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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X17192435
管理番号 1381748 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-09-09 
確定日 2021-12-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第5387270号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5387270号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成21年11月12日登録出願、第10類、第12類、第17類、第18類、第19類、第22類、第24類、第26類及び第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同23年1月28日に設定登録されたものである。
その後、令和3年2月3日に、第17類、第19類、第22類、第24類、第26類及び第35類についてのみ存続期間の更新登録がされ、その結果、本件商標は、第17類「プラスチック基礎製品,ゴム」、第19類「繊維製建築用専用材料,繊維性の落石防止網,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,セメント及びその製品,無機繊維の板及び粉(石綿製のものを除く。)」、第24類「細幅織物,化学繊維織物,無機繊維織物(「石綿織物」を除く。),混紡織物,交織物,その他の織物(「畳べり地」を除く。),フェルト及び不織布」、及び第35類「細幅織物・化学繊維織物・無機繊維織物(「石綿織物」を除く。)・混紡織物・交織物又はその他の織物(「畳べり地」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,フェルト及び不織布の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,繊維製建築用専用材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,プラスチック基礎製品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ゴムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第17類、第19類、第22類、第24類、第26類及び第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和2年(2020年)10月6日になされたものであり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成29年(2017年)10月6日から令和2年(2020年)10月5日までの期間(以下「本件要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第17類「プラスチック基礎製品,ゴム」、第19類「繊維製建築用専用材料,繊維性の落石防止網,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,セメント及びその製品,無機繊維の板及び粉(石綿製のものを除く。)」、第24類「細幅織物,化学繊維織物,無機繊維織物(「石綿織物」を除く。),混紡織物,交織物,その他の織物(「畳べり地」を除く。),フェルト及び不織布」、及び第35類「細幅織物・化学繊維織物・無機繊維織物(「石綿織物」を除く。)・混紡織物・交織物又はその他の織物(「畳べり地」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,フェルト及び不織布の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,繊維製建築用専用材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,プラスチック基礎製品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ゴムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「取消請求商品及び取消請求役務」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(以下、証拠の表記に当たっては、「甲(乙)第○号証」を「甲(乙)○」のように、「第」及び「号証」を省略して記載する。)を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、取消請求商品及び取消請求役務について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対して、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1ないし乙32(枝番号を含む。)を提出している。
