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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W09
管理番号 1381020 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-02 
確定日 2021-12-01 
事件の表示 商願2018−125741拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「ネオジムマグネットシート」の文字を標準文字で表してなり、第9類「永久磁石,装飾用磁石,電磁石,磁心,希土類ボンド磁石,ラバーマグネット」を指定商品として、平成30年10月5日に登録出願されたものである。
なお、本願は、令和元年8月23日付けで拒絶理由の通知がされ、同年11月5日付けの意見書(以下「意見書」という。)が提出されたが、同2年2月25日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して令和2年6月2日に拒絶査定を不服とする審判の請求がされたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ネオジムマグネットシート』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『ネオジム』は、『希土類元素の一種。元素記号Nd 原子番号60。原子量144.2。銀白色の延性・展性に富む金属。』(出典:岩波書店 広辞苑第六版)を意味し、『マグネット』は、『磁石』を意味し、『シート』は、『薄板や紙などの1枚。』を意味する語であるから、これらの文字を結合した本願商標は、構成全体として『ネオジム磁石のシート』ほどの意味合いが理解される。そして、別掲1のとおり、ネオジムを主成分とする磁石が実際に製造、販売されている事実があることから、本願商標をその指定商品に使用したときには、これに接する取引者、需要者は、『ネオジム磁石のシート』であることを認識するに止まり、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知及び請求人の回答
本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性について、別掲2に掲載する内容の職権による証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に通知し(令和3年2月10日付け証拠調べ通知書)、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えたが、請求人は、応答期間において、当該証拠調べに対する意見を提出していない。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、上記第1のとおり、「ネオジムマグネットシート」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ネオジム」の文字は、「希土類元素の一種。」を意味する語であり、別掲2の1のとおり、「ネオジム」は、磁石の主成分の一つとして使用され、ネオジムを含有する磁石を「ネオジム磁石」と称して取引されていることが確認できる。
また、本願商標の構成中の「マグネットシート」の文字は、別掲2の2のとおり、本願商標の指定商品との関係において、「シート状のマグネット」を表す語として、実際に取引されていることが認められる。
そして、本願商標「ネオジムマグネットシート」の文字は、「ネオジム」の文字と「マグネットシート」の文字とを結合したものと容易に認識できるものであり、かつ、本願商標は、標準文字で、普通に用いられる方法で表されているものである。
そうすると、本願商標は、構成全体として、「シート状のネオジム磁石」を表したものと認識させるものであるから、これをその指定商品「永久磁石,装飾用磁石,電磁石,磁心,希土類ボンド磁石,ラバーマグネット」に使用しても、これに接する需要者、取引者は、これらの商品が「ネオジムを主成分とするシート状の磁石」であることを認識、理解するにとどまるものである。
したがって、本願商標は、商品の品質及び形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
請求人は、意見書にて「本願商標は全体として、『新規な事務用マグネットシート』の意味合いを認識させるものである。『ネオジムマグネットシート』は、『ネオジウムマグネットシート』を想起させる可能性がある一方で、『ネオ』な『ジム』用のマグネットシート、すなわち『新規な事務用マグネットシート』の意味合いをも想起させる可能性を持つものである。その意味において、必ずしも、『ネオジム磁石のシート』ほどの意味合いを持つ商品であることを認識するに止まるもの、あるいは、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものとはいえない。」旨、主張する。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標は、構成全体として、「シート状のネオジム磁石」を表したものと認識させるものであり、本願商標をその指定商品「永久磁石,装飾用磁石,電磁石,磁心,希土類ボンド磁石,ラバーマグネット」に使用しても、これに接する需要者、取引者は、これらの商品が「ネオジムを主成分とするシート状の磁石」であることを認識、理解するにとどまるものであるから、本願商標は、単に、商品の品質及び形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であると判断するのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は、採用することはできない。
