• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1381153 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-01-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-18 
確定日 2021-12-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第6335957号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6335957号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6335957商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和2年7月28日に登録出願、第25類「カラー,外衣,作業服,装飾用袖口,被服,下着,水泳着,水泳帽,スカーフ,シルクハット,スカルキャップ,バイザー,帽子」を指定商品として、同年12月8日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する国際登録第1370544号商標(以下「引用商標」という。)は、「BUFF」の欧文字を書してなり、2017年(平成29年)8月11日に国際商標登録出願、第25類「Ready-made clothing for external and internal use [not of leather]; handkerchiefs (not included in other classes), caps [not of leather], footwear (except orthopedic footwear) [not of leather] and headgear [not of leather].」を指定商品として、平成31年1月18日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示す時は枝番号を省略する。)を提出した。
(1)引用商標について
引用商標は、申立人が展開する多機能ヘッドウェアブランドの名称であって、その構成文字「BUFF」に相応して「バフ」との称呼が生じる。
引用商標は、オートバイレースに出場していた申立人の創設者が、1992年にスペインで創業したブランドであって、ホイールに巻き込まれる可能性があるマフラーに替わる新たな防寒アクセサリーを求め、改良を重ねた結果完成された多機能ヘッドウェアのブランドである。
ブランド名の「BUFF」は、「スカーフ」を意味するスペイン語の「bufanda」を語源として申立人の創業者が考案した造語である(甲1)。「BUFF」の多機能ヘッドウェアは、「ネックウェア」と「ヘッドバンド」のいずれの商品としても使用することができ(甲2の1)、これら両商品に属する二面性を有する。また、多機能ヘッドウェアに加え、帽子も定番商品となっており(甲2の3)、ヘッドウェア以外の被服(ティーシャツ)及び運動用特殊衣服(運動競技用タイツ)も展開されている(甲2の2)。「BUFF」は、その製造を全て申立人の自社工場で行い、品質管理を徹底することで、ユーザーから高い支持を得ており、現在、1995年に海外進出して以降、スポーツサイクルをはじめ、モーターサイクルやランニング、登山など様々な分野で多くのユーザーに愛されており、世界70ヶ国、2万店を超える店舗で展開される人気ブランドとなっている。
我が国においても「BUFF」の多機能ヘッドウェアは非常に注目されており、アウトドア雑誌、スポーツ雑誌、ファッション雑誌など、数々の雑誌で紹介されているほか(甲3〜甲7)、ウェブサイトにおいても話題の多機能ヘッドウェアブランドとして取り上げられている(甲8〜甲12)。
さらに、「BUFF」は、他のブランドとのコラボレーションも積極的に行っており、従来「BUFF」に馴染みのなかった需要者に対しても、コラボレーションしたブランドを介して、「BUFF」を認知させている(甲13、甲14)。特に、バイクアパレル・ファッションブランドの「56design」とのコラボレーション(甲15)や、過去には本田技研工業株式会社やロードレース世界選手権(MotoGP)、プロオートバイレーサーの「マルク・マルケス」氏とのコラボレーションも実現しており、日本のモーターサイクル業界でも広く知られたブランドとなっている。
実際、申立人は、我が国における「BUFF」の普及活動に積極的に取り組んでおり、日本のブルータグ株式会社と協力して、数々の展示会や国内スポーツイベントなどにこれまで出店してきた(甲16)。さらに、プロトレイルランナーやプロスカイランナーなど、数々の日本人アスリートのスポンサーを務めることで(甲17、甲18)、そのアスリートの活躍によって、「BUFF」の認知度は更に向上しており、コラボレーション商品も展開するなど(甲19)、人気アスリートとのタイアップも注目を集めている。加えて、スカイランニング世界選手権日本代表である山岳ランナーが「BUFF」のアンバサダーを務めており(甲21)、アウトドアスポーツを好む女性の需要者層に対しても積極的にブランドを訴求している。
さらに、今日では、「BUFF」の商品は、消防現場、除雪現場、石油化学工場の作業現場等でも役立てられており、作業着の一種としても認知されている(甲20)。
(2)本件商標について
本件商標は、上段に欧文字の「B」と「F」を重ねた文字(以下「BF」という。)を配置し、下段には「BUFFI」の文字を配置した上下2段の構成からなり、本件商標に接した取引者、需要者は、文字の書体や大きさの違い等から、視覚上、本件商標を「BF」と「BUFFI」に分離して認識することができる。
そして、「BUFFI」の文字部分は、辞書等に掲載されていない造語であるものの、その構成中「BUFF」の文字は、「ファン、筋肉隆々で魅力的な、磨く」等の意味合いを有する英語であり、上述のとおり、ヘッドウェアを始めとしたアパレルウェアの分野における「BUFF」ブランドの周知性に鑑みれば、本件商標の指定商品の取引需要者は、「BUFFI」の文字から、「BUFF」の文字を看取し、「BUFF」と「I」の2文字の組み合わせた造語であると理解するものと考えられる。
その結果、欧文字1文字の「I」は、商品の種別、型式又は規格等を表示する記号又は符号として類型的に取引上普通に採択使用されており、自他商品識別力が乏しいため、本件商標においては、既存の英単語として認識可能であって、かつ、周知のアパレルウェアブランドの名称でもある「BUFF」の文字部分が、取引需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
したがって、本件商標は、「BUFF」の文字部分が独立した要部として識別力を発揮する。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標の後願に当たるところ、上記(2)のとおり、本件商標の要部は、「BUFF」の部分にあるといえ、引用商標と実質的に同一である。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中「屋外用及び室内用の既成服(革製のものを除く。)」又は「帽子(革製のものを除く。)」と同一又は類似である。
したがって、本件商標は、その登録出願前の登録出願に係る他人の登録商標に類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品又はこれらに類似する商品について使用するものであるため、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第10号について
上述のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時において、我が国における取引者、需要者の間で、少なくとも「ネックウェア,ヘッドバンド」についての申立人の商標として広く知られていたと推認され、本件商標は、その要部「BUFF」が引用商標と実質同一である。
また、本件商標の指定商品中「被服,スカーフ」(第25類)は、申立人の使用に係る商品「ネックウェア」と類似群コードが共通し、同一又は類似である。
したがって、本件商標は、その登録出願時において、我が国で周知の引用商標と同一又は類似する商標であって、その指定商品も申立人の業務に係る商品と同一又は類似するものであるため、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号について