1 答弁の理由
本件商標は、本件要証期間内に、取消請求商品及び取消請求役務について、日本国内において商標権者等により使用されているから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきでない。
2 本件商標の使用の事実
(1)第24類「細幅織物その他の織物」についての使用(審決注:審判事件答弁書に記載された「細巾織物」は、商標登録原簿の記載に照らし、「細幅織物」の誤記と認められるので、誤記を正した上で表記した。以下同じ。)
ア 本件商標の商品カタログによる広告的使用について
被請求人は、本件要証期間内に、日本国内において、商品「細幅織物その他の織物」に関する商品カタログに本件商標と社会通念上同一の商標を付し、それを需要者・取引者に配付している。つまり、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標を商品に関する広告に付して頒布しており、この行為は商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。
(ア)乙1は、被請求人が配付する商品カタログを撮影した写真である。その第1葉ないし第5葉によれば、本件商標と社会通念上同一の商標「SHINDO」が、「SHINDO ITEM CATALOG」、「VISUAL INDEX」、「MATERIALS CATALOG」及び「REFERENCE GUIDE」という4分冊の商品カタログを収めたカバ一部分に表示されていることが認められる。そのうちの1冊である「SHINDO ITEM CATALOG」(表紙にその頭文字からなる標章「SIC」が記載された商品カタログ)は、第6葉以下によると、顧客が商品を発注する際に使用する品番と商品写真が掲載された商品カタログであることが分かる。商品写真やそのページの記載から、掲載された商品は「細幅織物その他の織物」であると認められる。第18葉及び第19葉には、被請求人の名称・住所が明記されており、これが被請求人の商品カタログであることが明らかである。第20葉ないし第22葉には、被請求人のホームページのURLと商品カタログの年月日等が記載されている。第22葉によれば、この商品カタログが、2015年5月に発行されたものであることが認められる。なお、その下の「S15053015000」は、2015年5月末頃に1万5千部が印刷されたことを意味する。
(イ)乙2は、乙1の商品カタログを制作した事業者による、商品カタログを作成及び印刷し被請求人に納品した事実を証する証明書である。この証明書には、納品した商品カタログの写真と納品明細書が添付されている。
乙3は、乙1の商品カタログが被請求人に納品された際の運送送り状と出荷時の写真である。これらによれば、この商品カタログが2015年5月に約1万5千部印刷され同年6月に被請求人に納品されたことが分かる。これらの時期及び部数は、乙1に表れたものと整合する。
(ウ)乙1の商品カタログは、2015年6月に被請求人に納品されて以来、現在に至るまで、被請求人の製造・販売に係る商品「細幅織物その他の織物」の宣伝広告のために顧客に配付されてきている。乙4ないし乙6は、配付の事実を証する一例であるが、ある顧客が本件要証期間内である2019年7月2日に商品カタログを発注し、その配付を受けていることが分かる。なお、乙1の商品カタログは上質紙を用い写真が多用されたコストの高いものであることや、後述するようにウェブサイトを通じても商品カタログが閲覧できることから、有償で配付されている。また、乙7及び乙8によれば、本件要証期間内に「Textile.net」なるウェブサイトを通じ、需要者は誰でも乙1の商品カタログと被請求人の商品を入手できたことが分かるが、乙4ないし乙6に表れた2019年7月2日の配付も、このウェブサイトを通じた発注を受けて行われたものである。
イ 本件商標のウェブサイトによる広告的使用について
被請求人は、本件要証期間内に、日本国内において、商品「細幅織物その他の織物」に関する商品カタログを自身のウェブサイト等を通じて需要者・取引者に電子的に配付し、また、そのウェブサイトに商品「細幅織物その他の織物」を掲載し、本件商標と社会通念上同一の商標をそのウェブサイト及び商品カタログに付している。つまり、被請求人は、本件商標を商品に関する広告を内容とする情報に付して電磁的方法により提供しており、この行為は商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。
