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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X0105
管理番号 1381716 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-03-15 
確定日 2021-12-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第5287350号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5287350号商標の指定商品及び指定役務中、第1類「化学品,水質改善剤,工業用抗菌剤・脱臭剤,食品の鮮度保持剤」及び第5類「人の皮膚から浸透するパッチ状の薬剤,アトピー性皮膚炎に対するクリーム状の薬剤,皮膚温及び血行促進のためのクリーム状の薬剤,抗菌剤(工業用のもの及び洗濯用のものを除く。),脱臭剤(工業用のものを除く。),薬剤」を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5287350号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「メトセラ」の文字と「Methuselah」の文字を上下二段に横書きにしてなり、平成21年3月25日に登録出願、第1類「化学品,水質改善剤,工業用抗菌剤・脱臭剤,食品の鮮度保持剤」及び第5類「人の皮膚から浸透するパッチ状の薬剤,アトピー性皮膚炎に対するクリーム状の薬剤,皮膚温及び血行促進のためのクリーム状の薬剤,抗菌剤(工業用のもの及び洗濯用のものを除く。),脱臭剤(工業用のものを除く。),薬剤」を含む第1類ないし第3類、第5類、第10類、第11類、第14類、第16類、第17類、第19類、第20類、第22類、第24類、第27類、第29類ないし第31類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同21年12月11日に設定登録、その後、令和元年6月12日に、別掲2に記載の指定商品は放棄により登録の一部抹消がなされ、同年12月10日に存続期間の更新登録がなされている。
そして、本件審判請求の登録は、平成31年4月8日にされたものであり、この登録前3年以内の期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、令和元年6月28日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年9月9日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書1」という。)及び被請求人が同年8月13日付けで提出した上申書(以下「被請求人上申書」という。)に対する同2年10月6日付け審判事件弁駁書(第二)(以下「弁駁書2」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、審判請求書で甲第1号証を、弁駁書1で甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第1類「化学品,水質改善剤,工業用抗菌剤・脱臭剤,食品の鮮度保持剤」及び第5類「人の皮膚から浸透するパッチ状の薬剤,アトピー性皮膚炎に対するクリーム状の薬剤,皮膚温及び血行促進のためのクリーム状の薬剤,抗菌剤(工業用のもの及び洗濯用のものを除く。),脱臭剤(工業用のものを除く。),薬剤」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用した事実が見当たらないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 弁駁の要旨
被請求人は、本件商標を、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについて、要証期間に、日本国内で、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、使用したことを証明していない。
(1)理由
ア 被請求人は、「『多用途・高誘電性ファインセラミックスES−27』をタイトルとする業務関係者専用研究資料」(乙1の1)を示し、本件商標のもとに取り扱っている商品として「イオン/共有結合微粒子セラミックス・ミネラル」なるものを掲げている。
乙第1号証の1の内容は、「多用途・高誘電性ファインセラミックスES−27」の成分や実験結果、応用範囲をデータとして単にまとめたものにすぎないから、本号証は、商標権者が、本件商標を本件審判請求に係る指定商品の現実の取引の場面において使用したことを、被請求人が証明したことにはならない。
イ 被請求人は、現在では種々の分野において本件商標を使用した商品が販売されていると主張し、「取消対象商品と被請求人商品との対照リスト」(乙2)を提出している。
乙第2号証によると、「アポトーゼMD」は、第1類「化学品,水質改善剤,工業用抗菌剤・脱臭剤,食品の鮮度保持剤」及び第5類「抗菌剤(工業用のもの及び洗濯用のものを除く。),脱臭剤(工業用及び身体用のものを除く。)」に該当するとされ、もう一方の「メトセラクリーム」は、第5類「アトピー性皮膚炎に対するクリーム状の薬剤,皮膚温及び血行促進のためのクリーム状の薬剤」に該当するとされているが、第5類「抗菌剤(工業用のもの及び洗濯用のものを除く。)」と「脱臭剤(工業用のものを除く。)」については、本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)により、令和元年6月12日受付の登録一部抹消手続によりその登録が抹消されている(甲2)。
ウ 被請求人は、原料であるメトセラ粉末が、商標権者から製薬会社である友愛製薬株式会社(以下「友愛製薬社」という。)に納品され、友愛製薬社において配合やパッケージ化が行われた後に、製品(例えば、メトセラペレット)として流通経路に置かれると説明し、これを第1の販売形態としている。
原料であるメトセラ粉末なるものは、「多用途・高誘電性ファインセラミックスES−27」の微粉末パウダーのことを指していると推察するが、商標権者から友愛製薬社に納品された具体的な事実を示す納品書等の証拠は提出されていないため、原料であるメトセラ粉末なるものが実際に商標権者から友愛製薬社に納品されたことが何ら立証されていない。
また、友愛製薬社による配合やパッケージ化が行われた後の商品の例として挙げられた「メトセラペレット」は、乙第2号証にて被請求人が挙げた取扱商品には該当せず、本件審判請求に係る指定商品でもない。
よって、配合やパッケージ化が行われた後の本件審判請求に係る指定商品として具体的に流通した商品の内容は不明である。
エ 被請求人は、第2の販売形態として、メトセラ粉末を主成分とする「アポトーゼMD」という商品が、医療機関へ卸され、薬局において医師の処方せんに基づく調剤が行われ、患者に処方されると述べている。
乙第3号証の1は、「アポトーゼMD」という名称の「医薬品」を撮影した写真を証拠方法とするものであるが、撮影者や撮影日が不明である。
当該写真は、フィルムに分包された処方薬(以下「分包薬」という。)を撮影したもののようであるが、フィルムの左隅に、(ア)前記医薬品名と、(イ)当該医薬品を毎食後に服用すべき旨と、(ウ)当該医薬品を処方した医療機関の名称と目される「東京MITクリニック」(以下「MITクリニック」という。)という3つの表示が印字されるとともに、分包薬は、さらに帯状の印刷物(紙製と目されるもの。以下「帯状印刷物」という。)によって束ねられている様子が見て取れる。
そして、帯状印刷物の表面側には、「図形」の次に、やや太めのゴシック調斜体の欧文字で「Methuselah」と書し、その右下半分以下の長さには細く小さい片仮名「メトセラ」と「ES−27」とを書し、全体としてはアンバランスな二段書き商標のように表示した標章と、さらにその下に、もう一度、前記医薬品名である「アポトーゼMD」の文字列と、欧文字の「j」に似た図形と、漢字により「友愛製薬株式会社」という法人名が表示されている。
また、帯状印刷物の裏面には、もう一度、「図形」と斜体の欧文字「Methuselah」が表示され、その次に「および」の接続語をはさんで、タイムズローマン調の欧文字書体と平仮名により「Methuselahは」と表示され、その上方には「二段書き」とはいえないほど離れた位置に片仮名による「メトセラ」が横並びに表示され、その下に、「これら『は株式会社成幸社の登録商標です。』」と、極めて不自然な態様により「小さく」表示されている様子がうかがわれる。乙第3号証の1の表示形式によると、拡大をしなければ判別できないような大きさの文字であると予測され、また、格助詞の「は」が重複している。
被請求人は、乙第3号証の1をして、本件商標が、「アポトーゼMD」という医薬品について使用されている商標であることを立証しようとしていると思われるが、本号証の示す内容には疑問が残る。
分包された医薬品を患者に処方する場面において、その「処方薬の名称」とは別に、処方薬局が、重ねて当該処方薬の「製造者の正式名称」を、あえてその外装に表示し直すことが一般的とは思えない。
なお、乙第1号証の2によれば、友愛製薬社は当該処方薬の製造者であるとされている。
分包された医薬品のフィルムの方には、この薬を処方したのであろう医療機関の名称であるMITクリニックが表示されているのに、帯状印刷物の方にその名称はなく、代わりに「製造者」が「法人名」とともに表示されているというのは、あまりにも不自然である。
しかも、帯状印刷物の外装には、処方医療機関であるMITクリニックの所在地及び連絡先に関する記載がなく、調剤医薬品が提供される際の一般的な記載内容とも隔たりがあるように思える。
加えて、帯状印刷物の裏面には、片仮名と欧文字とを二段に書してなる本件商標の公報上の構成態様を、上段と下段との離れ方が大きいにもかかわらず、そのまま写したかのような表示がされていたり、対象が転々流通性のない処方薬であるのに、あえて「これら『は株式会社成幸社の登録商標です。』」という断り書きを入れたりし、しかも格助詞「は」が、重複して誤記されたまま患者に処方されているように見える点などを総合すると、本件商標を表示している帯状印刷物が、真に本件商標の指定商品「薬剤」に付されているのかということについては、合理的な疑義をはさむ余地があるというべきである。
すなわち、乙第3号証の1の写真に示されている本件商標は、本件審判の請求による本件商標の登録の取消しを免れるためだけに後から付け加えられたおそれがある。
よって、乙第3号証の1をして、被請求人が、本件商標を、本件審判請求に係る指定商品について使用していることを確実に証明したことにはならない。
なお、乙第3号証の1には、「外用薬アポトーゼMDシート」なる物の写真も含まれているが、これが外用薬であることの論証は何もされていない。
オ 被請求人は、乙第3号証の1による本件商標の使用が要証期間に行われたものであることについて、「処方せん9枚」(乙4)により、少なくとも平成29年(2017年)1月から同30年(2018年)10月までの間、継続して乙第3号証の1に示した薬剤が処方され販売されていたことが明らかであると述べているが、乙第4号証には、どこにも本件商標が表示されていない。
つまり、乙第4号証は、商標権者が本件商標を使用許諾しているとする者らの製造及び処方に係る医薬品が、「メトセラ」や「Methuselah」の称呼及び表示では取引されておらず、常に「アポトーゼMD」としてのみ処方されていることをうかがわせている。
