。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、正方形の輪郭内に表された黒色の十字の図形(以下「十字図形」という。)を背景として、該十字図形の中心を横切るように、左下から右上がりに「HYPER GU」(「HYPER」と「GU」の間は半角程度の空白を空けて表されている。)及び「RD」の欧文字が配され、該文字中「U」及び「R」の文字の間には、高さがこれらの欧文字と等しい三角形の輪郭内部に感嘆符を組み合わせた図形(以下「三角輪郭図形」という。)が配置された結合商標である。
そして、上記三角輪郭図形は、その左右が「GU」及び「RD」の欧文字で囲まれている上に、これらの欧文字と均等に配置されており、かつ、高さもこれらの欧文字と等しいことに加えて、その輪郭が三角形で表されていることから、欧文字の「A」を想起させるものであり、我が国でも親しまれている「GUARD」の英語の中の「A」の文字部分を該三角輪郭図形により置き換えて図案化したことが容易に看取できるものである。そうすると、「HYPER GU」の欧文字、三角輪郭図形及び「RD」の欧文字は、「HYPER GUARD」の文字を表したものといえ、該文字部分は、上記(1)と同様に、「ハイパーガード」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
また、引用商標を構成する正方形の輪郭部分は、十字図形及び文字部分の枠である以外には、格別の意味を有しておらず、観念上の結び付きもない。さらに、引用商標の構成態様において、文字部分は十字図形を背景として斜めに浮き出るように配置され、該図形との重なり部分の文字の背後が白抜きで表されていることも相まって、独立したものであるとの印象を与えるのに対し、十字図形は背景図形以上の印象を与えるものではないから、文字部分が視覚上分離して認識される得るものである。
上記したことを踏まえれば、引用商標は、「HYPER GUARD」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるというべきであって、該文字部分からは、「ハイパーガード」との称呼が生じるが、特定の観念は生じない。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標の類否について検討すると、本願商標及び引用商標から抽出した「HYPER GUARD」の文字は、本願商標の「D」の文字がやや図案化されており、引用商標の「A」の文字が図案化されていることによって外観の印象が異なるものの、同じつづりの欧文字であることを看取、認識させることを考慮すると、両商標は、該文字部分の外観において、相紛らわしいものというべきである。
また、本願商標及び引用商標の構成中の「HYPER GUARD」の文字からは、いずれも「ハイパーガード」との称呼が生じ、特定の観念は生じない。
以上のとおり、本願商標及び引用商標の構成中の「HYPER GUARD」の文字は、観念において比較することができないとしても、外観上相紛らわしいものである上、同一の称呼が生じるから、それぞれの外観、称呼及び観念等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、相紛れるおそれのある類似するものである。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定役務との類否
本願の指定商品である第5類「衛生マスク」は、引用商標の指定役務中、第35類「薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,衛生マスク及び医療用マスクの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の取扱商品に含まれるものであって、両者は、小売等役務とその取扱商品という関係にあり、これらは一般的に、同一の事業者に係るものが多く、その商品の販売場所と役務の提供場所、及び取引者、需要者の範囲を共通にするものであるから、本願の指定商品と引用商標の上記指定役務とは、類似するものである。
(5)小括
以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も引用商標の指定役務と類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、「HYPER」及び「GUARD」の語を組み合わせた「HYPER GUARD」の語は、「過度に保護する」程の観念が生じ、商品の品質等を表す語であるから、本願の指定商品及び引用商標に係る指定役務との関係において、自他商品等識別標識としての機能を果たす語ではない旨主張し、その主張を裏付けるものとして、「HYPER GUARD」の語が、保護することを目的とした商品(作業用手袋、セキュリティソフト、シュレッダ用爆発抑制装置、野球用肘当て、床用表面充填剤、傷みにくい生地への加工技術、建築用塗装剤、等)に使用されている証拠(甲3〜甲9)を提出する。
しかしながら、請求人が挙げる甲各号証によれば、作業用手袋の名称に「ハイパーガード」の語が(甲3)、肘当ての名称に「Hyper Guard」の語が(甲6)用いられている実情は見受けられるものの、それらの語が「過度に保護する」の意味を表す商品の品質表示であるとはいい難く、それらをもって、本願の指定商品及び引用商標の指定役務に係る取引者、需要者が、「HYPER GUARD」の語を商品の品質等を具体的に表したものと認識するとは認められない。その他、本願商標及び引用商標に接した取引者、需要者が、「HYPER GUARD」の文字を、商品の品質、役務の質を表す語として看取、認識することを認めるに足りる証拠はないから、該文字は、本願商標及び引用商標について、自他商品等出所識別標識としての機能を十分に果たすものである。
イ 請求人は、本願商標及び引用商標は、それぞれの図形部分と文字部分が常に一体不可分のものとしてのみ認識されて初めて、自他商品等識別標識としての機能を発揮する旨述べ、本願商標と引用商標の構成における外観の相違から、両商標を混同する取引者、需要者はいない旨主張する。
しかしながら、本願商標及び引用商標は、上記(1)及び(2)のとおり、それぞれの構成態様から、「HYPER GUARD」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものであり、これらに接する取引者、需要者は、「HYPER GUARD」の文字を独立して把握するのが通常であって、商標態様の相違(横長の形か、正方形か、等。)が、該文字部分の把握について、異なった印象を与えるほどのものとはいい難いから、両商標の外観の差異には文字部分の類似性を凌駕するほどの顕著な特徴があるとはいえないというのが相当である。
ウ 請求人は、本願商標は、繰り返し洗って使用することができるマスク(甲12)に使用されている一方、引用商標は、使い捨ての不織布マスク(甲14)に使用されているところ、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、取引者、需要者は、不織布マスクとその他の素材からなるマスクを明確に区別した上で、購入していることは自明であり、買い間違えが発生するおそれは極めて低い旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮される取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号、昭和49年4月25日第一小法廷判決参照)。そして、本願の指定商品「衛生マスク」は、上記(4)のとおり、引用商標の指定役務中、「薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,衛生マスク及び医療用マスクの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、互いに類似するものと認められる。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲
1 本願商標


2 引用商標


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2021-11-01 
結審通知日 2021-11-02 
審決日 2021-11-16 
出願番号 2020099111 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W05)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 鈴木 雅也
石塚 利恵
商標の称呼 ハイパーガード、ハイパー、ガード 
代理人 下田 一徳 
代理人 辻田 朋子 
代理人 中川 慶太 
代理人 樋口 頼子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