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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1381147 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-01-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-25 
確定日 2021-12-24 
異議申立件数
事件の表示 登録第6312330号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6312330号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6312330号商標(以下「本件商標」という。)は、「いち髪」と「Natural+」の文字及び記号を上下2段に書してなり、令和元年12月9日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」を指定商品として、同2年10月13日に登録査定、同年11月5日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する商標は、以下の2件であり、現に有効に存続しているものである(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)。
(1)登録第4790393号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:Nature’s Plus
登録出願日:平成10年8月27日
設定登録日:平成16年7月30日
指定商品:第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」及び第5類「食餌療法用の食品調整剤,ビタミン剤,その他の薬剤」
(2)登録第6016036号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:NATURES PLUS(標準文字)
登録出願日:平成28年4月21日
設定登録日:平成30年2月2日
指定商品:第5類「サプリメント,ダイエット用の栄養補助食品,ビタミン・ミネラル・薬草からなるダイエットサプリメント,食事療法用飲料,食事療法用食品,栄養補助食品(食餌療法に用いられるものを除く。),たんぱく質を原材料とする棒状・ウエハ−ス状の栄養補助食品」及び第29類「食餌療法用飲料・食餌療法用食品の原材料となる粉状の食用たんぱく」

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上下2段からなる商標で、上段に平仮名「いち」と漢字「髪」、下段に欧文字「Natural」と記号「+」からなるところ、下段の「Natural」の文字は、「自然な」に和訳される(甲4)。
そうすると、下段の「Natural+」からは、「自然なプラス」の観念が生じる。
一方、引用商標1は、その構成中「Nature’s」が、「自然の」に和訳される(甲5)から、「自然のプラス」の観念を、引用商標2は、その構成中「NATURES」が、「自然」に和訳されるから、「自然プラス」の観念をそれぞれ生じる。
本件商標と引用商標は、いずれも「自然なもの」をプラスした言葉であり、観念の点でほぼ同一か極めて類似している。
そして、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、類似していること明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号について
申立人は、1970年代の前半から、1200種類以上もの自然由来の商品の製造・販売を行っている。その商品の種類は、申立人のウェブサイト「iHerb」において、サプリメント、ハーブ及びホメアパシー等多岐に及んでいる(甲6)。また、ECサイトにおいても申立人の商品が掲載されている(甲7、甲8)。
さらに、申立人の太平洋地域における2016年から2020年の売上高は、5410万ドルないし7220万ドルである。
本件商標の商標権者は、申立人と同じ商品の製造販売を行うものであり、引用商標と観念上近似した商標を登録したことは、申立人が50年以上前から築き上げてきた信用にただ乗りしようとする「不正の目的」があったものと推認される。
また、引用商標が、上記取扱商品との関係において申立人の商品を表示する商標として、日本国及び諸外国において広く知られている商標であることは周知の事実である。なお、2020年度における申立人のウェブサイトへのアクセス回数は10万回を超えている。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「いち髪」と「Natural+」の文字及び記号を上下2段に書してなるところ、いずれの文字等も、同じ大きさ及び同じ書体で表されており、上下段の各文字等も中心を揃えて近接して配置され、まとまりのよい一体的な構成よりなるものである。
そして、その構成中の「+」の記号は、欧文字の「Natural」に続けて表されていることからすると、英語読みの「プラス」の称呼を生じるのが自然であるから、本件商標全体からは、「イチカミナチュラルプラス」の称呼が生じるところ、当該称呼は、やや冗長であるとしても、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標構成中の上段の「いち髪」の文字部分は、辞書等に載録された成語とは認められないものであるから、下段の「Natural」及び「+」の文字及び記号が、それぞれ「自然なさま。天然」及び「プラス。加えること。」の意味を有する語であって、これらを結合した「Natural+」の文字及び記号が、「Natural(自然なさま)」と「+(プラス)」を結合したもの程の意味合いを認識させるとしても、本願商標の構成全体からは、特定の意味合いを想起しない一種の造語として認識、理解されるものとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して「イチカミナチュラルプラス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、上記2のとおり、「Nature’s Plus」の欧文字をやや斜体で表示してなるところ、その構成中の「Nature」及び「Plus」の文字は、それぞれ「自然」等及び「加えること」等の意味を有し(広辞苑)、共に我が国においては馴染みのある単語といえる。
また、構成中の「Nature」の語に続く「’s」は、英語の所有格を表すものとして一般に親しまれているものである。
そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して「ネイチャーズプラス」の称呼を生じ、「自然のプラス」程の観念を生じるものである。
(イ)引用商標2は、上記2のとおり、「NATURES PLUS」の欧文字を書してなるところ、「NATURES」と「PLUS」の文字の間に1文字程度の空白があるものの、同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体的に表されており、その構成文字全体に相応して生じる「ナチュレスプラス」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、構成中の「NATURES」文字は、辞書等に載録のないものであるから、「Plus」の文字に、「加えること」等の意味を有するとしても、「NATURES PLUS」の文字全体としては、特定の意味合いを想起しない、一種の造語として認識されるものである。
そうすると、引用商標2は、その構成文字全体に相応し「ナチュレスプラス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)外観
本件商標と引用商標の外観を比較すると、本件商標の構成文字における平仮名、漢字、欧文字及び記号と引用商標における欧文字という文字種の明らかな差異に加え、本件商標はその上段において「いち髪」の文字の有無という明確な差異を有するものであるから、両者は、外観上、判然と区別し得るものである。
(イ)称呼
本件商標から生じる「イチカミナチュラルプラス」の称呼と引用商標から生じる「ネイチャーズプラス」及び「ナチュレスプラス」の称呼とは、それぞれ音数及び音構成が明らかに相違するものであるから、両者は、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
(ウ)観念
本件商標からは、特定の観念を生じないのに対し、引用商標1からは「自然のプラス」の観念を、引用商標2からは特定の観念を生じないから、両商標は、観念において相紛れるおそれのないものであるか、又は比べることができないものである。
(エ)そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において、相紛れるおそれのないものであるか、又は比べることができないものであるところ、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標構成中の「Natural+」の文字部分を分離抽出し、これと引用商標とが類似する旨主張する。
しかしながら、本件商標は、上記アのとおり、その全体がまとまりのよい一体的な構成よりなるものであるから、本件商標と引用商標は非類似の商標である。
また、本件商標構成中の「Natural+」の文字部分を分離抽出し、他の商標との類否を検討すべきとする事情は見いだせない。
仮に、本願商標から「Natural+」の文字部分が分離抽出されたとしても、上記アのとおり、当該文字分は、「Natural(自然なさま)」と「+(プラス)」の語を結合したもの程度の漠然とした観念を理解させるものである。また、外観においても区別し得るものであり、称呼においても聴別し得るものであるから、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両者の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用するもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そこで、申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、申立人は、1970年代の前半から、1200種類以上の自然由来の商品の製造・販売を行っているとされる(申立人主張)。
そして、申立人が同人のウェブサイトと主張する「iHerb」においては、「サプリメント」「ハーブ&ホメオパシー」「バス&パーソナルケア」「美容」「スポーツ&プロテイン」「食料品」「ベビー&キッズ」及び「日用雑貨品」の表示があり、これらカテゴリの商品を扱っていることが見受けられるが(甲6)、それらの商品に引用商標が表示される等の使用状況は見当たらないばかりか、当該ウェブサイトが申立人のものであることを明らかにする資料は提出されていない。そして、2020年度の同サイトへのアクセス回数は10万回を超えているとされるが(申立人主張)、その裏付けとなる資料の提出はない。
また、第三者のECサイトにおいて、商品の容器に引用商標1が表示されていることが見受けられるが(甲7、甲8)、当該商品が申立人の製造販売に係る商品であることは確認できない。
さらに、申立人の太平洋地域における2016年ないし2020年の売上高は、5410万ドルないし7220万ドルとされているが(申立人主張)、対象となる国が不明であるのみならず、我が国及び各国での売上額の内訳は定かではない。
以上から、申立人は、自身の取扱いに係る商品に引用商標を使用して販売又は提供している等の具体的な使用事実は示されていない。
その他、引用商標が、我が国及び外国における取引者、需要者において、どの程度認識されているかを客観的に把握できる証拠は提出されていない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国及び外国において、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり、かつ、本件商標と引用商標は、上記(1)のとおり、非類似の商標である。
さらに、本件商標の出願が引用商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)する意図の下に採択された等の、不正の目的をもって使用をするものであるとの証左は何ら示されておらず、かつ、他にこれを認めるに足る具体的な事実も見いだせないから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号のいずれにも該当するものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2021-12-16 
出願番号 2019153999 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W03)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 水落 洋
大森 友子
登録日 2020-11-05 
登録番号 6312330 
権利者 クラシエホームプロダクツ株式会社
商標の称呼 イチカミナチュラルプラス、イチカミ、イチ、ナチュラルプラス、ナチュラル 
代理人 村橋 史雄 

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