よって、乙第4号証をしても、本件商標が使用されていることは何ら立証されていないというべきである。
カ 乙第3号証の2は、「アポトーゼMD」を納品するときの外箱の外観及びラベル部分を拡大して撮影したものであるが、ここでも本件商標の表示はされておらず、「アポトーゼMD1000」という表示しかないため、乙第4号証と同じく、当該商品が「メトセラ」や「Methuselah」の称呼及び表示では取引されていないことを強調していることとなる。
また、本号証の2枚目の写真中の内容物には、「2019.03.29」という「製造年月日」が刻印されているが、本件審判請求日(2019年3月15日)より後の日付であり、要証期間のものでないことは明らかである。
本号証の3枚目の内容物には、「2016.03.26」、「2016.05.27」及び「2016.08.19」の刻印があるが、これにより「アポトーゼMD1000」が刻印の日付で製造されたこと」が示されることになるとしても、本号証の外箱及び内容物の包装には、本件商標の表示も「メトセラ粉末」が主成分であることの記載も全くないのであるから、「アポトーゼMD1000」の需要者及び取引者に対し、本件商標又は「メトセラ粉末」なる記載を当該商品の出所や品質を識別するための標識として使用したといえないことは明らかである。
また、被請求人は、乙第3号証の3として、友愛製薬社がメトセラ粉末を「アポトーゼ」各種の製造を依頼している株式会社三協(以下「三協社」という。)の日出工場より発行された配合証明書」なるものを補充した。
しかしながら、本号証の1枚目の日付は、平成24年(2012年)10月、2枚目は平成26年(2014年)2月であるから、要証期間外に発行されたものであり、本件商標の使用についての証明にはなり得ない。
そもそも、友愛製薬社は、「メトセラ粉末」を三協社に販売したわけではなく配合を委託したのみであるから、この「配合証明書」をもって、本件商標を付した商品が流通経路上に置かれたことの証明になるとはいい難い。
以上のとおり、「メトセラ粉末」なるものが、仮に「化学品」に該当するとしても、乙第3号証(枝番を含む。)からは、要証期間の本件商標の使用の事実は確認できない。
また、被請求人は、「水質改善剤,工業用抗菌剤・脱臭剤,食品の鮮度保持剤」の商品については立証を行っていない。「薬剤」についても、乙第3号証(枝番を含む。)の証拠の真性について合理的疑義があり、少なくとも要証期間の使用があったことが示されていないから、商標法第50条第1項及び第2項の要証事項について立証がなされていないというべきである。
キ 乙第5号証の1は、「メトセラES−27クリーム」と称される物(以下「本件クリーム」という。)を撮影した写真を証拠方法とするものであり、本号証の1頁目には、本件クリームの底面及び斜視と思しき写真が印刷され、その写真部分とは別に「(調剤用)」とされ、「内容量50g」などのワープロで印字したかのような文字の記載とともに、右上には「2019.5.9」という表示が、さらに、左下方に「医療機関東京MITクリニック」及び「基剤にメトセラ配合」などのワープロ印字風の表示もされている。また、右の写真では、「Methuselah」や「The Porcelain」の文字を確認することができる。
本件クリームが、「アトピー性皮膚炎に対するクリーム状の薬剤」としての効果を有している、との記載があるが、仮に本件クリームが「アトピー性皮膚炎に対するクリーム状の薬剤」及び「皮膚温及び血行促進のためのクリーム状の薬剤」に該当したとしても、その製造や販売といった取引の場面における本件商標の使用が要証期間に行われていたことを、本号証からうかがい知ることはできない。右上に表示された「2019.5.9」が本号証の撮影日を示しているとしても、当該2019年5月9日は要証期間ではない。
本件クリームが、乙第4号証の処方せん記載の「アポトーゼMDクリーム(トコフェロール加調剤)」として処方されたとあり、乙第4号証の処方せんの交付日である平成29年6月23日に患者に渡されたことになっているが、処方せん記載の「アポトーゼMDクリーム(トコフェロール加調剤)」と本件クリームとが同一製品であることを裏付ける証拠は提出されていないため、乙第4号証の処方せん及びその日付と本件クリームとの関連性は不明であり、本件クリームが要証期間に取引されたか不明である。また、処方せんにおいては単位が「2枚」となっており、本号証に係るクリームの形状や「50g」の記載と合致しないのも不可解である。
なお、本号証の2頁目には、「2019.5.9」という表示とともに「メトセラペレット」なる「一般医療機器」の写真が掲載されているが、「一般医療機器」は本件審判請求に係る指定商品に含まれないから、被請求人が、一般医療機器の写真を前記「クリーム」の「一部」として本号証に含めていることの意図は不明である。
また、本号証の3頁目には、再び当該帯状印刷物付きの「アポトーゼMD」が登場するが、その立証趣旨も同様に不明である。
さらに、乙第5号証の2及び乙第5号証の3について、被請求人は、MITクリニックにおける診療記録であり、医師によって「メトセラクリーム」が処方されたことがわかると述べているが、処方せんには、「薬用メトセラバッチ(アポトーゼMDクリーム・グリセリン加調剤)2シート(20粒)」及び「キンダーベート軟膏5g」との記載があるものの、「メトセラクリーム」の印字はない。
「処方録」(審決注:「処方録」は、「診療録」の誤記と認める。)の医師の手書きメモには「メトセラクリーム」という文言があるが、「キンダーベート軟膏」の商品名称が「メトセラクリーム」であることを事実として示す証拠は何もない。
よって、この手書きメモのみで「メトセラクリーム」という商品が存在したこと及びこれが患者に処方され本件商標についての使用がされたとする被請求人の主張を受け入れることはできない。
なお、乙第5号証の3に係る新潟県十日町市在住の患者の「診療録」の日付は「2018年8月10日」であり当該日付以降の来院歴がないにもかかわらず、「処方せん」における日付は「8月24日」となっており、「診療録」の2枚目の医師による手書きメモの日付も「8月24日」となっているため、日付が整合せず証拠として不自然である。
以上、乙第5号証(枝番を含む。)によっても、本件審判請求に係る指定商品についての要証期間の本件商標の使用は立証されていないというべきである。
ク 乙第6号証は、「メトセラバッチシート」の写真とされているが、この写真の中には、本件商標及び使用標章の記載もない。
同様に、乙第7号証は「メトセラパッチ粒」の写真とされているが、ここにも本件商標の記載はない。
乙第8号証の1は、先の「メトセラペレット」なる一般医療機器の外装写真とその取扱い説明書、及び【楽天市場】メトセラペレットの通販のウェブサイトの写しを示したものであると目されるところ、「メトセラペレット」は、本件審判請求に係る指定商品に該当しない。
乙第8号証の2は、【amazon】の商品ページの写しであるが、商品「メトセラペレット」は、本件審判請求に係る指定商品に該当しないから、本件商標の使用の事実の立証にはならず、乙第8号証の3も同様である。
乙第9号証は、「アポトーゼMD1000 10g」又は「アポトーゼMT300」なる商品を、友愛製薬社がその宛先とするところに納品したことを示す取引書類のようであるが、ここにも本件商標の記載はない。
乙第10号証は、納品書であるが、ここには、本件商標及び「アポトーゼMD」の記載もなく、立証の趣旨は不可解なものである。
乙第11号証は、商標権者のウェブサイトの写しであるが、本件商標は表示されていない。また、友愛製薬社のウェブサイトの写しには、「ES−27シリーズ」、「ザ・ポーセリン」及び「メトセラソープ」の文言とともに、「The Porcelain」の文字入りの製品の写真が掲載されているが、「ソープ(せっけん)」は、本件審判請求に係る指定商品ではないことは明らかである。
なお、乙第1号証の2において、「メトセラポーセリン50g」なる商品は「終売」(原文は「終倍」)と記載されている。
乙第12号証は、商標権者と友愛製薬社との間で、本件商標の使用に関し交わされた「覚書」であるが、使用を許諾する商品として、機能性セラミック(メトセラ)配合商品とのみ記載があり、具体的な商品内容が不明である。
これは、乙第13号証及び乙第14号証のU氏やMITクリニックとの間で交わされた覚書でも同様である。
このように、乙第6号証ないし乙第14号証をもってしても、本件商標の要証期間における使用は立証がされていない。
ケ 以上のように、被請求人が、答弁書及び被請求人上申書で提出した乙第1号証ないし乙第14号証は、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標を、日本国内において、要証期間に、本件審判請求に係る指定商品について使用されたものであることを証明していない。

第3 被請求人の主張の要点
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び被請求人上申書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、答弁書にて、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。)を、被請求人上申書において、乙第2号証を差し替え、乙第3号証の2、乙第3号証の3、乙第5号証の2、乙第5号証の3、乙第8号証の2、乙第8号証の3、乙第11号証ないし乙第14号証を追加提出した。
なお、被請求人が、被請求人上申書にて、証拠を追加して提出したことに伴い、答弁書で提出された乙第3号証は乙第3号証の1と、乙第5号証は乙第5号証の1と、乙第8号証は乙第8号証の1とそれぞれ読み替える。
1 答弁書及び被請求人上申書による主張の要旨
商標権者は、本件商標を、本件審判請求に係る指定商品に継続的に使用している。
(1)答弁書による主張の要旨
ア 取扱商品について
商標権者が、本件商標のもとに取り扱っている商品は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び二酸化ケイソジルコニウム等を主成分にしたイオン/共有結合微粒子セラミックス・ミネラルで、従前より酸化物系セラミックス素材の一部は量子力学に則った赤外線放射体としての作用が知られ、この商品は特にこの作用が著しいものである(乙1の1)。
また、その商品(素材)の特徴及び有用性は、「各種非金属無機材料・鉱物学的工学、並びに量子力学の進歩及び医学的知見をフィードバックし、最新の工学的手法を導入して製造されたイオン結合・共有結合結晶体混合物で、この素材は、その特徴的なイオン導電体・誘導性を有し、各種作用効果が確認されている(乙1の1)。
特に近年、各種ナノテクノロジー技術を大幅に追加導入し、目的とする作用をより一層強化した高価な現素材成分の大量生産化に成功、各種工学技術製品、食品関連製品並びに医療関連製品の提供及び販売を開始している。
商標権者は、2007年から、「多用途・高誘電性ファインセラミックスES−27」(以下「Methuselah」又は「メトセラ」という。)の委託研究及び開発を実施し、その製品加工の可能性、商品化の可能性を追求し、その結果、現在では種々の分野において本件商標を使用した商品が販売されている(乙2)。
イ 本件審判請求に係る指定商品と本件商標の使用商品について
乙第2号証は、本件審判請求に係る指定商品と本件商標が付されて販売されている商品の対比表である。
これらの商品の包装容器や包装箱上には本件商標が使用されている。
なお、商標権者以外の社や者による開発商品に付された本件商標は、商標権者の使用許諾による使用である。
