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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W35
管理番号 1381764 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-10-29 
確定日 2021-12-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第5938614号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5938614号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成28年8月10日に登録出願、「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,葬祭用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む、第35類、第36類、第39類、第41類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同29年4月7日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年11月17日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成29年11月17日から令和2年11月16日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,葬祭用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,葬祭用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る役務」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の主張は、被請求人が本件商標を第36類の「店舗スペースの貸与」において使用したものであり、請求に係る役務に使用されていないことは明らかである。
(2)本件商標が使用されている被請求人が運営する本施設は、店舗スペースを貸与しており、貸与された店舗が請求に係る役務を行っており、本施設自体は行っていないことは明らかである。したがって、乙第1号証は、被請求人が本件商標を請求に係る役務に使用している証拠にはならない。
乙第2号証は、本施設にある店舗等のリストや、各店舗の宣伝広告であり、本施設自体が請求に係る役務を行っていることを示すものではなく、表記されているアルファベットの「GLOBAL GATE」は本件商標とは異なる。
乙第3号証は、本施設の名称が「グローバルゲイツ」であることを示すものであり、証拠にはならない。
乙第4号証は、被請求人との関係、並びに被請求人の業務との関係が不明であり、証拠にはならない。
また、乙第5号証ないし乙第8号証は、本施設にある店舗等のリストや、各店舗の宣伝広告、イベント告知であり、本施設自体が請求に係る役務を行っていることを示すものではない。
(3)以上のように、乙第1号証ないし乙第8号証は、被請求人が、要証期間内に日本国内において、請求に係る役務について、本件商標を使用しているとの証拠にはならない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
1 本件商標権者は、本件商標を施設のロゴデザインとして使用している。本施設は、名古屋の新たなランドマークとして、名古屋市のささしまライブ24土地区画整理事業区域内に建設されたものであり、商業施設、オフィス、ホテル、コンファレンス施設、駐車場からなる複合施設である。本施設は、2017年4月にオフィスが入居開始し、同10月2日には名古屋プリンスホテルがオープンし、同月5日には低層棟と商業施設がオープンし全面開業となった。
商業施設には、飲食店の他、ドラッグストア、インテリア・ライフスタイル雑貨店、ゴルフショップ、ベビー用品・ベビーアパレル店、家具・インテリア雑貨店等、様々な店舗が入っている。
本件商標は、本施設のロゴデザインとして、本施設のウェブサイトやパンフレットに掲載されている他、本施設の広告等にも掲載されている。
2 乙第1号証は、本施設のパンフレットであり、表紙の左側中央に本件商標が表示されている。また、上述のように、本施設の中にドラッグストア、インテリア・ライフスタイル雑貨店等が入っていることを示すものである。
乙第2号証は、本施設のウェブサイトの印刷である。本施設のウェブサイトには、ショップリストの他、定期的にショップニュースが掲載され、各店舗の宣伝広告が掲載される。
乙第3号証は、本施設の概要を示すもので、施設の名称が「グローバルゲート」であり、事業主が本件商標権者であることを示すものである。
乙第4号証は、本施設の壁面に立体的に表示された本件商標の画像である。上述のように、本施設の中には、ドラッグストア、インテリア・ライフスタイル雑貨店等が入っているため、これは役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為、又は役務の提供の用に供する物に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為であり、商標法第2条第3項第3号又は同項第5号に規定する標章の「使用」に該当する。
乙第5号証ないし乙第8号証は、いずれも本施設の宣伝広告であり、本件商標が表示されており、それぞれ順に、2020年4月にゴールデンウィークに向けた広告、2020年7月に夏休みに向けた広告、2020年1月向けの広告、2019年10月に本施設の2周年キャンペーンを告知するものとして、使用又は頒布されたものである。
これらの資料が示すように、本件商標権者は、現在まで継続して本件商標を指定役務について使用している。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標に係る商標権者(以下、単に「商標権者」という。)(被請求人)は、愛知県名古屋市所在の商業施設等からなる複合施設「グローバルゲート」「GLOBAL GATE」(以下「本件施設」という。)の事業主である(乙1〜3)。
(2)ア 本件施設には、ベビー用品・ベビーアパレルを扱う店(「10mois」)を含む各種の店がある(乙1、2)。
イ 「GLOBAL GATE」のウェブサイトには、本件施設における店等の案内として各種のショップニュースが掲載され、2020年12月23日付けで、「10mois」にて洋服が入った新春福袋を、2021年もまた販売することなどが記載されている(乙2)。
ウ 「Green Style 2020」と題する書面には、本件施設における新春初売に関する案内が記載され、2020年1月3日(金曜日)から同月5日(日曜日)まで抽選会が行われること、当該抽選会のための補助券配布期間が12月21日から1月5日までであり、5,000円の買い上げにつき1回抽選できること、抽選場所が「グローバルゲート1階」であることを内容とする記載に加え、新春セール福袋販売ショップ名が「10mois」を含め列挙されており、最下部に、「ささしま」「GLOBAL GATE」の記載に加え、その左側に別掲2の構成からなる表示がある(乙7)。
