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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0942
管理番号 1381166 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-01-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-22 
確定日 2021-12-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第6348230号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6348230号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6348230号商標(以下「本件商標」という。)は、「HiDC」の文字を標準文字で表してなり、2019年(令和元年)9月26日に中華人民共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、令和2年1月16日に登録出願、第9類及び第42類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年12月24日に登録査定、同3年2月3日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する登録第5535811号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成22年6月23日に登録出願、第9類、第35類及び第42類に属する別掲3のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同24年11月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、第9類「全指定商品」及び第42類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取消しを免れないと申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
1 具体的理由
(1)両商標の外観については、本件商標を構成する先頭から3文字目までが、引用商標と同じ配列で含まれており、相違する部分は、本件商標の右端の「C」の有無となっている。
横書きの欧文字からなる商標の場合、通常左から読まれるため、右端の文字はさほど重要視されずに、見落とされる可能性がある。すなわち、引用商標「HID」と本件商標の「HiD」部分とが同一であるためその外観において極めて近似した態様となっている。そして、指定商品(決定注:「指定商品及び指定役務」の誤りと認める。)も同一又は類似するものであるから、互いに抵触する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)特許庁の過去の審決等においても、一文字の相違により、外観上類似と判断された先例が、異議2003−90855、異議2004―90345、異議2007―900107及び無効2017―890028にある(甲5〜甲8)。
これらは、文字商標同士の外観の類否を判断する場合、相違する文字が印象の残り難い位置に配されており、また両商標が全体的に近似した印象を受ける場合などに、類似すると判断されていると思料する。
これを本件についてみれば、相違する一文字は商標の末尾であり、また印象の強く残る語頭から3文字が一致していることにより、全体的に近似した印象を与えるものと判断する。
よって、両商標は外観上類似すると判断されるべきである。
(3)続いて両商標から生じる観念について比較する。
本件商標「HiDC」は造語であると思われ、これは、研究社新英和大辞典においてもそうした単語が掲載されていないことから明らかである(甲9)。
引用商標「HID」についても、前掲書においては、英単語「hideの過去形・過去分詞」との説明があるものの(甲10)、指定商品に係る需要者がそのように認識する可能性は低く、造語と認識されるものと理解する。
よって、両商標は観念上比較できない。
(4)さらに両商標から生じる称呼について比較する。
「HiDC」の文字に基づいて本件商標から生じる称呼「エイチアイディシィ」は9音という長い称呼からなる、他方「HID」から生じる称呼「エイチアイディ」は7音という比較的長い称呼からなる。語頭から連続する7音「エイチアイディ」が一致し、両者は僅かに末尾「シィ」の有無という差異にすぎず、該差異音も、無声摩擦音という弱く響く音である上、明瞭に聴取され難い末尾にあるから全体を一連に発音した場合、音質及び語韻語調が近似しており、よって聴覚されるときに需要者に与える称呼の全体的印象が、互いに紛らわしいといえる。
2 むすび
本件商標と引用商標とは、観念については比較することができないものである。
しかしながら、その称呼については全体的印象が相紛らわしく、さらに外観において非常に相紛らわしいものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、「HiDC」の文字を標準文字で表してなり、その構成文字からは、「ハイディシー」又は「エイチアイディシー」の称呼を生じるものである。
また、「HiDC」の文字は、辞書等に載録されているものではなく、全体として、特定の観念を生じることのない一種の造語として認識されるものというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字より「ハイディシー」又は「エイチアイディシー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、角を丸くした黒色の長方形の図形(以下「図形部分」という。)の中に「HID」と太い白抜きの文字で書してなり、その構成文字より「エイチアイディ」の称呼が生じるものである。
また、「HID」の文字は、英単語「hideの過去形・過去分詞」(甲10)と記載されているが、指定商品及び指定役務との関係においては、特定の観念を生じることのない一種の造語として認識されるものというのが相当である。
そうすると、引用商標は、その構成文字より「エイチアイディ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、まず、外観においては、両者の「H」、「i(I)」、「D」の文字部分が共通するとしても、本件商標は、語尾に「C」の文字を有しており、また、引用商標は、図形部分を有しているから、両者の外観全体から受ける視覚的印象は大きく異なるものであり、外観上、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、本件商標からは「ハイディシー」又は「エイチアイディシー」の称呼を生じ、引用商標からは「エイチアイディ」の称呼を生じるものであり、いずれの称呼と比較しても、構成音及び構成音数が異なることから、両者は、称呼上、明瞭に聴別できるものであって、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両者は特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較できない。
以上のことを総合して全体的に勘案すれば、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
なお、申立人は過去の決定例及び審決例を挙げているが、商標の類否の判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定商品、指定役務の取引者、需要者の認識を基準に対比される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから、それらをもって本件の判断が左右されるものではない。
したがって、たとえ本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似であるとしても、両商標は非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえず、ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。