また、医薬品中には、クリニック等で調合薬剤として患者に渡される商品もある(乙3の1〜乙5の1)。
(2)被請求人上申書による主張の要旨
ア 本件商標に係る指定商品について
本件商標の指定商品である「化学品」又は「薬剤」として使用される「Methuselah メトセラ ES−27」は、乙第1号証に示されているように、「抗菌剤」、「脱臭剤」、「食品の鮮度保持剤」、「皮膚温及び血行促進のためのクリーム状の薬剤」及び「アトピー性皮膚炎に対するクリーム状の薬剤」として等、種々の用途に使用されている。
イ 本件商標に係る商品の流通経路ついて
(ア)第1の販売形態として、原料であるメトセラ粉末が、商標権者から製薬会社である友愛製薬社へ納品され、同社において配合やパッケージ化が行われた後に、製品(例えば、メトセラペレット)として流通経路に置かれる。
友愛製薬社は、会社概要(乙11)に記載されているとおり、商標権者と本社所在地が同一及び代表取締役が同一人であり、商標権者の100%子会社である。
商標権者は、友愛製薬社に対して本件商標の使用許諾を行っており、友愛製薬社は通常使用権者にあたる(乙12)。
そして、製品が流通経路におかれる際には、使用許諾に基づき、製品には本件商標が付されている。
(イ)第2の販売形態として、メトセラ粉末(原料)が、商標権者から友愛製薬社へ納品され、同社において配合が行なわれ、メトセラ粉末を主成分とする「アポトーゼMD」という商品となる。この「アポトーゼMD」が、医療機関へ卸され、薬局において医師の処方せんに基づく調剤が行われ、患者へ種々の形態の薬剤として処方される。この際、患者に手渡される調剤には本件商標が付されており、これも商標権者による本件商標の使用許諾(乙13、乙14)に基づくものである。
(3)本件商標の使用について
ア 処方薬(粉薬、貼り薬)への使用について
乙第3号証の1の1枚目は、MITクリニックで処方された飲み薬の写真であり、本号証の2枚目は、MITクリニックで処方されたシート状の貼り薬の写真である。本処方薬には、「アポトーゼMD」という品名とともに、本件商標(メトセラ\Methuselah)が付されていることが確認できる。これは、商標権者による本件商標の使用許諾(乙14)に基づくものであり、通常使用権者である友愛製薬社の名称も記載されている。加えて、本処方薬のラベルには、本件商標(メトセラ\Methuselah)が商標権者の登録商標であることが明確に表示されている。
以上の点より、指定商品「薬剤」について本件商標が使用されていたことは明白である。
イ 処方薬(粉薬、貼り薬)への使用時期等について
(ア)「アポトーゼMD」とは、本件商標に係るメトセラ粉末を製薬会社や薬局に卸すときに便宜上、商標権者が用いている品名である。販売先に適した配合のメトセラ粉末を製造し、その管理のために「アポトーゼMD」という品名を用いている。品名としては「アポトーゼ」を用いているが、この「アポトーゼ」の主成分が本件商標に係るメトセラ粉末であることは、卸し先の業者も認識しているところである。この点は、消費者に渡る最終形態(乙3の1)においても本件商標が付されていることからも明らかである。
(イ)乙第4号証は、MITクリニックで処方された処方せんであり、処方の欄に記載されている「アポトーゼMD」や「アポトーゼMDシート」の品名は、乙第3号証の1の写真に示した薬剤である。つまり、患者は医師から本処方せんを処方してもらい、それを同医療機関の薬局へ渡すことでこれらの薬剤を購入することとなる。これらの処方せん9枚(乙4)により、少なくとも平成29年(2017年)1月から平成30年(2018年)10月までの間、継続して乙第3号証の1に示した薬剤が処方され販売されていたことが明らかである。
(ウ)乙第9号証は、「アポトーゼMD」を通常使用権者である友愛製薬社が、株式会社ケセラホールディングアンドカンパニー(以下「ケセラ社」という。)へ販売したことを示す納品書である。納品書の備考欄にあるように、ケセラ社を介してMITクリニックヘ納品されている。納品先のMITクリニックにおいて、薬剤(乙3の1)として販売された。これらの納品書7枚(乙9)により、少なくとも平成28年(2016年)3月から同31年(2019年)3月の間、継続して「アポトーゼMD」が納品されていたことが明らかである。
(エ)乙第3号証の2は、商標権者が「アポトーゼMD」を通常使用権者である友愛製薬社に納品するときの商品形態の写真である。本号証の1枚目の写真は、外箱の外観及びラベル部分を拡大して撮影したものである。ラベルの印字欄に記載の日付は製造年月日である。本号証の2枚目は、ラベル部分及び内容物の1つを撮影したものである。このように、各内容物にも製造年月日が刻印されている。外箱ラベル印字欄の記載と内容物に刻印された製造年月日は、一致している。本号証の3枚目は、外箱を開いて内容物の梱包状態を撮影したものである。なお、本「アポトーゼMD」については、商標権者の元に製造毎のサンプルが保管してある。本号証の4枚目は、それらの内の3つを撮影したものであり、上から製造年月日の刻印は、平成28年(2016年)3月26日、同年5月27日及び同年8月19日であることが確認できる。これは、少なくとも平成28年(2016年)3月から同年8月の間、継続して「アポトーゼMD」が製造されていたことを示すものである。
(オ)乙第3号証の3は、通常使用権者である友愛製薬社が、メトセラ粉末を用いた「アポトーゼ」各種の製造を依頼している三協社の日の出工場より発行された配合証明書である。本号証の1枚目は、平成24年(2012年)10月に発行された「アポトーゼMD1000」のものである。これにより、「アポトーゼMD1000」は、メトセラ粉末と他の原料の混合物であることが証明されている。本号証の2枚目は、平成26年(2014年)2月に発行された「アポトーゼMT300P」の配合証明書である。本品にも同様に、メトセラ粉末が含まれていること及び当該メトセラ粉末は通常使用権者である友愛製薬社が支給したものであることが記載されている。
(カ)以上の事実から、少なくとも上記それぞれに示した期間において、通常使用権者が、メトセラ粉末を主成分とする「アポトーゼMD」について製造(乙3の2)及び販売(乙9)していたことは明らかであり、さらに、通常使用権者(乙14)により、種々の処方薬(乙3の1、乙5の1)が患者に販売(乙4、乙5の2、乙5の3)されていたことが明らかである。
よって、商標権者又は通常使用権者が、少なくとも過去3年以内において、日本国内において、「化学品」及び「薬剤」についての登録商標の使用をしていたといえる。
ウ 処方薬(塗り薬)への使用について
乙第5号証の1は、メトセラES−27クリーム(調剤用)の商品写真である。
本品はラベルに記載があるとおり、MITクリニックで処方され患者に販売されたものであり、乙第3号証の1に示した「アポトーゼMD」の飲み薬と同じ経緯で販売されたものである。
このことは、乙第4号証の1枚目右の平成29年(2017年)6月23日交付の処方せんからも読み取ることができる。処方せんでは、「アポトーゼMDクリーム(トコフェロール加調剤)」と表記されているが、これは「アポトーゼMD」を含むクリームとの意であり、本号証の写真にあるメトセラES−27クリーム(調剤用)を指すものである。本写真から明らかなように、本品についても患者に渡される最終商品形態に本件商標(メトセラ\Methuselah)が明示されている。これが、商標権者による本件商標の使用許諾によるものであることは、上記の処方薬(粉薬、貼り薬)の場合と同様である(乙14)。
本商品「メトセラクリーム」は、乙第1号証の1の30頁ないし32頁に記載のとおり、「アトピー性皮膚炎に対するクリーム状の薬剤」としての効果を有しているものである。また、本商品「メトセラクリーム」は、乙第1号証の1の26頁に記載のとおり「皮膚温及び血行促進」の効果も有しているものである。
さらに使用事実を示すと、乙第5号証の2及び乙第5号証の3は、MITクリニックにおける診療記録であり、それぞれ「診療録、カルテ、処方せん、薬剤処方メモ」で一組となっている。各ページに記載されている「患者氏名の一部開示部分」及び「日付」より、これら4枚の記録が一連のものであることが分かる。
乙第5号証の2は61歳男性のもの、乙第5号証の3は67歳男性のものであり、それぞれ、2枚目に示したカルテより、医師によって「メトセラクリーム」が処方されたことが分かる。「メトセラクリーム」は乙第5号証の1に商品写真を示したものである。これは、患者の症状に合せて処方されるもので、乙第5号証の2や乙第5号証の3の患者の場合には、2枚目に示したカルテや3枚目に示した処方せん(同日に交付されたもの)からも読み取れるように、キンダベー卜軟膏を基剤としてメトセラ成分を配合して調剤されている。患者は3枚目の処方せんを持って薬局に行き「メトセラクリーム」を購入する。その際に、処方された薬剤と一緒に4枚目に示した薬剤処方メモが手渡される。ここで、「同時に処方した軟膏」と記載されているのが、乙第5号証の1に商品写真を示した「メトセラクリーム」となる。
よって、少なくとも平成30年(2018年)5月29日と同年8月4日に、「メトセラクリーム」が処方薬として販売されていたことが明らかであり、乙第5号証の1に示した商品写真のとおり、そのパッケージには、商標権者のMITクリニックへの使用許諾(乙14)に基づき本件商標が付されているので、通常使用権者が本件商標をその指定商品である「薬剤」及び「アトピ一性皮膚炎に対するクリーム状の薬剤」並びに「皮膚温及び血行促進のためのクリーム状の薬剤」に使用していたことは明らかである。
以上より、通常使用権者が、少なくとも過去3年以内に、日本国内において、「薬剤」及び「皮膚温及び血行促進のためのクリーム状の薬剤」並びに「アトピー性皮膚炎に対するクリーム状の薬剤」についての登録商標の使用をしていたことは明らかである。
エ 商品「メトセラペレット ES−27」への使用について
乙第8号証の1は、友愛製薬社により製造及び販売されている「メトセラペレットES−27」の商品写真であり、本製品は、メトセラ成分を含むものである。
本号証の1枚目の写真のとおり、「メトセラペレットES−27」の商品パッケージ表面には、本件商標(メトセラ\Methuselah)が付されている。
本号証の3枚目は、当該「メトセラペレットES−27」の説明書であり、ここにも本件商標(メトセラ\Methuselah)が付されている。
乙第8号証の3は、通常使用権者である友愛製薬社が、乙第8号証の1の写真に示された「メトセラペレット」を、販売会社の1つである友愛インターナショナル株式会社(以下「友愛インターナショナル社」という。)に卸した事実を示す納品書であり、友愛製薬社は、電話注文等に応じて本商品をユーザーヘ販売している。本納品書から、通常使用権者である友愛製薬社は、少なくとも平成28年(2016年)5月から同31年(2019年)1月までの間、継続して本商品を販売していたことが明らかである。
次に、乙第8号証の1の4枚目は、本商品についてネットショップ【楽天市場】での現在の販売を示すウェブページのハードコピーであり、令和元年(2019年)5月23日に出力したものである。
また、乙第8号証の2は、ネットショップ【Amazon】での現在の販売を示すウェブページのハードコピーであり、令和元年(2019年)7月16日に出力したものであり、本号証における「Amazon.co.jpでの取扱い開始日」欄に記載されているように、本商品はネットショップ【Amazon】において平成23年(2011年)6月13日から現在まで継続して販売されているものである。