(ア)乙9は、被請求人のウェブサイトの更新・公開を行ったウェブサイトの制作事業者による、ウェブサイトの更新・公開の事実を証する証明書である。乙9の添付別紙1は脱漏していたため、乙10として今回提出している。これらによれば、被請求人の商品広告・販売等にかかるウェブサイトが、遅くとも本件要証期間内の2019年8月27日には被請求人から有償で委託を受けた乙9の制作事業者によって更新・公開され、それ以来、少なくとも証明日である本年11月16日に至るまで同事業者によって維持管理され、日本国内で誰でも閲覧できたことが分かる。なお、被請求人のウェブサイトは、他のウェブサイト制作事業者を通じ、遅くとも、2010年(平成22年)3月頃には公開され運用が開始されており、2016年(平成28年)2月にはウェブサイト上で商品カタログの配付が開始されている。
(イ)乙9の添付別紙2によれば、2019年8月27日に公開された被請求人のウェブサイトの内容が明らかであり、そこにおいて商品「細幅織物その他の織物」が掲載され、乙1と同じ商品カタログがウェブサイトを通じて閲覧可能であったことが分かる。
また、乙9の添付別紙3によれば、その第2葉の右上方に閲覧の期間が記載されており、本件要証期間内に、日本全国の様々な地域から被請求人のウェブサイトが閲覧されていることが分かる。このウェブサイトにおいては、様々な箇所に本件商標と社会通念上同一の商標「SHINDO」が表示されており、当該ウェブサイトが、被請求人が自身の製造販売する商品「細幅織物その他の織物」を広告するに当たって使用されていたことが認められる。
ウ 本件商標の商品販売に当たっての使用について
被請求人は、本件要証期間内に、自身が製造する商品「細幅織物その他の織物」を販売する際、本件商標と社会通念上同一の商標「SHINDO」又は商標「株式会社SHINDO」を商品の包装に付し、商品の包装に付したものをその販売のために展示し、あるいは、請求書等の取引書類に付している。この行為は商標法第2条第3項第1号、第2号及び第8号の使用に該当する。
(ア)乙11ないし乙14は、本件商標と社会通念上同一の商標を付した、被請求人が製造・販売する品番「SIC−116」の商品「細幅織物」と、それが本件要証期間内に顧客へ実際に販売されたことを示す証拠である。
(イ)乙11によれば、本件商標と社会通念上同一の商標「SHINDO」が下方に表されたリール状の「メンコ」と一般に指称される包装資材に巻かれた状態の商品「細幅織物」が認められる。メンコには、「ITEM No.」として品番「116」が表されている。この商品は、被請求人の東京支店等のショールームにおいて、被請求人の商品の購入を希望する顧客に向けて展示されているほか、この状態で顧客に納品されることもある。
この品番「116」は、乙1の第9葉の左方、及び、第14葉の右頁においては「SIC−116」として表れている。乙2の添付別紙1−3の右上方の写真、乙9の添付別紙2の第17葉の写真最上段にも、「SIC−116」が表れている。なお、「SIC」は「SHINDO ITEM CATALOG」という語の頭文字をとった品番であり、被請求人のプライベートブランドの織物製品にはこの「SIC」がハイフンを介して3桁又は4桁の数字と組み合わせた品番「SIC−○○○」が用いられている(なお、乙1の第7葉及び第8葉においても、「S.I.C.LINE−UP」や「S.I.C.製品」等の記載がされており、第6葉にも商標「SIC」が記載されており、この品番が「SIC」という商品ラインアップの中での商品であることがうかがえる。)。乙1の第14葉においては、商品ページのタイトルが「〜RIBBON」となっているが、このページの記載や乙11ないし乙14から分かるとおり、販売された商品は、100mm幅のものであり、これは一般的通念に照らせば「リボン」というより、幅の細い状態で販売される「オーガンジー」の織物生地であって、「細幅織物」に当たるものである。
(ウ)乙12ないし乙14によれば、ある顧客から本件要証期間内である2020年9月24日に品番「SIC−116」等の商品の発注があり、同日にその出荷がされ、有償で納品されていることが分かる。乙13の納品書及び乙14の請求明細書には、本件商標と社会通念上同一の商標「株式会社SHINDO」(「SHINDO」が「株式会社」より大きく表されている。)」が表されており、これは商品の取引書類に標章を付する、商標の使用行為である。
(エ)乙15ないし乙18は、本件商標と社会通念上同一の商標を付した、被請求人が製造・販売する品番「SIC−5509」の商品「細幅織物」と、それが本件要証期間内に顧客へ実際に販売されたことを示す証拠である。
(オ)乙15によれば、本件商標と社会通念上同一の商標「SHINDO」が下方に表されたメンコに巻かれた状態の商品「細幅織物」が認められる。メンコには、「ITEM No.」として品番「5509」が表されている。この商品は、被請求人の東京支店等のショールームにおいて、被請求人の商品の購入を希望する顧客に向けて展示されているほか、この状態で顧客に納品されることもある。
