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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W0942 |
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管理番号 | 1381171 |
総通号数 | 1 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2022-01-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-05-14 |
確定日 | 2022-01-05 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6355668号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6355668号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6355668号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和元年5月14日に登録出願、第9類及び第42類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同3年2月9日に登録査定、同月25日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号又は同法第3条第1項第6号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 1 具体的理由 (1)本件商標について 本件商標は、前半部分を「qspi」の小文字、後半部分を「NAND」の大文字にし、普通に用いられる方法の範囲に止まる程度の態様からなるものであり、「QSPIをインターフェイスとするNAND型フラッシュメモリを使用した各種商品及びQSPIをインターフェイスとするNAND型フラッシュメモリを使用した各種役務」を含む、第9類の商品及び第42類の役務を指定商品及び指定役務として登録されたものである。 (2)証拠について 前半部分を「qspi」の小文字、後半部分を「NAND」の大文字にした本件商標は、「qspinand」又は「QSPINAND」のように一体的に表されたものでないことから、「qspi」の文字と「NAND」の文字とを組み合わせたものと容易に理解、把握される。 この点、「qspi」の文字は、「標準SPIプロトコルを拡張したもの」程の意味合いを有するもの(甲1、甲2)であり、また、「NAND」の文字は、「『Not AND』の略で、『AND回路』の出力を反転した論理回路」程の意味合いを有し、例えば、当該「NAND」回路を採用したフラッシュメモリを、「NAND型フラッシュメモリ」と称している実情も見受けられる(甲3〜甲5)。 (3)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号又は同法第3条第1項第6号について 本件商標の構成中の「qspi」の文字は、「標準SPIプロトコルを拡張したもの」程の意味合いを有する語として、「NAND」の文字は、「『Not AND』の略で、『AND回路』の出力を反転した論理回路」程の意味合いを有し、例えば、当該「NAND」回路を採用したフラッシュメモリを、「NAND型フラッシュメモリ」と称している実情も見受けられる語として、本件商標に係る指定商品及び指定役務の分野においてそれぞれ広く用いられているものであるという事実があることも考慮すると、本件商標に接する取引者・需要者が、本件商標から「QSPIをインターフェイスとするNAND型フラッシュメモリ」の、意味合いを認識し、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合に、「QSPIをインターフェイスとするNAND型フラッシュメモリを使用した各種商品及びQSPIをインターフェイスとするNAND型フラッシュメモリを使用した各種役務」であることを容易に理解するというべきであり、結局、本件商標は、商品の品質・役務の質を表したにすぎないものといわざるを得ない。 また、本件商標は、「qspinand」又は「QSPINAND」のように一体的に表されたものでなく、「qspi」の小文字と「NAND」の大文字とに区別して認識されるものである。 さらに、本件商標のような商標は、多くの事業者が、商品や役務の内容や品質を表示するために使用を欲するものであるから、これに独占権を付与することは適当ではない。 特に、本件商標は、単にフラッシュメモリの品質及び機能に係る一般名称若しくは技術用語を羅列したにすぎないものであるから、これに接する需要者が、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものであるというべきある。 よって、本件商標をその指定商品中「QSPIをインターフェイスとするNAND型フラッシュメモリを使用した各種商品及びQSPIをインターフェイスとするNAND型フラッシュメモリを使用した各種役務」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質又は役務の質を表示した語と認識するにとどまるため、「qspiNAND」の文字は自他商品・自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、かつ、上記に奏する商品及び役務以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。 また、本件商標は、単にフラッシュメモリの品質・機能に係る一般名称若しくは技術用語を羅列したにすぎないものであり、これに接する需要者が、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものである。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号又は同法第3条第1項第6号に該当する。 