以上より、通常使用権者が、少なくとも過去3年以内において、日本国内において、指定商品「化学品」についての登録商標の使用をしていたことは明らかである。
2 まとめ
以上述べたとおり、商標権者又は通常使用権者が少なくとも過去3年以内において、指定商品について登録商標の使用をしていたことは明らかである。

第4 当審における審尋
審判長は、被請求人に対し、令和3年1月21日付けで、合議体の暫定的見解を示し、被請求人が答弁書及び被請求人上申書で提出した乙各号証によっては、要証期間に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標を使用していることを証明しているものとはいえない旨の審尋を送付し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。

第5 審尋に対する被請求人の主張
被請求人は、前記第4の審尋及び弁駁書2による請求人の主張に対し、令和3年2月25日付け(令和3年2月24日差出)の回答書により乙第15号証として提出されたU氏による審尋に対する回答において要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第15号証及び乙第A号証ないし乙第F号証(枝番号を含む。)を提出し、乙第5号証の2の欠落部分を追加補充した。
なお、乙第A号証ないし乙第F号証については、乙第A号証は乙第16号証と、乙第B号証は乙第17号証と、乙第C号証は乙第18号証と、乙第D号証は乙第19号証と、乙第E号証は乙第20号証と、乙第F号証(枝番号を含む。)は、乙第21号証(枝番号を含む。)とそれぞれ読み替える。
1 審尋に対する回答
令和3年1月21日付け審尋において示された合議体の暫定的な見解及び弁駁書1並びに弁駁書2による請求人の主張に対し、MITクリニックの院長U氏が作成した回答書(乙15)を提出する。回答の内容は、以下のとおりである。
(1)本件商標の使用に係る商品について
ア 乙第1号証の1が、商取引を対象とした商品カタログ等の取引書類とは異なる研究資料にすぎないとの見解について
乙第1号証の1の表紙には、上段に「Material interview form」と表題が記載されている。この「インタビューフォーム(略称IF)」とは、一般的に医薬業界における、処方せん医薬品の添付文書では不十分な情報を補うために企業から提供される総合的な情報提供文書である、と認識されて繁用される文書である。
このことから、乙第1号証の1は、開発元企業が「Methuselah メトセラES−27」素材を、将来に処方せん医薬品としての承認取得を想定したうえで用意したインタビューフォームであり、開発元企業が顧客業者に情報提供するための、まさに営業も含む商取引を対象として作成された情報提供文書であると認識されるものである。
なお、右上余白にある業務関係者専用研究資料【一般閲覧配布・コピー・引用を禁ずる】との文言であるが、そもそも当該資料は一般の最終ユーザーには配布を想定しておらず、配布した開発元企業が、営業先企業・医療機関等から、許可なく、二次的に一般ユーザーヘ流出させることを抑止するための「注意喚起」事項として記載したものである。
以上の理由により、乙第1号証の1は「単なる研究資料」ではなく、開発元企業が作成し、業者間での商取引を目的とした純然たる営業資料の一つである。
イ 「Methuselah メトセラES−27」が、本件審判請求に係わる指定商品に含まれるものであるのか明らかではないとの見解について
本件審判請求の対象に該当する商品として、乙第1号証の40頁の商品ラインナップに「薬用メトセラES−27アポトーゼMD1000医療調剤用(2012.10発売)」との記載がなされており、本件審判請求に係わる指定商品であることを明確に示されている。
ウ 「Methuselah メトセラES−27」が、実際に譲渡や引き渡しをされた事実を証明するための証左を提出していないとの見解について
本件商標については、乙第12号証ないし乙第14号証において、商標権者が、それぞれ友愛製薬社、MITクリニック及びその院長U氏に対し通常使用権の許諾契約を締結していたことを証明している。
(2)本件商標に係る商品の流通経路について
ア メトセラ粉末と称するものが「Methuselah メトセラES−27」と同じものであるのか明らかではなく、また、「メトセラ粉末」が、商標権者から友愛製薬社に納品された事実が確認できる証左は提出されていないとの見解について
「メトセラ粉末」とは商標権を受託した友愛製薬社が、商品営業を必要としない委託業者間において使用する略称であり、双方は事前にその実際の商品名称が「Methuselah メトセラES−27アポトーゼMD」であることを認知した上で取引が行われているのは至極当然である。
なお、当該商品は、開発元企業である商標権者によってその考案並びにレシピ定義がなされ、その商標使用権を受諾した友愛製薬社がその製造並びに販売を行ったものと説明を変更する。
したがって、当該商品は商標権者から友愛製薬社に納品されたのではなく、商標使用権を受託した友愛製薬社が、別途外部企業に製造委託を行ったのちに商品化されているものである。次いで、その後に、友愛製薬社が自社努力によって獲得した営業先企業・医療機関等に対する納品が行われたものである。
なお、そうした商品の存在自体は、乙第1号証の40頁記載の商品名称において確認可能であり、納品事実に関しては商標使用権許諾を受けた友愛製薬社の取引関連経理書類の証拠(乙16:友愛製薬社が販売先法人に対して作成した納品書ならびに請求書)で確認可能である。
また、当該証拠は経理処理を前提とした一連の事務書類にすぎず、営業目的の資料ではない。そのため、商標そのものの記載義務及び必要性もなく、呼称についても業者間での代替名称、「メトセラ粉末」等が使用される場合があっても何らおかしなことではない。
イ 「アポトーゼMD」と本件商標とは、構成等が異なるとの見解について
医師の処方せんに基づく院内調剤に供される商品とは、「Methuselah メトセラES−27アポトーゼMD」であり、医療機関におけるカルテ等記載上の略称を便宜上「アポトーゼMD」としているものと説明を変更する。
ウ 「アポトーゼMD」の写真(乙3の1)は、撮影日、撮影場所等が不明であるとの見解について
提出した当該処方医薬品の写真に関しては処方元医療機関の協力により日常の処方状況証拠として参考に提供されたものであり、乙号証として提出したカルテ並びに処方物と同一のものではない。
しかしながら、当該処方状況が提出医療機関の開設日(平成24年8月24日)以降、本件審判の要証期間においても何ら変更なく実行されていたことを証する乙第17号証及び乙第18号証(乙17:MITクリニック院長証言書、乙18:要証期間においてMITクリニックが友愛製薬社に提出した研究用データ解析資料)を追加提出する。
エ ビニールの包装に収納された「アポトーゼMD」と称する商品が、実際に薬剤であることも確認できないとの見解について
診療録(カルテ)及び処方せんは医師法第24条で定められた書類であり、医薬品として処方がなされたことを示す一方、各種刑事、民事等訴訟等においてもその証拠性が充分に認められる資料であり、記載医の処方権、調剤権によって真になされた事実を証するものである。
オ ビニールの包装には、「アポトーゼMD(医薬品)」、「毎食後」及び「東京MITクリニック」の記載が確認できるものの、製薬会社の友愛製薬社の記載がなく、これらが束ねられた帯状の白色包装紙には、本件商標と同様の図形及び「Methuselah」の文字が記載されているものの、当該包装紙が、要証期間に存在していたのかは不明であり、当該包装紙は容易に着脱可能であるとの見解について
ビニール包装のアポトーゼMDの写真は、各々の患者に処方する際の分包包装と呼ばれるものであり、その表記には自動分包調剤機の印字機能による字数等の制約が排除できないものである。
したがって、処方調剤される分包への表記は「アポトーゼMD(医薬品)、毎食後、東京MITクリニック」に留め、改めてそれらを束ねる薬帯にその他の必要情報を印字し、患者に対する窓口処方時の目視確認と内容物の説明用途に供されているものである。
なお、日常の服用容易性を考慮すべき個々の分包包装は、非常に繊細であり、当然、薬帯自体が完全固着してそれぞれの分包を破損せぬよう、剥離性も考慮した態様とするのが当然である。しかも、各々の患者にはすべて目前にて薬袋の記載内容に説明が加えられるため、処方手渡し時点で表記された商標に関する公知はすべて完了している。
カ 「薬剤 アポトーゼMD1000」の写真(乙3の1) は、「アポトーゼMD」と称する商品が、ビニールの包装に収納されているのに対し、乙第3号証の2の「アポトーゼMD1000」と証する商品の包装は、ビニールの包装ではなく、かつ、帯状の白色包装紙が巻かれていないとの見解について
ビニール包装のアポトーゼMDの写真は、医療機関が所有する調剤分包機によって各々の患者用に対して分包処方された後の態様を示したものである。
一方、ビニール包装ではなく、白色包装紙(薬帯)も巻かれていないアポトーゼMDについては、友愛製薬社より医療機関に到着、開梱直後の「原末」包装を撮影した写真である。
処方に際しては医師の処方せん指示にしたがって、原末包装が適量開封され、各々の症例に応じた調剤の後にビニール包装となった分包処方薬となり、窓口における各々の患者への説明を経たのちに手渡されているものである。
キ 「アポトーゼMDシート」は、外用薬と記載されているが、商品の内容が明らかではないとの見解について
アポトーゼMDシート(外用薬)の例示が、乙第5号証の1にその内容が示されているが、処方の指示内容によって調剤時には医師の裁量権によるアポトーゼMD以外の医薬品追加アレンジが充分ありうるものであり、全処方に同一レシビが適応されるものではない。
(3)本件商標の使用について
ア ケセラ社とMITクリニックとの関係は明らかではなく、納品書とともに発行すると考えられる友愛製薬社発行の代金請求書の提出もなく、さらに、納品書に対応するケセラ社が発行する商品受領書等が提出されていないとの見解について
ケセラ社はMITクリニックが医療コンサルティング業務を委託した法人であり、「Methuselah メトセラES−27アポトーゼMD」の納品に際する帳簿上処理については、友愛製薬社からケセラ社を経てMITクリニックにいたる経路によってなされている。
これを証するため、帳簿書類(友愛製薬社からケセラ社の請求書、納品書、及びケセラ社とMITクリニック間における経理証拠写し。)を乙第19号証として追加する。
イ 「アポトーゼMD」を、患者が保険薬局で受け取る場合、乙第3号証の1の写真に掲載された状態で、譲渡されるとは考え難いとの見解について
MITクリニックにおけるアポトーゼMDを用いた処方調剤はすべてMITクリニック内部での院内調剤及び院内処方であるため、こうした疑義は該当しない。
ウ 処方せんに本件商標(社会通念上同一の商標も含む。)の記載は確認できないとの見解について
医療記録もかねて発行される処方せんは広告媒体にあらず、通常の態様として個別の薬剤商標までもが記載されることがあったなら、それ自体が不自然なことである。
エ 2016年3月26日、同年5月27日及び同年8月19日に製造された「アポトーゼMD1000」が、3年又は3年近く保管されていること、及び、2019年3月29日に製造された「アポトーゼMD1000」と同じ包装箱で保管され、製造日が明らかに異なる薬剤を、混在して納品するとは考え難いとの見解について
製造時期に差があるアポトーゼMDのアルミ包装写真については、製造元である友愛製薬社での品質管理上のサンプル抽出品として保管していたものを、証拠として提出したにすぎず、製造日が明らかに異なるものを混在納品した事実を示すものではない。