上述のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時において、我が国における取引者、需要者の間で、少なくとも「ネックウェア,ヘッドバンド」についての申立人の商標として広く知られていたと推認され、本件商標は、その要部「BUFF」が引用商標と実質同一である。
また、引用商標を構成する「BUFF」の文字は、申立人が独自に考案した造語であって、ヘッドウェア以外の被服及び運動用特殊衣服も提供しており、本件商標の指定商品は、申立人が取り扱う被服及び運動用特殊衣服と同じ服飾品の部類に属するものであり、商品の需要者が一致する。特に本件商標の指定商品中「シルクハット,スカルキャップ,バイザー,帽子」は、引用商標が表す「BUFF」ブランドの定番商品である「帽子」と同一又は類似の商品であり、商品の取引者、需要者が共通する。
そうすると、本件商標の登録出願時において、本件商標が使用された場合には、その商品に接する取引者、需要者は、取引上要求される一般的な注意をもってしても、その商品が申立人の商品であるとか、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずる可能性は十分に予想され、需要者がその出所について混同を生ずることは明らかである。
したがって、本件商標は、本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)小括
以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標及び「Buff」の文字からなる標章(以下「使用商標」という。)の周知著名性について
ア 申立人の提出した証拠によれば、以下のことが確認できる。
2016年3月号、2017年4月号のアウトドア雑誌(「PEAKS」:甲3、「GO OUT」:甲4)及び2016年7月号のファッション雑誌(「PRODISM」:甲6)に引用商標及び使用商標が「ヘッドギア」、「ヘッドウェア」、「ネックウォーマー」などと紹介されていること、また、インターネット上の複数のウェブサイトで本件商標の登録出願日前から「BUFF」が同様に紹介されていることが認められるものの(甲8〜甲10、甲12、甲14、甲15)、いずれも申立人の商品であることを示す表記は見いだせない。
イ 上記アからすれば、引用商標及び使用商標は、我が国において、本件商標の登録出願日前から、商品「ヘッドウェア」等に使用されていることが認められるものの、これらが申立人の業務に係る商品として使用されていると認めるに足りる証左は見いだせないから、引用商標及び使用商標は、いずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
そうすると、提出された証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に、引用商標及び使用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、別掲のとおり、「B」と「F」を組み合わせたモノグラムを上段に配し、その下に「BUFFI」の欧文字を配してなるところ、上段のモノグラムと下段の欧文字とは、視覚的に分離して看取されるというべきであり、それぞれが自他商品の識別標識として機能するといえ、当該欧文字に相応して、「バフィー」の称呼を生じる。
そして、「BUFFI」の欧文字は、我が国において、一般に知られている英語ともいえないから、一種の造語とみるのが自然であるから特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、「BUFF」の欧文字を書してなり、当該文字に相応して、「バフ」の称呼を生じ、当該欧文字は、我が国において、一般に知られている英語ともいえないから、一種の造語とみるのが自然であるから特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、まず、外観において、両商標は、全体の外観において、モノグラムの有無の差異、また、「BUFFI」の部分の比較において文字数が異なることから、外観上、明らかに相違するものである。
次に、称呼において、本件商標から生じる「バフィー」の称呼と、引用商標から生じる「バフ」の称呼とは、3音と2音という短い音構成において、語調、語感が異なり、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念において、両商標ともに特定の観念が生じないから、観念上、これを比較することはできない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、その外観及び称呼において、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標と引用商標とは、その指定商品が同一又は類似しているとしても、非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定されている。
引用商標及び使用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
また、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、引用商標とつづりを同じくする使用商標も同様に非類似の商標であり、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標及び使用商標の周知・著名性について
引用商標及び使用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
イ 本件商標と引用商標及び使用商標との類似性の程度について
本件商標と引用商標及び使用商標は、上記(2)のとおり、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において明らかな差異を有する非類似の商標といえるものであるから、類似性の程度は低いものというべきである。
ウ 本件商標の指定商品と申立人の取扱いに係る商品の関連性、需要者の共通性について
本件商標の指定商品には、「スカーフ,シルクハット,スカルキャップ,バイザー,帽子」が含まれており、これらは、申立人の取扱いに係る商品「ヘッドウェア」とその用途を共通にするから、その商品の関連性は高いといえるものであり、また、需要者は、ともに一般消費者であることからその需要者の範囲を共通にするものである。
エ 出所の混同のおそれについて
上記アないしウのとおり、引用商標及び使用商標は、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているとは認められず、また、本件商標は、引用商標及び使用商標との類似性の程度は低いことからすれば、たとえ、本件商標の指定商品と申立人の取扱いに係る商品の関連性が高く、その需要者の範囲を共通にする場合があるとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人に係る引用商標及び使用商標を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標及び使用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
オ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲(本件商標)




(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2021-12-14 
出願番号 2020092783 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W25)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 小俣 克巳
榎本 政実
登録日 2020-12-28 
登録番号 6335957 
権利者 ユー ヤエビン
商標の称呼 ビイエフブーフィー、ブーフィー、ビイエフ 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 龍華国際特許業務法人 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