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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W12 |
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管理番号 | 1381156 |
総通号数 | 1 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2022-01-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-03-25 |
確定日 | 2021-12-03 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6338661号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6338661号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6338661号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和元年12月17日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同2年12月18日に登録査定され、同3年1月8日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)登録第3143022号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 別掲2のとおり 指定商品 第12類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 平成4年10月6日 設定登録日 平成8年4月30日 (2)登録第5869579号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 別掲3のとおり 指定商品 第12類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 平成27年12月11日 設定登録日 平成28年7月29日 (3)登録第2042031号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 別掲4のとおり 指定商品 第12類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 昭和61年6月17日 設定登録日 昭和63年4月26日 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)申立人について 申立人は、イタリア所在の、自動車部品の製造・販売を行う法人である。引用商標に含まれる「O・Z」の文字は、申立人の略称であるオ.ゼータ(アルファベット「OZ」のイタリア語の音訳)を示すものであり、申立人による「O・Z」ブランドが付された商品は、1971年の創業以降、世界各国において販売されている。また、1989年には日本法人「オーゼットジャパン株式会社」が設立されており、我が国においては当該日本法人による引用商標が付された商品が販売されている。 なお、申立人による商品は、1972年に「O・Z Racing」というブランドのモーターバイク用のホイールが販売されたことを皮切りに、申立人は、モータースポーツ、モーターレース用自動車の車輪、ホイールの製造・販売を行う会社として知られるようになったが、特に1985年にアルファ・ロメオ・ユーロレーシングヘフォーミュラ1というレース用のホイールを提供された後、フォーミュラ1や世界ラリー選手権といった世界最高峰のモータースポーツにその商標が付された商品が供給され続けていることにより、引用商標及び申立人の略称である「O・Z」は、特に自動車用車輪又はホイールの需要者、取引者において広くその名が浸透しているといえる。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、アルファベットの「OZ」と「pro」を横一連に書した態様からなる商標である。本件商標中の「pro」は「専門家」の意味合いを有する我が国の一般的な需要者であれば誰もがその意味合いを知っている英単語である。ゆえに、本件商標の指定商品に関する取引者、需要者が通常有する注意力を基準とした場合、本件商標は、その構成上、「OZ」の要素と「専門家(用の商品)」であることを示す「pro」の要素の2つが結合した商標であると容易に理解できるものであるといえる。また、「OZ」と、「専門家(用の商品)」であることを示す言葉として広く一般的に使用されている「pro」の二つの要素の間には、商品の出所識別標識としての機能の点で主従、軽重の差があるといえる。ゆえに、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際において、本件商標に接する取引者、需要者は、これを常に「OZpro」と一体的に捉えた称呼及び観念により取引するのではなく、「OZ」の文字部分を独立して要部として捉えることが自然であるといえる。 そうすると、本件商標が使用された商品に接する取引者、需要者は、本件商標の要部である「OZ」の文字部分のみをもって取引にあたる場合も決して少なくないものであるといえる。 イ 引用商標 引用商標1は、上段に下段の文字よりも非常に大きなサイズで「O・Z」の文字を配し、下段に小さく「RUOTE O.Z.」の文字を配してなる商標である。なお、「RUOTE」はイタリア語で車輪の意味合いを有する言葉である。また、上段と下段の文字の間には二重線が記載されている。 引用商標2は、上段に下段の文字よりも非常に大きなサイズで「O・Z」の文字を配し、下段に小さく「競走」等の意味合いを有する英単語の「RACING」の文字を配してなる商標である。また、上段と下段の文字の間には二重線が記載されている。 引用商標3は、円形の図形の中にOとZが折り重なるように配置された図形商標である。 上記のような構成からなる引用商標については、その外観上の構成態様から、「O・Z」又は「OZ」の部分が要部として分離観察されることが自然であるといえる。 