オ 「アポトーゼMD1000」及び「アポトーゼMT300P」にメトセラ粉末が、配合されていることは推認できるが、当該配合証明に、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)の記載は確認できず、また、当該配合証明書は、いずれも、要証期間外に発行されたものであるとの見解について
当該証明書はそもそも営業資料では無く、当然に本件商標等自体を示す必要はない。
カ 包装容器の蓋に本件商標の構成中の図形とその下に「Methuselah」の文字が記載されていることは、確認できるが、包装容器の内容物が「メトセラES−27クリーム(調剤用)」であることは確認できないこと、及び「メトセラES−27クリーム(調剤用)」は、「調剤用」の文字を有するため、調剤に使用するものと考えられるところ、調剤用の商品が、医療機関から処方され、患者に直接販売されたとは直ちに考え難いとの見解について
「Methuselah メトセラES−27」を用いた処方調剤軟膏・クリームについても、MITクリニックにおいて都度、その他薬剤も時に混合調剤した後に患者処方として供するものである。
また、容器については友愛製薬社からの無償提供物であり、ラベルにある「調剤用」との表記は、この容器が院内処方によって調剤された軟膏・クリーム類の充填用途に使用する意で印字されたにすぎず、「調剤用の商品」であることを示した表記ではない。
(4)本件商標を用いた医薬品の広告・告知にあたり、遵守事項があることについて
医療機関にて処方調剤となった「Methuselah メトセラES−27アポトーゼMD」は、現行の医薬法制度下において未だ未承認の医薬品であり、保険医薬品と対比して「未承認医薬品」に分類される点にある。
実際、保険医薬品として例え未承認の医薬品であっても、医師の裁量権によれば自由診療の診療スタイルと処方調剤権行使によって、その処方は適法とされるが、不特定多数の一般消費者を対象とした各種メディア媒体・インターネット等への広告・公知は認められていない(乙20)。
そのため、末端ユーザーとなる個人患者に処方される「Methuselah メトセラ ES−27アポトーゼMD」の商標を用いた広告は、おのずと商標権者あるいは本件商標の使用許諾を受けた友愛製薬社と、それを購入しようとする個別取引先企業・医療機関の間での個別広告公知、あるいは当該商品を用いて処方調剤を行った医師個人から、その処方を受ける患者個人に対する個別広告公知に限定されてしまうのが現状である。
こうした理由により、請求人にとって、商標権者等による広告・公知を含む本件商標の使用実績が見えづらい環境にあったことも容易に推測できるものである。
しかしながら、本件商標の認知向上には、「医薬品」の固有名称をあえて記載しないイメージ広告・公知方法においても実施可能であり、これまでに要証期間も含み、複数の各種印刷物・イベント等での広告・公知を実施してきた実績がある。商標権者による広告・公知努力につき、その実績・実体を示す資料として、帝国データニュース掲載資料、格闘技イベントでの広告ボード等の写真等(乙21)を提出する。
2 請求人の主張に対する回答
請求人は、「乙第3号証の1の写真に示されている本件商標は、本件審判の請求による登録取り消しを免れるためだけに後から付け加えられたおそれがある。」と主張するが、「Methuselah ES−27アポトーゼMD」に関わる処方のすべてが院内調剤によるものであり、保険薬局を通じて処方されるものではない。また、印字の誤表記については、当時作業を行った事務担当者の単なるミスによるもので、取り立てて議論すべき内容ではない。

第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の主張及び同人の提出した乙各号証によれば以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証について
ア 乙第1号証の1は、「多用途・高誘導性ファインセラミックスES−27の業務関係者専用研究資料」であり、本号証の1葉目に別掲3のとおりの標章が記載されている。
また、本号証の40頁の「8.商品ラインアップ」の欄の「8−1 品名および発売日」における項目の「11」に、「メトセラES−27ミトコアmore(2017.1発売)」の記載、項目の「12」に、「メトセラES−27ミトコアLight(2017.7発売)」の記載がある。
なお、本号証には、各頁に「CopyrightC(Cは○付き)2007−2017 SEIKOSYA Inc.,Japan.All Rights Reserved」の記載があり、「SEIKOSYA Inc.,」は、商標権者である「株式会社成幸社」の名称を英語で表記したものと推認でき、また、「2007−2017」の記載から、要証期間に当該資料は存在していたことは推認できるものの、当該資料の発行数量及び頒布先等は不明である。
イ 乙第1号証の2は、被請求人が、「多用途・高誘導性ファインセラミックスES−27の業務関係者専用研究資料」(乙1の1)の40頁に記載の商品に関する一覧表と主張するものであり、本号証の上部に「多用途・高誘電性ファインセラミックス ES−27」の記載、その下に「メトセラ」の文字の記載、その下に「Methuselah」の文字の記載、その下に、別掲4のとおりの標章が記載され、その下の表中、「11」の項目の品名として「メトセラ ES−27 ミトコア more」の記載、発売日として「2017年1月」の記載、「商品の推移」として「販売中」の記載、「製造者:友愛製薬(株)」の記載及び「販売者:シンゲンメディカル(株)」の記載がある。
なお、本号証の作成日、発行数量及び頒布先等は不明である。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、被請求人が「取消対象商品と被請求人商品との対照リスト」と主張するものである。
本号証の1葉目に「審判番号 取消2019−300210号」の記載、「商標登録番号第5287350号」の記載、取消対象商品の「第1類」の表中「被請求人の取扱商品」の欄に「アポトーゼMD」の記載、「第5類」の表中「アトピー性皮膚炎に対するクリーム状の薬剤」及び「皮膚温及び血行促進のためのクリーム状の薬剤」の項目の「被請求人の取扱商品」の欄に「メトセラクリーム」の記載、「抗菌剤(工業用のもの及び洗濯用のものを除く。)」及び「脱臭剤(工業用及び身体用のものを除く。)」の項目の「被請求人の取扱商品」の欄に「アポトーゼMD」の記載がある。
なお、乙第2号証の作成日、発行数量及び頒布先等は不明である。
(3)乙第3号証について
ア 乙第3号証の1の1葉目は、被請求人が「アポトーゼMD」と称する商品の写真と主張するものであり、本号証の左上に「薬剤 アポトーゼMD1000」の記載、その下に、「アポトーゼMD」と称する商品の写真が掲載され、その画像におけるビニール包装袋の表面に「アポトーゼMD(医薬品)」の記載、「毎食後」の記載、「東京MITクリニック」の記載がある。
また、ビニール包装袋を束ねた帯状印刷物の表面に、別掲5のとおりの標章が記載され、その下に「アポトーゼMD」の記載、その下に「友愛製薬株式会社」の記載があり、帯状印刷物の裏面には、幾何図形とその横に、「Methuselahおよびメトセラ Methuselah(メトセラ及びMethuselahは上下二段に書されている。以下同じ。)は株式会社成幸社の登録商標です。」の記載がある。
なお、ビニール包装袋に内包された商品の詳細は確認することができない。
また、帯状印刷物は、作成日が明らかではなく、かつ、帯状印刷物は、容易に着脱することができる状態であることから、商品「アポトーゼMD」の包装とは認められない。
さらに、当該写真の撮影日及び撮影場所は不明である。
イ 乙第3号証の1の3葉目は、被請求人が「アポトーゼMDシート」と称する商品の写真と主張するものであり、本号証の左上に「外用薬 アポトーゼMDシート」の記載、その下に「アポトーゼMDシート」と称する商品の写真が掲載され、その画像における包装袋の表面の白色の紙に、別掲6のとおりの標章が記載され、また、「Methuselahおよびメトセラ Methuselah(メトセラ及びMethuselahは上下二段に書されている。)はは株式会社成幸社の登録商標です。」の記載がある。
なお、「アポトーゼMDシート」がいかなる商品であるのか、その詳細は確認することができない。
また、当該写真の撮影日及び撮影場所は不明である。
ウ 乙第3号証の2は、被請求人が「アポトーゼMDの流通形態を示す写真」と主張するものであり、本号証の1葉目には、段ボール箱の画像であり、段ボールに貼付された白い紙の「商品名」の欄に「アポトーゼMD1000」の記載、「内容量」の欄に「100包×10袋」の記載、「印字」の欄に「2019.03.28」の記載があり、本号証の2葉目及び3葉目には、銀色と思しき包装袋に「2019.03.29」の記載がある。
なお、銀色と思しき包装袋に内包された商品は確認することができず、また、乙第3号の1葉目の画像における「アポトーゼMD」と思しき商品の包装はビニール包装袋であるのに対し、乙第3号証の2の画像における「アポトーゼMD」と思しき商品の包装は銀色の包装袋であり、包装袋が相違する。
エ 乙第3号証の3は、三協社の日の出工場が友愛製薬社に平成24年10月11日及び同26年2月7日に発行した「配合証明書」であり、本号証の1葉目の平成24年10月11日付けの配合証明書の「製品名」の欄に「アポトーゼMD1000」の記載、「原材料」の欄の下に「メトセラ粉末」の記載があり、本号証の2葉目の平成26年2月7日付けの配合証明書の「製品名」の欄に「アポトーゼMT300P」の記載、「原料名」の項目の下に「メトセラ粉末(御支給)」の記載がある。
なお、本号証に本件商標の記載はなく、また、配合証明書の発行日は、いずれも要証期間外である。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、MITクリニックが、平成29年8月23日、同年6月23日、同30年4月17日、同29年10月31日、同30年7月6日、同年6月19日、同年10月30日、同年7月18日及び同年9月5日に発行した処方せんの写しである。
本号証の1葉目の右側の平成29年6月23日付け発行の処方せんにおける「処方」の欄に「アポトーゼMD(10日分) 330包」及び「アポトーゼMDクリーム(トコフェロール加調剤) 2枚」の記載があり、左側の同年8月23日付け発行の処方せんにおける「処方」の欄に「アポトーゼMD(10日分) 330包」の記載があり、本号証の2葉目の右側の同年10月31日付け発行の処方せんにおける「処方」の欄に「アポトーゼMD(10日分) 330包」の記載があり、左側の同30年4月17日付け発行の処方せんにおける「処方」の欄に「アポトーゼMD(10日分) 330包」及び「アポトーゼMDシート(グリセリン加調剤) 2枚」の記載があり、本号証の3葉目の右側の同年6月19日付け発行の処方せんにおける「処方」の欄に「アポトーゼMD(10日分) 330包」及び「アポトーゼMDクリーム(クロベタゾン加調剤) 2枚」の記載があり、左側の同年7月6日付け発行の処方せんにおける「処方」の欄に「アポトーゼMD(10日分) 330包」及び「アポトーゼMDクリーム(クロベタゾン加調剤) 2枚」の記載があり、本号証の4葉目の右側の同年7月18日付け発行の処方せんにおける「処方」の欄に「アポトーゼMD(10日分) 330包」及び「アポトーゼMDシート(グリセリン加調剤) 2枚」の記載があり、左側の同年10月30日付け発行の処方せんにおける「処方」の欄に「アポトーゼMD(10日分) 330包」及び「アポトーゼMDシート(プレドニゾロン加調剤) 2枚」の記載、本号証の5葉目の同年9月5日付け発行の処方せんにおける「処方」の欄に「アポトーゼMD(10日分) 330包」の記載がある。