なお、請求人は、上記第3のとおり、当審においてした証拠調べに対し、応答期間に、何らの回答をしていない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1(原審において提示したインターネット掲載記事)
1 LONレアマテリアル株式会社のウェブサイトにおいて「ネオジムマグネット」の見出しのもと、「ネオジム磁石は、ネオジム ,鉄、ホウ素を主成分とする永久磁石で、サマリウムコバルト磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石の中で一番強力な磁力があり、現在市場に出ている磁石の中で世界最強と言われています。主な用途は、IT関連機器、発電モーター、スマートフォン、小型スピーカー、各種モーター、各種医療機器、各種家電製品等幅広く使われています。」との記載がある。
http://lon-rare.jp/products-magnet/products-magnet01.html
2 株式会社マグファインのウェブサイトにおいて、「ネオジム磁石とは? Nd Fe B」の見出しのもと、「ネオジム(Nd)・鉄(Fe)・ボロン(B)を主成分とした、世界最強の強力磁石。ディスプロシウム(Dy)・プレセオジム(Pr)・コバルト(Co)・など、希土類元素を含むため、希土類磁石と呼ばれる磁石のひとつです。」との記載がある。
https://www.magfine.org/magnetkids/neodymium/

別掲2(証拠調べ通知書で提示した証拠)
1 磁石の原材料として「ネオジム」が用いられている事例(下線は合議体が付与。以下同じ。)
(1)「大辞泉【第二版】下巻」(株式会社小学館、2012年)の2787頁において、「ネオジム」の見出しの下、「希土類元素(レアアース)のランタノイドの一。銀白色の金属で、展延性がある。熱水には水素を発生して溶ける。ガラスの着色剤やレーザーの活性剤、永久磁石などに使用。元素記号Nd 原子番号60。原子量144.2」の記載がある。
(2)「世界で一番美しい元素図鑑」(株式会社創元社、2010年)の141頁において、「Neodymium ネオジム」の見出しの下、「ネオジムは希土類ランタノイド系列で最も知名度が高い元素で、それはひとえに
ネオジム磁石(実際はネオジム・鉄・ホウ素の合金)のおかげです。」の記載がある。
(3)「コトバンク」のウェブサイトにおいて、「ネオジム」の見出しの下、「百科事典マイペディアの解説」の項に、「元素記号はNd。原子番号60,原子量144.242。密度7.007,融点1021℃,沸点3068℃。希土類元素の一つ。主要鉱石はモナズ石。・・・ライターなどの発火合金(アウアー合金)に使われてきたほか、鉄との合金が小型強力磁石として、また近年はレーザー用半導体の成分として重要。」の記載がある。
(4)「Weblio辞書」のウェブサイトにおいて、「新語時事用語辞典」の見出しの下、「ネオジム」の項に、「レアアースの一種。ジスプロシウムと共に強磁性体として知られる。ネオジムから製造される『ネオジム磁石』は最も強力な磁石とされる。日立金属が製造している永久磁石『NEOMAX』もネオジム磁石である。」の記載がある。
(https://www.weblio.jp/content/%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%82%B8%E3%83%A0)
(5)「モノシリ」のウェブサイトにおいて、「製造業技術用語集」の見出しの下、「ネオジム磁石」の項に、「希土類元素であるネオジム、鉄、ホウ素を主成分とした永久磁石。現在実用化されている中では、最強の磁石であり、携帯電話やハードディスク、電気自動車などのモーターなどに利用されている。鉄を多く含んでいるため錆びやすい事、温度上昇に伴い『保磁力』とよばれる磁石特性が低下するといった弱点がある。」の記載がある。
(https://www.ipros.jp/monosiri/term/%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%82%B8%E3%83%A0%E7%A3%81%E7%9F%B3)
(6)「株式会社下西製作所」のウェブサイトにおいて、「ネオジム磁石」の見出しの下、「ネオジム磁石は、鉄・ネオジム・ボロンを主成分とする焼結品で、非常に優れた磁気エネルギーは現有磁石の中で最高です。商品特長として錆やすいため、主にニッケルメッキで表面を処理しています。コバルト磁石にくらべ比重が軽く機械的強度も高く、小型化や扁平化が可能です。」の記載がある。
(http://www.shimonishi.net/magnet_kikaku/magnet_kikaku01/magnet_kikaku01_01)
(7)「DSC」のウェブサイトにおいて、「ネオジム磁石」の見出しの下、「ネオジム磁石(Neodymium magnet)とは、ホウ素、ネオジム、鉄を主な成分とするレアース磁石(希土類磁石)の代表的磁石であり、永久磁石の中では最も磁力が強い磁石です。機械的強度に優れている一方、非常に錆びやすい性質があるため、それを防ぐ為メッキ処理などの表面処理を行っております。」の記載がある。