別掲

別掲1(本件商標の指定商品及び指定役務)
第9類 「眼鏡型携帯情報端末,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,着用可能なアクテイビティトラッカー,ネットワーク通信装置,タブレット型コンピュータ,ラップトップ型コンヒューター,ノートブック型コンピュータ,カメラ(写真用のもの),テレビジョン受信機,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),バーチャルリアリティ用ヘッドセット,スピーカー,蛍光スクリーン,ビデオスクリーン,電子式数値表示ディスプレイ,タッチスクリーン,コンピュータスクリーン,液晶ディスプレイ(LCD)用スクリーン,携帯電話機用ディスプレイ,スマートフォン用のケース,スマートフォン用のカバー,スマートフォン用保護フィルム,デジタルフォトフレーム,マイクロホン,スピーカー用筐体,蓄電池,フラットパネルディスプレイ,コンピュータ用の折り曲げ可能なフラットパネルディスプレイ,イヤホン,乗物用走行距離記録計,セットトップボックス,携帯型メディアプレーヤー,音声送信装置,ビデオカメラ,コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),指輪型携帯情報端末,携帯情報端末,記録された又はダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプラットフォーム,シンクライアント型コンピュータ,手持式電子辞書,身体装着式携帯情報端末,宝飾品の形状をした電気通信機械器具,インターホン,大画面の液晶ディスプレイ,液晶ディスプレイ,ビデオプリンター,手首固定型のスマートフォン,車用テレビジョン受信機,コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)。
第42類 「電気通信技術に関する指導及び助言,製品の安全試験,科学に関する研究開発,電気通信機器の設計,マルチメディア製品(コンピュータソフトウエアを含む)の設計及び開発,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータソフトウェアの設計,コンピュータシステムの設計,データ又は文書の物理媒体から電子媒体への変換,ウェブサイトの作成と保守(他人のためのもの),コンピュータプログラムの変換及びコンピュータデータの変換(媒体からの変換でないもの),コンピュータソフトウェアの設計・作成・保守に関する助言,情報技術(IT)に関する助言,電子データの保存用記憶領域の貸与,ウェブサイト経由によるコンピューター技術及びコンピュータプログラミングに関する情報の提供,コンピュータハードウェアの設計及び開発に関する助言,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(Saas),クラウドコンピューティング,コンピュータ技術に関する助言,ソフトウェア制作におけるコンピュータソフトウェアの開発,コンピュータソフトウェアプラットフォームの提供(PaaS),コンピュータデータベースの設計及び開発,データ処理用プログラムの作成,コンピュータソフトウェアのバージョンアップ及び保守,コンピュータグラフィックデザインの考案,ウェブサイトの作成・設計及び保守,無線コンピューターネットワークシステムの設計及び開発,電子情報のデータ変換,仮想現実用ソフトウエアの設計及び開発,ドライバー及びオペレーションシステム用ソフトウェアの開発,コンピュータソフトウエアの研究及び開発,データベースの開発,コンピュータソフトウェアの保守及びバージョンアップ,コンピュータソフトウェアのインストール・保守及び修正,コンピュータシステムの統合,コンピュータソフトウエアの設計及び開発,コンピュータソフトウエアのインストール及び保守,受託によるコンピュータソフトウェアの設計,ウェブサーバーの貸与,コンピュータソフトウェアの開発及び品質改良の分野における助言,コンピュータソフトウェアの作成及びバージョンアップ,ウェブサイトのユーザビリティテスト,ネットワーク運営を安全化するためのコンピュータソフトウエアの開発」

別掲2(引用商標)