なお、これらの処方せん(9枚)には全て「(この処方せんは、どの保険薬局でも有効です。)」の記載があり、MITクリニック以外の保険薬局で調剤されるものであることが推認できる。
さらに、これらの処方せんに本件商標の記載はない。
(5)乙第5号証について
ア 乙第5号証の1は、被請求人が「メトセラES−27クリーム」と称する商品の写真と主張するものであり、本号証の1葉目の右上に、「2019.5.9」の記載、左上に、「メトセラES−27クリーム(調剤用) 内容量50g」の記載とその下にプラスチック製の容器の画像が掲載され、プラスチック製の容器のふたには、幾何図形の下に「Methuselah」の記載、容器の裏に「東京MITクリニック」の記載、不鮮明であるが図形及び「Methuselah」の記載がある。
なお、プラスチック製の容器の内容物の確認はできず、本号証から、「メトセラES−27クリーム」がどのような商品であるのかについて確認することはできない。
また、プラスチック製の容器の写真の撮影日と思しき2019年5月9日は、要証期間外である。
本号証の2葉目は、被請求人が「メトセラRペレット(Rは○付き文字である。以下同じ。)」と称する商品の写真と主張するものであり、本号証の2葉目の右上に「2019.5.9」の記載、左上に、「パッチ」及び「患部に薬剤を塗布後、パッチを貼る」の記載とその下に紙箱の画像が掲載され、紙箱の表面に「メトセラRペレット」の記載、その下に、幾何図形及び「Methuselah pellet」の記載及び紙箱の右上部分に「一般医療機器」の記載がある。
なお、紙箱の内容物の確認はできず、本号証から、「メトセラRペレット」がどのような商品であるのかについて確認することはできない。
また、「メトセラRペレット」の写真の撮影日と思しき2019年5月9日は、要証期間外である。
加えて、「メトセラRペレット」は、「一般医療機器」の記載があることからすると、商品「薬剤」の範ちゅうに属する商品ではない。
本号証の3葉目は、被請求人が「アポトーゼMD」と称する商品の写真と主張するものであり、本号証の3葉目の右上に「2019.5.9」の記載、左上に「薬剤(メトセラ)」の記載とその下に、「アポトーゼMD」と称する商品の写真が掲載され、その画像におけるビニール包装袋の表面に「アポトーゼMD(医薬品)」の記載、「毎食後」の記載、「東京MITクリニック」の記載がある。
また、ビニール包装袋を束ねた帯状印刷物の表面に、別掲5のとおりの標章が記載され、その下に「アポトーゼMD」の記載、その下に「友愛製薬株式会社」の記載がある。
なお、ビニール包装袋に内包された商品の詳細は確認することができない。
また、帯状印刷物は、作成日が明らかではなく、かつ、帯状印刷物は、容易に着脱することができる状態であることから、商品「アポトーゼMD」の包装とは認められない。
加えて、当該写真の撮影日と思しき2019年5月9日は、要証期間外である。
本号証の4葉目は、「がん消滅の可能性」等の題号の書籍5冊の画像である。
本号証の5葉目は、1葉目のプラスチック製の容器を拡大したと思しき写真であり、左上に「調剤用クリーム」の記載、その下に、プラスチック製容器の画像が上下に掲載され、上の画像のプラスチック製の容器のふたには、幾何図形の下に「Methuselah」の記載、下の画像の容器の裏に「東京MITクリニック」の記載、不鮮明であるが幾何図形及び「Methuselah」の記載がある。
なお、プラスチック製の容器の内容物の確認はできず、また、写真の撮影日も確認することができない。
イ 乙第5号証の2は、被請求人が「61歳男性の診療記録(診療録、カルテ、処方せん、薬剤処方メモ)」と主張するもので、回答書により、診察録の3葉目が追加で提出されている。
そして、本号証の1葉目の診察録の左下に、「発行日」として「平成30年05月29日」の記載、診察録の3葉目の追加により、本号証の4葉目の「処方せん」の表中の「交付年月日」の欄に「平成30年5月29日」の記載、本号証の5葉目の「薬剤処方メモ」の表中の「日付」の欄に「5/29」の記載がある。
なお、これらの書類に本件商標の記載はない。
ウ 乙第5号証の3は、被請求人が「67歳男性の診療記録(診療録、カルテ、処方せん、薬剤処方メモ)」と主張するものであり、本号証の1葉目の診察録の左下に、「発行日」として「平成30年08月10日」の記載、本号証の3葉目の「処方せん」の表中の「交付年月日」の欄に「平成30年8月24日」の記載、本号証の4葉目の「薬剤処方メモ」の表中「日付」の欄に「8/24」の記載がある。
なお、これらの書類に本件商標の記載はない。
(6)乙第6号証について
乙第6号証は、被請求人が、メトセラパッチシートの写真と主張するものであるが、メトセラパッチシートの具体的内容や写真の撮影日等は明らかではない。
なお、メトセラパッチシートが「薬剤」に該当する商品とは考え難いものである。
(7)乙第7号証について
乙第7号証は、被請求人が、メトセラパッチ粒の写真と主張するものであるが、メトセラパッチ粒の具体的内容や写真の撮影日等は明らかではない。
なお、メトセラパッチ粒が「薬剤」に該当する商品とは考え難いものである。
(8)乙第8号証について
ア 乙第8号証の1は、被請求人が、メトセラペレットの写真と主張するものであり、本号証の1葉目の紙箱の画像の表面に「メトセラRペレット」の記載、その下に、図形及び「Methuselah pellet」の記載及び「一般医療機器」の記載がある。
本号証の2葉目は、紙箱の裏面と思しき画像であるが、不鮮明であるため記載の内容は確認できない。
本号証の3葉目は、被請求人が、「メトセラRペレット」の取扱い説明書と主張するものであり、左上に図形とその横に「Methuselah」の記載、「メトセラRペレット」の記載、「一般医療機器」の記載がある。
本号証の4葉目は、ネットショップ【楽天市場】メトセラペレットの通販のページの写しであり、紙箱の画像の表面に「メトセラRペレット」の記載等があるが、この商品の情報掲載日は明らかではない。
また、「メトセラRペレット」は、「一般医療機器」の記載があることからすると、商品「薬剤」の範ちゅうに属する商品ではない。
イ 乙第8号証の2は、Amazon.co.jpにおける「メトセラRペレット」の販売ページの写しであり、「メトセラRペレット【一般医療機器】」の記載及び紙箱の画像の表面に「メトセラRペレット」の記載等があるが、「メトセラRペレット」は、「一般医療機器」の記載があることからすると、商品「薬剤」の範ちゅうに属する商品ではない。
ウ 乙第8号証の3は、友愛製薬社が友愛インターナショナル株式会社に対し発行した納品書であり、本号証の1葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成28年4月30日」の記載、「納品書NO:7280409」の記載及び「数量」の欄に「35」の記載、本号証の2葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成28年5月31日」の記載、「納品書NO:7280505」の記載及び「数量」の欄に「4」の記載、本号証の3葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成28年6月30日」の記載、「納品書NO:7280605」の記載及び「数量」の欄に「1」の記載、本号証の4葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成29年1月31日」の記載及び「納品書NO:8290109」の記載、本号証の5葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成29年2月28日」の記載、「納品書NO:8290206」の記載及び「数量」の欄に「10」の記載、本号証の6葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成29年6月30日」の記載、「納品書NO:8290606」の記載及び「数量」の欄に「2」の記載、本号証の7葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成29年9月30日」の記載、「納品書NO:9290903」の記載及び「数量」の欄に「30」の記載、本号証の8葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成30年4月30日」の記載、「納品書NO:9300406」の記載及び「数量」の欄に「20」の記載、本号証の9葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成30年6月30日」の記載、「納品書NO:9300605」の記載及び「数量」の欄に「3」の記載、本号証の10葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成30年9月30日」の記載、「納品書NO:10300909」の記載及び「数量」の欄に「2」の記載、本号証の11葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成30年11月30日」の記載、「納品書NO:10301107」の記載及び「数量」の欄に「40」の記載、本号証の12葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成31年1月31日」の記載、「納品書NO:10310107」の記載及び「数量」の欄に「1」の記載があり、これらの納品書には、「友愛製薬株式会社」の記載、「友愛インターナショナル株式会社御中」の記載、表中「商品名」の欄に「メトセラペレット」の記載があるが、「メトセラペレット(メトセラRペレット)」は、「薬剤」の範ちゅうに属する商品ではない。
(9)乙第9号証について
乙第9号証は、友愛製薬社がケセラ社に対し発行した納品書であり、本号証の1葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成28年3月1日」の記載、「納品書NO:7280301」の記載及び「数量」の欄に「800」の記載、本号証の2葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成28年11月1日」の記載、「納品書NO:8281101」の記載及び「数量」の欄に「800」の記載、本号証の3葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成29年6月2日」の記載、「納品書NO:8290601」の記載
及び「数量」の欄に「600」の記載、本号証の4葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成29年11月1日」の記載、「納品書NO:9291101」の記載並びに「数量」の欄に「600」及び「50」の記載、本号証の5葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成30年4月2日」の記載、「納品書NO:9300401」の記載及び「数量」の欄に「400」の記載、本号証の6葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成30年12月4日」の記載、「納品書NO:10−3012」の記載及び「数量」の欄に「600」の記載、本号証の7葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成31年3月1日」の記載、「納品書NO:10−3103」の記載及び「数量」の欄に「600」の記載があり、これらの納品書には、「友愛製薬株式会社」の記載、「株式会社ケセラホールディングスアンドカンパニー御中」の記載、表中「商品名」の欄に「アポトーゼMD1000 10g」の記載があるが、これらには、本件商標の記載はない。
