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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W36
管理番号 1381728 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-09 
確定日 2022-01-11 
事件の表示 商願2018−133311拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第36類及び第37類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成30年10月13日に登録出願されたものであり、その後、指定役務については、原審における令和元年11月22日付けの手続補正書により、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,不動産賃料の徴収の代行,損害保険契約の締結の代理,損害保険の引受け,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3086979号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年9月18日に登録出願され、第36類「建物の管理,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」を指定役務として、同7年10月31日に特例商標及び重複商標として設定登録され、その後、同17年12月16日及び同27年7月28日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第3093088号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成4年9月29日に登録出願され、第36類「建物の売買,土地の売買」を指定役務として、同7年11月30日に特例商標及び重複商標として設定登録されたものであり、その後、同17年12月2日及び同27年7月28日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3)登録第3098356号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成4年9月24日に登録出願され、第36類「建物の管理,建物の貸与」を指定役務として、同7年11月30日に特例商標及び重複商標として設定登録されたものであり、その後、同17年12月22日及び同27年9月29日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(4)登録第3331590号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成4年9月29日に登録出願され、第36類「損害保険契約の締結の代理」を指定役務として、同9年7月11日に設定登録されたものであり、その後、同19年4月17日及び同29年5月9日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、朱色の半楕円と同色縞模様の半楕円を斜めに接するように組み合わせてなる図形を配し(以下「図形部分」という。)、その右にやや図案化された「SANKO」の欧文字を図形部分と同様の朱色で横書きしてなるところ(以下「文字部分」という。)、本願商標を構成する図形部分と、文字部分とは、視覚上、明確に分離して看取されるものであり、図形部分と文字部分が常に一体のものとして把握され、特定の観念を生じるものというべき事情は見いだせない。
また、「SANKO」の文字部分は、辞書等に載録のない造語であって、かつ、構成の大部分を占めるように顕著に表されているから、印象的で記憶に残りやすく、需要者に対し役務の出所識別標識として支配的な印象を与えるものといえる。
そうすると、本願商標の構成中、当該文字部分のみをもって取引に資されることも決して少なくないというのが相当であるから、本願商標と引用各商標との類否判断の際には、当該文字部分をもって引用各商標と比較することも許されるというべきである。
したがって、本願商標は、その構成文字に相応して、「サンコー」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標1は、別掲2のとおり、やや図案化された「SANCO」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「サンコー」の称呼を生じ、「SANCO」の文字は、辞書等に載録のない造語であるから、特定の観念を生じないものである。
引用商標2及び引用商標4は、別掲3のとおり、水色の雫を重ねたような図形を配し、その下にやや図案化された「SANCO」の欧文字を青色で横書きしてなるところ、引用商標2及び引用商標4を構成する図形部分と、「SANCO」の文字部分は、視覚上、明確に分離して看取されるものであり、かつ、それぞれが常に一体となって特定の観念を生じるものともいえず、当該文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものとみるのが相当である。
したがって、引用商標2及び引用商標4は、その構成文字に相応して「サンコー」の称呼が生じ、「SANCO」の文字は、辞書等に載録のない造語であるから、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
引用商標1、引用商標2及び引用商標4の「SANCO」の欧文字は、本願商標とは、語頭の「S」、「A」、「N」及び語尾の「O」を共通にするものであり、全体のつづりにおいて4文字目に「K」と「C」の相違があり、欧文字の図案化方法に多少の差異があるとしても、全体の印象が近似するものというのが相当である。
そうすると、本願商標と引用商標1、引用商標2及び引用商標4は、独立して識別標識としての機能を果たす文字部分の比較において、観念を比較できないとしても、その外観は近似し、いずれも「サンコー」の称呼を共通にするものであるから、これらを総合的に勘案すれば、両商標は互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願の指定役務と引用商標1、引用商標2及び引用商標4の指定役務の類否について
