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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W41
管理番号 1381788 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-05 
確定日 2022-01-19 
事件の表示 商願2019−51348拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯について
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第41類「語学の教授,語学学習用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く),語学学習用の雑誌・書籍の制作,語学学習のための施設の提供,語学学習に関する図書の貸与,語学学習用の録音済み磁気テープ・ICカード・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスクの貸与」を指定役務として、平成31年4月12日に登録出願されたものである。
本願は、令和2年5月8日付けで拒絶理由の通知がされ、同年7月9日に意見書が提出されたが、同年11月4日付けで拒絶査定がされた。
これに対して、令和3年3月5日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

2 引用商標について
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5553304号商標(以下「引用商標」という。)は、「NO BORDER」の文字を標準文字で表してなり、平成24年6月27日登録出願、「技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を含む第41類及び第35類並びに第38類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同25年2月1日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲のとおり、球体図形の上に星及び人型の図形を表し、中央に配された帯の中に「NO BORDERS」の文字を表してなるところ、当該文字部分は図形部分と接することなく、太いゴシック体様の書体で明瞭に書されているものであり、観念上のつながりも見いだせないことから、図形部分と文字部分とが常に一体不可分のものとして捉えなければならないとする特段の理由もなく、それぞれ独立して自他役務識別機能を有するものといえるものである。
また、当該文字部分については、その構成中、「NO」の文字は、「少しの〜もない」等の意味を有し、「BORDERS」の文字は、「境界(線)、国境(線)」等(出典:いずれも「ジーニアス英和辞典第5版」)の意味を有する「border」の複数形と認められるものであるから、その構成に相応して、「ノーボーダーズ」の称呼が生じ、「少しの境界(線)もない」の観念が生じるものである。
そうすると、図形部分と文字部分とは、外観上明瞭に区別して認識される上、観念上の関連性も認められないことから、これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではなく、当該文字部分を抽出して他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
(2)引用商標
引用商標は、「NO BORDER」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ノーボーダー」の称呼が生じ、「NO」の文字は、「少しの〜もない」等の意味を有し、「BORDER」の文字は、「境界(線)、国境(線)」等(出典:同上)の意味を有するものであるから、「少しの境界(線)もない」の観念が生じるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否
ア 外観について
本願商標の文字部分と、引用商標とを対比すると、両者は、構成の大半または全てを占める「NO BORDER」の綴りを同じくし、語尾における「S」の有無という差異を有するにすぎないから、外観上において、似かよった印象を与えるものである。
イ 称呼について
本願商標の文字部分から生じる「ノーボーダーズ」の称呼と、引用商標から生じる「ノーボーダー」の称呼とを対比すると、称呼における識別上重要な要素である語頭音から第6音までの「ノーボーダー」の音を同じくし、異なるところは語尾における「ズ」の音の有無のみである。
そして、「ズ」の音の有無は、同じ英単語の単数形か複数形かの相違によるものであり、比較的聴取され難い語尾に位置するものであるから、その差異が聴者に対し、強い印象を与えるものとはいえない。
ウ 観念について
本願商標の文字部分と引用商標とは、「BORDER」の文字部分における単数形と複数形の相違があるが、我が国における英語の普及の程度からすれば、いずれも「境界(線)、国境(線)」ほどの意味合いを理解させるものであって、当該相違を明確に区別して理解されているものではないから、両者は、同一の観念を生じるものといい得る。
エ 小括
以上から、本願商標の文字部分と引用商標は、「少しの境界(線)もない」ほどの観念を共通にし、称呼においては語頭音から第6音までの「ノーボーダー」の音を同じくし、語尾における「ズ」の音の有無は聴者に対し強い印象を与えるものとはいえず、また、両者の外観上の相違は、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差違として強い印象を与えるとはいえないから、これらの外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合勘案すれば、両者は、相紛らわしい商標であり、互いに類似する商標というべきである。
したがって、本願商標と引用商標は、類似する商標であるというのが相当である。
(4)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否
本願商標の指定役務中「語学の教授,語学学習用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く),語学学習用の雑誌・書籍の制作,語学学習に関する図書の貸与」は、引用商標の指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」と同一又は類似の役務である。
(5)まとめ
以上によれば、本願商標と引用商標とは、互いに類似する商標であり、かつ、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務も同一又は類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、図形部分と文字部分を一体化したデザインとなっており、また、図形部分と文字部分が極端に分離した配置になっているものではなく、視覚的な認識において図形か文字かいずれかを独立して捉えるものではないものではない旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標を構成する文字部分は図形部分と接することなく、太いゴシック体様の書体で明瞭に書されており、当該文字部分と図形部分は、外観上明瞭に区別して認識される上、観念上の関連性も認められないことから、取引の実際において、当該文字部分のみに着目し、称呼、観念されることも少なくないといえる。
イ 請求人は、「NO」の後に続く名詞が単数形か複数形かという点は、当該名詞が可算名詞である場合、文脈で考えて通常ひとつしかないと予想されるものには単数形を、複数あることが予想されるものには複数形を使うとされているため、単数形と複数形において、当然にその持つ観念は異なる旨主張する。
しかしながら、「NO」の後に続く名詞が文脈で考えて通常ひとつしかないと予想されるものには単数形を、複数あることが予想されるものには複数形を使うとされているとしても、上記(3)ウのとおり、我が国における英語の普及の程度からすれば、「BORDER」の英単語が単数形であっても複数形であっても、本願商標の文字部分及び引用商標からは、ともに「少しの境界(線)もない」ほどの意味合いを理解させるものと判断するのが自然である。
ウ 請求人は、引用商標の権利者は、メディア部門、AI部門、スポーツ部門、PR部門、キャスティング部門等からなるグループ会社であって、「教育」に該当すると思われる分野は、人材育成があるところ、これについても「未来を担う若い世代へ挑戦の機会を提供します。番組制作の現場には多くの学生スタッフを登用しており、制作、取材、広報活動など、日々の業務を通じながら試行錯誤を重ねています。NOBORDER NEWS TOKYOは、失敗を恐れず主体的に思考し行動する人材の育成に努めます。」と広報されており、語学教育に関与していないことは明らかである旨主張する。
しかしながら、上記(3)のとおり、本願商標と引用商標は、互いに類似する商標であることに加え、上記(4)のとおり、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務を含むものであり、例えば、本願商標の指定役務「語学の教授」と引用商標の指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」の比較において、提供される知識の種別が異なるとしても、知識を教授するという行為、目的、提供場所等の共通性を考慮すれば、本願の指定役務と引用商標の指定役務に、同一又は類似の商標を使用した場合には、役務の出所について誤認、混同するおそれがあるものとみるのが相当であり、提供される知識の種類が異なるとしても両者は類似の役務であるといわなければならない。
エ したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(7)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲 本願商標


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2021-10-14 
結審通知日 2021-11-05 
審決日 2021-11-18 
出願番号 2019051348 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W41)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 馬場 秀敏
綾 郁奈子
商標の称呼 ノーボーダーズ、ボーダーズ 
代理人 西脇 健人 

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