(10)乙第10号証について
乙第10号証は、株式会社スズケンがMITクリニックに対し発行した納品書であるが、株式会社スズケンとMITクリニックとの関係は明らかではなく、本件商標の記載もない。
(11)乙第11号証について
乙第11号証は、商標権者及び友愛製薬社のホームページの写しであり、商標権者と友愛製薬社は、住所が同一であり、また、商標権者の代表取締役と友愛製薬社の代表取締役が同一の者であることが確認できる。
(12)乙第12号証について
乙第12号証は、商標権者の代表取締役と友愛製薬社の代表取締役が、平成22年4月22日に作成した「覚書」であり、「覚書」の標題の下に、「株式会社成幸社(以下、甲という。)と友愛製薬株式会社(以下、乙という。)は、甲の所有する登録商標第5287350号及び同第5309150号(以下、「本件商標」という。)に関し、次のとおり覚書を締結する。」の記載、その下の「第1条」の項目に「甲は、本件商標の通常使用権を、下記のとおり乙に許諾し、乙は、甲の本件商標に関する保護及び管理の責任を負うものとする。」の記載、「1.本件商標:商標登録番号第5287350号及び同第5309150号」の記載、「2.使用を許諾する地域:日本国内」の記載、「3.使用を許諾する商品:機能性セラミック(メトセラ)配合商品」の記載、「4.使用期間:本覚書締結の日から1年間とする。但し、有効期間満了の1ヶ月前までに甲又は乙より別段の申し出がない場合は、1年間更新され以後も同様とする。」の記載、「甲」の項目に「株式会社成幸社」の記載及び「代表取締役」にI氏の記載があり、「乙」の項目に「友愛製薬株式会社」の記載及び「代表取締役」にI氏の記載がある。
(13)乙第13号証について
乙第13号証は、商標権者の代表取締役とU氏が、平成22年5月24日に作成した「覚書」であり、「覚書」の標題の下に、「株式会社成幸社(以下、甲という。)とU氏(以下、乙という。)は、甲の所有する登録商標第5287350号および同第5309150号(以下、「本件商標」という。)に関し、次のとおり覚書を締結する。」の記載、その下の「第1条」の項目に「甲は、本件商標の通常使用権を、下記のとおり乙に許諾し、乙は、甲の本件商標に関する保護及び管理の責任を負うものとする。」の記載、「1.本件商標:商標登録番号第5287350号及び同第5309150号」の記載、「2.使用を許諾する地域:日本国内」の記載、「3.使用を許諾する商品:機能性セラミック(メトセラ)配合商品」の記載、「4.使用期間:本覚書締結の日から1年間とする。但し、有効期間満了の1ヶ月前までに甲又は乙より別段の申し出がない場合は、1年間更新され以後も同様とする。」の記載、「甲」の項目に「株式会社成幸社」の記載及び「代表取締役」にI氏の記載があり、「乙」の項目にU氏の記載がある。
(14)乙第14号証について
乙第14号証は、商標権者の代表取締役とMITクリニックの院長のU氏が、平成24年8月24日に作成した「覚書」であり、「覚書」の標題の下に、「株式会社成幸社(以下、甲という。)と東京MITクリニック(以下、乙という。)は、甲の所有する登録商標第5287350号および同第5309150号(以下、「本件商標」という。)に関し、次のとおり覚書を締結する。」の記載、その下の「第1条」の項目に「甲は、本件商標の通常使用権を、下記のとおり乙に許諾し、乙は、甲の本件商標に関する保護及び管理の責任を負うものとする。」の記載、「1.本件商標:商標登録番号第5287350号及び同第5309150号」の記載、「2.使用を許諾する地域:日本国内」の記載、「3.使用を許諾する商品:機能性セラミック(メトセラ)配合商品」の記載、「4.使用期間:本覚書締結の日から1年間とする。但し、有効期間満了の1ヶ月前までに甲又は乙より別段の申し出がない場合は、1年間更新され以後も同様とする。」の記載、「甲」の項目に「株式会社成幸社」の記載及び「代表取締役」にI氏の記載があり、「乙」の項目に、「東京MITクリニック」の記載及び「院長」にU氏の記載がある。
(15)乙第15号証について
乙第15号証は、医療法人社団東京MIT(以下「医療法人東京MIT」という。)の理事長のU氏が作成した審尋に対する回答である。
(16)乙第16号証(乙A)について
乙第16号証は、友愛製薬社が、ケセラ社に対し発行した納品書及び請求書であり、本号証の1葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成28年4月1日」の記載、「納品書NO:7280403」の記載及び「数量」の欄に「800」の記載、本号証の3葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成29年4月3日」の記載、「納品書NO:8290402」の記載及び「数量」の欄に「600」の記載、本号証の5葉目の「納品書」の題目の下に「納品日:平成30年5月8日」の記載、「納品書NO:9300501」の記載及び「数量」の欄に「600」の記載があり、これらの納品書には、「友愛製薬株式会社」の記載、「株式会社ケセラホールディングスアンドカンパニー御中」の記載、表中「商品名」の欄に「アポトーゼMD1000 10g」の記載、「備考」の欄に「納品先:東京MITクリニック様」の記載があるが、本件商標の記載はない。
また、本号証の2葉目の「請求書」の題目の下に「締 日:平成28年4月30日」の記載、「請求書NO:07−280401」の記載、表中「納品書日付」の欄に「4.1」の記載及び「納品書NO」の欄に「7280403」の記載、本号証の4葉目の「請求書」の題目の下に「締 日:平成29年4月30日」の記載、「請求書NO:08−290401」の記載、表中「納品書日付」の欄に「2017/04/03」の記載及び「納品書NO」の欄に「8290402」の記載、本号証の6葉目の「請求書」の題目の下に「締 日:平成30年5月31日」の記載、「請求書NO:09−300501」の記載、表中「納品書日付」の欄に「2018/05/08」の記載及び「納品書NO」の欄に「9300501」の記載があり、これらの請求書には、「友愛製薬株式会社」の記載、「株式会社ケセラホールディングスアンドカンパニー御中」の記載及び「備考」の欄に「納品先:東京MITクリニック様」の記載があるが、本件商標の記載はない。
(17)乙第17号証(乙B)ないし乙第20号証(乙E)について
乙第17号証(乙B)は、MITクリニック院長が令和3年2月12日に作成したとする審判長あて証言書であり、乙第18号証は、令和2年1月10日付けのケサラ社のU氏が作成した「ミトコンドリア活性剤によるがん治療医療へのアプローチと免疫パラメータ解析」のタイトルのデータ解析報告書であり、乙第19号証(乙D)は、被請求人が、友愛製薬社からケセラ社の請求書・納品書及びケセラ社とMITクリニック間における経理証拠の写しと主張するもの、乙第20号証(乙E)は、平成30年5月8日付けの「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)等について」の題目の書類であるが、これらの証拠に本件商標の記載はない。
(18)乙第21号証の1(乙Fの1)ないし乙第21号証の3(乙Fの3)について
乙第21号証の1(乙Fの1)ないし乙第21号証の3(乙Fの3)は、被請求人が、商標権者による広告・公知努力を示す資料と主張するものである。
乙第21号証の1(乙Fの1)には、「株式会社ケセラホールディングスアンドカンパニー」の記載、「医療法人社団 東京MIT」の記載、「東京MITクリニック」の記載、別掲5のとおりの標章が記載されていることから、MITクリニックに関する広告記事と認識し得るとしても、医療機関としてのMITクリニックの宣伝にすぎず、本件審判請求に係る指定商品に関する広告とは認められない。
乙第21号証の2(乙Fの2)の大半は、図形、「Methuselah」の文字、「メトセラ」の文字、「ES−27」の文字等が記載されたボードをリング上で掲げる女性の写真であり、当該ボードは、リング上から観客に向けて示されていることは確認できるとしても、女性が掲げるボードに書された図形、「Methuselah」の文字や「メトセラ」の文字が、特定の商品に使用されていることは確認できないため、本件審判請求に係る指定商品に関する広告ではない。
乙第21号証の3(乙Fの3)は、「敏感肌、秋花粉、カユみ肌に」の文字、「メトセラ」の文字及び「ATPクリーム」の文字等が記載されたボードをリングの上で掲げる女性の写真であり、当該ボードは、リング上から観客に向けて示されていることは確認できるとしても、女性が掲げるボードに記載された「ATPクリーム」は、いかなる商品に該当するのか明らかではなく、「ATPクリーム」の製造者や販売者が特定することができない。
3 上記2によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)使用者について
本件商標の使用者は、商標権者である株式会社成幸社(以下「成幸社」という。)であると認められる。
また、成幸社と友愛製薬社との間で締結された契約の内容が記載された平成22年4月22日付け覚書(乙12)によると、成幸社は、本件商標の商標権を商品「機能性セラミック(メトセラ)配合商品」について、友愛製薬社に通常使用権を許諾したことが認められ、当該覚書(乙12)において、本件商標の使用期間は、「本覚書締結の日から1年間とする。但し、有効期間満了の1ヶ月前までに甲又は乙より別段の申し出がない場合は、1年間更新され以後も同様とする」との記載があることから、友愛製薬社は、要証期間における本件商標の通常使用権者であったと認められる。
加えて、成幸社とMITクリニックとの間で締結された契約の内容が記載された平成24年8月24日付け覚書(乙14)によると、成幸社は、本件商標の商標権を商品「機能性セラミック(メトセラ)配合商品」について、MITクリニックに通常使用権を許諾したことが認められ、当該覚書(乙14)において、本件商標の使用期間は、「本覚書締結の日から1年間とする。但し、有効期間満了の1ヶ月前までに甲又は乙より別段の申し出がない場合は、1年間更新され以後も同様とする」との記載があることから、MITクリニックは、要証期間における本件商標の通常使用権者であったと認められる。
(2)使用商品について
ア 被請求人が、「多用途・高誘導性ファインセラミックスES−27」(「Methuselah メトセラES−27」又は「メトセラ粉末」)と称する商品(以下「使用商品1」という。)は、商標権者である成幸社が開発した商品で、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化ケイソジルコニウム等を主成分にしたイオン/共有結合微粒子セラミックス・ミネラルであると判断し得る(乙1の1)ことから、本件審判請求に係る指定商品中の「化学品」の範ちゅうに属する商品であることが認められる。