この品番「5509」は、乙1の第10葉の左方(一番左の表)、及び、第16葉においては「SIC−5509」として表れている。乙2の添付別紙1−3及び1−4の左上方の写真、乙9の添付別紙2の第13葉の写真最下段にも、「SIC−5509」が表れている。
(カ)乙16ないし乙18によれば、ある顧客から本件要証期間内である2018年10月19日に品番「SIC−5509」の商品の発注があり、同日にその出荷がされ、有償で納品されていることが分かる。乙16の納品書及び乙17の請求明細書には、本件商標と社会通念上同一の商標「株式会社SHINDO」(「SHINDO」が「株式会社」より大きく表されている。)が表されており、これは商品の取引書類に標章を付する、商標の使用行為である。
エ 小括
したがって、被請求人は、本件商標を、本件要証期間内に日本国内において商品「細幅織物その他の織物」について、使用したものである。
(2)第24類「無機繊維織物(ガラス繊維織物)」についての使用
ア 本件商標の商品販売に当たっての使用について
被請求人は、本件要証期間内に、自身が製造する商品「無機繊維織物(ガラス繊維織物)」を販売する際に、本件商標と社会通念上同一の商標「SHINDO」又は商標「株式会社SHINDO」を商品の包装に付し、あるいは、請求書等の取引書類に付している。この行為は商標法第2条第3項第1号及び8号の使用に該当する。
(ア)乙19ないし乙24は、本件商標と社会通念上同一の商標を付した、被請求人が製造・販売する品番「U600G」の商品「無機繊維織物(ガラス繊維織物)」と、それが本件要証期間内に顧客へ実際に販売されたことを示す証拠である。
(イ)乙19によれば、段ボールにこん包された状態の商品「無機繊維織物(ガラス繊維織物)」とそのこん包を解かれた状態の商品が認められる。その段ボールには、本件商標と社会通念上同一の商標「株式会社SHINDO」(「SHINDO」が「株式会社」より大きく表されている。)と品番「U600G」が表されたラベルが貼付されている。
乙20によれば、品番「U600G」の商品は、「ノンクリンプファブリック」と呼ばれるもので、ガラス繊維の多軸挿入繊維からなるガラス繊維織物であり各種製品の素材として使用されるものであることが分かる。乙20に表れたガラス繊維の写真の下には品番「U600G」が表され、その写真に表された商品の形態は、乙19に表れたものと整合している。乙21によれば、品番「U600G」の商品は、遅くとも本件要証期間内である2018年10月頃には広告され販売されていたことが認められる。
(ウ)乙22ないし乙24によれば、ある顧客に対し本件要証期間内である2019年4月23日に品番「U600G」の商品について代金の見積もりがなされ、それを受けて当該顧客から2020年7月3日及び22日に発注があり、同年8月25日に出荷がされ、その顧客に注文された品番「U600G」の商品の納品が有償でなされたことが分かる。乙23の注文書には、被請求人から顧客ヘファックスで受注を確認する際に、本件商標と社会通念上同一の商標「株式会社SHINDO」(「SHINDO」が「株式会社」より大きく表されている。)が表されたゴム判が押なつされており、これは商品の取引書類に標章を付する、商標の使用行為である。乙24の納品書についても本件商標と社会通念上同一の商標「株式会社SHINDO」(「SHINDO」が「株式会社」より大きく表されている。)が表されており、これも商品の取引書類に標章を付する、商標の使用行為である。
イ 本件商標の商品カタログ及びウェブサイトによる広告的使用について
被請求人は、本件要証期間内である2018年10月頃には、日本国内の顧客に対し、商品「無機繊維織物(ガラス繊維織物)」を掲載した乙21のデータシートと称する商品カタログを配付し、また、自身のウェブサイトに同じ商品「無機繊維織物(ガラス繊維織物)」等を掲載し、需要者・取引者に向けて商品の広告を行っており、本件商標と同一の商標をその商品カタログ及びウェブサイトに付している。つまり、被請求人は、本件商標を商品に関する広告に付して頒布しており、この行為は商標法第2条第3項第8号の使用に該当し、また、本件商標を商品に関する広告を内容とする情報に付して電磁的方法により提供しており、この行為は商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。
ウ 小括
したがって、被請求人は、本件商標を、本件要証期間内に日本国内において商品「無機繊維織物(ガラス繊維織物)」について、使用したものである。
(3)第19類「繊維製の落石防止網」についての使用
ア 本件商標の商品販売に当たっての使用について
被請求人は、本件要証期間内に、自身が製造する商品「繊維製の落石防止網」を販売する際に、本件商標と社会通念上同一の商標「SHINDO」又は商標「株式会社SHINDO」を商品の包装に付し、あるいは、請求書等の取引書類に付している。この行為は商標法第2条第3項第1号及び第8号の使用に該当する。