ウ 商標の類似性について 上記の観点から本件商標と引用商標を比較すれば、本件商標及び引用商標は、その要部と認識される「OZ」又は「O・Z」は、称呼において同一である。また、本件商標及び引用商標ともに要部として認識される「OZ」又は「O・Z」の部分は、やや図案化されているものの、いずれも文字の域を脱しない程度のデザインが施されているにすぎない。 したがって、外観によって取引者、需要者に与える印象等はさほど大きいものとはいえず、外観上も類似するものといえる。なお、「OZ」と「O・Z」は一種の造語と認識されるものであることから、観念において比較することはできないか、あるいは上記(1)において述べたとおり、「OZ」は、「自動車用車輪」等の需要者、取引者において、自動車用車輪等の販売者、製造者として広く知られている申立人の略称を指すものとして広く認識されているといえるものであることから、観念においても共通するものであるといえる。 エ 商品の類似性について 本件商標の指定商品には、第12類の「自動車用車輪,陸上の乗物用のホイール」等の商品が含まれており、引用商標の指定商品は、第12類の「自動車用タイヤ」等の商品が含まれている。「自動車用車輪」等と「自動車用タイヤ」等の商品は、生産部門、販売部門、需要者の範囲等において共通する類似商品であるといえる。 オ 小括 以上のとおりであるから、本件商標と引用商標とは、その要部の外観、観念、称呼が共通するものであるから、時と所とを異にして行う離隔観察を行った場合において区別することが容易でない相紛らわしい類似の商標であるといえる。 また、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品とは類似する。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 引用商標は、上記(1)のとおり、「O・Z」(以下「申立人略称」という。)は自動車用車輪等の販売者、製造者として広く知られている申立人の略称を指すものとして広く認識されているといえるものであり、また、引用商標のうち特に引用商標2が付された商品は、本件商標の登録出願日において、我が国の取引者、需要者の間で周知、著名となっていた。 それは本件商標の登録時においても変わらない。 引用商標1の我が国における周知性及び現実の取引の実情等を総合的に判断すれば、本件商標と引用商標2とが並存して登録された場合、需要者において商品等の出所について混同の生じるおそれがあるうえ、本件商標権者が経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるとして、申立人の業務と混同を生ずるおそれがある。 よって、仮に本件商標と引用商標2が類似せず、本件商標が商標法第4条第1項第11号の拒絶理由に該当しないと判断された場合であっても、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 ア 本件商標と引用商標2との類似性の程度等について 本件商標と引用商標2は、その要部と認識される「OZ」又は「O・Z」が共通するものであり、類似性が高い商標であるといえる。 また、本件商標と引用商標において共通する「O・Z」の部分は、申立人の略称であるオ.ゼータを示すものであって、「O・Z」部分をハウスマークとして「OZ Racing」、「OZ ATELIER FORGED」及び「OZ MOTORBIKE」等のブランド展開を行っているものであることから(甲5)、「OZ」と「専門家(用の商品)」であることを示す「pro」の要素の2つが結合した商標である本件商標が、自動車用車輪等の商品に使用された場合において、本件商標権者が申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるとして、申立人の業務と混同を生ずるおそれがあるものといえる。 イ 引用商標の周知度 (ア)商標の使用態様、期間、地域等について 申立人による「O・Z」ブランドが付された商品は、1971年の創業以降、世界各国において販売されている。我が国においては、1989年には日本法人「オーゼットジャパン株式会社」が設立された後、当該日本法人によって、引用商標2が付された商品が30年以上の長期間にわたって販売されている(甲6)。 そして、我が国における販売代理店は日本全国に所在しており(甲7)、引用商標が付された商品は日本全国において販売されている。 なお、引用商標2は、商品及びその宣伝広告資料等において永年にわたり変更がされることなく使用されている。その証左として、申立人による2006年、2011年、2014年、2019年の商品パンフレットを提出する(甲8)。 (イ)広告宣伝、メディアにおける紹介等について 申立人による商品は、その注目度の高さゆえに、その製品が販売されるたびに、特に自動車関連の専門誌やウェブサイト等において広く紹介されている。 その紹介例を挙げれば膨大なものになるが、一例として、甲第9号証ないし甲第13号証のウェブメディアによる紹介記事を証拠として提出する。 以上の証拠から申立人の略称である「O・Z」の文字とともに、引用商標2が、特に第12類の商品に関する需要者、取引者が目にする機会が多いメディア等において大々的に宣伝されている事実をうかがい知ることができる。 また、引用商標は、その周知性ゆえに、引用商標を使用した自動車用車輪の模型が販売されており、その事実がウェブメディアに紹介されている(甲14)。 (ウ)小括 以上のような事実を考慮すれば、引用商標は、本件商標の登録出願日において、我が国の取引者、需要者の間で周知、著名となっていたといえ、それは本件商標の登録時においても変わらない。 ゆえに、仮に引用商標と本件商標が類似しないものと判断された場合であっても、引用商標の我が国における周知性及び現実の取引の実情等を総合的に判断すれば、要部において共通する本件商標と引用商標とが並存して登録された場合、需要者において商品等の出所について出所混同が生じるおそれがあるうえ、本件商標権者が経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるとして、申立人の業務と混同を生ずるおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第10号の該当性について 申立人略称は、本件商標の登録出願日において、申立人による業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されており、それは本件商標の登録時においても変わらない。