別掲3(引用商標の指定商品及び指定役務)
第9類 「無線周波数識別(RFID)認証カード・RFID認証タグまたはRFID認証キーフォブなどのRFIDクレデンシャルとこれらクレデンシャルと通信するリーダ及びライタとこれらクレデンシャルのプログラミングのためのプログラム装置などのRFIDシステム及びその構成部品,磁気ストライプカードとそれと通信するリーダなどの磁気ストライプシステム及びその構成部品,磁気合金ワイヤカードとそれと通信するリーダなどの磁気合金ワイヤシステム及びその構成部品,OEM用のRFIDリーダ・ライタモジュール,接触式スマートチップ,磁気ストライプ技術・磁気合金ワイヤ技術・接触式スマートチップ技術・バーコード技術・偽造防止技術または写真識別技術をRFID技術と組み合わせてなる多機能型RFIDカード,磁気ストライプ技術・磁気合金ワイヤ技術・接触式スマートチップ技術・キーパッド技術・バーコード技術・生体識別技術をRFID技術と組み合わせてなる多機能型RFIDリーダ,セキュリティ及びアクセス制御の分野で使用されるコンピュータネットワークのためのデータルータ,RFIDクレデンシャルを発行し管理するためのコンピュータソフトウェア,その他の電子応用機械器具及びその部品」
第35類 「ペット識別管理・家畜識別管理・在庫識別管理・各種設備の使用状況や修理状況や保守状況を自動的に記録し追跡する各種設備管理及び所望のプログラミングが要求されるその他の識別管理に使用するICチップヘの情報入力処理」
第42類 「RFIDタグ・近接型カード・スマートカードを含む身分証・カード・タグ・チップ・バッジ・キーフォブ用の証明書の電子データとしての作成,RFIDタグ・近接型カード・スマートカードを含む身分証・カード・タグ・チップ・バッジ・キーフォブに個人的な電子的記録データの形式・電子接触方式・偽造防止手段を選択して搭載しグラフィックス・ホログラム・印刷を適用することによるクレデンシャルの設計・作成又はこれらに関する助言,ペット識別管理・家畜識別管理・在庫識別管理・各種設備の使用状況や修理状況や保守状況を自動的に記録し追跡する各種設備管理及び所望のプログラミングが要求されるその他の識別管理に使用するためにカスタマイズされたICチップ用コンピュータプログラムの提供,RFID等の識別技術に関する研究又は設計,コンピュータハードウェアの設計又は開発,電子計算機プログラムの設計・作成又は保守,RFIDシステムの設計又は開発,コンピュータシステムの設計,コンピュータの貸与,品質管理,保証マ一ク及び承認証明書を他者に付与するための特定の基準に製品が達しているかどうかの証明書を提供するための製品の評価,無線周波数識別(RFID)認証カード・RFID認証夕グまたはRFID認証キーフォブなどのRFIDクレデンシャルとこれらクレデンシャルと通信するリーダ及びライタとこれらクレデンシャルのプログラミングのためのプログラム装置などからなるRFIDシステムの貸与,コンピュータプログラムのインストール,技術的事項に関する研究,材料検査,コンピュータデータベース用プログラムの提供,コンピュータの設計に関する助言,コンピュータソフトウェアの設計・作成及び保守に関する助言,磁気的に格納したカードあるいは電子的に格納したカード・タグ・キーフォブなどクレデンシャル及びクレデンシャルリーダからなるシステムであってセキュリティ管理された入退場制御システム・セキュリティ管理されたコンピュータネットワークシステム・インターネットを介したセキュリティ管理されたオンラインアクセスシステムの開発,政府規格・工業操作規格または動作規格に適合しているかどうかを保証する目的で行なう入退場制御システム・RFIDシステム・セキュリティ管理されたコンピュータネットワークシステム及びインターネットを介したセキュリティ管理されたオンラインアクセスシステムの検査・分析・評価,RFIDカードフォーマットの設計及びRFIDカードヘのフォーマットデータのプログラミング,カード所有者の認証及び承認のためのICカードリーダ・接触式ICチップリーダ・磁気ストライプリーダ及び近接型ICカードリーダに用いるICカードの設計・選択・導入およびフォーマッティングに関するコンサルティング,クレデンシャル所有者の認証またはアクセス統制された場所へのクレデンシャル所有者の侵入許可のためにクレデンシャルの磁気的または電子的な情報格納箇所へのセキュリティデー夕及びプログラムのインストール,クレデンシャル所有者の認証またはアクセス統制された場所へのクレデンシャル所有者の侵入許可などのための携帯用近接型クレデンシャルとセキュリティ用アクセス制御システムのホストリーダとの間に安全なデータ通信を築くためのコンピュータプログラムの提供」


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2021-11-30 
出願番号 2020004637 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W0942)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 豊田 純一
榎本 政実
登録日 2021-02-03 
登録番号 6348230 
権利者 ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
商標の称呼 ハイデイシイ、エイチアイデイシイ、エッチアイデイシイ 
代理人 行田 朋弘 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 

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