(ア)乙25ないし乙27は、本件商標と社会通念上同一の商標を付した、被請求人が製造・販売する品番「UP219」の商品「繊維製の落石防止網」と、それが本件要証期間内に顧客へ実際に販売されたことを示す証拠である。
(イ)乙25によれば、ロール状に巻いてこん包された状態の商品「繊維製の落石防止網」とそのこん包を解かれた状態の商品「繊維製の落石防止網」が認められる。そのこん包には、本件商標と社会通念上同一の商標「株式会社SHINDO」(「SHINDO」が「株式会社」より大きく表されている。)と品番「UP219」が表されたラベルが貼付されている。この商品はこん包された状態で顧客に納品されている。
(ウ)乙26及び乙27によれば、ある顧客から本件要証期間内である2020年2月28日に発注があり、同年3月25日に出荷がされその願客に注文された品番「UP219」の商品の納品が有償でなされたことが分かる。乙27の納品書については本件商標と社会通念上同一の商標「株式会社SHINDO」(「SHINDO」が「株式会社」より大きく表されている。)が表されており、これは商品の取引書類に標章を付する、商標の使用行為である。
イ 小括
したがって、被請求人は、本件商標を、本件要証期間内に日本国内において商品「繊維製の落石防止網」について、使用したものである。
(4)第17類「ゴム(シリコーンゴム製シート)」についての使用
ア 本件商標の商品販売に当たっての使用について
被請求人は、本件要証期間内に、自身が製造する商品「ゴム(シリコーンゴム製シート)」を販売する際に、本件商標と社会通念上同一の商標「SHINDO」又は商標「株式会社SHINDO」を納品書等の取引書類に付している。この行為は商標法第2条第3項第1号及び第8号の使用に該当する。
(ア)乙28ないし乙32は、被請求人が製造する商品「ゴム(シリコーンゴム製シート)」と、本件要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標が取引書類に付されたことを示す証拠である。
(イ)乙28によれば、ロール状に巻いてこん包された状態の商品「ゴム(シリコーンゴム製シート)」と、そのこん包するまでの加工・軽量・検品・こん包・配送こん包に至るまでの状態の商品「ゴム(シリコーンゴム製シート)」が認められる。そのこん包には、品番「TTK−125B」が表されている。
(ウ)乙29は、本件要証期間内である2018年1月15日に発行された、品番「TTK−125B」の商品の購入を希望する顧客及び納品先に向けた商品の「納入仕様書」であり、そこには同年2月5日に納入先の担当者から受領印を受けている。この納入仕様書中には、被請求人が製造・販売する品番「TTK−125B」の商品の納品時のこん包形態が記載され、この商品の主材が品番「SH853U」の素材であることが明記されている。この納入仕様書には、商標「SHINDO」が表されており、これは商品の取引書類に標章を付する、商標の使用行為である。
乙30によれば、被請求人の品番「TTK−125B」の商品の主材である「SH853U」がシリコーンコンパウンドであることが明らかであり、乙29の第5頁によれば、品番「TTK−125B」の商品はそれに他の素材を1種類配合したシリコーンゴムからなることが認められる。
(エ)乙31及び乙32によれば、前記の顧客から本件要証期間内である2020年1月27日に発注があり、乙31に表れたメモ書きによれば様々な経緯があって、最終的に同年8月3日に出荷されて、その顧客に注文された品番「TTK−125B」の商品の納品が有償でなされたことが分かる。なお、乙32の納品書については本件商標と社会通念上同一の商標「株式会社SHINDO」が表されており、これは商品の取引書類に商標を付する、商標の使用行為である。
イ 小括
したがって、被請求人は、本件商標を、本件要証期間内に日本国内において商品「ゴム(シリコーンゴム製シート)」について、使用したものである。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件要証期間内に、取消請求商品及び取消請求役務について、日本国内において少なくとも商標権者により使用されているから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきでない。

第4 当審の判断
1 認定事実
被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。以下、改行は「\」で表す。
(1)乙11は、2020年11月撮影の「織物(品番:SIC−116)」とされる写真であるところ、これには、包装資材に巻き付けられた帯状の商品が写されている。当該包装資材には、大きく表された「SIC」の欧文字が記載されるとともに、「ITEM\No.」に「116」、「WIDTH(mm)」に「100」の記載並びに「COLOR」及び「LENGTH\(m)」についての記載があり、また、「SHINDO」の欧文字が表示されている。