また、本件商標の要部は「OZ」と認識されるものであって、申立人略称である「O・Z」と類似する。 ゆえに、本件商標は申立人による業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識された申立人略称と類似するものであって、本件商標の指定商品は、申立人略称が主に使用されている「自動車用車輪、ホイール」等と類似するものであることから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標及び使用商標(別掲5)の周知性について ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張によれば、申立人は1971年に創業されたイタリア所在の自動車部品の製造、販売を営む法人であり、我が国においては「オーゼットジャパン株式会社」が1989年に設立され、また、ドイツに関連子会社を有していること(甲6)、オーゼットジャパン株式会社のウェブページ及びパンフレットに「O・Z」の欧文字を図案化してなる商標(以下「使用商標」という。)を表示するとともに、それらに掲載された自動車のホイールに引用商標2を表示していること(甲5、甲6、甲8)、web版の雑誌や他社のウェブサイトに、引用商標2が付された自動車用ホイールの画像や申立人の自動車用ホイールに関する記事が掲載されたこと(甲9〜甲13)などが認められる。 イ しかしながら、引用商標2及び使用商標を使用した商品「自動車用ホイール」の我が国における売上高、シェアなど販売実績に係る主張はなく、それを裏付ける証左は見いだせない。 そうすると、引用商標2及び使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「自動車用ホイール」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 また、引用商標1及び引用商標3は、それが「自動車用ホイール」について使用されていると認めるに足りる証左は見いだせないから、引用商標及び使用商標は、いずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 なお、申立人は、「OZ」及び「O・Z」は申立人の略称を指すものとして広く認識されている旨主張するが、申立人が提出した証拠からは、それを認めるに足りる事情は発見できないから、かかる主張は採用できない。 (2)本件商標と引用商標及び使用商標との類否について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるものであり、近時のレタリングの手法からすれば、「OZpro」の欧文字を統一的にデザインした一体的なものと把握、認識されるものであるから、当該文字に相応し「オーゼットプロ」の称呼を生じ、また、当該文字は一般の辞書等に掲載されていない文字であるから、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 なお、申立人は、本件商標は「OZ」と「専門家(用の商品)」であることを示す「pro」との間に、主従、軽重の差があるなどとして、その構成中の「OZ」の文字部分を要部として捉えることが自然である旨主張している。 しかしながら、本件商標の構成中の「OZ」部分と「pro」部分とは、大文字と小文字といった文字の大きさに差異があることが認められるものの、本件商標は、全体として、構成各文字が同じデザインの書体で等間隔にバランス良く一体的に表されていると把握、認識されるものとみるのが自然であり、また、他に「OZ」の文字部分を分離抽出し、この部分だけを他の商標と比較検討して商標そのものの類否を判断すべきとする事情は見いだせないから、申立人のかかる主張はその前提において採用できない。 したがって、本件商標は、その構成文字全体が一体不可分のものであって、「オーゼットプロ」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じないものというべきである。 イ 引用商標 (ア)引用商標1は、別掲2のとおり、ややデザイン化された「O・Z」の欧文字を顕著に表し、その下に上部の文字部分に比して極めて小さく「ROUTE O.Z.」の欧文字を、上下の文字の間に、二重線を配した構成からなるものである。 また、引用商標1の構成中、「O・Z」及び「ROUTE O.Z.」の文字は、いずれも一般の辞書等に掲載されていない文字であるから、それぞれの文字部分からは、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 してみると、引用商標1を構成する各文字部分は、それぞれが観念上の結びつきを有するものではなく、外観上も異なる書体及び大きさで表されているものであるから、各構成文字部分を分離して観察することが、取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできない。 さらに、引用商標1は、その構成態様から、上部に大きく顕著に表された「O・Z」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとみるのが自然である。 そうすると、引用商標1は、その構成中「O・Z」の文字部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものといえ、当該文字に相応し「オーゼット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (イ)引用商標2は、別掲3のとおり、ややデザイン化された「O・Z」の欧文字を顕著に表し、その下に上部の文字部分に比して極めて小さく「RACING」の欧文字を、上下の文字の間に、二重線を配した構成からなるものである。 