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審決分類 |
審判 査定不服 商品(役務)の類否 取り消して登録 W09 審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W09 審判 査定不服 観念類似 取り消して登録 W09 審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 W09 |
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管理番号 | 1380099 |
審判番号 | 不服2021-1855 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-02-09 |
確定日 | 2021-11-30 |
事件の表示 | 商願2020-92163拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、「Dolphin」の文字を標準文字で表してなり、第9類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品とし、令和元年5月21日に登録出願された商願2019-71963に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和2年7月27日に登録出願されたものである。 本願は、令和2年7月30日付けで拒絶理由の通知がされ、同年9月14日付け意見書及び手続補正書が提出され、指定商品については、第9類「ライダー(LIDAR)式リモートセンシング技術を利用した光検出器及び測距儀」と補正されたが、同年11月4日付けで拒絶査定がされたものである。 これに対して令和3年2月9日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5129321号商標(以下「引用商標」という。)は、「DOLPHIN」の文字を標準文字で表してなり、第9類「pHセンサー」を指定商品とし、2006年(平成18年)2月15日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成18年8月2日登録出願、同20年4月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)本願商標と引用商標の類否について 本願商標は、上記1のとおり、「Dolphin」の文字からなるものであり、引用商標は、上記2のとおり、「DOLPHIN」の文字からなるものであるところ、本願商標及び引用商標の構成文字は、いずれも、「イルカ」を意味し、「ドルフィン」と読まれる親しまれた英語であり、両商標の外観上の相違は、それらを構成する欧文字の字形が、大文字と小文字からなるものであるか、又は大文字のみからなるものであるかの点にすぎないものであるから、両者は外観上類似するものであり、また、両商標の構成文字に相応して、それぞれから生ずる称呼「ドルフィン」及び観念「イルカ」は、同一であると認められるから、本願商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象等を総合して全体的に考察すれば、類似の商標というのが相当である。 (2)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について ア 原査定は、本願の指定商品である第9類「ライダー(LIDAR)式リモートセンシング技術を利用した光検出器及び測距儀」と引用商標の指定商品である第9類「pHセンサー」とが類似するものである旨認定、判断して本願を拒絶したものである。 そして、商標法第4条第1項第11号に規定する指定商品の類否は、取引の実情に照らし、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれがあるか否かによって判断されるべきである(東京高等裁判所平成15年(行ケ)第456号判決参照。)ところ、これを踏まえて、商品「ライダー(LIDAR)式リモートセンシング技術を利用した光検出器及び測距儀」と商品「pHセンサー」との類否について検討する。 イ 請求人の提出に係る甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)及び当審の職権による調査によれば、本願の指定商品である第9類「ライダー(LIDAR)式リモートセンシング技術を利用した光検出器及び測距儀」は、発光した光が物体に反射して戻ってくるまでの時間を計算して対象物までの距離を算出する技術(Light Detection and Ranging:光検出と測距)を利用した光を検出する装置(光検出器)及び対象物までの距離を測定する器械(測距儀)であって、光源であるレーザーと受光素子等から構成され、対象物までの距離や対象物の形状、位置関係を三次元で把握することを可能とすることから、航空機のレーダー、気象観測や地形調査等に利用されており、近年では車両に搭載され自動運転に使用されているほか、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)のための技術等にも利用されているものである。また、当該商品は、主にレーザー距離センサー等のレーザー機器を扱う事業者により生産されるものであり、その主な需要者である気象学、地質学等の調査を行う事業者、自動運転機能を備えた車両のメーカー、VRやARを利用する電子応用機械器具を扱う事業者等に販売されるものである。 他方、引用商標の指定商品である第9類「pHセンサー」は、溶液の酸性・中性・アルカリ性の強さを表した指標(水素イオン指数)である「pH」を測定するセンサーであって、ガラス又は「ほうろう」からなる電極と温度補償用の温度センサー、あるいはイオン選択性電界効果トランジスター(ISFET)等から構成され、繊維・染色、化学、金属・鉱業、電気・電気化学、医療・化粧品、食品・醸造、上下水道、医療機関、公害関係(水質基準測定)、印刷分野などにおいて、液体や土壌における物質の化学的性質を解明したり、化学反応を管理するために用いられるものである。また、当該商品は、主に化学分野に強い、「pH」計等の機器を扱う事業者により生産されるものであり、その主な需要者である化学薬品や液体試料を取り扱う企業、研究機関等に販売されるものである。 ウ 上記イによれば、本願の指定商品である第9類「ライダー(LIDAR)式リモートセンシング技術を利用した光検出器及び測距儀」と引用商標の指定商品である第9類「pHセンサー」とは、いずれも「測定」を目的とする商品であるとしても、その取引の実情に照らし、その用途、構成(原材料及び品質)、生産部門、販売部門及び需要者のいずれにおいても共通するところはないといえるものであり、それらの商品に同一又は類似の商標を使用する場合に、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれがあるとは認められないものである。 したがって、本願の指定商品である第9類「ライダー(LIDAR)式リモートセンシング技術を利用した光検出器及び測距儀」と引用商標の指定商品である第9類「pHセンサー」とは、非類似の商品と判断するのが相当である。 (3)以上によれば、本願商標は、引用商標に類似する商標ではあるものの、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものではないから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-11-12 |
出願番号 | 商願2020-92163(T2020-92163) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
WY
(W09)
T 1 8・ 264- WY (W09) T 1 8・ 263- WY (W09) T 1 8・ 261- WY (W09) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山川 達央、原田 信彦 |
特許庁審判長 |
小松 里美 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 渡邉 あおい |
商標の称呼 | ドルフィン |
代理人 | 大沼 加寿子 |
代理人 | 大澤 豊 |