(https://dscc.co.jp/products/%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%82%B8%E3%83%A0%E7%A3%81%E7%9F%B3/)
(8)「株式会社二六製作所」のウェブサイトにおいて、「製品案内」の見出しの下、「ネオジム磁石」の項に、「ネオジム磁石はネオジム・鉄・ボロンを主成分とした成形焼結品です。非常に優れた磁気エネルギーは現有磁石最高です。錆びやすい為、主にニッケルメッキで表面処理を施しています。」の記載がある。
(https://www.26magnet.co.jp/products/neodymium.html)

2 「マグネットシート」の文字が、「シート状の磁石」の意味合いで商品の名称として使用されている事例
(1)「sign city magazine」のウェブサイトにおいて、「マグネットシートとは? 特徴や加工方法、DIYやインテリアへの取り入れ方まで」の見出しの下、「マグネットシートとは鉄やスチール製のものに吸着し、表面にインクジェットメディアやマーキングフィルムを貼った加工ができる、シート状のマグネットです。」の記載がある。
(https://www.trade-sign.com/magazine/362/)
(2)「mybest」のウェブサイトにおいて、「マグネットシートのおすすめ人気ランキング10選」の見出しの下、「好きな形にカットでき、掲示物や軽いものを固定したいときに便利なマグネットシート。ホワイトボードのように書き込めるものは長年オフィスでの定番アイテムでしたが、最近ではプリンタで印刷してオリジナルのマグネットを作ったり、黒板のように使えたりするなど、バリエーションが広がっています。そこで今回はマグネットシートの選び方と、通販で購入できるおすすめの人気商品ランキングをご紹介!・・・安価ながら生活を便利にしてくれるマグネットシートに、ぜひ注目してみてください!」の記載がある。
(https://my-best.com/3051)
(3)「マグネットシート工房」のウェブサイトにおいて、「強力マグネットシート(異方性)日本製」の見出しの下、「【特殊仕様 異方性強力マグネットシート】 工業用など、特殊な用途向けに開発された、大変吸着力の強いマグネットシートです。外観は一般品用磁石と変わりません。」の記載がある。
(https://www.magnetsheet.net/lineup/st-super.html)
(4)「Amazon」のウェブサイトにおいて、「コクヨ 強力マグネットシート 片面・粘着剤付き 1枚 自由に切れるタイプ マク−S340」の見出しの下、「メーカーより」の項に、「使いたい分だけ無駄なく使えるマグネットシート 任意のサイズにカットして使うことができるマグネットシートです。」及び「定評がある強磁力と汎用性 マグネットシートで取り付けたかったものがあったけれど、磁力が弱くて失敗した、という場合でも、強い磁力を持つこのマグネットシートでピッタリくっつけることができた、というお客様からの声を頂いているほど、磁力には定評がある製品です。」の記載がある。
(https://www.amazon.co.jp/dp/B0012R2OIQ)
(5)「ASKUL」のウェブサイトにおいて、「マグエックス MSWFPC−300 マグネットシート ちぎれ〜る 1パック 007309187 1パック×10パック(直送品)」の見出しの下、「マグエックス MSWFPC−300 マグネットシート ちぎれ〜る 1パック 007309187 1パック×10パック(直送品)の商品詳細」の表において、「商品の特徴」の欄に、「手で簡単に切れる粘着材付の強力なマグネットシート。」及び「商品仕様」、「材質」の欄に、「異方性マグネットシート
・両面テープ」の記載がある。
(https://www.askul.co.jp/p/U174599/)
(6)「モノタロウ」のウェブサイトにおいて、「TRUSCO マグネットシート(糊付)」の見出しの下、「マグネットシート(糊付) 強磁力の異方性マグネットシートです。柔軟性に優れていますので取り扱いが簡単で、ハサミで容易に裁断できます。非着磁面には強力な粘着剤がついていますので様々な物を容易に磁力化できます。」の記載がある。
(https://www.monotaro.com/g/01238197/)
(7)「カウネット」のウェブサイトにおいて、「カウネット マグネットシート プレカットタイプ」の見出しの下、「裁断不用!そのまま使えるプレカットタイプのマグネットシートです。」の記載がある。
(https://www.kaunet.com/rakuraku/variation/00003116/?LID=0&Keyword=%83%7D%83O%83l%83b%83g%83V%81%5B%83g&mainImg=K2007725.jpg)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

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審理終結日 2021-09-17 
結審通知日 2021-09-21 
審決日 2021-10-15 
出願番号 2018125741 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W09)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 荻野 瑞樹
豊田 純一
商標の称呼 ネオジムマグネットシート、ジムマグネットシート 
代理人 友野 英三 

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