また、引用商標2の構成中、「O・Z」の文字は、上記(ア)と同様に、一般の辞書等に掲載されていない文字であるから、特定の観念を生じないものであり、一方その構成中の「RACING」の文字は、「競走」の意味を有する比較的平易な英語であるから、「競走」の観念を生じると判断するのが相当である。 してみると、引用商標2を構成する各文字部分は、それぞれが観念上の結びつきを有するものではなく、外観上も異なる書体及び大きさで表されているものであるから、各構成文字部分を分離して観察することが、取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできない。 さらに、引用商標2は、その構成態様から、上部に大きく顕著に表された「O・Z」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとみるのが自然である。 そうすると、引用商標2も上記(ア)と同様に、その構成中「O・Z」の文字部分に相応し「オーゼット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (ウ)引用商標3は、別掲4のとおり、二重円の内側に欧文字の「O」と「Z」を組み合わせた構成からなるモノグラムを配した構成からなり、全体としてまとまりのある一つの図形として認識し、把握されるとみるのが相当であるから、特定の称呼及び観念は生じない。 ウ 使用商標 使用商標は、別掲5のとおり、引用商標1及び引用商標2の構成中の「O・Z」の文字部分と同一のややデザイン化された「O・Z」の欧文字からなるものであり、これよりは、「オーゼット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 エ 本件商標と引用商標及び使用商標との類否 (ア)本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否 本件商標と引用商標1及び引用商標2の類否を検討すると、まず本件商標と引用商標1及び引用商標2の構成中、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「O・Z」の文字部分とを比較すれば、両者は、構成文字のデザイン、構成文字数など構成態様が明らかに異なるから、外観上、容易に区別し得るものである。また、両者のつづりの比較においても、「pro」の文字及び中点(「・」)の有無という差異を有し、その差異が両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても、外観上、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。 次に、本件商標から生じる「オーゼットプロ」と引用商標1及び引用商標2から生じる「オーゼット」の称呼を比較すると、両者は「プロ」の音の有無という差異を有し、この差異が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、明確に聴別でき、称呼上、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。 さらに、観念においては、本件商標と引用商標1及び引用商標2は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は比較することができないものである。 そうすると、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 (イ)本件商標と引用商標3との類否 本件商標と引用商標3の類否を検討すると、まず本件商標と引用商標3は、外観において、明らかな差異を有するものであるから、外観上、相紛れるおそれはない。 そして、引用商標3は、特定の称呼を生じないものであるから、本件商標と引用商標3とは、称呼において、相紛れるおそれはない。 さらに、本件商標と引用商標3とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 (ウ)本件商標と使用商標との類否 本件商標と使用商標とは、引用商標1及び引用商標2との類否と同様に、両商標は、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 (3)商標法第4条第1項第11号該当性について 上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。 (4)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について 上記(1)のとおり、引用商標及び使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。 そして、上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標及び使用商標とは非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標及び使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものといえない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 本件商標 別掲2 引用商標1 別掲3 引用商標2 別掲4 引用商標3 別掲5 使用商標 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2021-11-26 |
出願番号 | 2019158529 |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(W12)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
榎本 政実 |
特許庁審判官 |
渡邉 あおい 小松 里美 |
登録日 | 2021-01-08 |
登録番号 | 6338661 |
権利者 | チュー・シャー・リー |
商標の称呼 | オズプロ、オオゼットプロ |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 外川 奈美 |
代理人 | 遠山 良樹 |