(2)乙12は、発注書を添付した電子メール及び注文フォーマットとされるものであるところ、これには、「2020/09/24(木)」の記載があり、宛先には「株式会社 SHINDO」、送付者には「A社」の記載及び「SIC−116」に関する発注書を送付する旨の記載がある。また、注文フォーマットとされる書面には、品番「SIC−116」について、「サイズ」欄に「100」の記載並びに「色番」及び「数量(m)」についての記載があり、前記「色番」及び「数量(m)」の記載内容は、乙11の「COLOR」及び「LENGTH\(m)」と一致している。
(3)乙13は、「納品書(控)」の写し(以下「本件納品書」という。)であるところ、これには、出荷日欄に「2020年9月24日」、出荷先に「A社」、「品番」に「SIC−116」及び「サイズ」に「100」の記載並びに「色番」及び「数量」についての記載、「品名」に「シャンブレーオーガンジーリボン」の記載があり、前記「色番」及び「数量」の記載内容は、乙11の「COLOR」及び「LENGTH\(m)」と一致している。
また、本件納品書には、その右上部に、「No 003087」、「株式会社 SHINDO」、「福井県あわら市伊井11−1−1」、電話番号及びファックス番号が記載されている。
(4)乙14は、「請求明細書」の写し(以下「本件請求明細書」という。)であるところ、これには、「20年9月29日締切分」の記載があり、宛先に「A社」の記載がある。
また、本件請求明細書には、各ページの右上部に、「株式会社 SHINDO」、「福井県あわら市伊井11−1−1」及び電話番号が記載されている。さらに、「日付」欄の「09.24」には、「伝票No.」の欄に「3087」、「品番」の欄に「SIC−116」、「サイズ」の欄に「100」の記載並びに「色番」及び「数量 単位/m」についての記載があり、前記「色番」及び「数量 単位/m」の記載内容は、乙11の「COLOR」及び「LENGTH\(m)」と一致している。
(5)前記(1)ないし(4)によれば、包装資材に巻き付けられた帯状の商品写真(乙11)に記載された品番「SIC−116」、「WIDTH(mm)」の「100」の記載並びに「COLOR」及び「LENGTH\(m)」の記載は、A社が株式会社SHINDO宛てに送付したとされるメール(乙12)の発注内容、本件納品書(乙13)及び本件請求明細書(乙14)の記載内容と一致し、また、本件納品書の伝票番号「003087」は、本件請求明細書(乙14)の「日付」欄の「09.24」の「伝票No.」の欄の「3087」と一致するものと認められる。
さらに、本件納品書(乙13)には、品番「SIC−116」の品名として「シャンブレーオーガンジーリボン」の記載がある。
そうすると、A社が、品名を「シャンブレーオーガンジーリボン」とする品番「SIC−116」の商品について、2020年9月24日に株式会社SHINDOに当該商品を注文し、株式会社SHINDOが同日にその注文に係る商品を出荷し、A社に対して、その代金の請求を2020年9月29日締切分として請求したことが推認でき、また、本件納品書及び本件請求明細書には、「株式会社 SHINDO」の文字及び「福井県あわら市伊井11−1−1」の記載があることが認められる。
2 判断
前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、別掲のとおり、「SHINDO」の欧文字をゴシック体風のやや特徴のある書体で横書きしてなるものである。
他方、前記1(3)及び同(4)のとおり、本件納品書及び本件請求明細書には、「株式会社 SHINDO」の文字が表示されているところ、これらは同じ構成態様からなるものであり、その構成中の「SHINDO」の文字部分は、ゴシック体風のやや特徴のある書体で「株式会社」の文字部分と比べて2倍程の太字で表されており、「株式会社」の文字とはその態様が異なること、及び「株式会社」の文字と「SHINDO」の文字の間にスペースがあることから、「SHINDO」の文字部分が分離され観察される表示態様となっているものである。
また、「株式会社 SHINDO」の表示は商号を表示したものとして認識されるものであるが、「株式会社」の文字は法人格を表す表示であって、商標の使用において当該表示が捨象されて同一法人を表すことが取引上一般に行われていることから、「株式会社 SHINDO」が常に一連一体のものとして称呼、観念されるとはいえないものであることからすれば、前記のとおり、分離され観察される表示態様となっている「SHINDO」の文字部分(以下「使用商標」という。)が、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るといえる。