本願の指定役務中、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」は、引用商標1の指定役務、第36類「建物の管理,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」及び引用商標2の指定役務、第36類「建物の売買,土地の売買」と同一又は類似するものである。
また、本願の指定役務中、第36類「損害保険契約の締結の代理,損害保険の引受け,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け」は、引用商標4の指定役務、第36類「損害保険契約の締結の代理」と同一又は類似するものである。
(5)小括
したがって、本願商標は、引用商標1、引用商標2及び引用商標4と類似する商標であって、引用商標1、引用商標2及び引用商標4の指定役務と同一又は類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
請求人は、「サンコ」又は「サンコー」の称呼を有する登録商標が、本願の指定役務については、引用商標1ないし引用商標3のように複数存在し、インターネット情報においても、本願の指定役務の分野において、「サンコー」又は「サンコウ」の称呼を有する多くの商標が使用されていることから、本願商標及び引用商標において、当該文字部分は自他役務識別標識としての機能が弱いものであり、本願商標は、図形部分と文字部分を常に不可分一体のものとして観察しなければならない特段の事情を有すると主張している。
しかしながら、上記2のとおり、引用商標1ないし引用商標3は、商標法の一部を改正する法律(平成3年5月2日) 附則第4条第2項において、「この法律の施行の日から6月間にした役務に係る商標登録出願については、新法第4条第1項(第11号及び第13号に係る部分に限る。)及び第8条第1項の規定は、適用しない。」旨定められたことにより特例商標及び重複商標として設定登録されたものであり、引用商標1ないし引用商標3が併存登録されていることは、本願商標の文字部分が自他役務識別標識としての機能が弱いということの根拠にはならない。
また、インターネット情報において「サンコー」又は「サンコウ」の称呼を有する多くの商標が使用されているとしても、本願商標及び引用各商標の欧文字が、その指定役務の分野において役務の質等を表す語として慣用されている等の事情は見いだせないことから、当該文字部分が自他役務識別標識としての機能が弱いということはできない。
よって、上記3(1)のとおり、本願商標は、その構成中の文字部分のみをもって取引に資されることも決して少なくないというのが相当であるから、当該文字部分をもって引用各商標と比較することも許されるというべきである。
したがって、請求人による上記主張は採用することができない。
(7)審理終結通知後の上申書について
なお、請求人は、審理終結通知後に令和2年9月24日付け上申書を提出し、同日付けの手続補足書において証拠として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。)を提出している。
請求人は、前記上申書において、本願商標は図形部分と文字部分が並列的に配置されていること、本願指定役務の分野においては文字部分の左に図案化された欧文字「S」を併記した商標が多く採択されていること(甲1)、本願構成中の「SANKO」の文字部分が何らかの特殊な意味を有する語でないこと、及び請求人が本願商標を一体のものとして長年使用してきたことから(甲5〜甲7)、本願商標は図形部分と文字部分が一連一体の商標である旨主張し、また、本願図形部分から「エス」の称呼が生じるから(甲2、甲3)、本願商標全体からは「エスサンコー」、「エスサンコ」の称呼が生じ、引用各商標とは非類似である旨主張している。
そこで、これを検討するに、上記3(1)のとおり、本願構成中、図形部分と文字部分は視覚上明確に分離される上、「SANKO」の文字部分が、その構成の大部分を占めるように顕著に表されているから、当該文字部分が支配的な印象を与えるものである。
また、文字部分の左に図案化された欧文字「S」を併記した登録商標が存在し、本願指定役務の分野において図形と文字が並列で使用されている例が存在するとしても、それらの商標の図形部分と文字部分が常に一体のものとみなされているか否かは不明であるばかりか、本願商標とは構成態様が異なるものであるから、これらの事例をもって、本願商標の図形部分と文字部分を一体のものと判断する理由にはならない。
そして、「サンコー」の称呼を生ずる商標が一般的に多く使用されていたとしても、上記3(6)のとおり、「SANKO」の文字が本願指定役務との関係において役務の質等を表す語として慣用されている等の事情は見いだせない。
さらに、提出された証拠からは、請求人が本願商標を一体のものとして長年使用してきた使用事実が明らかでなく、本願指定役務の分野における取引者、需要者が、本願商標を一体のものとして認識しているかどうかを推し量ることはできないから、本願商標が常に一体のものとして認識されていると認めることはできない。
したがって、上記上申書及び甲各号証の内容によって前記判断に影響を与えるものとみることはできないから、審理再開の必要は認めないものである。
(8)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであって、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1 本願商標(色彩は原本参照)


別掲2 引用商標1(色彩は原本参照)

別掲3 引用商標2及び引用商標4(色彩は原本参照)

別掲4 引用商標3(色彩は原本参照)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審理終結日 2020-08-28 
結審通知日 2020-09-01 
審決日 2020-12-24 
出願番号 2018133311 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W36)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
綾 郁奈子
商標の称呼 サンコ、サンコー 
代理人 前田 健壱 
代理人 千葉 あすか 
代理人 小松 陽一郎 

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