エ 乙第7号証に情報が掲載された複数の店は、乙第2号証に記載されたショップリストと齟齬がない。
2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、前記第1(別掲1)のとおり、直線的な図形が「GLOBAL GATE」の文字を内包するように配された構成からなる商標である。
これに対し、使用に係る商標は、前記1(2)ウの認定事実からすれば、当該書面の左下に表示された別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標」という。)であり、これも、直線的な図形が「GLOBAL GATE」の文字を内包するように配された構成からなる商標である。
そして、本件商標と使用商標とを対比すると、色彩が異なるほかは同一の構成態様からなるものといえ(子細に見ればごくわずかな差異が見られなくもないが、印刷のにじみの範囲と見られる程度のものである。)、使用商標は、「本件商標に類似する商標であって、色彩を本件商標と同一にするものとすれば本件商標と同一の商標であると認められるもの」ということができるから、商標法第70条第1項の規定により、同法第50条における「登録商標」に含むものと認められる。
(2)使用役務について
前記1(1)の認定事実からすれば、商標権者は、「グローバルゲート」「GLOBAL GATE」を名称とする商業施設の事業主であることが認められる。
そして、前記1(2)ウの認定事実からすれば、「Green Style 2020」と題する書面は、一般の需要者に対し、「グローバルゲート」「GLOBAL GATE」という施設において、「10mois」を含む各店が福袋等を販売することや、各店で一定以上の買い物をすることにより抽選会に参加できることといった各種情報を与えるものであるということができる。
また、前記1(2)ア及びイの認定事実からすれば、「10mois」で販売する福袋には洋服(子供服)が入っていることを推認することができる。
そうすると、当該書面は、少なくとも「洋服(子供服)の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「使用役務」という。)に関する広告ということができ(以下、上記書面を「本件広告」という。)、使用役務は、請求に係る役務中「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の範ちゅうに属する役務と認められる。
(3)使用時期及び使用者について
前記1(2)ウの認定事実並びに前記(2)からすれば、商取引の経験則上、抽選会の補助券配布期間に先立つ令和元年(2019年)12月頃(遅くとも同月21日以前)から抽選会の期間である令和2年(2020年)1月5日頃にかけて、使用役務に関する広告に使用商標を付して国内の一般需要者に向けて展示又は頒布したものと推認することができる。
また、前記1(2)の認定事実からすれば、本件施設には各種の店があり、「Green Style 2020」と題する書面(本件広告)には当該各店に関する情報が掲載されていることから、その情報に接した需要者は、「GLOBAL GATE」(「グローバルゲート」)という場所に行けば、取り揃えられた様々な商品から気に入った商品を選択できるものと理解するといえ、前記1(1)の認定事実からすれば、本件施設の事業主は商標権者であるから、本件広告を展示又は頒布した者は商標権者とみるのが相当である。
そうすると、使用商標の使用者は、商標権者であり、同人が本件広告を展示又は頒布した時期は、要証期間内である。
(4)小括
以上によれば、商標権者は、請求に係る役務に含まれる「洋服(子供服)の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に関する広告に本件商標と同一性が認められる使用商標を付したものを、要証期間内である令和元年(2019年)12月頃(遅くとも同月21日以前)から令和2年(2020年)1月5日頃にかけて国内の一般需要者に向けて展示又は頒布したと認めることができる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して展示し、若しくは頒布する行為」に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、被請求人が本件商標を第36類の「店舗スペースの貸与」において使用したものであり、本件商標が使用されている被請求人が運営する施設は、店舗スペースを貸与しており、貸与された店舗が請求に係る役務を行っており、本施設自体は行っていないことは明らかである旨主張する。
しかしながら、各店がそれぞれの店名の下でその取扱商品に係る「小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「小売役務」という。)を行っていることを否定するものではないものの、本件施設は、「グローバルゲート」「GLOBAL GATE」という名称を冠しているところ、本件広告を目にした需要者は、前述のとおり、「GLOBAL GATE」(「グローバルゲート」)に行けば、取り揃えられた様々な商品から気に入った商品を選択できるものと理解するといえ、換言すれば、本件広告に表示された使用商標は、小売役務の提供についての識別標識として機能しているものといえる。
そして、被請求人の提出に係る証拠を総合してみれば、「グローバルゲート」「GLOBAL GATE」という商業施設において被服等に係る小売役務が提供されており、商標権者は、上記名称を冠した商業施設における小売役務の提供促進に寄与することを目的とした広告宣伝活動全般を行っていることが認められることからすれば、使用商標は、商標権者が小売役務の提供に使用しているものというべきであり、これを否定するに足る証左は見いだせない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件審判の請求に係る指定役務に含まれる役務について、本件商標の使用をしていることを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1 本件商標


別掲2 使用商標(色彩は原本参照)



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2021-09-30 
結審通知日 2021-10-05 
審決日 2021-10-28 
出願番号 2016087296 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W35)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 小田 昌子
板谷 玲子
登録日 2017-04-07 
登録番号 5938614 
商標の称呼 グローバルゲート、グローバル、ゲート 
代理人 特許業務法人岡田国際特許事務所 

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