第3 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号及び同項第6号該当性について 本件商標は、別掲1のとおり、ややデザイン化した「qspi」の文字と「NAND」の文字を結合し、全体としてやや右側に傾斜してなるものであるところ、本件商標は、「qspi」の文字と「NAND」の文字とを空白を設けず、一連一体に横一列にまとまりよく表されており、かかる構成からなる本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、全体として一体のものと理解、認識させるものとみるのが自然である。 そして、本件商標は、その構成中の「qspi」の文字を小文字で書してなり、構成中の「NAND」の文字を大文字で書してなり、かつ、「qspi」の文字は、ややデザイン化されていることからすると、本件商標の構成態様は、普通に用いられる方法により表示されたものとは直ちにはいい難いものである。 また、本件商標の構成中の「NAND」の文字が、申立人が主張するように、「『Not AND』の略で、『AND回路』の出力を反転した論理回路」程の意味合いを有し、当該「NAND」回路を採用したフラッシュメモリを、「NAND型フラッシュメモリ」と称している実情がある(甲3〜甲5)としても、本件商標の構成中「qspi」の文字が、申立人が提出した甲第1号証及び甲第2号証を参照しても、申立人が主張する「標準SPIプロトコルを拡張したもの」程の意味合いを有するものであると直ちに認識することができない。 さらに、「qspiNAND」の文字が、特定の意味合いを有する語として、一般の辞書等に載録されている事実もなく、これが、「QSPIをインターフェイスとするNAND型フラッシュメモリ」を意味する語として普通に使用されているとは認められないものである。 加えて、当審において職権をもって調査しても、本件商標の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、「qspiNAND」の文字を本願商標の指定商品及び指定役務に使用した場合に、「QSPIをインターフェイスとするNAND型フラッシュメモリを使用した各種商品及びQSPIをインターフェイスとするNAND型フラッシュメモリを使用した各種役務」であることを理解させるものであると判断し得る特段の事実は発見できず、また、「qspiNAND」の文字が、商品の品質等及び役務の質等を表示するものとして普通に用いられていると判断すべき事実も発見できなかった。 そうすると、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、全体を特定の意味合いを想起、認識させることのない造語として認識、把握させるものと判断するのが相当である。 してみれば、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、商品の品質及び役務の質を表示するものでなく、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当しない。 2 商標法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は、上記1のとおり、その指定商品の品質及びその指定役務の質等を表示するものと取引者、需要者に認識されないものであるから、本件商標を、その指定商品及びその指定役務に使用しても、商品の品質や役務の質について誤認を生じさせるおそれはないと判断するのが相当である。 その他、本件商標が、その指定商品の品質及びその指定役務の質について誤認を生じるおそれがある商標と判断するべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当するものでなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(本件商標の指定商品及び指定役務) 第9類「コンピュータハードウエア,コンピュータ,電子計算機,コンピュータ用プリンター,コンピュータ用ディスクドライブ,コンピュータ用メモリー,マイクロプロセッサ,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路及び記憶媒体,ネットワーク接続用カード(LANカード),回路基板,コンピュータ用インターフェイスカード,集積回路,電子回路,マイクロチップ(コンピュータハードウェア),電話機に使用される回路用メモリーを搭載したネットワーク接続用自動ダイヤル装置,大規模集積回路,コンピュータ用チップ,その他の電子応用機械器具及びその部品,金銭登録機,電話ダイヤル機その他の電気通信機械器具」 第42類「コンピュータプログラミング・コンピュータソフトウェアの設計・コンピュータソフトウエアのバージョンアップ・コンピュータソフトウエアの保守・コンピュータソフトウエアの設計の分野における指導及び助言・コンピュータソフトウェアの設計又は作成又は保守に関する助言・コンピュータシステムの分析・コンピュータシステムの設計・コンピュータプログラムのインストール・コンピュータプログラムの複製・データ処理用コンピュータソフトウェアの設計・コンピュータハードウエアの設計に関する助言その他の電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,コンピュータソフトウエアの貸与・コンピュータハードウェアの貸与その他の電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,コンピュータハードウェアの外観の設計・集積回路の設計・半導体チップの設計その他の機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計」 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2021-12-22 |
出願番号 | 2019068438 |
審決分類 |
T
1
651・
13-
Y
(W0942)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
榎本 政実 |
特許庁審判官 |
豊田 純一 小俣 克巳 |
登録日 | 2021-02-25 |
登録番号 | 6355668 |
権利者 | 華邦電子股▲ふん▼有限公司 |
商標の称呼 | キュウエスピイアイナンド |
代理人 | 磯野 富彦 |
代理人 | 特許業務法人坂本国際特許商標事務所 |