そして、使用商標と本件商標とは、その構成態様を同じくする同一の商標と認められるものである。
(2)使用者について
前記1(3)及び同(4)によれば、本件納品書及び本件請求明細書には、「株式会社 SHINDO」の表示があり、これら書面に記載されている住所は、本件商標の商標登録原簿に記載の商標権者の住所と一致し、本件納品書及び本件請求明細書は商標権者が作成したものといえるから、使用商標の使用者は、商標権者と認められる。
(3)使用商品について
前記1(3)によれば、本件納品書には、品番「SIC−116」に係る商品(以下「使用商品」という。)について、品名「シャンブレーオーガンジーリボン」、サイズ「100」の記載がある。
そして、前記品名を構成する文字中、「シャンブレー」及び「オーガンジー」の文字は、それぞれ、「経(たて)に色糸、緯(よこ)に白糸を用いて平織にした綿織物。」及び「薄地の軽くて張りのある平織の綿織物。」を意味する語(広辞苑第七版(株式会社岩波書店発行))であり、使用商品の写真と見ることができる乙11に「WIDTH/(mm)」「100」の記載があることから、使用商品は、幅100mmの「経(たて)に色糸、緯(よこ)に白糸を用いた薄地の軽くて張りのある平織の綿織物」といえる。
そして、被請求人は、審判事件答弁書において、販売された商品は、100mm幅のものであり、一般的通念に照らせば、「リボン」というよりは、幅の細い状態で販売される「オーガンジー」の織物生地であって、「細幅織物」に当たる旨主張しているところ、当該主張は、前記で記載した内容に沿うものであることに加え、これを覆すに足る事実も認められないことからすれば、使用商品は、その品名が「シャンブレーオーガンジーリボン」であるとしても、取消請求商品中「細幅織物」の範ちゅうに属する商品とみることができるものである。
(4)使用時期及び使用行為について
前記1(5)によれば、商標権者は、A社から2020年9月24日に使用商品の注文を受け、同日当該商品を納品したといえるものである。
そして、商標権者がA社に対し、使用商品の出荷日である2020年9月24日に、本件納品書を頒布したと推認できるところ、前記日付は、本件要証期間内である。
また、商標権者は、A社宛てに2020年9月29日締切分の本件請求明細書を作成したといえるところ、被請求人は、当該書面における本件商標の使用を主張しており、請求書作成後、これを顧客に速やかに渡すことは一般的といえるから、本件商標権者が本件要証期間内である2020年10月5日までにA社に対し、本件請求明細書を頒布したものとみるのが自然である。
そして、前記1(3)及び同(4)によれば、本件納品書及び本件請求明細書は、それぞれ、使用商品に関する納品書、及び使用商品を含む商品に関する請求明細書といえるから、いずれも、使用商品に関する取引書類といえ、これらには使用商標が付されている。
したがって、商標権者は、本件要証期間内に、使用商品に関する取引書類に使用商標を付してA社に頒布したと認めることができる。
(5)小括
以上によれば、本件商標の商標権者は、本件要証期間内において、取消請求商品中、「細幅織物」の範ちゅうに属する使用商品について、当該商品に関する取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して頒布したと認めることができる。
そして、当該行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
3 まとめ
したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の商標権者が、その請求に係る商品及び役務に含まれる細幅織物について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲(本件商標)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 中束 としえ
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2021-06-30 
結審通知日 2021-07-05 
審決日 2021-07-28 
出願番号 2009085720 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X17192435)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 冨澤 美加
山村 浩
登録日 2011-01-28 
登録番号 5387270 
商標の称呼 シンドー 
代理人 特許業務法人あい特許事務所 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 行田 朋弘 

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