イ 被請求人が、「アポトーゼMD」と称する商品(以下「使用商品2」という。)は、「メトセラ粉末」が配合されていること(乙3の3)は確認できるが、その他の配合成分は不明であり、ビニール包装袋に内包された商品の詳細は確認することができないものの、乙第3号証の1及び乙第5号証の「アポトーゼMD」と称する商品の写真を参照すると、ビニール包装袋は、飲み薬の包装に一般に使用されており、当該写真も同様であること、ビニール包装袋に「アポトーゼMD(医薬品)」の記載があること、医療機関であるMITクリニックの医師が患者に処方していること等を併せ検討すると、「アポトーゼMD」は、「飲み薬」であると推認できる。
そうすると、使用商品2は、本件審判請求に係る指定商品中の「薬剤」の範ちゅうに属する商品であることが認められる。
ウ 被請求人が、「アポトーゼMDシート」と称する商品(乙3の1)という。)は、医療機関であるMITクリニックの医師が患者に処方している(乙4)としても、「アポトーゼMDシート」の詳細な商品内容(配合成分等)は不明であり、乙第3号証の1の3葉目の写真を参照しても、かかる商品の詳細を把握することができない。
また、被請求人は、回答書において、「アポトーゼMDシート(外用薬)」は、処方の指示内容によって調剤時には医師の裁量権によるアポトーゼMD以外の医薬品追加アレンジが充分ありうるものであり、全処方に同一レシビが適応されるものではないと述べるように、乙第3号証の1の3葉目の写真は例示にすぎないことがうかがえる。
そうすると、被請求人が、「アポトーゼMDシート」と称する商品は、その内容が明らかでない。
エ 被請求人が、「メトセラES−27クリーム(調剤用)」と称する商品(乙5の1)は、商品の詳細な内容(配合成分等)が不明であり、乙第5号証の1の1葉目の写真を参照しても、プラスチック製の包装容器の写真が掲載されているにすぎず、包装容器の内容物を確認することができない。
また、かかる商品は、その表示として「調剤用」と記載されていることからすると、医師が処方せん(乙4)に記載した「アポトーゼMDクリーム(トコフェロール加調剤) 2枚」等の商品と同じものであることに疑義がある。
そうすると、被請求人が、「メトセラES−27クリーム(調剤用)」と称する商品は、商品の内容が明らかではない。
オ 被請求人が、「メトセラペレット」と称する商品(乙5の1)は、乙第5号証の1の2葉目の写真を参照すると、商品の紙包装の右上に「一般医療機器」と記載され、Amazon.co.jpにおける「メトセラRペレット」の販売ページの写し(乙8の2)を参照しても、「一般医療機器」として取引されていることが確認できる。
また、乙第8号証の1の3葉目の「メトセラペレット」の取扱い説明書に、「本製品は医療機器です。」と記載されていることが確認できる。
そうすると、「メトセラペレット」は、「医療用機械器具」の範ちゅうに属する商品であって、本件審判請求に係る指定商品には含まれない。
(3)使用標章について
ア 使用商品1の使用標章について
「多用途・高誘導性ファインセラミックスES−27の業務関係者専用研究資料」(乙1の1)の1葉目には、別掲3のとおりの標章(以下「使用標章1」という。)が表示され、乙第1号証の1の40頁に記載の商品に関する一覧表(乙1の2)には、「メトセラ」の文字及び「Methuselah」の文字を上下2段に横書きした標章(以下「使用標章2」という。)及び別掲4のとおりの標章(以下「使用標章3」という。)が表示されていることから、使用商品1に使用される標章は、使用標章1ないし使用標章3であると認められる。
そして、本件商標は、別掲1のとおり、「メトセラ」の文字と「Methuselah」の文字を上下二段に横書きにしてなり、使用標章1は、幾何図形とその横にやや右側に傾斜した「Methuselah」の文字、その下に「メトセラ」の文字からなり、使用標章2は、「メトセラ」の文字及び「Methuselah」の文字を上下2段に横書きにしてなり、使用標章3は、幾何図形とその右にやや右側に傾斜した「Methuselah」の文字からなるところ、本件商標の構成中の「Methuselah」の文字と、使用標章1ないし使用標章3の構成中の「Methuselah」の文字は、いずれも、構成文字を同じくし、「メトセラ」と称呼されることからすると、本件商標と使用標章1ないし使用標章3は、社会通念上同一の商標と判断するのが相当である。
イ 使用商品2の使用標章について
「アポトーゼMD」の写真(乙3の1、乙5)によると、「アポトーゼMD」と称する薬剤のビニール包装に、「アポトーゼMD」の標章(以下「使用標章4」という。)及び「東京MITクリニック」の標章(以下「使用標章5」という。)が表示されていることから、使用商品2に使用される標章は、使用標章4及び使用標章5であると認められる。
そして、本件商標は、別掲1のとおり、「メトセラ」の文字と「Methuselah」の文字を上下二段に横書きにしてなり、使用標章4は、「アポトーゼMD」の文字からなり、使用標章5は、「東京MITクリニック」
の文字からなるところ、本願商標と使用標章4の「アポトーゼMD」の文字及び使用標章5の「東京MITクリニック」の文字とは、その外観及び称呼が明らかに相違することから、本件商標と使用標章4及び使用標章5とは社会通念上同一の商標とは認められない。
(4)使用時期及び使用行為について
ア 使用商品1の使用時期及び使用行為について
「多用途・高誘導性ファインセラミックスES−27の業務関係者専用研究資料」(乙1の1)は、各頁に「CopyrightC(Cは○付き)2007−2017 SEIKOSYA Inc.,Japan.All Rights Reserve」の記載があることから、要証期間に当該資料は存在していたことは推認できる。
しかしながら、「多用途・高誘導性ファインセラミックスES−27の業務関係者専用研究資料」(乙1の1)は、発行数量や頒布先等が明らかではない。
また、使用商品1が、譲渡等の商取引が行われたことを証明する証拠は提出されていない。
よって、被請求人は、使用商品1について、商標法第2条第3項第1号、同項第2号及び同項第8号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。
イ 使用商品2の使用時期及び使用行為について
被請求人が提出した処方せん(乙4)によると、商品「アポトーゼMD」は、平成29年6月23日ないし同30年10月30日の間に、MITクリニックの医師が、患者に対し処方したことは推認でき、平成29年6月23日ないし同30年10月30日は、要証期間である。
また、友愛製薬社は、ケセラ社に対し、平成28年3月1日、同年11月1日、同29年6月2日、同年11月1日、同30年4月2日、同年12月4日及び同31年3月1日に「アポトーゼMD1000」を納品したことは推認でき、平成28年3月1日、同年11月1日、同29年6月2日、同年11月1日、同30年4月2日、同年12月4日及び同31年3月1日は、いずれも要証期間である(乙9)。
しかしながら、乙第3号証の1は、写真の撮影日が不明であること、乙第5号証の写真は、撮影日(2019年5月9日)が、要証期間外であること、帯状印刷物の作成日は不明であることに加え、患者に「アポトーゼMD」が処方された際、あるいは、友愛製薬社からケセラ社に「アポトーゼMD」が納品された際に、「アポトーゼMD」のビニール包装袋に帯状印刷物が付されていたことは確認できない。
そして、使用商品2は、「薬剤」の範ちゅうに属する商品であり、要証期間に譲渡された事実があるとしても、使用商品2又は使用商品2の包装に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることは、被請求人が提出した全証拠からは確認することができない。
また、使用商品2が、当該商品の販売を目的として、広告宣伝等が行われたことは確認することができない。
よって、被請求人は、使用商品2について、商標法第2条第3項第1号、同項第2号及び同項第8号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。
(5)小括
以上からすると、被請求人が提出した全証拠を総合してみても、商標権者又は商標権者から本件商標の使用を許諾された友愛製薬社及びMITクリニックは、要証期間に日本国内で、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることを証明したとはいえない。
4 被請求人の主張について
被請求人は、本件商標は、要証期間に、日本国内において、商標権者又は通常使用権者により、本件審判請求に係る指定商品中、少なくとも、「化学品」及び「アトピー性皮膚炎に対するクリーム状の薬剤,皮膚温及び血行促進のためのクリーム状の薬剤,薬剤」について使用された旨を主張する。
しかしながら、上記3のとおり、被請求人は、「化学品」及び「薬剤」に該当する商品について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用し、商標法第2条第3項第1号、同項第2号及び同項第8号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。
したがって、被請求人の上記主張は、採用できない。
5 結論
以上のとおり、被請求人が提出した全証拠によっては、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについて、商標法第2条第3号各号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1(本件商標)


別掲2(令和元年6月12日に本権の登録の一部抹消された指定商品)
第1類「植物成長調整剤類,肥料,原料プラスチック」
第2類「全指定商品」
第3類「セラミックスを含有する温感クリーム,身体用抗菌剤・防臭剤」 第5類「抗菌剤(工業用のもの及び洗濯用のものを除く。),脱臭剤(工業用及び身体用のものを除く。),医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,セラミックスを含浸しているばんそうこう,その他のばんそうこう,セラミックスを含浸している包帯,その他の包帯,包帯液,胸当てパッド,失禁用おしめ」
第10類「全指定商品」
第11類「全指定商品」
第14類「全指定商品」
第16類「全指定商品」
第17類「全指定商品」
第19類「全指定商品」
第20類「全指定商品」
第22類「全指定商品」
第24類「全指定商品」
第27類「全指定商品」
第29類「食用油脂,乳製品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実」
第30類「全指定商品」
第31類「全指定商品」

別掲3(使用標章1)


別掲4(使用標章3)


別掲5(乙3の1、乙5の1の帯状印刷物に記載された標章)


別掲6(乙3の1の3葉目に記載された標章)





(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。

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審理終結日 2021-06-09 
結審通知日 2021-06-15 
審決日 2021-10-22 
出願番号 2009021522 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X0105)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 豊田 純一
小俣 克巳
登録日 2009-12-11 
登録番号 5287350 
商標の称呼 メトセラ、メツセラ、メスセラ 
代理人 特許業務法人秀和特許事務所 

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